記事一覧

チューリッヒ大ら ― 歯冠修復ロボット開発へ

完全自動化の可能性秘める
 超小型の切削ロボットを口腔内に固定し、口腔外のモーターを駆動させて精密な歯冠修復が可能なロボットをスイスバーゼル大学の生体模倣ロボット研究室とチューリッヒ大学の修復歯学教室、ベルン大学のバイオメディカル研究室などが共同開発している。
 歯科国際誌『Dental Tribune』が7月23日、研究チームの一員であるチューリッヒ大学のロナルド・ユング 教授へのインタビューを配信し、研究開発の目標と意義を示した。

 これによると、超小型のロボットを口腔内の歯列に固定して歯冠形成を行う技術は、充填、インレー、クラウン、ベニアといった修復まで完全自動化させる可能性を秘めており、修復治療の治療成績を高め、低侵襲で患者も安心して治療が受けられるようになると期待されるという。
 すでに、アメリカや中国で、歯冠形成、インプラント埋入ができる技術が一部実用化されているが、これらはハンドピースを術野に固定して治療を行うため、治療の過程で歯の形状が変わったり、患者が動いたりするたびに、あらためて計測する必要がある。

 口腔内に切削機能を持つロボットを固定し、動力を口腔外のモーターから供給するタイプのモデルでは、より計測を続けながら治療でき、治療の精密さが各段に高くなるという。
【歯科通信】

う蝕予防も殺菌もできる手のひらサイズの「イオン銃」

名古屋工業大学の大幸裕介 准教授の研究で「大学見本市2026~イノベーションジャパン」に出展された。

 イオン銃はペン型のイオン発生器で、フットペダルを踏むことで先端からイオンが発生する仕組み。フッ化物イオンや殺菌効果のある銀イオンなどを放出することができる。

 従来のフッ化物塗布では、フッ化物を歯面の必要な部位に保持させることが難しいがフッ化物イオンを直接照射することで強固に導入・保持することができるという。また、銀イオンの殺菌効果についても歯周病治療への応用を期待しているという。
【歯科通信】

1歯の情報の有効性を確認

1本の歯から出生年・死亡時年齢・居住地域・薬物使用歴・性別・DNA型がわかることを世界で初めて証明した。
 東京科学大学医歯学総合研究科法歯学分野の斉藤久子 准教授、山形大学高感度加速器質量分析センターの研究によるもので、2026年8月19日にScientific Reportsに掲載された。

【研究のポイント】
☆白骨化や高度腐敗したご遺体でも、たった1本の歯から出生年・死亡時年齢・居住地域・薬物使用歴・性別・DNA型の6種類の法医学的情報を統合的に取得できることを世界で初めて実証した。
☆歯を構成する4組織(エナメル質・象牙質・歯髄・セメント質)の特性を生かし、それぞれに最適な分析法を組み合わせることで、1本の歯から多面的な個人識別を実現した。
☆災害や事件・事故などで高度に損傷したご遺体の身元確認を迅速・高精度化し、限られた試料から最大限の個人識別情報を引き出す新たな法歯学的手法として期待される。
https://doi.org/10.1038/s41598-026-62088-z

[シニア]定年後 減酒のすすめ…休肝日 ノンアル併用 合間に水

定年を迎えて自由な時間が増えると、お酒を飲む量が増えやすい。若かった頃はお酒に強かった人でも、加齢とともに酔いやすくなり、病気やケガのリスクも高まる。健康で長くお酒を楽しむためにも減酒を心がけたい。(米山裕之)

 医学博士で筑波大健幸ライフスタイル開発研究センター・センター長の吉本尚さんによると、近年は若者の酒離れが進む一方、高齢者のアルコール依存症やその予備軍が増えているという。

 キリンビール(東京)が昨年10月に成人の飲酒頻度を調査したところ、お酒を飲む頻度を「週に5~7回」と答えた男性は、40歳代が22・5%、50歳代が25・3%だったのに対し、60歳代は37・5%と10ポイント以上高かった。女性も50歳代が15・9%だったが、60歳代は19・5%と上がっていた。

