記事一覧

震災遺児に歯列矯正…日本臨床矯正歯科医会が無償で

公益社団法人・日本臨床矯正歯科医会は今年度、東日本大震災で親が死亡した子どもを支援するため、無償での矯正歯科治療を実施する。

 対象者は2011年3月11日時点で20歳未満で、震災で両親または父、母のいずれか一方を亡くした子ども。全国に430ある同会会員の歯科医院で、食べ物をよくかめるように歯列を整える治療を行う。治療は数年にわたることもあるが、費用は同会が全額負担する。募集人数は5人まで。13~14年度で計6人の支援を行っている。問い合わせは同会事務局((電)03・3947・8891)まで。

インプラントも歯槽膿漏になるの? 歯と口の健康アラカルト

スウェーデンにあるルンド大学の教授であったブローネマルクが、1952年にチタン金属が拒否反応を示すことなく骨と結合すること=オッセオインティグレーション=を発見し、その後イエテボリ大学にて研究し、純チタン製のデンタルインプラント(以下インプラント)を開発しました。65年には純チタン製のインプラントの臨床応用が開始され、今現在50年余りが経過します。

 彼の功績は、ノーベル賞にも値し「デンタルインプラントの父」と呼ばれたのですが、昨年12月20日享年85歳でこの世を去りました。

 現在、ブローネマルク教授が開発したブローネマルクシステムを基に、世界中でさまざまなインプラントが開発され、その数は100種類以上、コピー品も含めると300種類を超えるとも言われています。今では、これらのインプラントも多くの患者様に受け入れられ市民権を得るようになりました。その構造もまた先に述べたオッセオインティグレーションを更に強固なものとして進化を成し遂げ、顎骨(がくこつ)の中での安定性と成功率を高めています。

 しかしながら、歯槽膿漏(しそうのうろう)(歯周病)により歯を失ったような患者さんの場合には口腔内に歯周病菌が多く存在するため、インプラント治療を行った際、再びそこにプラークが付着し歯周病菌が繁殖しやすい環境となります。つまり、インプラントの歯周病=インプラント周囲炎である感染症に罹患(りかん)するのです。

 これを防ぐためには、日頃から口腔内のブラッシングをしっかりと行い歯周病菌を減らしておく事が重要です。

アセトアミノフェン、腰痛に無効

Machado GC,et al.Efficacy and safety of paracetamol for spinal pain and osteoarthritis: systematic review and meta-analysis of randomised placebo controlled trials.BMJ. 2015 Mar 31;350:h1225.

 脊椎痛および変形性関節症へのアセトアミノフェンの効果を、無作為化プラセボ対照試験13件のシステマティックレビューとメタ解析で検証。アセトアミノフェンは腰痛の疼痛強度および障害の軽減または生活の質の改善に無効で、変形性膝・股関節症の疼痛および障害に対する効果は有意だが臨床的意義がないことを示す質の高いエビデンスが得られた。

【原文を読む】
British Medical Journal

飲めずに「残薬」、山積み 高齢者宅、年475億円分か

高齢者宅から薬が大量に見つかる事例が目立っている。「残薬」と呼ばれ、多種類を処方された場合など適切に服用できず、症状の悪化でさらに薬が増える悪循環もある。年400億円を超えるとの推計もあり、薬剤師が薬を整理し、医師に処方薬を減らすよう求める試みが広がる。

 大阪府忠岡町の女性(78)宅を訪れた薬剤師の井上龍介さん(39)は、台所のフックにかかった10袋以上のレジ袋を見つけた。「ちょっと見せて」。中は全部、薬だった。

 胃薬や血圧を下げる薬、血糖値を下げる薬、睡眠薬――。10年ほど前の日付の袋に入った軟膏(なんこう)もあり、冷蔵庫にインスリンの注射薬が入れっぱなしだった。錠剤は1千錠を超え、価格に換算すると14万円超にのぼった。

 井上さんは昨夏、女性を担当するケアマネジャー上(うえ)麻紀さん(37)の相談を受けた。上さんによると、女性は糖尿病や狭心症などで3病院に通い、

15種類の薬を処方されていた。適切に服用しなかったので糖尿病は改善せず、医師がさらに薬を増やし、残薬が増える悪循環に陥っていた。

 「高齢で認知能力が落ちている上、3人の主治医が処方する薬が多く、自己管理が難しかったのだろう」。井上さんはみる。

 残薬は使用期限前で、保存状態が良ければ使える。井上さんはそうした薬を選び、曜日別の袋に薬を入れる「服薬カレンダー」に入れ、台所の壁にかけた。約3カ月後、寝室から約25万円分の薬も見つかり、薬の種類を減らすため主治医の一人に相談し、ビタミン剤の処方を止めてもらった。

