入院中に隠れてコンビニで買ったと思しき大福餅を頬張って窒息状態となり、院内の医師や看護師が集まってなんとか救命できたこともありました。その時患者さんが復活した際の第一声が「餅食わせろ!」だったのは今でも覚えています。
あの時の、何も事情を知らずに集まったメディカルワーカーの皆さんのぽかんとした顔は忘れることができません。
そして、その患者さんが亡くなってからも、娘さんに人工股関節の手術をしたり、お孫さんの肘関節骨折をしたりと、家族全員でなぜか僕の外来に来てくれています。
娘さんもお孫さんも来るたびに、窒息時に餅を要求したことなど、思い出話に花が咲き、亡くなってからも笑いに包まれる状態を作ってくれています。
これだけ治療したにもかかわらずこれだけの骨折を起こしてしまうと、僕が逆の立場なら本当に落ち込むと思います。何が起こってもユーモアに代えてしまった力は今でも信じられません。
こうしてユーモアと言えるのは、僕と患者さん、患者さん家族の信頼関係が良好だったからだと思います。