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自閉症の子どもたちの「やる気」を引き起こすには

米スタンフォード大学は8月5日、自閉症や言葉の遅れがある子どもにとって、その親を巻き込んだ機軸反応訓練(Pivotal response treatment、以下PRT)という行動療法は、既存の他の治療法よりも効果的であるという研究結果を発表した。この研究は、同大のAntonio Hardan教授、同臨床准教授のGrace Gengoux博士らの調査によるもの。この研究成果は、「Pediatrics」オンライン版に 8月5日付で公開された。

 研究グループは、2~5歳の自閉症児および著しく言語発達遅延がみられる48人の子どもを対象として6か月にわたり調査を行った。対象児の半数はセラピストとその両親からPRT治療を受け、残りの半数は研究開始前から受けていた別のタイプの自閉症治療を受け続けた。PRT群の子どもは調査前半の12週間、訓練を受けたセラピストから週10時間のPRTを受け、両親は子どもとの毎日のやり取りの間に治療技術を使用する方法について週1時間訓練を受けた。後半の12週間、PRT群の子どもは週5時間の治療を受け、両親は1か月ごとに指導を受けた。この研究においてのPRTは、子どもが何に興味を持っているかをセラピストまたは親が書き留め、オブジェクトを使用して子どもに会話を促すこととした。

 調査を始めたころ、多くの子どもたちの話し方はつたなかったが、終盤にかけてはPRT群の子どもたちは対照群の子どもたちよりも話す量が増え、他の人が認識できる一般的な言葉を使用するようになっていた。また、PRT群の子どもたちは、社会的コミュニケーション能力において大きな改善を示し、発達が遅い子どもほど、より顕著な改善が見られた。この訓練を3歳のときに受けたある子どもは、最初は感情を表現することが難しかったが、現在は8歳となり、学校の通常クラスで楽しく会話をし、遊ぶことができているという。

 「今回、子どもがコミュニケーションを取りたくなる状況を生み出す方法を両親に教えて支援することで、コミュニケーション能力だけでなく、より幅広い社会適応能力も向上した。また、支援を必要とする子どもたちにとって、親が特に重要な役割を果たしていることもわかった。より多くの子どもを対象とした場合にも同じ結果が得られるかを確かめる必要がある」と、研究グループは述べている。

在宅ケアをはぐくむ会8月例会の案内

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8/21(水)トーヨーホテル 18:50~.
今年はバイエル薬品のご協力により旭川赤十字病院の西原先生を中心とした
心不全チームで医師・看護師・理学療法士・作業療法士の目線から
在宅における心不全のケア~心臓のリハビリテーション
の講演をして頂きます。

講演会終了後、意見交換会の場をご用意しております。

沖縄科技大、東大押しのけ日本一 質の高い論文の割合で

生物や物理など自然科学の論文のうち、著名な学術誌に載った質の高い論文の割合が高い研究機関のランキングで、沖縄科学技術大学院大(OIST)が世界10位で日本トップになった。論文数だけなら規模が大きい東京大や京都大が多かったが、割合で上位に食い込んだ。

 質の高い論文の割合を求めるため、その貢献度を年間の論文数で割った値で比べると、東大40位、京大59位、名古屋大93位、大阪大99位を圧倒した。

 OISTは5年一貫制の大学院だけをもつ大学院大学で、12年に開学した。

深さ5センチの床ずれを「放置」熊本の老人ホームで虐待

熊本県の住宅型有料老人ホームで、入所者6人を病院で受診させないなどの介護放棄や、約20人に対する緊急性のない身体拘束などがあり、市が高齢者虐待防止法に基づき、虐待と認定していたことがわかった。市と県は18日、改めて監査に入った。

 施設は2棟あり、定員は計55人。終末期の高齢者を積極的に受け入れている。市内の株式会社が運営し、訪問看護事業所などを併設している。

 市によると、市と県は今年2月、2度にわたってそれぞれ立ち入り調査と監査をし、市は6月21日付で再発防止策などの報告を7月末までに求める通知を出した。

 市などによると、昨年秋、90代の女性入所者の腰に直径8センチ、深さ5センチの褥瘡(じょくそう)(床ずれ)ができていたが病院の皮膚科を受診させず、家族にも知らせていなかったという。

大腸がん初期に多い腸内細菌特定 早期診断や予防期待

 大腸の内視鏡検査を受けた約600人の便を調べ、大腸がんの発症初期に多い腸内細菌を2種類特定したと、大阪大や東京工業大、国立がん研究センターなどの研究チームが6日発表した。

 大腸がんの進行段階に応じ、便中で増減するさまざまな細菌や、増加する胆汁酸、脂肪酸、アミノ酸の種類も判明。阪大の谷内田真一 教授は、便中の腸内細菌群の構成や代謝物から早期に診断する方法や、食事や腸内環境の改善によるがん予防につながるとの見方を示した。

(時事通信社 6月7日より)

大学病院「無給医」2191人、調査結果公表

大学病院の勤務環境の改善は徐々には進んできたと言われるものの、いまだ「無給医」がいることが、文部科学省の調査で、明らかになりました。その数は、計50大学病院で、医師・歯科医師を合わせ、少なくとも2191人。精査が必要となったのが1304人で、今後、さらに増える可能性があります(『大学病院の「無給医」、少なくとも2191人、文科省調査』を参照)。