 在宅患者や医療関係者に薬の扱い方を教える一般社団法人「ライフハッピーウェル」(大阪府豊中市)の福井繁雄代表理事によると、1日3食分の薬を処方されながら食事が1日1食で薬がたまる高齢者や、複数の薬を処方され「何をどう飲めばいいか分からない」と90日分も残薬があった糖尿病患者などの事例が各地から報告されている。

 日本薬剤師会は2007年、薬剤師がケアを続ける在宅患者812人の残薬を調査。患者の4割超に「飲み残し」「飲み忘れ」があり、1人あたり1カ月で3220円分が服用されていなかった。金額ベースでは処方された薬全体の24%にあたり、厚労省がまとめた75歳以上の患者の薬剤費から推計すると、残薬の年総額は475億円になるという。

 慢性病の患者を診ている医師4215人が回答した日本医師会のアンケート(10年)でも、36%が「患者の飲み忘れや中断で症状が改善しなかったことがある」と答えた。

 医師で日本在宅薬学会の狭間研至理事長は「薬を飲んでいない患者に、飲んだことを前提に対応しているわけだから、治療自体が崩壊する。薬代も無駄になる」と話す。薬の処方が必要以上に膨らめば、社会の高齢化が進むなかで医療費の拡大も危惧されるという。

 残薬を減らすため厚生労働省は昨年、薬剤師が受け取る調剤報酬の規定を改訂した。「薬剤服用歴管理指導料」の条件の一つに、薬の飲み残しがないか調剤前に確かめることを盛り込んだ。

 ただ、店頭で薬剤師が口頭で尋ねるのが大半で、厚労省医療課は「家まで行って服薬を管理するなど、薬剤師がどれだけ在宅医療に踏み込むかが検討課題」と話す。

 各地では対策が始まっている。福岡市薬剤師会は「節薬バッグ運動」を進める。市内31薬局で12年、バッグ1600枚を患者に配って残薬の持ち込みを呼びかけたところ、約3カ月で患者252人が約80万円相当の残薬を持ってきた。薬剤師が整理し、安全性が確認された約70万円分の薬を使ってもらった。

 13年には参加薬局を約650薬局に拡大。小柳香織担当理事は「残薬は調べると想像以上。今後も飲み残しを持ち込んでもらい、残薬を減らしたい」と話す。

歯石、精密検査対象外に…歯周病検診見直し

歯周病検診のマニュアル見直しを検討する厚生労働省の専門家検討会は、歯石が付着しているだけの場合は原則として精密検査の対象としないことを決めた。

 現在は同検診を受診した人の約8割が要精検となっており、うち4割程度は歯石が理由とみられる。新マニュアルに基づく検診は、2016年度から本格的に実施される見通しだ。

 現行の歯周病検診は、原則として40、50、60、70歳が対象で、歯石の有無、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)の深さなどを調べている。その結果、歯石があるか、歯周ポケットの深さが一定以上あれば要精検、出血が確認されると指導となり、いずれも歯科医受診が勧められる。

 歯石があるだけでは歯周病とはいえず、歯石を理由に要精検の割合が高くなることには、歯科医師からも疑問が出ていた。ただし、放置しておくと歯周病のリスクを高めるため、歯石除去を促す指導はこれまで通り行う。

 歯周病は、歯肉の腫れや出血などが起こり、進行すると歯が抜ける病気。糖尿病や動脈硬化など全身にも影響を与えているとの報告もある。

 ただ、検診を実施している市町村は全体の6割弱で、受診者は約28万人にとどまっている。

集団応用フッ化物洗口の全国実態調査で国内実施が1万施設、100万人を超える。

フッ化物洗口は優れた公衆衛生特性から、世界的にも広く実施されている。『日本むし歯予防フッ素推進会議』は、『日本学校歯科医会』、『8020推進財団』、『WHO口腔保健協力センター』と共同で行った「我が国における施設での集団応用フッ化物洗口調査」の2014年速報値を昨年10月に発表。それによると、集団応用フッ化物洗口を実施している自治体は全国の53%を占めることがわかった。

