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医療と介護の一体的提供へ

日歯始め7団体62名が一堂に会し、「地域における医療と介護の一体的提供・歯科の役割~平成24年度診療報酬・介護報酬の同時改定に向けて~」をテーマに集中討議した役員合宿勉強会が7月28日(水)、29日(木)の両日、歯科医師会館で開催され、超高齢社会下での医療と介護の一体的提供に向けた今後の方向性として、
 ▽人の基本的な営みである「食べること」と「体を動かすこと」の二つを連動させた国民運動を関係団体と連携して展開し、高齢者の生きがいを支える▽在宅歯科医療を推進し、要介護者などに対して切れ目のない歯科医療を提供することで、食べる、会話をするなど、高齢者のQOLの向上と社会性の確保を図り、「歯科医療」から「介護」を支える、の二つを宣言した。
                       日歯広報 8月5日

ニンニクを食べた後のにおい、どうにかしたい

ニンニク臭対策にいいといわれる牛乳やヨーグルトはどうか。食品機能化学が専門の西村弘行・東海大学副学長によれば、ニンニク臭成分は脂に溶ける性質があり、牛乳の脂肪分に溶けてにおいを覆い隠す可能性があるという。
 口臭はどうして発生するのか。口臭外来を設けている鶴見大学歯学部付属病院(横浜市)を訪ねた。「口の中には何億もの細菌がいて、その細菌が食べかすや舌の上皮のかすなどを分解した代謝物が口臭の原因」と同学部講師の中川洋一さん。口臭外来ではニンニクなどの一時的なにおいではなく、硫化水素やジメチルサルファイドなど口臭の主な3つの「腐敗臭」を調べる。
 口腔内にためた呼気にこの成分がどれくらい含まれるかで口臭の有無がわかり。口臭のある人の9割以上は口腔内に問題があり、残りが内臓疾患などによる肺からの呼気ににおいだという。胃が悪い人は口臭があるとよく耳にするが、「胃の入り口は普段は閉じており、胃の中のにおいではない」
 市販のケア商品でさっぱりしたのは液体洗口剤。アルコールの刺激で口の中が痛くなるが、今回に限ってはその刺激とミントの香りがもわっとした口にいい感じ。ニンニクと真っ向勝負するイメージで頼もしい。今回試したのは20の方法。普段も使えるなと思ったのはカテキン濃度が高いお茶、チョコレート、リンゴなど。ただ、ニンニク臭は完全には消せないこともわかった。
                  日本経済新聞 2010.7.10

唾液で病気が分かるの? がんやエイズがわかる。精度が課題の病もある。

日米の大学が、がんを見つける方法を共同で開発した。まだ実用化されていないけど、唾液に含まれる成分を調べ、それぞれのがんに特徴的な物質の濃度を測る。膵臓がんや乳がん、口腔がんを見分けられるそうだ。

唾液でわかる病気(研究中も含む)
 がん、エイズ、肝炎、過敏性腸症候群、慢性疲労症候群、アルコール依存症
働き
 食べ物を消化する、細菌や病原微生物に抵抗する、虫歯を防ぐ、舌に味覚を感じさせる
                    朝日新聞 2010.7.6
 

たんの吸引などの試行事業案を了承―厚労省検討会

厚生労働省の「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」(座長=大島伸一・独立行政法人国立長寿医療研究センター総長)は8月9日、4回目の会合を開き、前回会合で同省が提示した「たんの吸引等の試行事業案」を大筋で了承した。これに伴い、来年3月には全国約40か所の事業所で試行事業が実施される。
 「たんの吸引等の試行事業案」では、事業を実施する施設として、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、有料老人ホーム、障害者(児)支援施設など(医療施設は除く)や、訪問介護事業所で「できる限り行う」と提案。また、全国約40か所の事業所で約120人の介護職員を対象に事業を実施する方針も示された。ただ、いずれの施設も、介護職員数人に対し、3年以上の実務経験を持ち、指導者講習を受講した看護師を配置するなどの条件を満たす必要があるとしている。

 介護職員が手掛けられる医行為としては、「たんの吸引(口腔内と鼻腔内、気管カニューレ内部。口腔内については、咽頭の手前まで)」と「胃ろう・腸ろう・経鼻の経管栄養」としている。ただ、胃ろう・腸ろうの状態確認(1日1回)や、経鼻経管栄養のチューブ挿入状態の確認は看護職員が行うとした。

 介護職員に対しては、「たんの吸引と経管栄養の両方を行う場合は、50時間の講義と、それぞれ5回以上演習」などの基本研修と、看護師の指導を受けながら所定の実習を行う実地研修が施される。なお、試行事業に参加できるのは、研修を終えた介護職員のうち、所定の評価基準を満たした職員だけと定められている。

