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東日本大震災:岩手・避難所で歯科治療

岩手県の避難所では、県歯科医師会が県内外の歯科医師や歯科衛生士らの協力を得て巡回診療をしている。23日には同県●町の▽沢小学校で、佐△陽●ちゃん(3)が母あか▲さん(39)に見守られながら診察を受けた。

 診察室は学校の保健室で、ベッド代わりに机の上に毛布を敷いた。陽那ちゃんは被災後、奥歯の虫歯が悪化したが、かかりつけの歯科が津波の被害に遭い、通院できずにいた。あかりさんは「津波で家が流され、仕事も失い経済的にも遠くの歯科まで行く余裕がなかったのでありがたい」とほっとした様子。治療を終えた陽那ちゃんは「ちょっと痛かったけど、歯磨き頑張る」。
旭川歯科医師会からも3名の歯科医師が岩手県の被災地に歯科治療にいっております。

口の中清潔に

阪神大震災の後、肺炎による死亡が相次いだ。震災関連死922人のうち、223人の死因が肺炎だった。当時、診療にあたった歯科医師で神戸常盤大短期大学部の足立了平教授(57)は、口のなかの細菌が肺に入ったことで発症した「誤嚥性肺炎」が多く含まれてたとみている。水やお茶を飲む際、口の中でくちゅくちゅと10回ほどうがいをして飲むだけでも効果はある。「食べかすなどの汚れが取れるうえに、水分を補給できる」しかし、高齢者の場合は、水が肺に入らないように注意が必要という。唾液は加湿に加え、自浄効果もある。唾液分泌を促すため、「唾液腺マッサージ」を勧めている。耳の下からあごの下までの柔らかい部分を指で数秒ずつ押すだけで、口のなかに唾液が出てくる。
            朝日新聞 2011年3月20日

[健保組合] 23年度は9割の組合が赤字、震災により24年度以降もさらに厳しく

健康保険組合連合会は4月21日に、平成23年度健保組合予算早期集計結果の概要を発表した。

  健保組合全体(予算データ報告があった1315組合)の平成23年度経常収支を見ると、収入6兆5492億円に対し、支出7兆1581億円で、6089 億円の大幅赤字となる見通し。これは、「過去最悪だった22年度予算(6621億円の赤字)に次ぐもの」と健保連は強調している赤字組合は1292組合あり、全体の89.3%にのぼっている。

  支出のうち、拠出金・納付金は合計で2兆8800億円。保険料収入の44.88%にあたり、これは、4割以上が健保組加入者以外のために支出されていることを意味する。また、保険料収入の5割以上を拠出金等に充てざるを得ない組合は372(回答組合の約3割)にのぼる

  こうした重い負担を支えるために、保険料率を上げた組合は527(回答組合の約4割)。協会けんぽの料率(9.50%)以上の組合は、84(回答組合の6.39%)ある

  健保連では、「震災により賃金・賞与が落ち込み、保険料収入が減少する。一方で、高齢化の進展により拠出金等は増加を続ける。24年度以降、健保組合はさらに厳しい財政運営を強いられる」と見通している

妊娠中の歯科治療 エックス線への心配不要

一般の歯科治療でのエックス線の放射線量は、通常の生活をしていて1年間に人体が浴びる自然放射線量と比べても微量であり、胎児への影響は無視できるレベルです。従って正しい診断・治療のために必要最小限のエックス線撮影をすることに心配する必要はありません。内服薬については、基本的に妊娠中、特に妊娠初期は胎児の器官が形成される時期であるため、使用しないことが望まれます。ただし、薬を使用しないことで母体に悪影響があると考えられる場合(腫れて痛みがひどいようなとき)には、胎児への影響が少ない薬剤を内服して症状の改善を優先させることも考えます。
            福島民友 2011年3月11日

酸性の飲食物で歯に穴

飲食物などに含まれる酸により、歯の表面が溶けてしまう「酸蝕歯」。進行すると冷たいものが歯にしみる知覚過敏や、虫歯のような痛みを引き起こす。原因となる酸性飲食物は、炭酸飲料やかんきつ類など、私たちの食生活に深く根付いた身近なものばかり。予防には、食生活の習慣を見直して、過剰摂取や不適切な飲み方、食べ方を改めることが大切だ。対策として①酸性飲食物の摂取後は水やお茶で口をすすぐ ②軟化した歯が削れるのを防ぐため、摂取後30分は歯磨きを控える ③デンタルガムやフッ素入りの歯磨き剤で歯質を強化する。
            毎日新聞 2011年3月4日

日歯、被災地訪問し意見交換 ”最大限の支援”を約束

日歯の大久保満男会長と村上恵一専務理事、柳川忠廣常務理事は4月7日(木)~10日(日)の4日間、高木幹正日歯連盟会長とともに東北地方太平洋沖地震で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島各県の被災地を訪ね、被災地区会員を激励した他、意見交換等で状況把握に努め、最大限の支援を行っていくことを約束した。
       日歯広報 4月15日 1530号

