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奥歯ない高齢者「動脈硬化のリスク2倍に」

奥歯を全て失った高齢者は、全部ある高齢者に比べて動脈硬化になるリスクが約2倍に高まることが、厚生労働省研究班(研究代表者=前田芳信・大阪大歯学部付属病院長)の調査でわかった。

 研究班は「奥歯がない人は、かみにくい緑黄色野菜などの摂取量が減るためではないか」としている。

 研究班は、大阪大や東京都健康長寿医療センターなどの研究者らで構成。高齢者の歯と健康との関係を明らかにするため、2010年から各地の70歳~100歳以上の2300人を追跡調査している。

 今回、兵庫県内の70歳代の男女約500人について上下左右に4本ずつ計16本の奥歯の状態と動脈硬化との関係を調べた。奥歯が全部ある265人で動脈硬化が見つかった割合は約4割だったのに対し、全て失った121人では約6割だった。喫煙や歯周病などの要因を除外した上で比較したところ、奥歯がない人は、ある人に比べて1・87倍、動脈硬化になりやすいとの結果が出た。

ダイエット、減らすなら炭水化物より脂肪? 米の研究

同じカロリーの食事なら、炭水化物より脂肪を減らした方がダイエット効果が高い――こんな研究結果を米国立保健研究所(NIH)などの研究チームが13日、発表した。ご飯やパンなどの炭水化物を減らすと体脂肪の燃焼率は高まるが、低脂肪の食事のほうが体脂肪そのものの減少量は7割近く増えた。流行中の「低炭水化物ダイエット」にも一石を投じそうだ。

 米専門誌セル・メタボリズム電子版に論文が掲載された。肥満と診断された成人男女19人(平均年齢35・4歳、平均体重106キロ)が計2回、2週間ずつ専用施設に滞在。炭水化物か脂肪のどちらかを減らしてカロリーを3割抑えた制限食を提供し、一定の運動を毎日続けてもらった。2回目の滞在では制限食の種類を変え、効果の違いを比べた。

 その結果、体脂肪の減少量は、炭水化物を減らした場合で1日に53グラム相当、脂肪を減らした場合で89グラム相当。約1・7倍の開きがあり、ダイエット効果に差があることが裏付けられた。

 ただ、研究チームは、あくまで短期的な実験に基づくもので「長期間続けた場合にはあてはまらない」としている。炭水化物を減らすと体内の脂肪が消費される割合が増えるため、半年以上続ければ似たような効果になるとの試算もある。実際のダイエットでは「食事制限のしやすさや長続きできるかどうかが重要な要素になる」とも述べた。

「やぶ医者」大賞を募集 へき地医療に貢献する若手医師が対象

兵庫県養父市は、「やぶ医者」の語源が「養父にいた名医」だったとの説にちなみ、昨年創設した「やぶ医者大賞」への応募を受け付けている。へき地医療に貢献する若手医師が対象で、受賞者2人に奨励金50万円などを贈る。

 へき地医療に携わる魅力の発信や若手医師の育成が目的。応募資格は、へき地の診療所か公立の病院に5年以上勤務する医師か歯科医師で、今年4月1日時点で50歳未満。自治体や医師会などから推薦を受ける必要がある。応募者は本年度から3年間、審査対象になる。

 養父医師会の井上正司会長や京都大大学院の中尾一和教授、兵庫医科大の小谷穣治教授らが審査員を務める。受賞者は11月28日、養父市で開かれる表彰式に出席し、講演する。

 同市のホームページにある申込用紙で8月31日までに同市へ郵送する。同市保険医療課TEL079・662・3165

ハードチーズにむし歯予防の効果あり。口内の酸性化を防ぎエナメル質を保護。

 アメリカの研究機関『Academy of General Dentistry』は、12歳から15歳の子どもを3つのグループに分け、各グループの歯の表面に付着している歯垢のPH値を測定。それぞれのグループにチェダーチーズ、無糖ヨーグルト、牛乳を食べさせた。その後、口をゆすぎ、歯の表面に付着している歯垢のPH値を10分後、20分後、30分後と測定。その結果、ヨーグルトと牛乳を摂取した子どもはPH値に変化がなかったが、チーズを食べた子どもは食後のPH値が高くなった。この研究機関によると、チーズはPH値を調整する唾液の分泌を促進するため、アルカリ性が強まるのではないかとのこと。
 また、チーズの含まれるリン酸カルシウムがエナメル質の脱灰化を減少させ初期のむし歯の再石灰化を促すこと、タンパク質のカゼインがエナメル質を保護し、ミュータンス菌の付着を抑制するするとも言われている。食後にハードチーズを2~3口よく噛んで食べると、唾液にチーズの成分が溶け出して効が果的とのことだ。これまで、ヨーグルトの乳酸菌が歯周病予防に効果があるとの研究結果もあったが、チーズにも以外な効果があったことが判明した。むし歯の原因は食事にもあるというが、食べ物に対してさらなる研究に期待したい。

