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入れ歯紛失 命の危険

避難生活が長期化する中、突然の地震と津波で入れ歯をなくしたまま過ごす高齢者らの健康面が心配されている。食料や衣類の不足などに比べ軽視されがちだが、阪神大震災では口腔内の衛生悪化が肺炎を引き起こし、地震関連死につながったケースも。被災地では歯科医らが懸命に診療にあたっている。
 医療関係者が懸念するのは口腔ケアの不足により、避難生活で免疫力が低下した高齢者に肺炎が広がること。実際に阪神大震災では、入れ歯を紛失したり、水不足で洗わなかったりして、口の中の細菌が増えた高齢者に「誤嚥性肺炎」が多くみられた。神戸市によると、避難生活で持病が悪化したことなどが原因で亡くなった震災関連死約920人のうち、約4分の1を占めた肺炎の中には、誤嚥性も目立った。
                  東京新聞 2011.4.1

北海道・災害支援ナース、高齢者ケア手探りで

東日本大震災の被災地には、専門知識を持つ多くの「支援のプロ」が駆け付けている。日本看護協会の「災害支援ナース」もその一つで、4月末までに全国から936人が派遣され、北海道からは東日本で東京(67人)、埼玉(42人)に次ぎ多い40人の看護師が現地入りした。4月中旬、宮城県石巻市で支援に当たった岩見沢訪問看護ステーションの三原清美さん(46)は「今後は福祉系など、いろいろな職種の人の力が必要になる」と語る。

 6~7割が高齢者で、病歴も、受けていた医療も分からない――。4月8~11日、三原さんが赴いた避難所の小学校の当時の状況だ。震災直後は約700人に上った避難者は約70人に減っていたが、医療や介護が必要な災害弱者が多く残されていた。

 お年寄りの中には、寝具や栄養状態の悪さから床ずれを起こしている人もいた。プライバシーなどに配慮しながら状況を探り、必要なケアをするのが三原さんの役目だった。

 東北人の気質なのか、避難している人は誰もが辛抱強くて遠慮がち。健康状態を尋ねると、熱があっても「私は大丈夫」との答えが返ってきた。「迷惑をかけて申し訳ないと感じているようだった。だからこそ、こちらから看護師の目で、昨日と今日の様子の違いを見つけなければならなかった」と振り返る。

 派遣2日目、前日は問題なく歩いていた60代男性が片足を引きずっていることに気付いた。男性は「大丈夫」と答えたが、何度も聞くと、以前に脳梗塞(こうそく)を経験したことがあり、それ以来飲み続けていた血流改善の薬が3日前から切れていることが分かった。日本赤十字社の医療スタッフに橋渡しして薬を処方してもらったが、症状は改善しない。そこで、病院を手配して検査を受けてもらったところ、脳腫瘍が見つかったという。

 三原さんは09年、看護師仲間に誘われて計4日間の災害支援ナース研修を受け、登録をした。震災直後から「いても立ってもいられなかった」といい、被災者の役に立てて「行けてよかった」と話す。北海道看護協会の高橋結子常任理事は「震災前199人だった道内の登録ナースは、3月末には226人になった。登録者の交流会なども開いており、派遣されたナースの経験を共有していきたい」と話している.
2011年5月14日 提供:毎日新聞社

除菌後のGERDは心配無用

ピロリ除菌後の胃酸分泌亢進による胃食道逆流症(GERD)発症を危惧する声がある。しかし、除菌とGERD発症リスクに有意な関連は認められず、GERD患者の自覚症状が除菌で改善するとの報告もある。
ピロリ菌は胃酸を中和し、胃粘膜に炎症を引き起こして消化性潰瘍や癌を引き起こす。そのピロリ菌を除菌すると胃粘膜が修復し、それに伴い胃酸分泌が亢進する。その結果、胃食道逆流症(GERD)が発症しやすくなると一般に考えられている。実際、除菌薬(商品名ランサップ)の添付文書の副作用欄には「胃食道逆流」の記載がある。

 ピロリ除菌とGERDについては、1997年、ドイツの研究者が非GERD患者を対象に除菌群と非除菌群を前向きに調査し、除菌群のGERD発症リスクが高いと報告したことから注目を集めた。

