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厚労省が目指す歯科医療提供体制の方向

厚生労働省では、毎年医療機関や患者、医療従事者の動向を調査し、歯科医療提供体制の今後については、中央社会保険医療協議会において協議しています。 その協議の上で、今年の6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2025」における歯科関連については、歯科医療機関・医歯薬連携などの多職種連携、歯科衛生士・歯科技工士の人材確保、歯科医師の不足する地域への適切な配置の検討や歯科保健医療提供体制構築の推進・強化に取り組むといった内容が含まれています。 したがって、今後はこのような厚生労働省が目指す歯科医療提供体制の方向性を知ることが、歯科医療経営において極めて重要なポイントとなります。

25年賃上げ実態調査の概況を公表 医療・福祉は全産業最低の5,589円

厚生労働省は 10 月 14 日に「令和7(2025)年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」を公表。「医療、福祉」の1人平均賃金の改定額(改定後と改定前の差額。賃上げ額)は全産業の中で最低となる 5,589円(前年6,876円)だった。 全産業が1万3,601円(前年1万1,961円)だったため、医療・福祉の賃上げ額は全産業平均の4割程度ということになる。 賃上げの改定率(改定額の改定前1人平均賃金に対する割合)は、全産業が 4.4%(前年 4.1%)だったのに対し、医療・福祉は2.3%(前年 2.5%)と全産業で最低だった。

かかりつけ医機能の評価をめぐり 支払側と診療側で意見が対立

10月17日の中央社会保険医療協議会総会で、厚生労働省が論点に挙げた「かかりつけ医機能に係る評価」をめぐり、支払側と診療側で意見が対立した。支払側は見直しを主張し、診療側からは制度の効果が現れているとして評価の継続と強化を求めている。

社会的共通資本を振り返る~AIと人間界の調和~

「社会的共通資本」とは、経済学者・宇沢弘文氏が2000年に提唱した概念であり、「すべての人々が豊かな生活を送り、人間的で魅力ある社会を安定して維持するための社会的装置」を社会全体の共有財産としてとらえるものである。
宇沢は社会の基盤を、(1)自然環境(大気・森林など)、(2)社会資本(道路・交通・上下水道など)、(3)制度資本(教育・医療・司法・金融など)の三つに分類し、特に医療を制度資本の一部と位置づけた。彼は市場原理主義が進む中で、環境破壊や格差拡大、地域社会の崩壊が進む現実に強い危機感を抱き、これらの共通資本を社会全体で守り、適切に管理する必要を訴えた。
現代の医療界においても、競争原理の強まりによる格差拡大や、急速なデジタル化による人間性の喪失が問題となっている。この状況はかつて手塚治虫の「鉄腕アトム」に描かれた、人間とロボットの共存と対立の構図にも重なる。AIが発達する現代において、社会的共通資本の理念を再考し、技術の進歩と人間らしさの調和を実現することが、私たちの社会に求められているのかもしれない。

消費税負担の補填率に計算ミス、 厚労省が謝罪

厚生労働省は8日、医療機関や薬局の消費税の負担を和らげるため診療報酬で行っている補填率(2022年度までの3年分)の計算で、21年度と22年度の支出に水道光熱費を計上しないなど複数のミスがあったことを明らかにした。22 年度の「医科全体」での補填率は107.1%とされていたが、同省はこの日99.3%に修正した。 「医科全体」のうち、病院に対する修正後の補填率は103.7%(修正前112.8%)、一般診療所は 89.5%(94.6%)。ほかは歯科診療所 99.5%(105.4%)、薬局 91.5%(91.7%)と、病院を除いて補填不足だった。医療機関と薬局を合わせた全体での補填率は106.1%から98.9%に修正された。

内閣府、認知症の世論調査結果を公表 認知症基本法は約76%が「知らない」

内閣府政府広報室は10月10日、「認知症に関する世論調査」(速報)を公表し、2023 年6月に成立し 2024 年1月に施行された「認知症基本法」(共生社会の実現を推進するための認知症基本法)について「成立したことを知らなかった」という回答が75.8%にのぼった。 「成立したことを知っている」と回答したのは 21.9%だったが、うち内容について「知らない」が 16.4%を占めた。「詳しく知っている」は 1.0%、「ある程度知っている」は4.5%だった。 認知症基本法は、認知症の人およびその家族などの意見をもとに自治体が計画を策定することを求めているため、同法の周知が不十分な場合、意見の聴取が困難になる可能性もある。今後、スムーズに認知症対策を進めるうえでも、周知が課題となっていきそうだ。

口腔機能管理の重要性学ぶ  令和7年度社会保険指導者研修会

令和7年度社会保険指導者研修会が10月10日、「ライフコースで異なる口腔機能関連検査の実際~小児および高齢者における有効な検査法~」をテーマに、都内の日本教育会館(一ツ橋ホール)で開催され、全国から地方厚生(支)局および都道府県事務所指導医療官・都道府県国保技術吏員・社会保険審査委員会委員・国民健康保険審査委員会委員・都道府県歯科医師会社会保険指導者・日歯社保委員会委員など約420名が出席した。
研修会では、間隆一郎・厚労省保険局長、高橋英登・日歯会長による挨拶の後、和田康志・厚労省保険局歯科医療管理官が「令和8年度診療報酬改定に向けて~口腔機能管理を中心に~」、大杉和司常務理事が「国民の『健口をまもる』歯科検査項目の実際」の演題でそれぞれ講演した他、特別講演では小林隆太郎・日本歯科医学会会長が、研修では田村文誉・日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科教授、上田貴之・東京歯科大学老年歯科補綴学講座教授が、それぞれの視点から口腔機能管理の重要性について述べた。

国立大学病院の今年度赤字は400億円超 次期改定で11.0%の引き上げを要望

国立大学病院長会議は 10 月3日の記者会見で、国立大学病院の2025年度の損益見込が 400 億円を超える可能性があることを明らかにした。同会議の大鳥精司会長(千葉大学医学部附属病院病院長)は「大学病院が機能不全に陥れば、人材輩出されている医師の派遣等で支えられている地域の医療機関の存続も危ぶまれ、大学病院の経営基盤強化は地域の医療提供体制の維持にとっても死活問題」だとして、2026 年度診療報酬改定での11.0%の引き上げと、厚生労働省および文部科学省双方からの補正予算による財政支援を政府に要請する考えを示した。

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