第二大臼歯の未萌出、異常萌出は咬み合わせの悪さも影響しているか。

一般的に、第二大臼歯(12歳臼歯)10~12歳で萌出すると言われているが、近年、18~19際の年齢層においてさえも、第二大臼歯の未萌出や半萌出が報告されている。しかしその理由については明らかにされていなかった。そんな中、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野の森田学教授、大学院生の大森智栄らの研究グループは、同大保健管理センターの岩崎良章准教授と共同で行った横断研究で、第二大臼歯の生え方に異常がある人は咬みあわせの異常が多いことを発表した。

歯科医院を併設したランニング研究所を立ち上げた金哲彦さん 「時の人」

地方の市民マラソン大会に出場する傍ら、プロランニングコーチとして講演やテレビで活躍中。今年、歯科医院を併設したユニークなランニング研究所を東京都内に立ち上げた。「今は実験段階だが、一般の人向けに助言できる拠点にしたい」と準備に余念がない。

 ランニングマシンは自ら改造した。走るときに正面、側面、真上、後ろからカメラで撮影。姿勢や着地の際に脚に加わる力を科学的に分析する。

 「かみ合わせが悪いと、生活の質が低下する」。歯科医師で妻の林幸枝(はやし・ゆきえ)さん(48)が歯の矯正を担当。歯ぎしりは走りにも影響を及ぼす恐れがあるとして、睡眠中のマウスピース着用を提案する。練習方法を含めた生活上のアドバイスをすることも検討している。

 北九州市出身。高校の先輩の勧めで早稲田大へ。故中村清(なかむら・きよし)監督との出会いで才能が開花した。「ニトログリセリン(心臓病の薬)を飲みながら、命懸けで指導する迫力に魂を揺さぶられた」

 箱根駅伝5区山上りで2年連続区間賞。現役引退後に実業団の監督をしたが、当時は企業の経営悪化で陸上部が「冬の時代」。クラブチームのNPO法人を設立したものの「資金集めが大変」と振り返る。

 42歳で大腸がんを患い、死を意識した。だが気持ちを切り替えた。「同じ病気の人が走っていると、つらいことを乗り越えた心のつながりを感じる」。11月の栃木県の大田原マラソンで「3時間切り」を目指す。「テレビで宣言しちゃったから」と笑った。51歳。

介護利用、588万3千人 14年度、過去最多

 2014年度に介護予防と介護サービスを利用した人が過去最多の計588万3千人だったことが6日、厚生労働省の介護給付費実態調査で分かった。13年度を22万2500人上回り、本格的に調査を開始した03年度と比べて約1・6倍に増えた。高齢化が進み、利用者数は右肩上がりの状態が続いている。

 介護サービス別の内訳では、通所介護が前年度比9万7千人増の184万5千人、訪問介護が2万8千人増で142万人だった。施設サービスの利用者は、特別養護老人ホームが62万人、老人保健施設は53万9千人といずれも増加する一方、介護型療養病床は10万5千人で、前年度から7千人減った。

 受給者1人当たりの給付費(今年4月審査分)は、介護予防サービスが4万1千円、介護サービスが19万1300円。都道府県別で見ると、介護予防サービスは福井の4万4千円が最も高く、介護サービスは沖縄の21万2400円が最高だった。

入れ歯、セラミックス製が急伸 自然な風合い、生産増強

自然な見た目の「セラミックス製入れ歯」が好まれるようになり、化学メーカーが素材の生産に力を入れている。特に注目しているのがジルコニアだ。高価格ながら金歯・銀歯の金属製から主役の座を奪いつつあり、高齢化による需要増にも期待する。

 東ソーは3日、2017年4月末までに山口、三重両県の工場で、ジルコニアの生産能力を約3割増やすと発表した。いま、最も販売増が見込める入れ歯素材だ。同社が1983年に光ファイバーのコネクター用などとして世界で初めて商業生産化した。入れ歯には00年ごろから欧州で使われ始め、国内でも05年以降、使われている。

 金銀並みの強さを持ちながら、自然な風合いを出せる。たばこのヤニなども再現でき、自分の歯と並んでも違和感がない。金属アレルギーの心配もない。保険適用外のため、1本10万~15万円と金属製より1~2割ほど高いが、東ソー広報は「高くてもいいものをと選ぶ人が増えている」と説明する。これまでは主に奥歯で使われてきたが、最近は前歯にも使いやすい素材を開発した。

 素材を仕入れて歯科医院向けに入れ歯を成形する事業を持つクラレは、表面の透明性を向上させたジルコニア製の新商品を7月から欧米で発売した。国内でも今秋に売り出す。広報は「材料の変化は世界的な流れ」。同社によると世界でのジルコニア製の市場規模は年約160億円にまで伸びた。年2千億円前後とされる金属製からの入れ替えはさらに進むとみる。
2015年8月5日(水)配信朝日新聞

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