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支える健口 つながる地域 ~ご縁の国しまねから 広がる笑顔~  第46回全国歯科保健大会

挨拶する内田朋良・島根県歯会長
第46回全国歯科保健大会が11月22日、「支える健口 つながる地域~ご縁の国しまねから 広がる笑顔~」をテーマに島根県松江市の島根県民会館で開催された。全国から多数の関係者が参集し、歯科口腔保健の重要性、健康寿命の延伸、地域包括ケアにおける歯科の役割について幅広く発信する場となった。
大会は、島根県の伝統芸能である「石見神楽」の力強い舞で幕を開けた。続いて、大会実行委員会副委員長の安村博氏(島根県歯副会長)による開会宣言、門脇早紀氏(東京藝術大学)の国歌独唱が行われ、荘厳な雰囲気の中で開会した。
主催者挨拶で内田朋良・島根県歯会長は、参加者への感謝を述べ、人生100年時代において「健口」が自立した生活と地域の活力を支える基盤であると強調。口腔の健康がフレイルや認知症予防、健康寿命に深く関わることを踏まえ、本大会を口腔保健の重要性を全国に発信する機会と位置づけた。さらに表彰、特別講演、シンポジウムを通じて健口づくりの方向性を示す場になることを期待し、縁の文化が息づく島根から新たな一歩を踏み出す決意を述べた。
上野賢一郎・厚労大臣(代読:森光敬子・厚労省医政局長)は、厚生労働大臣表彰受賞者への祝意を述べ、むし歯や歯周病対策、地域の歯科医療体制整備が進む一方で、妊産婦の受診率の低さなど課題が残ると指摘した。また「人と人とのつながり」が地域の基盤であり、島根の“ご縁”文化は大会テーマと合致すると紹介。長年の歯科保健事業功労者への表彰や、職域での歯科健診促進の重要性に触れ、大会を歯科保健発展の契機となるよう期待を示した。

三師会一丸で国民の医療を守る  定例記者会見

日歯は11月27日、定例記者会見を歯科医師会館で開いた。
挨拶で高橋英登会長は、新政権の物価高騰対策、特に医療費について高市早苗首相の最も大切な社会インフラである医療を救わねばという想いを感じると話し期待を寄せた。
また、病院経営が大変な状況であると報道されているが、歯科医療機関はより厳しい状況にあり、特に歯科は材料費の占める割合が高く、輸入も多いため、歯科用貴金属価格の上昇もあわせて可処分所得の急落が起こっているとした。
その上で医科や病院に比べ、歯科は規模が小さい診療所も多くダメージが大きいため、廃院の増加、後継者不足、地域偏在や人手不足など好ましくない方向に向かっている現状を説明した。
さらに令和7年度の補正予算、また次期診療報酬改定が大きな山場を迎えることから、国民の医療を守るという大義の下、三師会が一丸となり、協調して医療全体が崩壊しないよう安定軌道に乗るまで努力すると強調した。
瀬古口精良副会長は、11月20日に日本医師会館で開催された「国民医療を守るための総決起大会」、11月25日に都内で開催された、医療系の資格を持つ自民党議員と医療関係団体でつくる「カトレア会」総会について報告した。
伊藤智加専務理事は、11月18日に大分市佐賀関で発生した大規模火災について、災害救助法が適用されたため、大分県歯の要請を受け、必要な物資を調達し、順次提供を進めていることを報告した。

歯科医師会による災害支援活動の種類と目的

歯科医師会による被災地域への災害支援活動は、目的別に「歯科医療救護活動」と「地域歯科医療
の再構築」に分けられる。さらに「歯科医療救護活動」は、「遺体の身元確認への協力」と
「避難所における歯科保健医療救護活動」に分けられる。
 遺体安置所(検案所)に出動した歯科医師は災害遺体の身元確認作業に協力し、遺族への迅速な遺体引き渡しに貢献する。避難所へ派遣された歯科保健医療救護班は、避難者の口腔衛生状態を良好に保つことで歯科疾患の急性化や誤嚥性肺炎の発症などを予防する保健活動および急な歯痛や義歯の紛失・破損などに対する歯科治療の提供を主な業務とする。AとBの「歯科医療救護活動
A.遺体の身元確認への協力
目的:遺族への迅速な遺体の引き渡し
による被災者のグリーフケア
B.避難所における歯科保健医療救護活動
目的:誤嚥性肺炎、慢性基礎疾患の悪化、
疫病の流行等による災害関連死の予防
避難者への歯科医療の提供
C.地域歯科診療所の再開・持続・移転支援
目的:歯科医療提供体制の再構築による
地域住民の質の高い生活の回復
歯科医師会による災害支援活動
歯科医療
救護活動 フェーズ1~2
地域歯科医療の再構築 フェーズ2~3
 歯科医師会による災害支援活動の種類と目的
-北海道と北海道歯科医師会の間で締結されている「災害時の歯科医療救護活動に関する協定」
資料に基づいて行われる一般道民に向けた活動で、公的活動である。
被災地域での歯科医療は、住民の避難所からの帰宅に合わせて、担い手を救護班から再開した地域歯科診療所へと移行していくことが望まれ、歯科医師会は救護班の派遣とは別に、被災地歯科診療所
の再開支援を進め、救護班の撤収時には「地域歯科医療の再構築」ができていることを目標とする。
図中Cの「地域歯科診療所の再開・持続・移転支援」は、歯科医師間の共助活動である。

