成長や外見に悪影響する赤ちゃんの先天異常の一つ・口唇口蓋裂について、徳島大病院(徳島市)の「口唇口蓋裂センター」が、デジタル技術を活用して出生直後から最先端の「超早期顎整形治療」に取り組んでいる。県内外の母子を出生前から受け入れて実績を重ねており、この治療法を国外にも広めていく方針だ。(吉田誠一)
唇や上あごが割れて口と鼻がつながるなどした状態で生まれてくる先天性疾患で、国内では550人に1人の割合で発症している。治さないと哺乳や摂食が難しくなるほか、外見や発音に大きく影響し、中耳炎の悪化要因にもなる。
同センターの超早期治療では、出生前診断のエコーで胎児の口唇裂、口蓋裂が判明した場合、出生直後に矯正歯科の渡辺佳一郎講師(43)らがNICU(新生児集中治療室)に駆けつけ、口腔内スキャナーを使って光学撮影。哺乳に障害が出ないようにする入れ歯のようなプレート「哺乳床」を作る。
かつての哺乳床は粘土状態で型を取るため、赤ちゃんの小さな口には難しかったが、同センターは最先端の機器を導入。撮影データを基に3Dプリンターで上あごの模型を作り、プラスチックで作製する。乳児への装着開始は「2週間以内が望ましい」とされているが、同センターでは生後4~12時間で装着し、初回授乳に間に合わせる。
哺乳床はミルクを飲む助けになり、上あごの割れ目に舌が入らないようにする役目もある。さらに、鼻の軟骨を成長に合わせて変形できるのは生後3か月までで、哺乳床の上部に整形用ステントを付けて鼻の穴に入れ、形を整える。
この哺乳床やステントは、3か月ごとに作り直す。生後3か月までに鼻の形を整えた後、唇の手術をし、生後1年ほどで上あごの手術をして基本的に終える。多くの場合、矯正治療は続くが、1歳の時に無理のない上あご手術が可能になり、早ければ5歳頃に健常児と見分けがつかないほどに矯正できる例もある。