舌痛症の診断・対応

舌通症はいわゆる口腔内科的疾患で、ドライマウスに次いで、多い疾患である。広義には舌が痛いという症状があれば舌痛症ということになるが、近年、原因不明でいわゆる心因性のものを1次性とし、原因が明らかなものを2次性とすることが提唱され広く受け入れられつつある。2次性の原因として最も多いものが、カンジダ菌の増殖である。カンジダ菌の増殖による舌痛では、通常のスワブ検査によりカンジダ菌の検出されないことが多く、肉眼所見やカンジダ検査所見で1次性と誤って診断のされてしまうこともある。また、カンジダ菌の増殖がストレスにより誘導されることから、基本的には1次性の舌痛症であっても、カンジダ菌の増殖が症状を悪化させていることも少なくない。これらのことから、舌痛を訴えてきた患者には、治療的診断として、まず抗真菌剤によるカンジダ菌の除去を行い、改めて1次性か2次性かを再考する必要がある。明らかな2次性舌痛症の場合には、原因の除去により症状の改善を目指すことが鉄則であるが、1次性と診断された場合には、100%の治療というものがないために、症状の改善には複数の治療法の試みや併用などの工夫が必要である。1次性舌痛症の治療とした様々な方法が試みられてきたが、治療効果のエビデンスが示されているものに、薬物療法として、抗うつ剤、aリポ酸、カプサイシン製剤、漢方薬などの投与、心理療法として認知行動療法がある。抗うつ剤、特にSSRIやSNRIによる薬物療法と認知行動療法は、高いエビデンスレベルが実証されてきているが、他の治療法は有効性のエビデンスが否定している報告が多く、必ずしも信頼できる治療法とは言いがたい。抗うつ剤の処方は、薬物の選択から始まり、副作用に関する問題、薬物の中止について一定の知識や臨床経験が必要であり、認知行動療法もある程度熱練が必要であることから、日常に歯科臨床での対応には困難の伴うことも少なくない。そこで、姑息的ではあるが、舌痛の緩和に有効なものにスプリント療法がある。舌痛症患者の多くに食いしばりがみられることから、その症状の緩和に有効であるのみならず、とりあえずスプリントを装着しておくと痛みを感じないという患者が多い。このことは、痛みを感じる付近の触覚を刺激すると痛みが分散されるという心理学的理論(ゲートコントロール理論)によってある程度説明できるものと思われる。これらの治療や対処の前に、1次性舌痛症では、心理社会的な問題をかかえている患者が多いことと、痛みが第3者に理解されないということにフラストレーションを抱えた患者が多いことから、心身医学療法の基本である、支持的精神療法を行うべきであろう。支持的精神療法は「受容」「支持」「保証」からなっているものであるが、医療面接の基本的態度である「受容」「共感的態度」が基になっている。すなわち、1次舌痛症では、まず、患者の話をじっくり聞くことで症状の緩和をみる例の多いことも理解しておくべきだろう。

肺炎患者が増加傾向に 「マスクと歯磨きを」

石巻赤十字病院(宮城県石巻市)で東日本大震災後、肺炎で入院した患者が昨年同期比5~6倍の約150人に上り、このうち少なくとも11人が死亡したことが19日、病院への取材で分かった。

 粉じんや乾いたヘドロから舞う化学物質が原因とされる肺炎や誤嚥(ごえん)性肺炎が増えているとみられ、矢内勝(やない・まさる)・呼吸器内科部長は「外出時は必ずマスクをつけ、食後は歯磨きやうがいをして口の中をきれいにしてほしい」と呼び掛けている。

 同病院よると、震災当初は、津波をかぶったことによる低体温症が原因の肺炎や、飲み込んだ海水が肺に入り炎症を起こす「津波肺」の患者が多かった。

 誤嚥性肺炎は寝ている間に飲み込む唾液の一部が口の中の雑菌とともに気管支に入り発症するケースがあり、震災1週間後ぐらいから、空せきや、たんがからんだようなせきをする患者が増えた。特に高齢者の患者が多く、同病院は避難所生活による体力低下も影響しているとみている。

 矢内部長は「詳しい原因は調べてみないと分からないが、避難所では歯磨きするのも難しいところがあり、口の中が汚れがち。さらに寝ている時間が長くなるため、雑菌の多い唾液が肺に流れ込む可能性が高くなる」と分析する。

 肺炎患者は、津波被害の大きかった沿岸部の気仙沼市立病院(宮城県気仙沼市)や岩手県立宮古病院(岩手県宮古市)でも増加しており、東北大の貫和敏博(ぬきわ・としひろ)教授(呼吸器内科)は「高齢者は糖尿病や心臓疾患などの持病がある人が多く、肺炎を併発する危険性が高いので注意が必要だ」としている。

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