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胎児の微笑、世界初撮影

お母さんのおなかの中にいる赤ちゃんがほほ笑んでいる様子を、超音波診断装置を使って撮影することに聖心女子大の川上清文教授(心理学)らの研究チームが成功した。国際的な基準に沿って「微笑」と判断されたのは、人間の胎児では世界で初めてという。
 もっとも幼い赤ちゃんの微笑を見せたのは、23週と1日目の胎児。神奈川県鎌倉市で産婦人科を開業する矢内原巧医師とともに約3分間撮影したところ、計6回、1回あたり平均4.7秒の微笑を見せた。
 この微笑は「自発的微笑」といわれ、外的な刺激と無関係に表れる。新生児にもみられる。唇の端が上がっている状態が1秒以上続くことなどが、国際的な判定基準とされる。人の笑顔などに反応する「社会的微笑」とは区別される。
 自発的微笑がなぜ起きるのかは不明だが、川上教授は「進化した動物には自発的微笑が見られる。この微笑がいつ始まっていつ終わるかという点に、情動の進化を解明する手がかりが隠されているかもしれない」と話す。(12月30日/読売新聞)
(院長談)
 胎児が指を吸っている超音波は、よく出ていますので画期的だと思います。

子育て「夫婦同等に分担すべきだ」74%朝日新聞社調査

朝日新聞社が「家族」をテーマに面接方式による定期国民意識調査(全国世論調査)を実施した。子育てを「おもに担うべきなのは夫婦のどちらか」という形で質問したところ、「おもに妻」との意見は23%にとどまり、「夫婦同等に」が74%と大きく引き離した。男女間で意見に差はなく、20~50代では8割前後と多い。
 また、子供手当てについて、所得税の配偶者控除や扶養控除の廃止方針(来年度予算案では一部見送り)とセットであることを前置きした上で賛否を聞くと「賛成」53%が「反対」37%を上回った。支給対象の子供がいない人でも、賛成が48%と反対43%より多く、子育ては家族だけでなく社会全体で支えていこうという考えも広がっている。
 いまの社会で、親が子に身につけさせるべきものは何かを4つの中から1つ選んでもらったところ「思いやりや協調性」(53%)が最多で「礼儀や規範意識」(31%)が続いた。「個性や自立心」(12%)、「知識や競争力」(2%)は少なく、自分を際だたせるよりも、人間関係に役立つ能力を身につけてほしいという思いがうかがえる。(12月27日/朝日新聞)

未婚あるいは結婚に満足していない男性は脳卒中の死亡リスクが高い

未婚あるいは結婚に満足していない40~65歳の就労男性は、脳卒中の死亡リスクが高いことが報告された。1万人余の男性を対象にした1963~1997年までの34年間の調査で明らかになった。イスラエルのテルアビブ大学のUri Goldbourt氏(写真)が、2月24日から26日まで米サンアントニオで開催される国際脳卒中学会(ISC2010)で発表した。

 Goldbourt氏らは、結婚歴および結婚の満足度と脳卒中との関係を検討するため、1963年に行われたイスラエル虚血性心疾患試験に着目した。この試験に参加した国家公務員および自治体職員1万59人の男性(40~65歳、平均年齢49.2歳)は、86%がヨーロッパ、北アフリカ、中近東からの移民だった。結婚については、82.3%に一度の結婚歴があり、12.8%に2度以上の結婚歴があった。また、235人(2.3%)は結婚したことがなく、257人(2.6%)に離婚、別居あるいは死別歴があった。

 調査では、2年後の1965年に、被験者(8945人が回答)を対象に自己の結婚の満足度を尋ねている。その結果、43%が「非常に満足している」、45%が「かなり満足している」、8%が「それほど満足していない」、3.6%(323人)が「満足していない」と答えていた。

 死亡については、1997年までの死亡原因を、国の死亡登録書と身分証明書および被験者の氏名とを照合して確認した。なお、死因については、国際疾病分類(ICD-8、ICD-9、ICD-10)により決定した。

 調査の結果、1997年までに未婚男性492人のうち343人(69.7%)が死亡したのに対し、既婚男性では64.9%(9537人中6191人)が死亡していた(不明30人)。未補正の脳卒中致死率を求めたところ、未婚男性が8.4%、既婚男性が7.1%となった。

