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アプリ「健口(けんこう)チェック」を公開-日歯プレスリリース

6月13日、日本歯科医師会は、誰もが気軽にお口の状態を確認できるアプリ「健口(けんこう)チェック」を公開した。

 同アプリは、歯科健診が義務化されていない働く世代などを対象に、小規模事業所などでも歯科口腔保健に関するスクリーニングができるように開発したもので、スマートフォンを活用して、自身の口腔内の問題点に気付くことができるのが特徴。          


▽【プレスリリース】アプリ「健口(けんこう)チェック」
https://www.jda.or.jp/jda/release/detail_221.html

日歯連盟 「太田執行部の役員を発表」 副会長には村上、岡村、大越の3氏

日本歯科医師連盟の第148回定時評議員会が開かれ、太田謙司 氏を会長とする次期執行部の役員人事が発表された。副会長には村上恵一 氏と村岡宜明 氏と大越壽二、理事長には浦田健二 氏が就任する。任期は令和5年7月1日から令和7年6月30日まで。

 高橋英登 会長は評議員会の冒頭の挨拶で、今月末日で任期が終わるとし、「2年前の執行部発足時は、コロナ禍で何度も波が訪れて、会員の先生方には厳しい中で診療を継続していただいていた。ワクチン接種の問題など多々ある中で、会員が安心して診療できるための組織として、どうにかして持続的に安定して経営できる環境を整えなくてはいけないと、執行部一丸となって頑張ってきた」と振り返った。


 さらに、物価高騰や賃上げの対応、医療DXの急速な推進など課題が山積みしているとし、「国に物を言っていかないと、どんどんと押し流されていく。国はいまだに秋には保険証を廃止すると言っている。在宅診療をしている人はどうするのか、読み取り機の開発もまだ途上」と国への要望を行う重要性を強調。「以前から日歯と日歯連盟で連絡協議会を行なっていたが、もっと手を組んで施策を進めていくのが大きな目標」と語った。


【歯科通信】

「訪問に使えるシステム開発中」

 日本歯科医師連盟顧問の比嘉奈津美 参議院議員は居宅同意取得型でのオンライン資格確認について、「モバイル端末等でのマイナンバーカードを読み取るシステムを開発している」と進捗状況を説明した。
 
 訪問診療でオン資を導入する際の対応では、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めていく中で、医療機関だけでなく、訪問診療を行う居宅などでもオンライン資格確認を実施できる仕組みを新たに構築し、来年春ごろから運用開始を目指しているとのこと。居宅同意取得型でのオンライン資格確認について、「医療関係者が持参したモバイル端末等でマイナンバーカードを読み取り、本人確認と同意を取得する方法を検討している」と話した。また、アンドロイド端末に搭載されたマイナンバーカードに対応できる仕組み作りも目指しているとした。
 
 なお、歯科を取り巻く環境を改善するために必要なことについて、比嘉氏は「まずは物価高騰。歯科衛生士や技工士など1番の収入源は診療報酬である。非常に疲弊している状況のため、処遇改善をするべく、物価高騰やDX化に対する支援もしていただきたい」と述べた。


【歯科通信

歯「80歳で20本」は51% 22年、厚労省の実態調査

80歳で自分の歯が20本以上ある人の割合が2022年は推計51・6%だったことが29日、厚生労働省の歯科疾患実態調査で分かった。16年の前回調査から0・4ポイント増えた。歯周病が進行した状態である4ミリ以上の歯周ポケットがある人は全年代の47・9%に上った。

 20本は、入れ歯なしにほとんどのものを食べられる目安で、厚労省は「8020運動」として、高齢者の口腔(こうくう)ケアを推進している。

 調査は22年11、12月、全国で地域を抽出し、2709人に歯科医による診察やアンケートを実施した。20本以上の歯がある人は75~79歳で55・8%(前回比0・3ポイント減)、80~84歳で45・6%(1・4ポイント増)だった。85歳以上は38・1%で12・4ポイント増加した。80歳の割合は75~84歳の結果から推計した。

 過去1年間に歯科検診を受診した人の割合は58・0%。女性は63・1%で、男性の52・1%より高かった。男性は30~40代の受診率が低い傾向があった。毎日歯を磨く人は97・4%で、前回から2・1ポイント増えた。毎日2回以上磨く人は79・2%だった。

マイナ不具合でも3割負担 厚労省、患者窓口10割回避 病院不足分補填

マイナンバーカードと一体の「マイナ保険証」の不具合により「無保険扱い」となった患者が医療費10割を請求される問題で、厚生労働省の対策案が分かった。医療機関に対し、患者の自己負担を本来の3割などにするよう求める。その後、加入保険を確認できなくても、病院などが残りの医療費を受け取れずに不足が生じないよう補填(ほてん)する。関係者が28日明らかにした。

 29日にマイナ保険証の厚労省推進本部で議論し、月内にも医療機関などに通知する見通し。

 厚労省は保険証がなくても保険診療を受けられる災害時と同様の仕組みを活用。患者は本来の自己負担分で済む。マイナ保険証を巡る国民や医療現場からの批判をかわしたい考えだ。

 無保険扱いとなる要因は、転職などによる加入保険変更の反映遅れや、カード読み取りや通信のトラブルなど。

 対策案では、マイナ保険証に不具合があり、従来の健康保険証も持参していない場合、医療機関はマイナカード券面の顔写真や生年月日などで本人確認をした上で、患者に3割分などを請求。患者は医療機関に保険の加入情報を申告、国の審査機関がこれを基に確認した上で、患者負担分を除く診療報酬を医療機関に支払う。

