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ベースアップ評価料届出医療機関の 24年度賃上げ率は中央値で2.59%

厚生労働省は10月29日の中央社会保険医療協議会総会で、ベースアップ評価料を届出ている全国の医療機関(36,756 カ所)の2024 年度の賃金増率(賃上げ率)は中央値で2.59%、加重平均値で3.07%だったと報告した。医療機関の種別で見ると、病院の中央値は2.81%で加重平均値は3.16%。有床診療所の中央値は 2.46%で加重平均値は2.48%、医科診療所(無床)の中央値は2.46%で加重平均値は 2.53%、歯科診療所(無床)の中央値は 2.50%で加重平均値は2.53%だった。

ワンヘルス・アプローチ

「ヒト、動物、生態系の健康のバランスを持続的に保ち、最適化することを目的とした統合的で統一的なアプローチ」として「ワンヘルス」の定義と原則が2023年7月、ワンヘルス・ハイレベル専門家パネル(OHHLEP)において策定された。「人の健康、動物の健康、環境の健全性の3つは相互に密接につながり、これらを一体的に守っていく」という本概念が、2004年9月にマンハッタンで提唱されて以来、本邦においても関係諸組織で様々な活動が行われてきたが国民の認知度は未だ低い。
ワンヘルスの課題の一つとして薬剤耐性(AMR)対策があり、また、人獣共通感染症など病原体の体内侵入には口腔が関与し、歯と口の健康が全身の疾病とも関係することが解明されつつあるため、歯科とのかかわりに注目したい。日歯においてはAMR対策歯科臨床セミナーが開催されており、また、ワンヘルスに積極的に取り組んでいる都道府県歯もあるが、他分野連携を含めて、さらに考察してまいりたい。
今年3月に発行された「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024」(厚生労働省)では「抗菌薬適正使用に関する新たな研究報告」として、歯科研究をとりあげ、抜歯時の抗菌薬の使用について言及している点も印象深く感じている。

水銀含む銀歯、34年末禁止 水俣条約会議、規制強化

【ジュネーブ共同】水俣病の原因である水銀を規制する「水銀に関する水俣条約」のスイスでの第6回締約国会議は7日、銀歯として虫歯治療に使う「歯科用アマルガム」の製造や輸出入を2034年末までに禁止することで合意し、閉幕した。既に段階的削減の対象だったが、規制を強化した。水銀の排出を減らす一層の努力を国際社会に求めた。

 欧州連合(EU)は、水銀を含んでいるアマルガムの使用を法律で禁止。カナダや米国などで安価な治療法として使われている。日本では16年に保険適用から除外され、現在は製造されていない。環境省やNPO法人「日本歯科保存学会」は、アマルガムを使っている人でも虫歯の再発などがなければ除去する必要はないとしている。

 会議はスイス西部ジュネーブで3日に開幕。既に禁止が決まっている水銀を含む化粧品についても、違法な取引を防ぐ国際協力で合意した。日本は、水銀に汚染された廃棄物の管理を監視する方法について決議案を出すなど議論を主導した。期間中の関連イベントには熊本県立水俣高(水俣市)の生徒らが登壇。水俣病の原因企業チッソを設立する契機となった曽木発電所の遺構(鹿児島県伊佐市)の見学といった学習内容を発表した。

 条約事務局によると、年間約1500トンの水銀や水銀の化合物が工業生産の過程で使用される。小規模な金鉱業では年間2千トン以上の水銀が排出されている。

 水俣条約は17年8月に発効。現在は米国や中国を含む153カ国・地域が加盟している。

 条約名の由来となった水俣病は熊本県水俣湾周辺で発生し、1956年に公式確認。65年には新潟県の阿賀野川流域で起きた新潟水俣病も公式に確認された。ブラジル北部のアマゾン地域でも同様の症状が報告されている。

