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厚労省 大企業の健保に高齢者医療負担増を提案 厚労省、新聞各紙

10月6日(月)厚生労働省は社会保障審議会 医療保険部会で、後期高齢
者医療制度の財源をめぐり、加入者の収入が高い大企業などの健康保
険組合に拠出金負担を多くする「総報酬割」の全面導入を提案した。
年内に議論をまとめ、来年の通常国会に関連法案の提出を目指す。後
期高齢者の医療費約15兆6,000億円(2014年度)のうち約4割は、大企業
の健保組合、中小企業の従業員らが加入する「協会けんぽ」など現役
世代の保険料から拠出されている。健保ごとの拠出額は加入者数と加
入者の月収に応じて決めているが、厚労省案では月収のみを基準にす
る方式に改める。新制度により協会けんぽは最大約2,400億円の負担
減となり、健保組合は約1,500億円、公務員らの共済組合は約1,000億
円の負担増となる試算、これにより協会けんぽへの国庫補助を減らす
ことができる。同省はその分を市町村が運営する国民健康保険の赤字
対策に回し、国保の運営主体を市町村から都道府県に移し、国保財政
を安定させたいと考えている。この動きに対し健保組合側は「健保に
加入していない後期高齢者を現役世代のお金で支える仕組み自体がお
かしいのに、負担増は全く納得できない」(健康保険組合連合会白川
修二副会長)と反発している。今後の議論が注目される。

私立大学歯学部 2015年入試 始まる

私立の歯科系大学は全国に17校ある。各大学とも優秀な学生の確保を
めざして様々な選考方式を実施しているが、推薦入試はすでに9月より
開始。同窓会、指定校、AOなど多くの方式で実施されている。また、
学士、帰国子女、外国人等に特に採用枠を設定している大学もある。
1~3月の一般入試についても前期、後期と複数あり、センター入試併
用試験なども導入されている。選考試験が十数回に及ぶ大学もあり、
受験生にとっては受験方式についても選択の幅が拡がっている。学費
についてもここ数年、減額の傾向にあるが、最近では多くの大学が特
待生制度を採用している。成績など一定の基準を満たすことで学費の
一部または全部を免除する制度である。ついに今年は定員の約1/3に相
当する30名を特待生として入試募集する大学も出現した。趣旨は人物、
成績、健康ともに優秀で他の学生の模範となる特待生を選抜し、全学
生の学力向上を奮起奨励することを目的とするとしている。定員の確
保は非常に重要な問題であるが、9月から来年の3月まで半年間に渡り
多数の選考試験が各大学でおこなわれること、それに費やされる資本、
労力を考えると少し、複雑な気持ちになる。

各私立歯科大学入試日程と要綱はこちら
http://www.shikadaikyo.or.jp/

スーパーグローバル大学創成支援事業 日本学術振興会

世界ランキングトップ100を目指すカのある大学や、先導的な試みをし
て日本のグローバル化を牽引する大学の強化を図るため、文科省が制
度化し、日本学術振興会が主幹している事業「スーパーグローバル大
学創成支援」平成26年度公募結果が9月26日(金)公表された。今回は37
校が採択され、歯学部を有する大学は7校、北海道大学、東北大学、東
京医科歯科大学、大阪大学、広島大学、九州大学、岡山大学が選ばれ
ている。本事業では、世界ランキングトップ100を目指す「トップ型」
と、これまでの実績を基に先導的試行に挑戦する「グローバル化牽引
型」の2つを設け、それぞれ13校、24校を採択した。各大学の具体的な
取り組みとして、一層の国際化、在学中の留学、海外研修の充実のた
め、研修海外拠点および提携校を増やし研究実習、臨床実習の経験者
を増加させること、英語を用いた授業の質保証を図るための教員への
対策などがあげられている。

日本学術振興会ホームページ
各大学の採択案の内容など公開されています。
http://www.jsps.go.jp/j-sgu/

基金・来年度予算対応を協議

都道府県歯科医師会専務理事連絡協議会が9月3日(水)、歯科医師会館で開催され、「新たな財政支援制度(基金)の進歩状況及等並びに地域医療構想」「平成27年度厚労省予算概算要求」について、厚労省と都道府県歯専務理事との間で活発な意見交換が行われた。また、未入会者対策プロジェクトチームで検討した現時点での未入会者対策案を示し、理解と協力を求めた。
                           日歯広報 2014.10.1

食物アレルギー・アナフィラキシー対応研修会

標記の研修会が開催され、全道各地から600人ほどが参加し、アレルギー疾患への対応・エピペン取り扱い等について研修を行った。講師は、国立病院機構相模原病院臨床研修センター、アレルギー性疾患研究部長「海老沢元宏」氏。
 子どものアレルギーの症状は様々であって、
 ①症状は人によって様々
 ②症状はいつも同じとは限らない
 ③発見時に症状が軽くても、重症になることもある
 食物アレルギーの子ども達が安全に生活するために私たちには何ができるのか?
 行政等では、
 1.適切な診断と必要最小限の除去指導
 2.指導表の作成
 3.教員や職員への研修
 学校では、
 1.食物アレルギーの症状を知ること
 2.症状出現時の対応ができること
 3.エピペンを使用できること
 4.事故防止のためのシステム作り
 保護者は、
 1.診断の見直し
 2.情報共有(保護者-学校-医療機関)
 3.学校のレベルに合わせた対応