欧米ではGERD増は否定
 しかしその後に行われた、ランダム化比較試験(RCT)では、GERD発症率に関して両群間に有意差は見られなかったとする報告が多い。2010年1月に発表されたメタ解析でも、除菌後に新たなGERDを発症するリスクは、オッズ比1.17(95%信頼区間 0.94-1.45)となり、有意差がないことが確認された

健康まつりと歯の健康キャンペーン

内容 手洗い・脳年齢・内臓脂肪症候群チェック、腰痛防止運動、クイズ、肝炎検査、禁煙・歯科等の相談コーナー他
 日時 6月4日(土)
 場所 大雪アリーナ(神楽4の7)
 他  健診結果やお薬手帳があれば持参
 詳細 健康推進課 ℡25-6315

震災の現場から 口内ケアで感染症予防

避難所暮らしで気をつけなければならないのは、水や歯磨き粉不足から十分な歯磨きができず、口の中で細菌が繁殖してインフルエンザや肺炎、胃腸炎といった感染症を引き起こすことだ。
 高齢者にとって怖いのが「誤嚥性肺炎」だ。細菌の多い唾液や食べ物などが誤って気管に入って起こる。町立山田南小学校の避難所では震災から7日目、歯磨きを十分せず、誤嚥性肺炎をおこして病院に運び込まれた高齢者の男性がいた。
 入れ歯の手入れにも注意が必要だ。就寝前には入れ歯を必ず外し、歯ブラシを細かく動かして磨く。入れ歯に熱湯を注ぐ人もいるが、変形して装着できなくなる恐れがあるのでやめる。誤嚥防止のために、口の周りの筋肉を鍛える方法もある。「あ」「い」「う」と大きく口を開けて1日10回以上声を出したり、舌を前や左右に最低10秒突き出したりする。
                  読売新聞 2011.3.30

訪問歯科診療の今後の新しい姿 戸原 玄

訪問歯科診療にかかわっている方であればよく感じると思いますが、患者さんやご家族、主治医の先生方からの要望は、実のところ”歯を治してほしい”というものではなく”食べられるようにしてほしい”というものが多いのです。
 「噛めない、飲み込めない」という状態は、もちろん歯だけの問題ではありません。歯科治療と並行して摂食・嚥下機能を専門的にみていくことが、今後の訪問歯科治療のあるべき姿であると考えます。
 VE(嚥下内視鏡検査)による精査を行ったうえで、安全に食べられる食形態・量・姿勢を評価しています。ご家族へ指導を行う際には、このようにできるだけ具体的で明確に伝えられる指導が大切なのです。摂食・嚥下障害のある患者さんに適切かつ具体的な指導を、自信をもって行うためには、患者さんに精査を受けてもらえる環境を確保することが大切です。

こども歯みがき教室

 内容 講話、個別歯磨き指導
 日時 5月30日(月) 午前10時から、午後1時から
 場所 健康相談室(第二庁舎3階)
 対象 3歳以下の乳幼児と保護者
 定員 各回6組
 申込 健康推進課 ℡25-6315

口腔ケアをするとき、患者さんの姿勢に目を向けよう!

看護師のYさんは、脳梗塞の後遺症で認知に障害がある70代女性の患者さん
を担当しています。その方は車椅子に座って自分でご飯を食べ、歯磨きもできま
す。ただ、いつも食事や歯磨きの最後になるとゴホゴホとむせてしまうことが気
になっていました。

 そこでいつも患者さんの口元や手の動きばかり見ていたのを、少し引いて患者
さんの全体を見るようにしたのです。すると、あることに気づきました。

「あっ! 姿勢がだんだん左の方に傾いている……」

 左半身に麻痺のある患者さんは、動きが鈍くなる左側へと姿勢が少しずつ崩れ
ていたのです。患者さんの姿勢をきちんと直してあげたところ、むせることがほ
とんどなくなりました。

 これまでは寝たきりの患者さんのほうが手も目もかけなければならないため、
気をつけて見ていたというYさん。今回の出来事をきっかけに、自分の意志で体
を動かせる患者さんにも同じように注意を払わなければいけないことを、再確認
できたといいます。

 Yさんのように、半介助が必要な患者さんの“姿勢”を一度見直してみるとよ
いかもしれません。

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