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命を守るオーラルケア~<もしも>の備えの最前線~

世界口腔保健学術大会記念「第30回口腔保健シンポジウム」(主催:日本歯科医師会、協賛:サンスター株式会社)が7月12日、「命を守るオーラルケア~<もしも>の備えの最前線~」をテーマに、オンライン配信で開催され、約1,600名が参加した。
主催者挨拶で、日歯の高橋英登会長は、我が国には世界に誇る国民皆保険制度と高度な医療水準があること等が奏功して超高齢社会を迎えているとした。その上で、日歯には口腔の健康を通じて、健康寿命の延伸に貢献することで、国民が健康で長生きし、人生の最期の日まで「自分の口でおいしく食べることができるようにする」使命があると話した。
また、政府の骨太の方針2025でも「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた具体的な取組の推進」など明記されていることに触れ、健康で長く社会で活躍できる高齢者を増やしていくためには、口腔の疾病予防、重症化防止が大きな鍵になると述べた。
今回の「命を守るオーラルケア~<もしも>の備えの最前線~」をテーマにしたシンポジウムを通じて、日常でも非日常でも口腔の健康の重要性に対する認識がさらに深まることに期待を寄せた。
シンポジウムは、中川種昭 ・慶應義塾大学医学部副医学部長/歯科・口腔外科学教室教授)による基調講演「お口の健康と全身の健康はつながっている!」に続いて、中川氏、飯利邦洋・石川県歯科医師会会長、国崎信江・危機管理教育研究所代表/危機管理アドバイザー、市川洋子・サンスター財団歯科衛生士によるトークセッション「命を守るオーラルケア~<もしも>の備えの最前線~」が行われた。司会はキャスターでジャーナリストの長野智子氏が務めた。

健康マスター検定第25回試験のご案内

健康マスター検定の第25回試験の申込受付が8月4日(月)より始まります。
健康マスター検定は、特定の疾病、健康テーマだけでなく、健康全般を体系的にカバーする「ヘルスリテラシー(=健康リテラシー)」の向上をはかる検定で、国の「健康日本21」などの健康政策に準拠しています(日本健康マスター検定HP)。
また、日本医師会の監修協力・後援の下、文部科学省、日本歯科医師会など多くの機関・自治体・団体が後援しています。
合格者は、【健康マスター】の資格が取得でき、地域や職場、学校における健康リーダーとして活躍の場が広がり、健康関連業務に携わるビジネスパーソンにとってのレベル向上にもつながります(同)。
歯科の観点からは、自身および院内のヘルスリテラシーの向上はもちろんのこと、歯科保健指導や地域における公衆衛生・産業保健活動等に活かすことができます。会員のみなさまだけでなく、スタッフや患者さんにもご案内ください。
詳細は日本健康マスター検定HP(【健検】日本健康マスター検定|文部科学省、日本医師会ほか後援 ( https://kenken.or.jp/))をご参照ください。

老化をいかに遅らせるか

アンチエイジングは多くの人にとって、とても興味深いテーマといえるでしょう。食生活や運動習慣の改善はその代表的な手段ですが、人生100年時代を迎える中、特に高齢者の筋力トレーニングが注目されています。近年の研究により、筋力トレーニングは骨格を支える筋肉だけでなく、肌にも老化抑制効果を持つ可能性があることが報告されています。
 名古屋大学やハーバード大学医学部などによる国際共同研究では、加齢により骨格筋に脂肪が蓄積すると、筋力が低下し生活の質の低下につながること、そして、筋力トレーニングで、骨格筋内の脂肪を減少させるシグナルを促進し、筋機能の維持に役立つ可能性が示されました(*1)。
 また、立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授らの研究チームは、ポーラ化成工業との共同研究により、筋力トレーニングと有酸素性運動は、皮膚の弾力性と真皮構造を改善し、真皮のECM(細胞外基質)を増加させること、さらに、筋力トレーニングは血中の炎症因子を減らし真皮の厚みを増やすことで、外見の若々しさに貢献する可能性があることを世界で初めて報告しました(*2)。
 筋力トレーニングの主な効能として、①身体を支える抗重力筋を鍛えることによる姿勢保持能力の向上、転倒予防、移動能力の向上、②骨格筋量の増加による基礎代謝の向上、血流の改善、③体脂肪を燃焼しやすい状態へと身体の変化を促し、生活習慣病の予防・改善に寄与、④飲み込み(嚥下)に関わる筋力を鍛えることによる嚥下機能の維持・改善、⑤筋肉量が増えることによる腰痛や膝痛の軽減・緩和、などが挙げられます。
 筋肉量は20代をピークに減りはじめ、40代以降は10年で約10%というペースで減っていくと言われています(*3)。美肌にとっても、生活の質を保つ面でも有意義な筋力トレーニング。無理のない範囲で、ぜひ生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

