6つの医療団体は9月10日、連名で「2025年度補正予算で緊急に病院への支援策を講ずる(1病床当たり50万円から100万円)」と、「病院への2026年度診療報酬改定率は10%超」という2点を求める福岡資麿厚生労働大臣宛ての緊急要望を提出した。記者会見で全日本病院協会名誉会長の猪口雄二氏は「10%超上がらないと、我々はやっていけない」と窮状を訴えた。
6つの医療団体は9月10日、連名で「2025年度補正予算で緊急に病院への支援策を講ずる(1病床当たり50万円から100万円)」と、「病院への2026年度診療報酬改定率は10%超」という2点を求める福岡資麿厚生労働大臣宛ての緊急要望を提出した。記者会見で全日本病院協会名誉会長の猪口雄二氏は「10%超上がらないと、我々はやっていけない」と窮状を訴えた。
社会保障審議会の医療部会は 4 日、2026 年度に行われる診療報酬改定の基本方針の取りまとめに向けて議論を始め、医療DXを診療報酬で促すのと並行して人員配置の緩和を求める意見が病院団体の委員から相次いだ。 その中で、神野正博委員(全日本病院協会会長)は「国が言う『医療DX』だけでなく、われわれは働き方改革や医療の質(改善)、安全(確保)のためにもDXを導入していかなくてはならない」と述べ、それへのインセンティブとして診療報酬の人員配置の緩和を求めた。伊藤伸一委員(日本医療法人協会会長)は「人員配置基準を緩和していただかないと医療DXを行うことの意味がない」と述べた。
福岡資麿厚生労働相は、8月27日に中央社会保険医療協議会へ「スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて」と題した諮問書を提出。9月19日からスマートフォンでのマイナ保険証の利用が開始されるに伴い、スマートフォンのマイナンバーカードが読み取れずに資格確認ができなかった場合は、患者がその場でマイナポータルにログインして表示された資格情報の画面を提示することで資格確認が行えるようにすることを諮問し、了承された。医療機関は、患者がマイナポータル画面で資格情報を提示すれば資格確認が可能であることを受付に周知する必要がありそうだ。
令和6年歯科疾患実態調査の結果(概要)が厚生労働省から6月26日に発出された。
今回の調査は14,000名余りが対象の拡大調査としての実施であった。また、本調査結果は、令和6〜17年までの健康日本21(第3次)や歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第2次)の最終目標に向けてのベースライン値として設定されており、極めて大きな意味を持つ。今後、令和10年の中間評価、令和14年の最終評価が予定されている。
今回の調査結果ではより正確性を期することから各都道府県の人口規模が反映されるように調整された全国補正値が採用されており、従来から実施してきた歯科疾患実態調査結果との単純比較はできないために注意が必要である。例えば、8020達成者率は令和4年の51.6%から令和6年は61.5%と大きく数字が伸びているが、統計学的な手法が加わっていることを忘れてはならない。ところが、マスコミ報道等では数字だけが独り歩きしている感は否めない。
決してこの2年間に日本の歯科口腔保健の大きな改善がみられたわけではなく、言わば、似て非なるものとの解釈での数字と認識してもらいたいと考えている。
厚生労働省は、8 月 29 日に 2026 年度(令和8年度)予算の概算要求を財務省に提出。一般会計の要求額は、今年度(2025 年度・令和7年度)当初予算から4,865億円増の34兆7,929億円で、過去最大を更新した。高齢化などの伴う年金・医療等の「自然増」は「+0.40兆円」、つまり約4,000億円を見込んでいる。なお、9月3日に財務省が発表した一般会計概算要求の総額は 122兆4,454億円(前年比7兆2,476億円増)。 3年連続で過去最大を更新している。
大杉和司中医協委員
第615回中央社会保険医療協議会総会が8月27日、都内で開催され、令和8年度診療報酬改定に向けて「在宅(その1)」の議論が行われた。
総会では、厚労省から資料説明が行われた後、日歯常務理事の大杉和司委員が、在宅歯科医療を取り巻く状況や歯科訪問診療の実施状況等に係る課題に関し、総論的意見と要望を行った。
大杉委員は、今後の在宅歯科医療の需要増に対し、質の高い在宅歯科医療の提供体制を推進、強化する方策が喫緊の課題と認識していると発言。1歯科診療所あたりの歯科訪問診療の実施件数は増加しているものの、実施施設割合は居宅、施設、病院ともに約2割に満たない状況であり、かかりつけ歯科医に通院していた患者が、通院できない状況になる等の環境変化に対し、切れ目なく継続的に歯科医療を提供する体制を構築していくことが不可欠との見解を示した上で、以下の3点について要望した。
▼特に居宅における歯科訪問診療の供給が十分でなく、これまで以上に実施歯科医療機関を増やしていく方策が重要である。令和6年度改定では、歯科訪問診療1における20分の診療時間要件が撤廃されたものの、施設で1名を診る予定が、現場で急遽要請を受け、もう1名追加で診る場合に、1名を診る点数と2名を診る点数が乖離するなどの課題があり、歯科訪問診療1および2の取扱いに関し、現場の状況に応じた柔軟な運用を求めた。
▼在宅療養支援歯科診療所が微増であることに加えて、令和6年度改定で新設された「在宅療養支援歯科病院」の届出施設は22病院にとどまっている。地域における在宅歯科医療提供への関わりとして、歯科診療所を後方から支援する役割をさらに充実するなど施設数の増加に向けた検討を求めた。
▼令和6年度改定で新設された「複数名訪問歯科衛生指導加算」について、実際には複数名での指導が必要な状況にもかかわらず、算定実績が少ないため、必要な患者に効果的に提供できるよう検討を求めた。
厚生労働省は、8月27日の中央社会保険医療協議会総会で、医療法人経営情報データベースシステム(MCDB)を用いた 2023年度の医療機関の医業利益率が、全体の平均値でマイナス 0.7%だったことを明らかにした。中央値は全体でマイナス 0.9%だった。医療利益で赤字だったのは 55.2%、経常利益で赤字だったのは41.6%を占めた。
日歯は令和8年度制度・予算に関する要望を取りまとめ、高橋英登会長、瀬古口精良副会長、伊藤智加専務理事が9月3日に林芳正・内閣官房長官、それに先立って8月27日には、福岡資麿・厚労大臣を訪ねて要望書を提出した。
◆物価高騰への対応など適切な支援を林内閣官房長官に要望(9月3日)
内閣府関係では高橋会長、瀬古口副会長、伊藤専務理事が林内閣官房長官を訪問し、重点要望項目の(1)大規模災害等に備えた巡回診療車やポータブルの医療機器等の整備についての支援、(2)物価高騰への対応―を要望した。
◆歯科の適切な評価と財源確保など福岡厚労大臣に要望(8月27日)
厚労省関係では高橋会長、瀬古口副会長、伊藤専務理事が日歯連盟の浦田健二副会長とともに福岡厚労大臣を訪問した。
高橋会長は、歯科の社会的評価について触れ、歯科を目指す若い世代の減少で、歯科大学・大学歯学部の一部で定員割れが起きていることや、人材不足で大学病院の経営もままならなくなっていることなど歯科の窮状を訴えた。
瀬古口副会長は、厚生労働省関係の重点要望9項目のうち、特に(1)令和8年度診療報酬改定における適切な評価と財源確保、(2)国民皆歯科健診の実現、(3)誰一人取り残さない歯科医療提供体制の構築―を強く求めた。
詳報は、日歯広報第1860号(令和7年9月15日付)に掲載予定。