国民皆保険制度の堅持へさらに前進  新政権にも期待寄せる

日歯は10月23日、定例記者会見を歯科医師会館で開いた。
挨拶で高橋英登会長は、高市早苗新総理について、緊急的な補正予算で医療機関を援助することや、予防医療として国民皆歯科健診事業を拡充するといった発言から、歯科界を理解いただいており、これからも連携を深めていきたいと話した。
また、病院に比べて歯科診療所は経済的基盤が脆弱であるとし、異常な物価高騰の中でも高額な医療機器を導入するなどして医療の高度化に対応している厳しい現状を説明した。その一方で、口腔内環境が全身疾患に大きく影響すること、8020達成率が61.5%となり、歯科医療が全身の健康に寄与することが国民に認知されている状況で、高度な歯科医療の提供に歯科界が奮闘していることをもっと周知したい考えを示した。
さらに、48兆円台に達した総医療費をより効率的に運用すべく、持続性のある皆保険制度の堅持のために日歯ができることを精査し、日本を救うためにもこの苦境を乗り越え、前に進んでいくと述べた。
会見ではこの他、大杉和司常務理事が、会員を対象に実施した令和7年歯科診療所の緊急経営調査について説明。中医協をはじめとした政府審議会の今後の議論に備えるため、歯科診療所における経営状況を把握し、診療報酬改定への政策提言等を行うための基礎資料とすることを目的に、今年8月から9月にかけて調査を実施し、歯科診療所開設者約550名から回答を得たことを報告した。
詳報は、日歯広報第1864号(令和7年11月15日付)に掲載予定。

佐藤保・元日歯副会長らが受章  令和7年秋の叙勲受章者

令和7年秋の叙勲受章者がこのほど発表され、佐藤保・元日歯副会長が旭日中綬章を受章したのをはじめ、旭日章を27名、瑞宝章を27名の日歯会員が受章した。
受章者一覧は、日歯広報第1864号(11/15付)に掲載。

厚労省、次期改定の基本方針を提示 「診療報酬上求める基準の柔軟化」と明記

厚生労働省は10月23日の社会保障審議会医療保険部会で、2026 年度の次期診療報酬改定における基本方針を提示。「物価や賃金、人手不足などの医療機関等を取りまく環境の変化への対応」を重点課題として位置づけた。具体的な対応の方向性として、「医療従事者の処遇改善」「業務の効率化に資するICT、AI、IoT 等の利活用の推進」「タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進」「医師の働き方改革の推進/診療科偏在対策」に加え、「診療報酬上求める基準の柔軟化」を公表資料に明記。深刻な人手不足を踏まえると、人員配置基準の緩和に踏み切る可能性が出てきた。

高額療養費の自己負担見直しに向け 厚労省が3つの論点を提示

厚生労働省は10月22日の「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」で、高額療養費の自己負担のあり方について3つの論点を提示した。その中で、これまで同委員会や医療保険部会での展開されてきた議論を踏まえて「セーフティネット機能として患者になくてはならない制度として認識が一致している」としたものの、1,000万円以上の高額レセプト件数が近年急増している現実もある。 今後も医療費の増大が見込まれる中で、患者の経済的負担に配慮したセーフティネット機能を保つ制度設計ができるかどうかが問われている状況だ。

2型糖尿病患者に朗報 ― 歯間清掃で血糖コントロールが改善 ―

2型糖尿病の方が週3回以上の歯間清掃(デンタルフロスや歯間ブラシなど)を行うと、1日を通して血糖値が低く、さらに歯が20本以上残っている人では、血糖管理の指標であるGMI(グルコース・マネジメント・インジケーター)も良好であることがわかった。

 この研究は、サンスターグループと南昌江内科クリニック、南糖尿病臨床研究センターによる共同調査で、国内のクリニックに通う2型糖尿病患者104名を対象に行われた。腕に装着するセンサーで14日間の血糖変動を測定し、歯の本数や歯みがき習慣との関係を調べた。

 その結果、
・定期的に歯科を受診している人ほど、HbA1cや空腹時血糖、BMI(体格指数)が低い
・毎日しっかり歯みがきをしている人では、炎症マーカーや尿中アルブミンの値が低い
・歯間清掃をよく行う人は、血糖が安定している時間(TIR)が長く、血糖値の上下が少ない
 ―といった傾向が確認された。

 さらに、歯が20本以上残っている人では、血糖値の変動が少なく、一日を通してより安定していることも明らかになった。


 これらの結果から、歯みがきだけでなく歯間清掃を習慣にすることが、血糖コントロールにも良い影響を与えることが示唆された。
 研究成果は、米国糖尿病学会の学会誌『Diabetes Spectrum』(2024年8月28日オンライン版)に掲載された。                 
【メディファクス】

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