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人食いバクテリア:致死率3割以上 人食いバクテリア 患者急増、過去最多 半年で昨年上回る 基本的な感染防止対策を

人食いバクテリア:致死率3割以上 人食いバクテリア 患者急増、過去最多 半年で昨年上回る 基本的な感染防止対策を /京都

 致死率が3割以上と極めて高く、「人食いバクテリア」とも呼ばれる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」の患者数が今年、府内で過去にないペースで増えている。府によると、1~6月の患者者は22人で、過去最多だった2022年の16人を半年で上回った。府が注意を呼び掛けている。【久保聡】

 ◇府内1~6月22人

 府感染症情報センターによると、通常はレンサ球菌に感染しても無症状の人が多く、大半は咽頭(いんとう)炎や皮膚の感染症にとどまる。だが、まれに、細菌が存在しない血液や筋肉、脳脊髄(せきずい)液などにレンサ球菌が入るなどし、急激に症状が進行。重篤な疾患となることがあり、これがSTSSと呼ばれる。

 初期症状は喉の痛みや発熱、手足の痛みや腫れ、全身倦怠(けんたい)感、血圧低下など。病状の進行が非常に急激で、発病後数十時間以内に手足の壊死(えし)や多臓器不全を起こし、ショック状態から亡くなる人も少なくない。

 同センターによると、過去の6月末時点でのSTSSの府内の患者数は、23年6人▽22年8人▽21年7人▽20年7人――など。1年間の患者数は23年が14人、22年が最多の16人だったが、今年は6月末までで22人に上り、既に過去最多となっている。さらに7月も既に4人の患者が報告されている。

 STSSは中高年以上の患者が多く、府内の過去10年の患者は40代以上で全体の約95%を占める。ただ、24年は6月末までの22人のうち、20人は40代以上だが、10代が1人、10歳未満が1人いる。10代以下の患者の報告は珍しい。

新型コロナ感染者、9週連続増 夏休み前に県が警戒 新変異株「KP.3」確認 /福岡

A群溶連菌の咽頭炎、手足口病も

 県内で新型コロナウイルスの新変異株「KP・3」が確認されるなど感染者が9週連続で増加している。県や県医師会は、外出や人との交流の機会が増える夏休みを念頭に注意を呼びかけている。

 県は18日、8~14日のコロナの新規感染者数は定点医療機関当たり今年最多の14・92人となり、前週比で1・32倍になったと発表した。県によると、4月下旬にKP・3が1件確認されて以降、徐々にその割合が増えているという。

 17日に定例記者会見をした県医師会も県内のコロナの状況について「大きな流行が始まろうとしている」と指摘。同会によると、コロナ疑いでの外来受診が増える中、発熱を事前連絡せずに来院したり、マスクをしない患者がいたりするため、現場が困惑するケースが出ているという。

 瀬戸裕司専務理事は会見で「受診控えなどもみられるため、具合が悪い時は自己判断せずに受診してほしい」と話した。

 一方、県によると、A群溶連菌の咽頭(いんとう)炎、手足口病も警報レベルが続くなど感染者数が高止まりしているという。県保健医療介護部の佐野正医監は「夏休みは大人数で集まったり、海外旅行に行ったりする機会が増える。手洗いや手指消毒、適切なマスク着用などを心がけてほしい」と呼びかけた。

やぶ医者大賞:過疎地や離島で活躍「やぶ医者大賞」 島根・佐藤さん、山口・中嶋さん /兵庫

やぶ医者大賞:過疎地や離島で活躍「やぶ医者大賞」 島根・佐藤さん、山口・中嶋さん /兵庫

 ◇遠隔地へオンライン巡回車 山口・中嶋さん

 ◇複数の医師でグループ診療 島根・佐藤さん

 養父市が全国の過疎地や離島で活躍する医師をたたえる「第11回やぶ医者大賞」に、島根県の浜田市国民健康保険波佐(はざ)診療所長の佐藤優子医師(44)と、山口市徳地(とくぢ)診療所長の中嶋裕(ゆたか)医師(47)が選ばれた。【浜本年弘】

 佐藤医師は、島根県西部の山間部、浜田市金城町にある波佐診療所で2014年から勤務。地域医療振興協会を経て家族で移住した。疾病予防や健康維持など患者を多角的に診る「家庭医療専門医」として他の関係機関と共に地域全体をケアしている。近隣のへき地診療所などと独自の連合体も設け、複数の医師によるグループ診療で、医師の過大な負担なく継続可能な医療に取り組む。中高生、医学生ら後進の育成にも尽力している。