 これを時間変数として脳卒中死亡時の年齢を用い、社会的経済的地位(SES)指標、体格指数、血圧、喫煙習慣、家族規模およびベースラインでの糖尿病と冠動脈性心疾患の有無について補正を行い、Cox比例ハザードモデルを求めたところ、既婚男性に対する未婚男性の脳卒中致死率のハザード比は、1.64(95%信頼区間;1.18-2.30)となった。

 さらに、結婚の満足度を回答した既婚男性で、1965~1997年の脳卒中致死率の補正推定ハザード比を求めたところ、「非常に満足している」と答えた男性を1とすると、「かなり満足している」と回答した人で1.18(95%信頼区間;0.98-1.41)、「それほど満足していない」と回答した人で1.09(同;0.79-1.49)、「満足していない」とした人で1.64(同;1.11-2.43)となった。既婚男性では、結婚に満足していない人を除くと、長期の脳卒中リスクが低い結果となった。

 なお、未婚あるいは結婚に満足していない男性の脳卒中死亡リスクは、それぞれのベースラインでの糖尿病の有無と関連があった(ハザード比=1.65、95%信頼区間;1.30-2.09)。

 演者らは、なぜ未婚あるいは結婚に満足していない男性の脳卒中死亡リスクが高いのか、さらに検討を重ねる意向だ。

(日経メディカル別冊編集)

肥満の子供、全年齢で減少

5歳~17歳を対象とした文部科学省の学校保健統計調査で、肥満の子供の割合がすべての年齢で前年度から減少したことがわかった。
 全年齢で減少したのは1977年度の調査開始以来初めて。ここ数年で肥満は減少、逆にやせ気味の子が増える傾向にあり、同省は「規則正しい食生活の浸透やスタイルを気にする子の増加が原因では」とみている。
 今年4~6月、抽出で70万人を調査。標準より2割以上体重が重い肥満の割合は、年齢別では15歳が10.32%で、前年度比1.22ポイント減と減り幅が最大。
 一方、330万人を対象の調査では、視力が「0.3未満」の小学生の割合が7.3%(同0.2ポイント増)で過去最高だった。視力調査の始まった79年度(2.7%)と比べて2.7倍に上り、同省は「ゲームやインターネットの普及の影響とみられる」としている。(12月17日/読売新聞)

 “口から食べたい”という想いは、患者さんを前向きにする     

急性期病棟に入院していた四郎さんは、胃ろうの患者さん。「口から食べてないんだから」と口腔ケアを拒否していました。誤嚥性肺炎の予防と話しても納得しません。口のまわりを拭くケアしかできぬまま、一般病棟へ移ることに。
6人部屋をたずねたKさんは、四郎さんがジッと何かを見つめているのに気がつきました。視線の先にあったのは、同部屋の患者さんがプリンを食べる姿。
「プリンが好きなの?」。Kさんの声に、四郎さんはハッと振り向きます。「また来たのか。俺は、コーヒーゼリーが好きなんだ」とぶっきらぼうに答え、娘さんが幼い頃作ったコーヒーゼリーの話をしてくれました。
その話を聞き、チャンスだと思ったKさん。
「ちゃんと口腔ケアをすれば、コーヒーゼリーを食べられる可能性がありますよ」と伝えると、四郎さんは「えっ、ほんとか?」と真剣な顔で聞き返しました。Kさんの説明を聞き、ボソッとこうつぶやいたそうです。
「信じてみるか」
念願のゼリーを食べてもいいと許可がおりたのは、本格的なケアをスタートした1ヶ月後でした。ゼリーをゆっくり味わった四郎さんに「よかったね」と声をかけると「次は寿司だな」とニヤリ。初めて見せた笑顔だったといいます。
「最初は、すべてにおいてなげやりな患者さんでした。でも、“もう一度口からゼリーを食べたい”と思った日から変わったんですよ」
“こうなりたいという目標や希望を持つことで、患者さんが前向きになる”。
 そう実感してから、患者さんを元気にするヒントを見つけようと些細な言動を気に留めているKさん。真剣な眼差しに、患者さんへの想いが表れていました。

