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ソフトドリンクをよく飲む男性は変形性膝関節症リスクが高い

変形性関節症は関節の痛みや変形、機能の喪失などを特徴として緩やかに進行する疾患で、高齢者の身体障害の主要な原因となる。重症化リスク因子としては、肥満、関節損傷、特定のスポーツなどが報告されている。

 一方、ソフトドリンクの消費量はここ数十年の間に世界中で劇的に増加しており、摂取と体重増加、2型糖尿病、心血管疾患や骨折・骨粗しょう症などとの関連が指摘されている。調査の結果、BMIが30.0kg/m2未満の男性では、清涼飲料摂取量が多いほど脛骨大腿関節腔幅(JSW)が有意に広がっていた(P<0.001)。しかし、女性とBMIが30.0kg/m2以上の男性では有意差は認められなかった。

 変形性膝関節症の増悪を示す関節裂隙狭小化(JSN)スコアの増加とソフトドリンク摂取量の関連について、年齢、体重変化、ベースラインのKL分類、総エネルギー摂取量などを共変数としてCox回帰分析を行い、調整ハザードリスクを算出した。

 その結果、男性のソフトドリンク飲用者では、BMIが30kg/m2未満で週2-4回摂取群ではわずかに有意差は認められなかったものの、摂取なし群に対して有意にJSNが増加していた。一方、女性ではその傾向は認められなかった。

 これらの結果からLu氏は、「ソフトドリンクの摂取量は、男性において変形膝関節症の独立した増悪因子だった」と結論し、「今後はソフトドリンクの影響について、生物学的メカニズムを解明するためさらなる研究が必要だ」とまとめた。

鼻呼吸に意識を

改めて言うまでもなく、呼吸は鼻でも口でも行うことができます。口の周りには唇やあごの筋肉があって、完全に閉じることができます。しかし、鼻の穴は常に開いていて、手などを使わないで閉じることはできません。従って、人はもともと鼻を使って呼吸する動物であったと推定できます。

 この考えを支持する証拠は、鼻の中の構造と働きにあります。鼻の中の耳側の壁には大きな粘膜のヒダが三つ並んでいます。上鼻甲介(じょうびこうかい)、中鼻(ちゅうび)甲介、下鼻(かび)甲介といいます。そして、ヒダとヒダの間、ヒダと鼻の中央の仕切り(鼻中隔(びちゅうかく))との間の隙間(すきま)は思いの外狭くなっています。表面の粘膜からは、絶えず分泌液が出ていて、鼻の粘膜全体は粘液に覆われています。鼻で呼吸するとき、この比較的狭い隙間を空気が通過することになります。この際、空気中に含まれるゴミやほこりは、粘液に絡め取られることになります。

 これは、病原体がのどや肺に侵入することを防ぐ意味合いもあります。さらに、粘液の水分が通過する空気を潤すので、息が湿って、のどや気管支の乾燥を防ぐ働きもあるわけです。つまり鼻には、ゴミ取りフィルターと加湿器の役割があるというわけです。優秀な空気清浄機ですね。というわけで人は鼻で呼吸することが基本といえます。

 一方、口で呼吸するときの利点は、呼吸量が多くなることです。口を大きく開ければ、空気の通過を妨げず効果的です。だから、運動しているときは、自然と口が開くものです。でも、お気づきのように、口呼吸はのどや気管支を乾燥させ、ゴミやほこりをのどに直通させてしまうというリスクも伴っているのです。

 もう一つ、どうしても口呼吸が必要な場面があります。それはしゃべったり、歌ったりするときです。この時の口やのどの乾燥は相当なものなので、しゃべり続けると、どうしても水が欲しくなります。こうしてみると、口呼吸は、必要な時以外は、しないにこしたことはなさそうです。

 ところが、最近、口呼吸を常にしている人が増えているそうです。もちろん、アレルギーなどの理由で、鼻に炎症があって通りが悪くなっている人も多いのですが、単純に癖になっている人も少なくないようです。乾燥しやすい季節を迎えました。鼻呼吸を意識しましょう。(とうせ・のりつぐ=札幌医科大教授)=次回は12月3日掲載

真空パック食品は冷蔵を 常温だと菌繁殖の恐れ

コンビニやスーパーで販売されている真空パック詰めの総菜などを、レトルト食品と混同して常温保存するとボツリヌス菌が繁殖する恐れがあるとして、厚生労働省は19日、購入後はきちんと冷蔵するよう消費者に注意を呼び掛けた。リーフレットを作成し、自治体を通じて配布する。

 「最強の自然毒素」といわれるボツリヌス菌は、酸素が少ない密閉状態だと繁殖しやすい。食中毒を起こすとまひや呼吸困難の症状が出ることもある。3月に鳥取県の60代夫婦が真空パック詰め食品で食中毒を起こし、意識不明となった事例も厚労省に報告されている。

 同省によると、カレーなどのレトルト食品の場合は、菌を死滅させるため「120度で4分以上の加熱」などが義務付けられており、常温で保存できる。

 これに対し、真空パック詰め食品は常温保存が想定されていないが、密閉式の包装形態がレトルト食品と似ており、本来は要冷蔵なのに常温保存できると誤解されることがあるという。

 厚労省は真空パック詰め食品の製造工程でレトルト食品と同様の基準で加熱したり、包装の目立つところに「要冷蔵」と記載したりするよう製造業者に要請している。

ノロウイルスの本格流行迫る

ノロウイルスなどの感染により、嘔吐や下痢などの症状を呈する「感染性胃腸炎」の本格的な流行が迫っている。国立感染症研究所感染症情報センターによると、患者報告数は10月29日-11月4日の週まで3週連続で増加しており、この週の報告数は過去10年の同時期で2番目に多かった。例年の流行のピークは12月中旬ごろで、厚生労働省では、これから患者が急増する恐れがあるとして注意を呼び掛けている。

