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歯みがき中は歩かないで

子どもが歯みがき中に歯ブラシでけがをする事故で、年間平均40人前後が救急搬送されていることから、東京消防庁が注意を呼びかけている。同庁によると、2010年までの5年間で、5歳以下の乳幼児217人が救急搬送された。
 事故を防止するには、歯ブラシを口に入れたまま歩いたり走ったりさせず、歯みがきに集中させることや、椅子や踏み台の上など不安定な場所でさせないことなどが大切という。同庁では「歯ブラシの使用について、保護者らの十分な注意が必要」と話している。
                 朝日新聞 2012.1.28

歯周病 全身に悪影響 動脈硬化促進、認知症発症も

歯と歯茎の間にたまった歯垢で増殖した細菌によって炎症が起きるのが歯周病だ。口内に限定した病気のイメージが強いが、糖尿病のほか動脈硬化、肺炎など多くの病気との関連性が高いことが分かってきた。専門家は「歯周病は全身に影響を及ぼす感染症」と注意を呼び掛ける。
 動脈硬化が脳血管でも進行して脳血管性認知症を引き起こす。また歯周病が進行すると歯を失うため、かむことによる脳への刺激が減って、認知症が速く進みます。歯周病の予防策について歯周病菌が増殖する歯垢を歯磨きで地道に取り除くしかない。回数は食べかすが歯周病菌の餌になるので、できれば毎食後が望ましい。
 また若いときからの習慣化も大切だ。歯磨きを怠っていても、若いと抵抗力があるので歯周病になりにくいが、年を重ねると抵抗力が落ちて歯周病が急激に進む場合もあるという。歯垢が固まった歯石も歯周病菌が繁殖するので除去が大切だ。ただし、歯石を自分で取り除く人もいるというが、歯茎を傷つけて逆に悪化させる可能性もあります。自身で取ることは避けてください。
 また歯と歯の間などのように、歯磨きだけでは汚れが落ちにくい部分もあるため、歯科で定期的にクリーニングや歯石除去してもらうことを勧めます。
                 北海道新聞 2012.1.8

舌の異常についての質問

Q70歳女性。1年前から舌に苦み、渋みを感じるようになりました。今は苦味の方が強く、舌の右側で感じ、ひりひりします。また半年前から唾液が増え、最近はとろみもあります。血液検査では栄養は問題ないそうです。睡眠剤や抗不安薬を時々服用しています。

<回答> 北大病院歯科診療センター口腔外科 山崎裕さん
 ご質問の方は、食事とは関係なく口の中に苦味や渋味を感じ、舌の痛みや唾液の異常感を伴っている状態思われます。このように口内には何もないのに常に苦味など特定の味を感じる患者さんを、私たちは時々経験します。詳しい診察や、いろいろな検査を行っても原因が見つからない場合も多く、難治性で、カビの一種であるカンジダが原因となっていることや、ストレス、心の問題が関連していることもあります。
 カビが原因の場合はカビに効く薬、心の問題では少量の抗うつ薬で症状が改善する場合も多くあります。口腔内科や口腔外科を受診して、口腔内の診察とともに、カンジダ検査、味覚検査や唾液分泌検査を行い、実際に味覚や唾液の分泌に異常がないかを確認してもらうとよいでしょう。併ねて、ストレスがないかもチェックしてもらうのがよいと思います。
                 北海道新聞 2012.3.14

認知症などで胃に直接栄養送る 「胃ろう」選択に苦悩、難しさ

脳血管障害や認知症などで食べる能力が衰えた場合、胃の穴を開け直接栄養を摂取する方法を「胃ろう」という。日本老年医学会は1月、胃ろうについて患者の尊厳を考慮し「差し控えや撤退も選択肢として考慮する必要がある」との立場を表明した。
 本人の意思がはっきりしていない状態で胃ろうを選ぶことは家族にとって難しい問題で、自分の意思を早めに示すことが大切との意見も出ている。
                 北海道新聞 2012.3.14

金属アレルギー思わぬところで

身の回りにはたくさんの種類の金属製品があふれており、金属アレルギーの人は油断ができない。歯の治療や管楽器を演奏したあとで、アレルギー症状が出る人もいるという。金属に触れたところだけで皮膚炎が発症するだけでなく、手足に発疹が出ることもある。金属アレルギーを見過ごさないよう注意したい。
 アレルギーが起きた場合、原因金属を突き止める検査が「パッチテスト」だ。背中や腕などに約20種の金属をテープで微量貼り付け、判定のために2日間そのまま過ごす。テープをはがした後と1日後、5日後に皮膚の反応を調べ、原因金属を明らかにする。
 歯の治療以外で思わぬ金属アレルギーの例が、管楽器の演奏だ。トランペットに施された銀めっきや、トロンボーンに使われた真ちゅうに含まれる銅が原因で唇が腫れる。
                日本経済新聞 2012.1.22