旭川歯科医師会の小学校等でのフッ化物洗口によるムシ歯予防への取り組み

 旭川歯科医師会の小学校等でのフッ化物洗口によるムシ歯予防への取り組みは、水道水へのフッ化物添加と異なります。フッ素入り洗口液でのブクブクうがいであって、うがい後は口から出しますので基本的に体内に蓄積されません。
 平成21年に北海道と旭川市は、それぞれ「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例」と「小学校等におけるフッ化物洗口を推進する決議」を相次いで採択しました。これらは、市民の皆様が旭川歯科医師会の活動に関してご理解、ご協力を頂けますよう御願いいたします。
                北海道経済 2010.3月号

流産:妊娠中と授乳と「無関係」

 授乳をすると子宮が収縮し流産になるとして、明確な根拠がないまま国内の産科医療機関で中止を指導されることの多い妊娠中の授乳について、浜松市の産科医が、授乳は流産と無関係とする論文を日本産科婦人科学会の学会誌に発表した。
 石井第一産科婦人科クリニックの石井広重院長は、96~2000年に同院で第2子の妊娠が確認された20~34歳の女性のカルテをもとに分析。
 第1子が満期産(妊娠37週以上42週未満に出産)で流産の経験がない人で、授乳中だった110人と、授乳していなかった774人を比較。授乳群で流産は全体の7.3%に対し、授乳しない群は8.4%で、有意差はなかった。石井院長は「母乳育児は母子双方にメリットがあり、禁止すべきでない」話す。(12月6日/毎日新聞)

認知症の人の支援に「地域のつながり」を

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認知症介護研究・研修東京センター(本間昭センター長)は2月17日、東京都内で「認知症の本人から学ぶ―本人なりの対処と求めている支援とは」と題して、今年度の認知症対策総合研究事業の報告会を開いた。静岡県富士宮市在住で、アルツハイマー型認知症と診断された佐野光孝さんや妻の明美さん、2人と地域で接する仲間が登壇し、認知症の人が求める支援の在り方について語った。
 光孝さんは2007年夏、58歳の時に若年性認知症と診断された。勤めていた会社の上司から仕事上の間違いを指摘され、医療機関での診断を勧められたことがきっかけだという。当初、近所の人や友人などには認知症のことを黙っていたが、光孝さんに気持ちの整理がついたことを契機に打ち明けた。すると、夫婦2人の気が楽になった上、近所の人や友人からこれまで以上の支えがあったという。「いろいろな人たちに支えられたおかげで、今まで通り過ごせるようになった」と明美さん。また、同センター研究部副部長の永田久美子さんは、「つながりを大事にしていけば、まだまだ地域で生きていける」と指摘した。

 光孝さんは毎朝5時に起床し、朝食のご飯を炊く。「五感を使う」生活を心掛けているため、できる範囲で家庭内の仕事を担当しているのだという。また、新聞記事を切り抜いてノートに張り、その文章を書き写す。「(誤字がなく)完璧と言われるとうれしい」と話す光孝さんが、これまでに作成したノートは10冊以上。永田さんは、単なるトレーニングではなく、毎日の生活の中で「できること」を続けることが重要と強調した。

 また光孝さんは、以前営業職に就いていた経験を生かし、観光客に地域の名店や名所などを案内するボランティアを務めている。夫婦で市役所を訪ねた際に対応した保健師が、関係各所と連絡を取り、その日のうちに就任が決まったという。永田さんは、「観光ボランティアとして活躍していることも大事だが、そこにどうつながったかという流れが大事。そうした流れがあれば、認知症の人も地域につながって活躍できる」と強調。また、同市職員の稲垣康次さんは、「(認知症の)佐野さんが観光ボランティアをやっていることが、富士宮の財産だ」と語った。

 このほか、地域で「認知症サポーター養成講座」の講師役「キャラバン・メイト」を務める水谷たか子さんは、光孝さんと接する中で、「(これまで)本当に認知症の方の気持ちが分かって、サポーターの養成講座を開いてきたのか」と疑問を感じたという。永田さんは、認知症の人との付き合いを通じて、本人にとって本当に必要な支援が生まれると強調した。
更新:2010/02/17 20:55  キャリアブレイン

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