 中嶋医師は、山口県のほぼ中央に位置する山口市の徳地地域(人口約5000人)の医療を担うため、医師の高齢化で地域唯一の医院が閉院し、設けられた民営診療所長に21年、着任した。22年からは保健センターなどと一緒になった複合拠点施設に設けられた公設民営の徳地診療所を担い、無医地区への巡回診療も始めている。オンラインによる遠隔診療システムを積んだ巡回診療車を活用。へき地医療の態勢づくりを進めている。

 やぶ医者大賞は、若手医師の育成、地域医療の発展などを目的に、全国の過疎地などで活躍する50歳以下の医師や歯科医を表彰する制度。養父市が文献に基づいて「やぶ医者」の由来を「養父にいた名医」という説を唱え、14年に創設した。

 今回は8道県9人の応募があり、審査委員長の正垣一博・養父市医師会長、西村正樹・公立八鹿病院長ら8人でつくる審査会で22日、決まった。表彰式、講演会は11月16日、養父市立ビバホールで開催予定。

「高齢者は65歳」維持 厚労相、年金や介護で

 武見敬三厚生労働相は28日の記者会見で、65歳以上とされることが多い高齢者の定義を5歳延ばすことを検討すべきだとした経済財政諮問会議の民間議員の提言を否定した。定義の見直しを「考えていない」と説明。公的年金の支給開始年齢や、介護保険の基準となっている「65歳」を維持するとした。

 提言は、23日の諮問会議で経団連会長らが示した。武見氏は会見で、年金財政が長期的に安定しているとして「年金の支給開始年齢の引き上げは考えていない」と述べた。介護保険では原則65歳以上で要介護認定を受けた人がサービスを利用しており「直ちにその範囲を見直すことは考えていない」とした。

介護保険料、過去最高更新 65歳以上月額6225円 24~26年度、全国平均 利用増、改革議論加速も

厚生労働省は14日、65歳以上の高齢者が2024~26年度に支払う介護保険料(月額)が全国平均で6225円になったと発表した。前期21~23年度より211円(3・5%)上昇し、過去最高を更新。00年度の制度開始当初(2911円)の2・1倍となった。25年には団塊の世代が全員75歳以上となり、40年度には高齢者人口がほぼピークを迎え、介護サービス需要は急増する見通し。保険料の抑制に向け、サービス利用時の自己負担を支払い能力に応じて増やすなど制度改革の議論が加速しそうだ。

 介護職員の賃上げを行うためサービスの公定価格「介護報酬」を24年度に増額改定したことも保険料アップに影響した。介護が必要な高齢者は24年度に705万人、40年度に843万人に上ると推計されている。武見敬三厚労相は14日の記者会見で「介護保険制度が全世代にとって安心なものとなるよう健康寿命の延伸や負担の在り方の検討を進めたい」と述べた。

 65歳以上の介護保険料は今後の介護需要などを考慮し、市区町村や広域連合がそれぞれ3年に1度見直す。厚労省は全1573の市区町村と広域連合の保険料を集計し、4割超の712カ所が保険料を引き上げた。585カ所が据え置き、276カ所が引き下げた。

 据え置きや引き下げでは、運動や交流の推進など介護予防の効果が出ているとみられ、余った保険料を積み立てた基金を取り崩して財源に充てたケースもあったという。

 月額保険料は725カ所で6千円を上回り、うち85カ所は7千円を超えた。最高は大阪市の9249円で、1人暮らしの高齢者が増加しサービス利用が増えたことが要因。大阪府守口市8970円、大阪府門真市8749円、岩手県西和賀町8100円が続いた。

 最低は東京都小笠原村の3374円で、他に北海道音威子府村と群馬県草津町が3千円台だった。都道府県別の平均では、最高が大阪府の7486円、最低が山口県の5568円だった。

肥満予防薬「アライ」、実力は

今月8日、「内臓脂肪・腹囲減少薬」をうたった「アライ」が大正製薬(東京都豊島区)から発売された。医師の処方箋不要で、薬局・薬店で買える一般用医薬品だが「要指導医薬品」に該当し、薬剤師から説明を受けることが条件だ。消費者の関心も高い新薬の実力を探った。

 ●脂質分解吸収を阻害

 アライは膵臓(すいぞう)から分泌され小腸で脂質を分解し吸収を助ける消化酵素、リパーゼを阻害する薬剤だ。アライの有効成分である「オルリスタット」によってリパーゼの働きが阻害されると、食べ物に含まれる脂肪分が体内に吸収されず、便として排せつされる。同社は「食べた脂肪の約25%が排せつされると期待できる」と説明する。服用方法は食事中または食後1時間以内に1カプセルを1日3回。価格は6日分が税込み2530円、30日分が同8800円。