認知症 チームで支援

北欧デンマークでは、認知症の高齢者や家族をサポートするために、高齢者専門の精神医療と情報共有体制がきめ細かく構築されているという。9月下旬に同国を訪れた札幌の財団法人「つしま医療福祉研究財団」の対馬輝美理事長(58)に、認知症の高齢者が地域生活を送っている実態について聞いた。
                    北海道新聞 2012.11.1

炎症性関節炎に対する歯周病の影響は歯がなくなってもまだ続く

慢性的な炎症性疾患である歯周病は、関節リウマチ(RA)患者の関節炎症を悪化させるとの報告がある。そこで、初期の炎症性関節炎の患者を対象に、歯周病のサロゲートマーカーとされる残存歯数と疾患活動性の関連を調べたところ、残存歯数が少ないほど疾患活動性が高く、歯が全くなくなった後も歯周病の影響は続くことなどが示唆された。11月10日から14日までワシントンDCで開催された第76回米国リウマチ学会(ACR2012)で、英国Birmingham大学のPaola de Pablo氏らが発表した。

生活保護見直し先送り 予算編成越年受け

 厚生労働省は15日、生活保護の見直しを衆院選後に先送りする方向で検討に入った。来年度予算案の越年編成が確実な情勢になったことに加え、国民の信任を得た新政権の意向を反映させる必要があると判断した。

 厚労省は、厚労相の諮問機関である社会保障審議会の部会で、生活保護費のうち光熱水費、食費などに充てる「生活扶助」の水準と低所得世帯の支出を比較し、支給額が妥当かどうか5年に1度の検証作業をしている。結果を受け基準額を改定することになる。

 同時に生活保護制度の見直しと困窮者支援を盛り込んだ「生活支援戦略」も策定中で、いずれも当初は年内に結論を出す予定だった。

 生活保護をめぐっては、自民党が保護費の削減方針を打ち出しているほか、日本維新の会も医療扶助(医療費)に自己負担を導入する考えを示している。新政権の枠組みによって、厚労省が現在検討している政策が見直しを迫られる可能性がある。

情報漏洩で医業停止1年、免許取消5人

厚生労働省医道審議会分科会は11月14日、刑事事件で有罪が確定するなどした医師、歯科医師計60人の行政処分の諮問を受け、44人(医師25人、歯科医師19人)の行政処分を答申、決定した。残り16人は、「厳重注意」14 人、「不問」2人。処分の発行は11月28日。

 今回の処分では、2006年に奈良県で発生した医師宅放火殺人事件で、犯人である長男の供述調書の内容や心理検査の結果などをフリージャーナリストに漏らし、秘密漏示罪で有罪となった精神科医の崎濱盛三氏も対象。崎濱氏は2012年2月に、懲役4カ月、執行猶予3年の判決が確定しており、医業停止1年の処分となった。

 処分が最も重い免許取消は5人で、医師2人、歯科医師3人という内訳。医師のうち1人は覚せい剤取締法違反の罪で2009年11月に東京地裁で懲役1年6カ月の有罪判決を受けた男性医師。男性医師は、2007年にも同法違反で執行猶予付きの判決が出ていた。もう一人は、病院内での未成年に対する3件の強制わいせつ、児童買春・児童ポルノ禁止法違反などの罪で、2011年12月に懲役2年6カ月、執行猶予4年となった男性医師。歯科医師3人のうち1人は、神奈川県内の大学から受け取った投資名目の出資金約5000万円を横領の罪などに問われ、2011年8月に懲役4年の判決を受けた男性歯科医師。残る2人は、強制わいせつや強制わいせつ致傷の罪で有罪となった男性歯科医師。

 医業関連での処分を見ると、診療報酬の不正請求で、詐欺罪となったケースも処分の対象になった。2011年10月に詐欺罪で懲役2年、執行猶予4年となった男性医師で、医業停止3年。判決によると、クリニックの患者2人に対して、診療と投薬した事実がないのに、診療報酬を請求し、約18万6000円をだまし取った。悪質さなどが重視され、刑事事件に発展したとみられるが、厚労省は「詳細は不明」としている。そのほか、診療報酬の不正請求による処分は9人で、内訳は医師2人、歯科医師7人。いずれも医業・歯科医業停止3カ月。金額は122万円から654万円だった(金額未確定が1人)。

 また、婦人科および美容皮膚科の診療所を経営する男性医師が、診療報酬による売り上げの一部を除外して所得を秘匿するなどして、2年間で8000万円以上を脱税し、所得税法違反の罪に問われ、懲役1年、執行猶予4年などの有罪判決を受け、医業停止1年の処分となった。医療事故で業務上過失致死罪に問われ、有罪になり、処分された事例はなかった。

 アルコールによる道交法違反を見ると、酒気帯び運転の罪が確定した3人(医師2人、歯科医師1人)は、いずれも医業・歯科医業停止1カ月。酒気帯び運転に加えて、人身事故を起こした自動車運転過失致傷やひき逃げの罪が重なったケースの4人(医師3人、歯科医師1人)は、停止期間が3カ月から1年と長くなる傾向があった。

 行政処分は、年2回実施される。過去数年の動向を見ると、2007年度111人、2008年度104人、2009年度91人、2010年度70人、2011年度89人。今回の処分は2012年度の1回目で44人であり、処分人数には大きな変動はない。

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