よく笑う人、より長生きに… 山形大医学部研究、死亡リスク2分の1に

笑うほど長生きに―。笑う頻度が高い人は死亡リスクが軽減され、心疾患の発症リスクも抑えられるとの研究成果を山形大医学部(山下英俊学部長)が25日、発表した。病気発症の遺伝的要素と生活習慣の関係を解明する同学部の「コホート研究」で5年半にわたって追跡調査し、ほとんど笑わない人はよく笑う人に比べて死亡リスクが約2倍であることが明らかになった。

 調査は2009年に始まり、県内7市(山形、米沢、酒田、東根、天童、寒河江、上山)の40歳以上が記述式質問票に回答。笑う頻度や既往歴、飲酒、喫煙、精神的なストレスなどを聞いた。1万7152人(男性7003人、女性1万149人)からデータを取り、平均年齢は62.8歳だった。

 年齢や性別などの背景因子を補正して解析した結果、死亡リスクについて、ほとんど笑わない人は、よく笑う人に比べて全死亡リスクが1.95倍。たまに笑う人は、よく笑う人に比べて心筋梗塞などの心血管疾患の発症率が1.62倍に上ることが分かった。

 調査では声を出して笑う頻度を尋ね、(1)「よく笑う」は1週間に1回以上(2)「たまに笑う」は月に1回以上で1週間に1回未満(3)「ほとんど笑わない」は月に1回未満の3群に分けた。その割合は(1)が82.2%(2)が14.5%(3)が3.3%だった。笑う頻度が少ない人の傾向では▽男性▽喫煙者▽飲酒者▽運動しない人▽1人暮らし―が浮かび上がった。

 この日は山下学部長、根本建二同学部付属病院長、公衆衛生学・衛生学講座の今田恒夫教授、看護学科の桜田香教授が、山形市の同学部で記者会見を開いた。山下学部長は「日常生活での笑いが健康寿命の延伸に大切であることがエビデンス(科学的根拠)として明らかになった」とし、「こうした結果が行政などの健康づくりに関する施策を後押しすると考えている」と話した。

frailtyと「フレイル」

エンド・オブ・ライフ・ケアと対をなす概念として、frailty(フレイル)があります。日本老年医学会はfrailtyを「フレイル」と表記し、「高齢期に生理的予備能が低下することで、ストレスに対する脆弱性が更新し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念」(日本老年医学会 2014)と定義しています。日本で「フレイル」が用いられる場合には、「高齢者の身体機能が低下をしてきているので、低下を予防する取り組みを進めよう」と、回復可能性に焦点を当てて示されることが多くなっています。

 しかし、そもそものfrailtyは何を意図して定義されたのでしょうか。確認すると次のように定義されています。

Observations to date support the concept of frailty as a clinical syndrome, the manifestations of which become apparent when physiologic dysregulation reaches a critical threshold.

(Geriatric Review Syllabus, AGS)

 つまり、「フレイル」という言葉を用いるときには、「まだ回復可能な動的な状態を強調して(だから予防が大事)」と用いられる立場もありますが、もともとは身体機能の低下をイメージして形成されてきた概念で、「その臨床徴候が出現するということは、生理学的な異常に対応する臨界点に至った(回復不可能な局面に入りつつある)」と 日本ではまだ意識されていない概念を含んでいます。

 フレイルの臨床徴候は、
① 筋肉量の減少、サルコペニアがある
② 筋力の低下を引き起こし、運動への耐性が低下する(疲弊、困憊)
③ 運動のパフォーマンスが落ちる(歩行速度の低下)
④ 身体活動量が低下する
⑤ 身体活動は低いにもかかわらず、栄養の摂取が進まずさらに筋肉量の低下を招く
――という循環です。
 現在のところ、この悪循環に入ると、初期はともかく、進行すると治療的介入を行ったとしても、残念ながら回復を図ることがますます難しくなります。その時に提供されるのが、エンド・オブ・ライフ・ケアです。

 なお、「エンド・オブ・ライフ・ケアの原則は、機能低下の過程を通して診断の時から、その進行性である条件と共にあるフレイルの人に適応可能である。(Koller 2014)」とされています。

フレイルの程度に応じた支援を考える
 フレイルに至った場合には、そのフレイルの程度に応じた支援が必要であり、
① 軽度のフレイルの場合にはセルフマネジメントへの支援
② 中等度のフレイルの場合には、同定とケースマネジメント
③ 高度のフレイルの場合には、先を見越したプランニングとエンド・オブ・ライフ・ケア
――の適応があります。
 軽度の段階のフレイルはともかく、中等度以降になるとリハビリテーションを含む介入が功を奏さず、エンド・オブ・ライフ・ケアが提供される時期であること、この段階では治療的介入も場合により害を招くことも多いことから、有害となり得る事象を避け(harm reduction)、療養生活の質を可能な限り維持することを重視した対応を優先して考える――ことが提唱されつつあります。

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