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令和8年度診療報酬改定の基本方針を了承  社会保障審議会 医療部会・医療保険部会②

●物価高騰・賃上げ対策
昨今の物価高騰において、個人立診療所が大多数を占める歯科においても経営がひっ迫しており、人材確保のための適切な賃上げが叶わないことから歯科衛生士、歯科技工士の離職等は喫緊の課題となっている。歯科衛生士は、地域包括ケアシステムの推進を図る上で、地域の要介護高齢者等の誤嚥性肺炎予防やチーム医療の推進からも、非常に重要な人材である。また、歯科技工士も、技工所の経営悪化で患者に提供する補綴物などの納品が遅れてしまうという事態が発生しており、その存在は健全な歯科医療の維持に重要な人材であるが、他職種よりも給与が低いというデータがあるので、歯科関連職種の賃上げ、人材確保に係る施策については引き続き検討いただきたい。
●他職種連携による口腔健康管理
令和6年度診療報酬改定でリハ・栄養・口腔の一体的な推進が図られたところだが、臨床現場においてはなかなかその実感が得られていない。今回の基本方針でも同じ内容が組み込まれているところから、より一層の推進についてお願いしたい。
●歯科医師偏在対策
歯科においても医科と同様に、既に人口が減少し、医療資源が少ないいわゆるへき地等における医療提供に係る課題が発生している。巡回診療車の積極的な活用などの好事例を参考にしつつ、継続的に歯科医療が提供可能な体制整備等に係る補助などの施策を検討いただきたい。

令和8年度診療報酬改定の基本方針を了承  社会保障審議会 医療部会・医療保険部会

令和7年12月8日に開催された第122回社会保障審議会医療部会及び同4日に開催の第206回社会保障審議会医療保険部会において、「令和8年度診療報酬改定の基本方針」が了承され、同9日付で厚労省より公表された。
医療部会には日本歯科医師会副会長の内堀典保委員が、医療保険部会には同常務理事の大杉和司委員がそれぞれ参画している。両委員は令和7年8月以降の部会議論が反映された基本方針の内容に賛同するとともに、今後、この方針に沿って中央社会保険医療協議会で具体的な診療報酬改定が議論されるよう要望した。
基本方針には、「かかりつけ歯科医機能の評価」をはじめ、「リハ・口腔・栄養」に係る事項のほか、「歯科疾患・口腔機能の管理等の生活の質に配慮した歯科医療」に係る事項などが明記された。小児から高齢者まで幅広い世代の口腔機能獲得やその向上を図るためには、日々の適切な口腔管理が重要であり、口腔の健康は全身の健康に寄与することから、今後ますます口腔の健康を維持する歯科医療のニーズが高まっていくことが考えられる。
ゆえに、管理を行う側と受ける側の双方にとって分かりやすい管理体系の検討などをはじめ、基本方針における他の項目についても、両委員がそれぞれの部会で、これまでに下記のとおり発言または要望を行ってきた。

令和8年度診療報酬改定について

令和8年度診療報酬改定の対応に関し、12月19日に高市早苗内閣総理大臣が上野賢一郎厚生労働大臣、片山さつき財務大臣と協議を行った旨の報道を受け、改定率等の正式決定後に日本歯科医師会の見解を発表する予定ですが、現時点の受けとめについて以下のとおりお示しいたします。
まず、日本歯科医師会は、現下の経済・物価動向等を踏まえた人件費の増加や、医療機器や材料等の価格高騰等により歯科診療所は厳しい経営状況におかれており、令和8年度診療報酬改定において大幅なプラス改定が必須であることを繰り返し要望してまいりました。
報道によりますと近年に比して強力な対応が図られたと聞いており、引き続き具体的な配分等に注視が必要ではありますが、この間、政府・与党をはじめ多くの関係者の皆様のご理解ご協力に対し厚く御礼申し上げます。
今後は現在継続している診療報酬改定の議論に最後まで丁寧に取り組み、歯科医療の充実と国民の健康の維持・向上に向け全力で対応してまいります。

【札医大】心臓血管外科学分野 教授候補者の公募を延長

札幌医科大学は、川原田修義前教授が、令和7年3月31日付けで定年退職したことから、心臓血管外科学分野の教授候補者を公募している。応募書類の提出期限を、2026年1月23日 17時30分必着に延ばした。

【求人情報】詳しくは札幌医科大学ホームページ

支える健口 つながる地域 ~ご縁の国しまねから 広がる笑顔~  第46回全国歯科保健大会

挨拶する内田朋良・島根県歯会長
第46回全国歯科保健大会が11月22日、「支える健口 つながる地域~ご縁の国しまねから 広がる笑顔~」をテーマに島根県松江市の島根県民会館で開催された。全国から多数の関係者が参集し、歯科口腔保健の重要性、健康寿命の延伸、地域包括ケアにおける歯科の役割について幅広く発信する場となった。
大会は、島根県の伝統芸能である「石見神楽」の力強い舞で幕を開けた。続いて、大会実行委員会副委員長の安村博氏(島根県歯副会長)による開会宣言、門脇早紀氏(東京藝術大学)の国歌独唱が行われ、荘厳な雰囲気の中で開会した。
主催者挨拶で内田朋良・島根県歯会長は、参加者への感謝を述べ、人生100年時代において「健口」が自立した生活と地域の活力を支える基盤であると強調。口腔の健康がフレイルや認知症予防、健康寿命に深く関わることを踏まえ、本大会を口腔保健の重要性を全国に発信する機会と位置づけた。さらに表彰、特別講演、シンポジウムを通じて健口づくりの方向性を示す場になることを期待し、縁の文化が息づく島根から新たな一歩を踏み出す決意を述べた。
上野賢一郎・厚労大臣(代読:森光敬子・厚労省医政局長)は、厚生労働大臣表彰受賞者への祝意を述べ、むし歯や歯周病対策、地域の歯科医療体制整備が進む一方で、妊産婦の受診率の低さなど課題が残ると指摘した。また「人と人とのつながり」が地域の基盤であり、島根の“ご縁”文化は大会テーマと合致すると紹介。長年の歯科保健事業功労者への表彰や、職域での歯科健診促進の重要性に触れ、大会を歯科保健発展の契機となるよう期待を示した。

