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令和8年度改定に向けた在宅医療に関する議論を開始

大杉和司中医協委員
第615回中央社会保険医療協議会総会が8月27日、都内で開催され、令和8年度診療報酬改定に向けて「在宅(その1)」の議論が行われた。
総会では、厚労省から資料説明が行われた後、日歯常務理事の大杉和司委員が、在宅歯科医療を取り巻く状況や歯科訪問診療の実施状況等に係る課題に関し、総論的意見と要望を行った。
大杉委員は、今後の在宅歯科医療の需要増に対し、質の高い在宅歯科医療の提供体制を推進、強化する方策が喫緊の課題と認識していると発言。1歯科診療所あたりの歯科訪問診療の実施件数は増加しているものの、実施施設割合は居宅、施設、病院ともに約2割に満たない状況であり、かかりつけ歯科医に通院していた患者が、通院できない状況になる等の環境変化に対し、切れ目なく継続的に歯科医療を提供する体制を構築していくことが不可欠との見解を示した上で、以下の3点について要望した。

▼特に居宅における歯科訪問診療の供給が十分でなく、これまで以上に実施歯科医療機関を増やしていく方策が重要である。令和6年度改定では、歯科訪問診療1における20分の診療時間要件が撤廃されたものの、施設で1名を診る予定が、現場で急遽要請を受け、もう1名追加で診る場合に、1名を診る点数と2名を診る点数が乖離するなどの課題があり、歯科訪問診療1および2の取扱いに関し、現場の状況に応じた柔軟な運用を求めた。
▼在宅療養支援歯科診療所が微増であることに加えて、令和6年度改定で新設された「在宅療養支援歯科病院」の届出施設は22病院にとどまっている。地域における在宅歯科医療提供への関わりとして、歯科診療所を後方から支援する役割をさらに充実するなど施設数の増加に向けた検討を求めた。
▼令和6年度改定で新設された「複数名訪問歯科衛生指導加算」について、実際には複数名での指導が必要な状況にもかかわらず、算定実績が少ないため、必要な患者に効果的に提供できるよう検討を求めた。