「ひたむきに生きて」心臓外科、1万の命預かる=天野篤・順天堂大教授

◇「切る」前から術後管理まで

 初めて心臓手術を執刀してから今年で27年目、経験した手術数はまもなく7000例です。自分の執刀ではないものの管理面などで接した患者も含めると1万例を超えました。

 振り返れば、本当に多くの患者の皆さんに命を預けられたものだと身震いし、同時に心から感謝しています。中には期待以上の健康を回復された方も多い半面、少ないながらも手術をきっかけに健康状態が悪化した方、亡くなられた方もいます。亡くなられた患者の皆さんには本当に申し訳なく思い、わびて済むことではありませんが、改めておわびと合掌をした上で、このコラムを始めさせていただきたいと思います。

 読者の皆さんは、外科では何でも手術で治そうとしていると考えるかもしれませんが、外科医の仕事は手術だけではありません。患者にとって本当に手術が必要か、予定される手術に耐えられる状態かを専門家として検討することも外科医の仕事です。特に、75歳以上の高齢者では体力が低下するので、心臓手術という「人生の一大事業」に耐えられるかどうかを判断しなければなりません。現在は多くの症例から検証された手術の危険性を客観的に示す「リスクスコア」が発達しています。高リスクと判断されても手術しか選択肢がない場合は、体力・気力・意欲向上を目的とした術前のリハビリを計画することも外科医の仕事です。

 しかし、いよいよ手術となれば、外科医は慎重かつ大胆にメスを振るいます。術前の診断で見落としがないかを術野(手術する目に見える部分)で確かめながら、心臓外科では機能障害を起こした部分をよみがえらせて元気な心臓を取り戻すようにします。術野で疾患と症状のつながりを発見し、修復できたときの喜びは格別です。手術中、まだ麻酔がかかっている患者の方が元気で退院される姿が思い浮かぶほどです。

 心臓外科手術のポリシーは「早い、安い、うまい」の三拍子ですが、患者への対応や手術は早く、費用負担、薬剤や医療材料の無駄は少なく、さらに高いレベルの修復と痕が目立たない傷口を目指します。

 手術後の管理も大切です。検査結果の解釈や傷の治り具合だけではなく、術後に患者の方が社会復帰するレールにきちんと乗ったかを大局的に判断します。また、周りへの気遣いのため悪くなるきっかけを患者本人が我慢して黙っていないかどうかを聞き出すことも重要で、この役割は世間話に慣れたベテラン外科医が担います。このように一気に回復に向かうポイントを逃さず、患者の皆さんが前向きに社会復帰できるようにするのが今の私の役目です。

 患者一人一人、手術内容によって入院生活は変わり、若い方と高齢者では大きく異なります。それでもいつか手術したことさえ忘れて健康を取り戻し、思い通りの生活ができる。そんな日を取り戻してもらうために働く毎日は、忙しくてもとても充実した日々と感じています。

………………………………………………………………………………………………………

 ■人物略歴

 ◇あまの・あつし

 1955年生まれ。埼玉県出身。83年日本大医学部卒。亀田総合病院、新東京病院などを経て、2002年から現職。12年に天皇陛下の心臓バイパス手術を執刀したことで知られる。

子どもの誤飲、薬が最多 厚労省「細心の注意を」

厚生労働省は31日、家庭での子どもの誤飲事故に関する2013年度の病院モニター報告で531件(前年度比146件増)の事例が寄せられ、医薬品や医薬部外品を誤飲したケースが96件(同39件増)で最多だったと発表した。死亡などの重篤事例はなかった。

 報告制度が始まった1979年度以来トップだったたばこの誤飲は13年度94件で、薬が初めてたばこを上回った。厚労省は「細心の注意を払ってほしい」としている。

 全国15施設の協力医療機関のうち、9施設の小児科が診察した事例をまとめた。具体例としては、3歳男児がタンスの上にあった抗てんかん薬の錠剤をお菓子と間違えて食べ、ふらつくなどして病院を受診した例があった。1歳7カ月の男児が母親のバッグから風邪薬を取り出して14錠ほど食べ、軽いぜんそくの症状が出た例があった。

 誤飲した物は薬、たばこの他にペットボトルの包装など食品の付属物や、玩具の部品などがあった。年齢別では、生後6カ月から1歳未満が147件と最も多く、1歳から1歳半未満が130件と続いた。

過去ログ