三師会一丸で国民の医療を守る  定例記者会見

日歯は11月27日、定例記者会見を歯科医師会館で開いた。
挨拶で高橋英登会長は、新政権の物価高騰対策、特に医療費について高市早苗首相の最も大切な社会インフラである医療を救わねばという想いを感じると話し期待を寄せた。
また、病院経営が大変な状況であると報道されているが、歯科医療機関はより厳しい状況にあり、特に歯科は材料費の占める割合が高く、輸入も多いため、歯科用貴金属価格の上昇もあわせて可処分所得の急落が起こっているとした。
その上で医科や病院に比べ、歯科は規模が小さい診療所も多くダメージが大きいため、廃院の増加、後継者不足、地域偏在や人手不足など好ましくない方向に向かっている現状を説明した。
さらに令和7年度の補正予算、また次期診療報酬改定が大きな山場を迎えることから、国民の医療を守るという大義の下、三師会が一丸となり、協調して医療全体が崩壊しないよう安定軌道に乗るまで努力すると強調した。
瀬古口精良副会長は、11月20日に日本医師会館で開催された「国民医療を守るための総決起大会」、11月25日に都内で開催された、医療系の資格を持つ自民党議員と医療関係団体でつくる「カトレア会」総会について報告した。
伊藤智加専務理事は、11月18日に大分市佐賀関で発生した大規模火災について、災害救助法が適用されたため、大分県歯の要請を受け、必要な物資を調達し、順次提供を進めていることを報告した。

歯科医師会による災害支援活動の種類と目的

歯科医師会による被災地域への災害支援活動は、目的別に「歯科医療救護活動」と「地域歯科医療
の再構築」に分けられる。さらに「歯科医療救護活動」は、「遺体の身元確認への協力」と
「避難所における歯科保健医療救護活動」に分けられる。
 遺体安置所(検案所)に出動した歯科医師は災害遺体の身元確認作業に協力し、遺族への迅速な遺体引き渡しに貢献する。避難所へ派遣された歯科保健医療救護班は、避難者の口腔衛生状態を良好に保つことで歯科疾患の急性化や誤嚥性肺炎の発症などを予防する保健活動および急な歯痛や義歯の紛失・破損などに対する歯科治療の提供を主な業務とする。AとBの「歯科医療救護活動
A.遺体の身元確認への協力
目的:遺族への迅速な遺体の引き渡し
による被災者のグリーフケア
B.避難所における歯科保健医療救護活動
目的:誤嚥性肺炎、慢性基礎疾患の悪化、
疫病の流行等による災害関連死の予防
避難者への歯科医療の提供
C.地域歯科診療所の再開・持続・移転支援
目的:歯科医療提供体制の再構築による
地域住民の質の高い生活の回復
歯科医師会による災害支援活動
歯科医療
救護活動 フェーズ1~2
地域歯科医療の再構築 フェーズ2~3
 歯科医師会による災害支援活動の種類と目的
-北海道と北海道歯科医師会の間で締結されている「災害時の歯科医療救護活動に関する協定」
資料に基づいて行われる一般道民に向けた活動で、公的活動である。
被災地域での歯科医療は、住民の避難所からの帰宅に合わせて、担い手を救護班から再開した地域歯科診療所へと移行していくことが望まれ、歯科医師会は救護班の派遣とは別に、被災地歯科診療所
の再開支援を進め、救護班の撤収時には「地域歯科医療の再構築」ができていることを目標とする。
図中Cの「地域歯科診療所の再開・持続・移転支援」は、歯科医師間の共助活動である。

財政制度等審議会「令和8年度予算の編成等に関する建議(令和7年12月)」に対する日歯の見解②

3.受診時定額自己負担の導入について
建議において、「受診時に定額の自己負担を求めることは、非効率な外来医療の提供につながっている場合もあると考えられる患者側の受診行動の変容を促していくための有効な手段ともなり得る。」と受診時の定額負担の導入が提案されているが、国民皆保険制度の理念に反するものであり、また、必要な受診を抑制することにより症状の悪化につながる可能性もあり反対である。医療の効率性を高めることや、医療保険制度の持続性を確保することは重要であるが、財政的な論点から患者の受診行動を変容させる目的の受診時定額自己負担の導入には大きな問題があると感じている。

4.高齢者医療における患者自己負担の在り方について
長寿社会にふさわしい高齢者医療制度の在り方について検討を深めることは重要であると考えるが、一定の所得のある後期高齢者の窓口負担の見直しに関し、経過措置が終わったばかりであり、その影響も見据えた上で、慎重に検討を行うことが不可欠であると考える。

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