 内臓脂肪の減量が重要なのは、蓄積すると糖尿病や脂質異常症、高血圧などの多くの生活習慣病になりやすいためだ。日本肥満学会の横手幸太郎理事長(千葉大学長)は「内臓脂肪の脂肪細胞が増えると、血糖値や血圧に作用する生理活性物質のバランスが崩れ、生活習慣病の発症につながる」と説明する。このため同学会は、肥満や肥満症の人に対して「体重の3%以上の減量」を呼び掛けている。

 同学会の定義によると、肥満と肥満症は主に体格指数(BMI)と健康障害の有無で分けられる。体格指数は、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った数値で、25以上が肥満に該当する。肥満症は、肥満に加え糖尿病や高血圧など11の健康障害(疾患)が一つ以上ある場合だ。BMI35以上の場合は健康障害がなくても「高度肥満症の可能性あり」、BMI35以上で健康障害があれば「高度肥満症」として治療対象となる。アライの対象はBMI35未満かつ健康障害がない人で、肥満症の「予防薬」にあたる。

 アライは2007年に米国で一般用医薬品として承認された。大正製薬は08年に海外の製薬会社と導入契約を結び、開発に16年をかけた。19年に承認申請した後の審査も23年まで約4年という異例の長期に及んだ。同社は「『腹囲減少』という新規の薬効や適正使用できるかという点などの説明に時間を要した」と話す。

 ●販売に厳しい条件

 「やせ薬」としての安易な使用が懸念されるため、販売条件は厳しく決められた。購入者は薬剤師と対面し、腹囲(男性85センチ以上、女性90センチ以上)や生活習慣改善への取り組み状況の確認を受ける。更に服用中も体重や腹囲の記録が求められる。同社は使用者が簡単に生活習慣を記録できるよう、スマートフォン向けアプリを開発。また適正販売のため、薬剤師もアライ専用の研修プログラム修了者のみが販売に従事できる体制とした。出荷先も条件を了承した薬局・ドラッグストアに限定し、同社から直接販売する。

 ●「漏れ」は起こる

 服用の際に注意が必要なのが、薬の働きに伴う特有の症状だ。脂肪分をそのまま排せつするため、便や油の漏れが起こるという。臨床試験を通じて報告された消化器系の副作用は440例中180例で全体の約4割。具体的な症状としては、油の漏れのほか、便や油を伴う放屁(ほうひ)や油性排せつ物、脂肪便、便失禁などが挙がった。

 これらの症状に対し、同社は「脂肪分の多い食事を控える」「下着に便漏れパッドやナプキンをつけておく」「替えの下着を準備しておく」「服用開始は終日自宅で過ごせる休日にする」「おならが出そうな時はすぐにトイレに行く」「外出時はトイレの場所を把握しておく」といった対策を呼び掛けている。

学校側へ「プライバシー配慮を」 健診で川崎市教委 国の通知受けチェックリストに新項目

川崎市教育委員会は本年度から、年度初めの内科健診実施前のチェックリストに、児童生徒のプライバシーや心情への配慮に関する項目を新たに設けた。文部科学省の通知を受けた対応で、各校で順番を待っている間に体操服やタオルで体を隠せるようにしているかや、検査や診察時に周囲から体が見えないように囲いやカーテンを用意しているかなどを確認するよう促している。

 文科省が1月に各都道府県や政令市の教育委員会などに出した通知では、正確な検査・診察の実施と、児童生徒のプライバシーや心情への配慮が重要だとして、環境整備の考え方を示している。

ダウン症児の白血病 再発原因の変異発見/弘大など

弘前大学大学院医学研究科の伊藤悦朗特任教授(小児血液学)らでつくる研究チームが、ダウン症の子どもが発症しやすい血液のがん「骨髄性白血病」の発症と再発の原因となる遺伝子変異を発見した。2013年にも遺伝子変異を新たに確認していたが、今回はさらなる変異と再発原因につながる遺伝子を見つけた形。発症メカニズムの解明に向けた大きな一歩で、新たな治療法の開発に期待がかかる。

 研究成果は、血液学の分野で最も権威ある学会誌「Blood(ブラッド)」(米国血液学会)の電子版に21日付で掲載された。

 研究チームによると、ダウン症の新生児の一部は「前白血病」とされる一過性異常骨髄増殖症にかかり、さらに骨髄性白血病を発症する場合がある。骨髄性白血病は治りやすく、適切な治療を受けると8~9割が完治する。ただ、残りの1~2割の患者は治療が効かずに再発する。ある患者群だけが再発を繰り返す原因は不明だった。

 伊藤特任教授らによる13年の研究では、26の遺伝子の変異が、骨髄性白血病の発症に関与していることが分かっていた。ただ、当時は調査した検体数が少なく、発症メカニズムの解明にはさらなる調査が必要だった。

 

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