 特に現役時代に仕事一筋で働いてきた人は、定年退職すると日中に孤独を感じ、お酒に手を伸ばしやすいという。子どもが独立したり、配偶者と離別したりといった家庭環境の変化も酒量が増えるきっかけになりやすい。

 吉本さんは、「多量の飲酒は生活習慣病リスクを高めるほか、脳の記憶をつかさどる組織に悪影響を与えるため認知症の発症を早める危険がある」と指摘する。深酔いして転倒し、ケガをするリスクも心配される。

 では、飲酒量を減らすにはどうすればよいか。

 吉本さんは、「自分がどのくらいのお酒を飲んでいるのか、現状を把握することが第一歩」と話す。お酒を飲んだ翌日、ノートやパソコンのエクセル表などに何のお酒をどの程度飲んだのかを記入する。1週間分を記入したら飲酒量の推移を振り返り、どのようなタイミングで飲酒量が増えたのかを分析する。

 余裕があれば純アルコール量を計算し、その増減を折れ線グラフにするとわかりやすい。純アルコール量は、「摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0・8」で算出できる。飲酒量と頻度を「見える化」するだけで、節酒意識が働き減酒につながるという。

 厚生労働省は2024年、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を定め、生活習慣病のリスクを高める飲酒量の目安を、純アルコール量に換算して「1日当たり男性40グラム以上、女性20グラム以上」と示した。吉本さんは「高齢者は体内の水分量が少なく、肝臓の働きも弱まっているため、目安の2分の1~3分の2程度の量にしてほしい」と話す。

 純アルコール量を減らすには、お酒を飲まない休肝日を設けるか、設けられない場合は1日に飲む量を減らす。減らせない場合は、アルコール度数の低いお酒に変えたり、ノンアルコール飲料と交互に飲んだりと工夫する。最初の1杯や最後の締めをノンアルコールに変えるのも効果的という。

 キリンビールの適正飲酒セミナーで講師を務める同社企画部の草野結子さんは、「高齢者ほど、自分の体と相談して自分に合った量を適正に飲むことが大事」と話す。

 お酒を飲む際は厚労省のガイドラインを参考に、飲む量と時間を事前に決めておくとよい。最初の1杯をゆっくり30分くらいかけて飲むと、酔いが回ってくることもあり、結果的に少ない飲酒量で満足できる。また、飲酒の合間に水や炭酸水を飲むと、飲酒量を減らすことができるという。

 草野さんは「ついつい飲み過ぎてしまったときは、次の日は休肝日にするなど、1週間単位でコントロールしてください。飲み方を工夫することで、健康的に長くお酒を楽しむことができます」と話す。

台風25号、千葉県の医療機関の浸水被害が相次ぐ

9月21日から22日にかけて台風25号の影響で大規模な浸水や崖崩れが発生し、死者を含む甚大な人的・物的被害が生じている。8月に豪雨被害に遭ったばかりの千葉県内では9月22日正午時点で、15施設で浸水被害が確認されるなど、計25件の医療機関に被害が出ている。

 9月22日の千葉県災害対策本部会議の資料によると、県内では計25の医療機関で被害が発生。内訳は、浸水が15件と最も多く、停電が4件、雨漏りが4件、土砂崩れが1件、その他が1件だった。県は医療機関に対して、EMISでの被害報告を呼びかけており、被害の把握を進めている。

 千葉県循環器病センターでは一時停電が発生し、救急の受け入れを停止する事態となったが、22日までに復旧し、通常の診療体制を取っている。その他の県立病院では、一部で雨漏りなどが生じたものの、診療への直接的な支障は発生していないという。

 県はDMATやDPATの調整本部を設置し、被災医療機関の被害把握と支援ニーズの確認を進めている。

北大病院精神科・加藤教授らの研究G 「メタバース診療システム」共同開発に着手 引きこもり患者の受診ハードル軽減

北海道大学病院精神科神経科の加藤隆弘教授(51)らの研究グループは、Mediative(東京都)、クラスター(東京都)との産学連携で、社会的ひきこもり状態にある人や精神疾患患者を対象に、メタバース(インターネット上に構築された3次元仮想空間)を活用した「メタバース診療システム」共同開発に着手した。患者の受診ハードルを下げるツールで、ひきこもり支援の先進的取り組みとして期待されている。