虫歯予防とフッ化物 規則正しい食生活が大切

虫歯は次のようになると発生します。
  ▼脱灰と再石灰化のバランスが脱灰に傾く
  ▼糖分を含む飲食物を回数多く、または長時間にわたって取る(再石灰化の時間が少ない)
  ▼歯垢がたくさんある(酸を産生する細菌がたくさん口腔内の存在する)
  ▼唾液分泌の低下(唾液の浄化・中和作用が低下する)
 一方、虫歯を予防するには、この逆をいけば良いことになります。
  ▼脱灰と再石灰化のバランスを再石灰化に傾かせる
  ▼規則正しい食生活
  ▼プラークの除去
  ▼よくかんで唾液を分泌させる
 間食の回数が多く(常に何か食べている)、口の中に停滞している時間が長い食べ物(あめやキャラメルなど)が好きな子どもは要注意です。
                福島民友 2012.1.13

こども歯みがき教室

内容 講話、個別歯磨き指導
 日時 3月29日(木)午後1時から、午後2時30分から
 場所 健康相談室(第二庁舎3階)
 対象 3歳以下の乳幼児と保護者
 定員 各回6組
 申込 健康推進課 ℡25-6315

高血圧を引き起こす動脈硬化と歯周病が関連している可能性

歯周病菌抗体価が高いと、歯周病リスクスコアだけでなく、収縮期血圧や脈波伝播速度(PWV)も高い傾向にあることが報告された。熊本大学循環器内科の花岡洋右氏らが、3月16日から18日まで福岡で開催されていた第76回日本循環器学会(JCS2012)で発表した。

 歯周病はグラム陰性桿菌による慢性感染症であり、一方で炎症は動脈硬化の進行において重要な役割を果たす。歯周病と動脈硬化が関連するという報告は既にいくつかなされているが、今回、花岡氏らは歯周病と動脈硬化、高血圧との関係について検討した。

 対象は、急性冠症候群(ACS)患者40人、安定狭心症患者135人、冠攣縮性狭心症患者64人の計239人。歯周病の原因細菌の1つであるPrevotella intermediaの抗体価(Pi-IgG)は、採血した上でELISA法にて求めた。抗体価の中央値をカットオフ値とし、中央値以上のグループを高Pi-IgG群(平均年齢67.2±9.6歳、男性78人、女性37人)、中央値未満のグループを低Pi-IgG群(平均年齢67.0±9.4歳、男性73人、女性42人)とした。患者背景をみると、年齢、男女比、BMI、喫煙率、高血圧や糖尿病・耐糖能異常、脂質異常症の合併率などにおいて両群間に有意差はなかった。

 動脈硬化の指標としては、PWVと足関節上腕血圧比(ABI)を用いた。歯周病に関しては、以下の5つのリスク因子をそれぞれ0~5点のスコアで評価し、その合計点を歯周病リスクスコアとした。(1)プロービング(歯周病ポケットを測る)時の出血率(0~4%だった場合は0点、5~9%で1点、10~16%で2点、17~25%で3点、26~35%で4点、36%以上で5点)、(2)歯周ポケットが6mm以上の歯の数(0~1本で0点、2~3本で1点、4~5本で2点、6~7本で3点、8~9本で4点、10本以上で5点)、(3)喪失歯の数(0本で0点、1~2本で1点、3~4本で2点、5~6本で3点、7~8本で4点、9本以上で5点)、(4)歯根長の2分の1以上の骨吸収を認める歯の率(0~9%で0点、10~19%で1点、20~29%で2点、30~39%で3点、40~49%で4点、50%以上で5点)、(5)問診により調べた1年に喫煙するたばこの箱数(0箱で0点、1~39箱で1点、40~89箱で2点、90~189箱で3点、190~364箱で4点、365箱以上で5点)。

 解析の結果、高Pi-IgG群と低Pi-IgG群で、収縮期血圧とPWV、脈圧についてそれぞれ比較したところ、いずれの指標でも高Pi-IgG群で有意に高かった(順にP=0.0189、P=0.0101、P=0.0292)。また、高Pi-IgG群は低Pi-IgG群に比べ、歯周病リスクスコアが有意に高いことも分かった(P=0.0183)。

 一方、収縮期血圧とPWV、脈圧は、いずれも抗体価との相関傾向が認められた。抗体価と歯周病リスクスコアの間にも相関傾向を認め、さらに、脈圧と歯周病リスクスコア、ABIと歯周病リスクスコアの間にもそれぞれ相関傾向が認められた。

 これらの結果から花岡氏は、「歯周病は高血圧を引き起こすような動脈硬化と関連している可能性がある。歯周病を予防することによって、動脈硬化や高血圧の予防につながるのではないか」と考察した。
学会ダイジェスト:第76回日本循環器学会
2012年3月16日~18日 福岡
2012. 3. 19

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