 一方、無保険などで加入保険が不明のままとなるケースも想定される。この場合は通常、医療機関に診療報酬が支払われないが、特例的に健康保険組合など各保険者間で負担を分け合い対応する。

 加藤勝信厚労相は20日の記者会見で「保険料を払っている人が3割などの負担をした上で必要な保険診療が受けられ、医療機関には追加的な経済的負担をかけないようにする」と述べていた。

歯周病菌が虫歯にも関与か

 歯周病菌の一種が、従来考えられている虫歯のメカニズムを増強していることが分かったと、米ペンシルベニア、ノースカロライナ両大の研究グループが発表した。

 虫歯は、口中の糖を使って虫歯菌(ミュータンス菌)がつくる酸がエナメル質を溶かすのが原因と考えられている。研究グループが3~5歳の子ども計300人の歯垢(しこう)を採取、分析した結果、「セレノモナス属」という一群中の特定の菌が、ミュータンス菌と出合うと強力な膜をつくって保護し、虫歯を加速させていた。この過程は動物実験でも確かめられたという。

 研究者は「効果的な歯磨きなどで保護膜を壊すことが(予防の)一つのアプローチになる」とコメントしている。

マイナ保険証「無効・該当資格なし」65.1%が経験、1万施設回答

 全国保険医団体連合会は6月21日、記者会見を開き、約1万施設への調査で、マイナ保険証トラブルを経験したのは65.1%に上るという最終結果を公表した。トラブルの内容は、マイナ保険証で「無効・該当資格なし」との内容が最多で65.1%、その対応法として「健康保険証で資格確認した」が74.9%で最も多かった。

 資格確認できず、医療機関の窓口でいったん10割を請求したのは、38都道府県1291件、「他人の情報がひも付けされていた」が31都道府県114件と、トラブルは各地域で発生している。その他、他人の顔でもマイナ保険証が認証された事例が把握できただけでも3件、障害者手帳のひも付けミスなども発覚している。

 衆参両院の国会議員に対して緊急アンケートを実施したところ、回答があったのは62人で回答率は10%に満たず、自民、公明両党の議員からは回答がなかった(6月14日~20日に実施)。62人の回答は、保険証について「廃止に反対」が55人(88.7%)、マイナ保険証を起点とするオンライン資格確認システムの運用について「いったん停止して総点検すべき」が57人だった(91.9%)。

 保団連会長の住江憲勇氏は、▽さまざまなトラブルが噴出する中で、個人にとっての機微情報に富む医療情報をマイナンバーカードにひも付けることの危険性、▽申請主義の資格確認書により無保険者を作り出す懸念、▽ヒューマンエラーを起こさない制度設計を政府は怠りながら、さまざまなトラブルをヒューマンエラーに矮小化し、現場に責任を押し付ける政府の危機管理意識の欠如、▽結果として国民にとっても、医療現場にとってもマイナ保険証の利用は危険であり、利用に堪えない状況になっている――という4点を指摘。

 住江会長は、「直ちに運用停止、全件チェック、全容解明し、解決策および再発防止に取り組み、それを国民に明らかにすることこそが、政府が取るべき喫緊の課題だ」と訴えた。

 保団連では、今秋にも衆議院の解散を想定し、「待合室から健康保険証を存続させるキャンペーン」を実施する。具体的には、▽保険証廃止法案に対する各党採決結果を記した待合室掲示用ポスター、▽保険証廃止知っとくパンフレット(マイナ保険証トラブル回避法、資格確認書などを現時点の到達に基づき患者に分かりやすく解説したパンフレット)、▽ショート動画(記者会見参加医師、歯科医師の発言を素材としたショート動画)、▽国会質疑での各党の姿勢、個別議員アンケート――などを作成、展開する。

消毒薬の特徴は?

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 ポビドンヨードは「乾くまで」と習った人も多いかもしれませんが正確には、殺菌効果が出るまで2分程度かかることを理解します。手で仰いで早く乾かすなどは意味がなく、2分以内に穿刺や処置を行ってしまうと適切な消毒ができていないことになります。

 アルコール含有製剤を手指消毒に使用したとき、手に小さな傷があるとすごく痛い思いをしたことはありませんか。アルコールには刺激性があるため健常皮膚への使用が主で、特に患者の創部に使用してはいけません。後述のここがピットフォールで述べますが、引火性に注意することも重要です。

 クロルヘキシジンは濃度が重要で、例えば創傷部位の消毒には0.05%が使用されますが、誤って0.5%を創傷に使用するとショックが起きることがあります。0.5%以上の濃度のものは健常皮膚への使用になります。また、中心静脈カテーテルを挿入する際は、0.5%より濃い濃度を使用することを「CDCガイドライン」では強く推奨しています1)。中心静脈カテーテル挿入時の消毒薬で、2%クロルヘキシジンアルコール製剤とエタノール含有ポビドンヨードを比較し前者はカテーテル関連感染(CRBSI)発生率が少ないという研究2)もありますが、消毒薬濃度や含有アルコールが本邦のものと異なる点に注意が必要です。CRBSI発生率に有意差はありませんでしたが、1%および0.5%クロルヘキシジンアルコール製剤がポビドンヨードよりも有意にカテーテルコロナイゼーション(菌汚染)が少ないという本邦の文献もあります3)。近年、本邦でも1%クロルヘキシジン製剤が販売されました。クロルヘキシジンは濃度に注意して使用してください。

 オラネキシジンは2015年に発売された新規の消毒薬で抗菌力も強く期待されていますが、現在は手術時のみの使用となります。

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