 日本のひきこもり支援の状況は深刻で、ひきこもり当事者数はコロナ禍前の約110万人がコロナ後には約150万人に増加。背景には、うつ病や不安症といった精神疾患を持つ人が7割ほどいるという。

 支援で最も難しいのが、当事者が対人接触を避け、一人で問題を抱え込んでしまうこと。精神科への偏見、自身の姿を他者に見せたくないという思いから、受診に至らないケースが多く、家族もどこに相談すればいいか分からず苦慮しているのが現状だ。

 加藤教授は2013年に九州大学病院で、ひきこもり研究外来を立ち上げ、本人・家族双方への支援法の開発に取り組んできた。ひきこもり支援機関でメタバースによる就職相談などを行った際、メタバース空間が対人緊張の緩和に有効と知り、診療システムへの応用につながった。

令和9年度制度・予算で厚労省と文科省に要望

日歯は令和9年度制度・予算に関する要望を取りまとめ、9月9日(水)に、厚生労働省を訪問し、上野賢一郎・厚労大臣、それに先立って、9月2日(水)に、文部科学省を訪問し、矢野和彦・事務次官に要望書を提出した。
令和8年9月9日(水)、高橋会長は、厚労省を訪問し、令和9年度制度・予算に関する要望書を上野賢一郎・厚労大臣に手交した。要望には瀬古口精良副会長、山本秀樹常務理事、日本歯科医師連盟の村上恵一副会長が同行した。
山本常務理事は、厚労省関係の重点要望項目の[1]経済・物価動向等に耐えうる強靭な歯科診療報酬体系の構築と、令和8年度改定で段階的に措置された改定財源の確保[2]国民皆歯科健診の実現と「攻めの予防医療」の展開[3]誰一人取り残さない歯科医療提供体制の強化と、さらなる医療の効率化に向けたDXの推進の3点について説明。
高橋会長は、かつて歯科医師需給の適正化の観点から歯科医師数の抑制が求められていた時代から状況が大きく変化していると説明。日歯会員の平均年齢が63歳に達し、在校生の約55%を女性が占めるほか、私立の歯科大学・大学歯学部では定員割れが続いている現状を紹介し、歯科医師の担い手不足について理解を求めた。
引き続き、8月13日(木)に八代市を中心に視察を行ったと報告。当時、現地の55歯科医療機関のうち稼働しているのはわずか3医療機関にとどまり、その原因は水不足で、歯科機器メーカーに対し、貯水タンクから直接給水できる設備の迅速な構築を依頼したと明かした。
これに対し上野厚労大臣は、現地の状況について継続的な情報提供を求めるとともに、日歯による迅速な現地視察に謝意を示した。
また、令和8年9月2日(水)、高橋会長は、文科省を訪問し、令和9年度制度・予算に関する要望書を矢野和彦・事務次官に手交した。要望には瀬古口副会長、伊藤智加専務理事、日本歯科医師連盟の大越壽和副会長が同行した。
冒頭、高橋会長は、歯科医師の供給過剰が懸念されていた時代から状況が大きく変化していると説明。会員調査では約89%が後継者不在の状況にあることや、私立の歯科大学・大学歯学部において定員割れが続いている現状を紹介し、人口減少のみでは捉えきれない地域における歯科医師不足や偏在の深刻化、学校歯科医の担い手不足について理解を求めた。
これに対し文科省は、健康寿命の延伸に向けた予防医療の推進において歯科保健の重要性はますます高まっているとし、日歯の取り組みに謝意を示した。

歯科診療所6万5,035施設、前月比22施設減  医療施設動態調査 令和8年6月末概数

医療施設動態調査の令和8年6月末概数が8月31日、厚労省より発表され、歯科診療所は前月から22施設減の6万5,035施設、病床数は前月から増減なしだった。
また、歯科診療所の主な開設者別施設数は、個人が4万6,606施設で、医療法人が1万7,707施設であった。
・医療施設動態調査(令和8年6月末概数)(厚労省HP)

ページ移動

過去ログ