医事雑感 食べる喜び ご近所のお医者さん

 老人ホームなどの入居者に対するアンケート調査で、日常生活の関心事で一番にあげられるのは、食事といいます。高齢者にとって、食べることは何よりの楽しみです。

 Zさんは70歳を過ぎた女性で、脳梗塞(こうそく)で倒れました。一命は取り留めたのですが、左半身不随と認知障害が残りました。嚥下(えんげ)も困難となり、直接胃に栄養を入れるための胃ろうが作られました。病状が安定したので、急性期病院から回復期リハビリ病院に転院となりました。転院当初は、ほとんど寝たきりの状態で、表情も乏しく、意思疎通もはかれない状態でした。

 摂食嚥下の専門家である言語聴覚士(ST)と栄養サポートチーム(NST)が協力して、Zさんの嚥下訓練を始めることになりました。まず、レントゲン透視を用いて、嚥下状態を評価すると、水分ではむせるものの、ゼリー状のものは、何とか飲み込むことができました。ゼリー状の栄養食を少しずつ試みることにしました。

 寝たままでは飲み込みができませんので、座位になる訓練から始める必要がありました。座った状態で、ゆっくりと、STがゼリー食を食べさせました。日に日に食べる量が増えました。1カ月ほどで、柔らかいものなら嚥下できるようになり、表情が明るくなりました。簡単な会話も可能となりました。自助食器を使って、利き腕の右手で食べる訓練も始めました。NSTは必要な栄養量を計算して、胃ろうからの注入を減らしてゆきました。

 さらに1カ月ほどたった頃には、時間をかけて全粥(ぜんがゆ)刻み食を完食するまでになり、胃ろうは必要なくなりました。この頃には、夫が来ると、自分から会話を交わすようになりました。嚥下訓練を続けながら、車椅子にも挑戦しました。

 リハビリの効果もさることながら、食べることの喜びが、めざましい回復につながったように思います。半年後には、毎食にかかる時間が30分以内となりました。車椅子での自力移動も可能となり、退院の日を迎えました。夫は「こんな日が来るとは奇跡としか思えません」と言って、病院を後にしました。

人が受ける最後の医療

 第13回警察歯科医会全国大会が8月23日(土)、「人が受ける最後の医療~警察・医科・歯科の連携~」のメインテーマの下、全国から537名の歯科医師と関係者の参加を得て、徳島県のホテルクレメント徳島で開催され、大規模災害時における警察・医科・歯科を始めとした「多職種連携の重要性」への理解を深めるとともに、歯科医師としての使命・役割などについて議論を交わした。
                          日歯広報 2014.9.15 1628号

診療所のスプリンクラー、普及いまだ進まず 福岡市の医院火災から1年

10人が死亡した福岡市博多区の安部整形外科の火災から11日で1年。火災をきっかけに初期消火に有効なスプリンクラーの必要性が指摘された。国は病院や有床診療所に対する設置義務の拡大に動き、補助金も創設したが、普及は思うように進まない。経営が苦しい有床診療所が求める低コストの「簡易型スプリンクラー」の設置基準などを定める法令整備が遅れ、ブレーキをかけている実態がある。

 昨年10月11日未明に火災が発生した整形外科にはスプリンクラーの設置義務はなかったが、未設置だったことが被害拡大につながったとの指摘が相次いだ。

 このため総務省消防庁は7月、消防法施行令などの改正案をまとめ、2016年4月から自力避難が困難な患者がいる病院と有床診療所は面積にかかわらずスプリンクラー設置を義務化、簡易型スプリンクラーも一定面積以下の施設に設置を認める方針を示した。既存施設には10年間の経過措置を設ける見込み。

 厚生労働省もスプリンクラーを設置する医療機関に1平方メートル当たり1万7千円の補助金を出すことを決め、昨年度の補正予算には約100億円を計上した。

 従来型のスプリンクラーの設置には1平方メートル当たり3万5千円前後かかり、施設側に数百万円もの負担が生じるケースが多い。全国有床診療所連絡協議会は、コストが従来型のほぼ半分で済む簡易型を認めるよう国に働き掛けてきた。

 厚労省は6月末、簡易型を含め、申請があった約2100施設のうち約600施設に助成を内示。ただ、消防庁は当初、簡易型の設置基準などを盛り込んだ改正消防法施行令などを8月中に公布予定だったが、「条文の調整」を理由に遅れている。このため、施設側と消防署との事前協議が進まず、内示後も着工できないケースが多いようだ。

 福岡市や長崎市は「法令が公布されるまでは、判断のしようがない」と説明。鹿児島市は、今後、設置基準などが変わる可能性があることを説明した上で、施設側との事前協議に応じるとしている。

 関係者の間では、法令整備後に設置希望が集中した場合、業者の施工能力の限界から対応が遅れることへの懸念も漏れる。

 一方で、有床診療所連絡協で防火担当理事を務める田坂健二医師(福岡市)のもとには、内示を受けた全国の医師から「補助枠を大幅に超える工事見積もりで困っている」という相談が連日寄せられている。簡易型でも、想定外に多額の自己負担が必要な見積もりを示す業者もあるという。

 3割が赤字経営とされる有床診療所には死活問題。同連絡協は「多額の負担が必要なら、いったん補助金を辞退するように」と呼び掛けざるをえない状況だ。

 火災はきょう起きるかもしれない。田坂医師は「患者の安全が第一だが、厳しい経営状況の中で借金を抱えるようでは入院受け入れをやめる施設が出かねない」と、早期の解決を訴える。

 

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