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歯科医院に4千万賠償命令 抗菌薬使わず感染症

抜歯後に抗菌薬を投与されず、感染症から顎の骨髄炎になったとして、名古屋市の40代男性が名港鈴木歯科医院(同市港区)に約1億8500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は15日、医院に約4千万円の支払いを命じた。

 判決理由で永野圧彦(ながの・あつひこ)裁判長は「強い痛みが持続していたことから感染症を疑い、抗菌薬を投与すべきだった。十分な予防措置をしなかったため、抜歯後、菌に感染、骨髄炎に進行した」と医院の責任を認めた。

 男性側は流動食しか取れなくなり、完全に労働能力を失ったと主張したが、永野裁判長は「労働能力への影響が大きいとは言えない」として、失われたのは35%と判断した。

 判決によると、男性は2004年8月、医院で親知らずの抜歯手術を受けたが、激痛で再受診。医院は消毒をし、鎮痛剤を処方しただけだった。その後、別の病院で「下顎(かがく)骨骨髄炎」と診断され、流動食しか食べられない状態になった。