22年間、検案嘱託医を務め表彰 菊池俊雄さん

遺体の死因を調べ、事件性の有無などを見極める旭川中央署の検案嘱託医。消化器外科医として旭川市内で外科医院を営み、現在は勤務医を務める。その傍ら、今年3月末までの22年間で2324体の検案した功労で、警察協力章(警察庁長官表彰)を受章した。

8020達成者率は61.5%へ増加

 令和6年歯科疾患実態調査の結果(概要)が6月26日に厚労省より公表された。
 8020達成者率は61.5%(前回令和4年調査では51.6%)となり、6割を超えた。
 この1年間に歯科健診を受診している割合は63.8%と前回調査より増加しており、(かかりつけ)歯科医院での定期的な健診が最も多く55.7%であった。
 1人平均現在歯数は65~69歳群以外では増加する傾向を認めた。令和4年調査同様に平均20歯以上を保有する年齢群は70~74歳群までとなっている。
 歯周ポケット(4mm以上)を有する者の割合は年代が上がるにつれて増加する傾向にあり、47.8%との結果だった。
 歯や口の状態で気になるところでは、「冷たいものや熱いものがしみる」が25~59歳まで約1割以上存在し、「歯をみがくと血が出る」は60~64歳で最も高く12.8%存在した。
 
令和6年歯科疾患実態調査の結果(概要)(厚労省HP)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59190.html
【歯科通信】

入れ歯などを継続使用すると高齢者の死亡リスクが低い!

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入れ歯などを継続使用すると高齢者の死亡リスクが低い!
 - Journal of Prosthetic Dentistry 2025年6月6日
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[研究のポイント]
☆入れ歯やブリッジなどの歯科補綴物を継続して使用していた高齢者は、使用していなかっ
 た高齢者と比べて、死亡リスクが低いことが明らかになった
☆全国の65歳以上の高齢者約4.8万人を最大9年間追跡した結果、歯科補綴物の使用者は非使
 用者よりも平均で3.7ポイント生存率が高く、特に歯が20本未満の人では5.9ポイント高い
 ことが確認された
☆本研究は、歯科補綴物の継続使用が高齢者の寿命の延伸に寄与する可能性を、実証的に示
 した初の大規模調査
 
https://doi.org/10.1016/j.prosdent.2025.05.007

24年の平均寿命、横ばい 女87・13歳、男81・09歳

2024年の日本人の平均寿命は女性が87・13歳、男性が81・09歳となり、前年比で横ばいだったことが25日、厚生労働省公表の簡易生命表で分かった。女性は0・01歳縮み、男性は変わらなかった。国別で女性は40年連続1位。厚労省担当者は「心疾患や新型コロナウイルス感染症による死亡率が減少する一方、老衰や肺炎が増加した」としている。

 平均寿命は21、22年は新型コロナの影響で2年連続縮み、23年は延びていた。国勢調査による確定人口を基にした5年ごとの完全生命表では、20年に女性87・71歳、男性81・56歳となり、男女とも過去最高を更新した。

 国別では、男性は5位から6位に下がった。女性は2位韓国(86・4歳)、3位スペイン(86・34歳)。男性は1位スウェーデン(82・29歳)、2位スイス(82・2歳)、3位ノルウェー(81・59歳)。

 24年生まれの人が将来、がんや心疾患、脳血管疾患で死亡する確率は女性40・29%、男性45・41%と見込み、いずれも前年から低下。老衰は女性20・75%、男性8・39%で、肺炎は4・35%と5・89%だった。新型コロナは女性2・01%、男性2・58%となり、男女とも2年連続で下がった。新型コロナによる24年の死者は概数で3万5865人(約2200人減)だった。

歯科医院が美術館に 猪苗代に8月オープン

猪苗代町の佐藤方則(まさのり)さん(80)は経営していた歯科医院を美術館に改装し、8月にオープンさせる。所蔵していた多数の美術品を公開することで「町の活性化につなげたい」と準備を進めている。

 佐藤さんは父・熊耆(ゆうき)さんが古美術を好んだ影響で、幼い頃から美術品に親しんできた。自らも絵画や彫刻、陶芸などを買い求めてコレクションを充実させていき「いつか美術館をつくりたい」と夢を抱くようになった。3年ほど前に歯科医院を廃業したのに伴い、医院を美術館にリフォームすることを決意した。

 美術館の名前は「猪苗代アートコレクション」。館内には日本画家の室井東志生(下郷町出身)や、須田☆中(きょうちゅう)(須賀川市出身)、彫刻家細井良雄(南会津町出身)ら本県ゆかりの作家の作品も多く並ぶ。ほかにも古備前の花器やびょうぶなどバラエティーに富んだ作品を楽しむことができる。佐藤さんは「リゾート地の猪苗代で美術に触れて、心もリラックスしてもらえれば」と望んでいる。

 猪苗代アートコレクションの住所は猪苗代町字新町4917の1。開館日は水、土、日曜日の午前10時~午後5時。入館料は500円。問い合わせは同施設(電話0242・62・3055)へ。

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