 この試行事業案に対し、ジャーナリストで国際医療福祉大大学院教授の黒岩祐治構成員は「50時間の講義は、(働いている介護職員にとって)非常なマイナス」とし、技術の有無を判定する基準を設け、その基準を満たした人材に医行為を認める制度の導入を提案した。しかし、他の多くの構成員からは「50時間の研修時間が多いか少ないか、この内容でやってみてから判断すればよい」(太田秀樹・医療法人アスムス理事長)などとする声が上がり、試行事業案は了承された。
■医行為をめぐる議論、結論持ち越し

 試行事業案の了承に先立ち、たんの吸引や経管栄養を医行為から除外すべきかをめぐる議論が再燃した。三上裕司構成員(日本医師会常任理事)は「医行為の範囲の明確化をやらなければ、実際の議論はできない」と改めて主張。これに対し、「口の中だけは医行為でないとか、奥は医行為だとか、現実に線は引けない」(太田構成員)との意見のほか、「医療というものがかかわらなくなる可能性のある、誰でもできる行為になるのは全然望ましくない」(内田千恵子・日本介護福祉士会副会長)とする意見も上がり、医行為の範囲についての結論は持ち越された。
( 2010年08月09日 22:04 キャリアブレイン )

訪問診療 高まるニーズ

通院できない患者の自宅や施設に、歯科医が赴く訪問診療の充実を求める声が上がっている。寝たきりや認知症の高齢者、障害者らのニーズがあるが、訪問診療を手掛ける歯科医は少ない。
 公的医療保険の適用には制限があり、コストもかさむからだ。訪問診療に取り組む歯科医は「歯科難民を減らすため制限撤廃が必要」と訴えている。
                    河北新報 2010.7.3

心と食を支えるお口のケア認知症について考える②

 認知症における食の問題としては①自分で食べない、②食べてもすぐに止めてしまう、③口を開けてくれない、④食事を口の中にため込んだまま飲み込まない、⑤他の方の食事を食べてしまう、⑥ティッシュなどを食べてしまう、など多数あげられますが、これによって低栄養状態が引き起こされかねません。
 このような認知症の方の健康を支えていくために重要な役割をなすのは、認知症を抱えている家族であり、周囲の人々となります。認知症に関しての口腔ケアのエビデンスは未だ確立していないと言われています。
                      北海道経済 8月号

心と食を支えるお口のケア認知症について考える

「口」は様々な役割と機能を持ちますが、健康を維持する栄養面だけではなく、楽しく、美味しく、安全な食事、さらには人と人のコミュニケーションに必要な会話や感情表現を演出する役割もあり、特に高齢者では、日常生活において保守すべき中心的な器官の内の一つとして認識されています。
 近年「口の健康」を守るケアの方法や器具は数多く考案され、要介護高齢者の「口の健康」を取り巻く環境は改善の方向に向かっています。しかし、認知症の方には残念ながらこれらの恩恵が、効果的に行き渡っていないのが現実であって、その原因に「認知症への理解の不足」があるようです。
 認知症の「口の健康」を支えるためには、認知症に特化した特別な手技や器具は基本的に必要ではなく、むしろ認知症の方々の個々の特徴を理解することが必要不可欠とされています。
 認知機能の障害のない方や軽度に認知機能の低下が見られる方は、従来どおりの歯磨きができますが、除々に口腔の清掃度合いに”むら”が生じてきます。中等度になると簡単な清掃はできるものの複雑な清掃が困難になり、一部介助が必要でも介助の受け入れは自尊心が障害となり困難を極めるときがあります。
 高度の認知症になると通常の清掃行為が困難になり、不快感を極力軽減するような配慮が必要となります。また、同時に食事に関しても食に対する意欲の低下、摂食・嚥下機能は保持されているが一口の量や、食べる速度が不良となり食べこぼしなども出現してきます。

のみ込みやすさ 調理から

東京都豊島区の特別養護老人ホームにはそしゃくや嚥下(飲み下し)に問題のある人が16人いる。管理栄養士や介護職、看護師らは、管から栄養をとる「胃ろう」にせず、なるべく口から食べてもらう方法を歯科医の助言を受けて検討。姿勢の取り方、料理の盛り付け、介助道具の選び方などに様々な工夫を凝らす。
 軟らかく調理した食事の合間に「かりかり」とスナック菓子をほおばるのは、95歳の女性だ。忘れがちなそしゃくを促しているのだ。誤って気管に食べ物が入る誤嚥を、口に食べ物を多く入れすぎることで起こしやすい人には、食べ物を小分けにしたり、小さいスプーンを使ったりもする。
「口から」の取り組みが介護施設でほろがる一方、在宅高齢者への支援がほとんどないのが実情だ。歯科医や歯科衛生士、管理栄養士、ケアマネージャーらが、口から食べるのが難しい在宅高齢者を早めに見つけ、対応する活動を展開している。「今は家族に【食】に対する意識やこだわりがないと、食べられなくなったらすぐ胃をうに、となってしまう。在宅のお年寄りを支える地域のネットワークを作りたい。」
                 読売新聞 2010.6.25

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