財政制度等審議会「令和8年度予算の編成等に関する建議(令和7年12月)」に対する日歯の見解②

3.受診時定額自己負担の導入について
建議において、「受診時に定額の自己負担を求めることは、非効率な外来医療の提供につながっている場合もあると考えられる患者側の受診行動の変容を促していくための有効な手段ともなり得る。」と受診時の定額負担の導入が提案されているが、国民皆保険制度の理念に反するものであり、また、必要な受診を抑制することにより症状の悪化につながる可能性もあり反対である。医療の効率性を高めることや、医療保険制度の持続性を確保することは重要であるが、財政的な論点から患者の受診行動を変容させる目的の受診時定額自己負担の導入には大きな問題があると感じている。

4.高齢者医療における患者自己負担の在り方について
長寿社会にふさわしい高齢者医療制度の在り方について検討を深めることは重要であると考えるが、一定の所得のある後期高齢者の窓口負担の見直しに関し、経過措置が終わったばかりであり、その影響も見据えた上で、慎重に検討を行うことが不可欠であると考える。

財政制度等審議会「令和8年度予算の編成等に関する建議(令和7年12月)」に対する日歯の見解

1.医療費について
医療費の伸びについては、財政審の建議でも示されているように、人口増減・高齢化等の人口要因による影響と、人口要因以外の影響がある。人口要因以外の影響については、政策的に対応できる余地があると考えられる部分と示されているが、新規の医療技術や新規材料等、様々な要因が影響を与えるため、実際はそこまで政策で管理できるものではない。また、昨今の経済・物価動向等を踏まえると、医療を提供する上で、人件費が増加していること、医療機器や材料等の価格が高騰していること等から、必要な制度改革や効率化は進めるべきではあると考えるが、安定的に医療を提供するため、必要な医療費の手当をする必要があると考えている。

2.診療報酬改定について
財政審の建議の参考資料には、歯科は、「過去一貫して病院に比して高い利益率」であり、「個人立が多く、小規模・分散で非効率な提供体制が残存」していると指摘されているが、医療法人経営情報データベースシステム(MCDB)の2024年度の歯科診療所の経営状況をみると、歯科診療所の利益率(医業利益率)は平均値4.3%、中央値が1.7%であり、病院の利益率よりは高く、一定の利益率を確保しているように見えるが、41.4%が赤字であり、地域による差も大きくあるのが実情である。歯科診療所が小規模・分散であり、非効率との指摘については、分散しているからこそ地域医療を広く支えることができており、単に効率化だけを目指して大規模化・集約化すれば良いというものではない。さらに、歯科診療所の偏在もあるため、単にマクロ的な視点だけで論ずることは、各地域の医療の実情に合わない場合もあり留意が必要である。
また、今回の診療報酬改定については、骨太の方針2025にもあるように、高齢化による増加分に経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算した改定の着実な実施が最重要であり、さらに、財政審の提言の中には診療報酬の具体的な内容も含まれているが、診療報酬の具体的な内容については今後も中医協において行うべきであり、財政的な観点のみから個別の内容までに踏み込んで指摘する財政審の姿勢には疑問を感じる。

今年度補正予算案 病院1床19.5万円 診療所1施設につき32万円を交付

厚生労働省は11月28日に2025年度補正予算案を公表し、「医療・介護等支援パッケージ」に1兆 3,649 億円を計上。医療分野の予算だけで1兆 368 億円という大規模な措置となった。このうち「賃上げ・物価上昇に対する支援」には 5,341 億円を充て、基礎的支援として病院に1床あたり 19.5 万円、有床診療所に1床あたり8.5万円、医科無床診療所と歯科診療所に1施設あたり32.0 万円を交付する。

24年度は赤字病院拡大 74.5四病協調査

四病院団体協議会は11月26日、2025年度病院経営定期調査の最終報告を公表した。 1,730 病院からの回答を集計した結果、24年度の医業利益ベースでの赤字病院は74.5%と前年度の70.8%から3.7ポイント増えた。経常利益ベースでは赤字病院が65.0%に達し、前年度の52.1%から12.9ポイントと大幅に増加している。 開設主体別、病院機能別のいずれにおいても経営状態が悪化し、前年度では比較的赤字病院の割合が少なかったケアミックス病院、療養病院、精神科病院を含む全ての種別で経営環境が1 ビズアップ週刊医療情報 2025年12月05日号 著しく悪化した。

第629回中央社会保険医療協議会総会

11月21日に都内で開催され、令和8年度診療報酬改定に向け「歯科医療」について、今後の歯科治療の需要や歯科医療提供体制等を踏まえた5つの論点を議論した。歯科医療については、9月10日に開催された第616回総会において歯科医療を取り巻く現状や歯科医療提供体制に係る現状と課題を確認していたところである。
本総会では、厚労省から資料説明が行われた後、日本歯科医師会常務理事の大杉和司委員が論点に沿って、▼歯科疾患・口腔機能の管理等の生活の質に配慮した歯科医療▼多職種連携▼歯科衛生士・歯科技工士の定着・確保▼歯科治療のデジタル化等―などについて発言した。

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