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究極のアナフィラキシー、アドレナリン筋注だけではいただけません アドレナリンはタイミングが命!

症例
 16歳男性。腹痛精査のために造影CTを施行し、ものの1分もしないうちに急変してしまった。顔色は土気色、stridorが出てきた、すぐに全身が真っ赤になってきた。

 A医師によりすぐにアドレナリン筋注が行われた。血圧60/30mmHg、脈110/分。気管挿管は2回目で成功した。5分後改善がみられずアドレナリン2回目の筋注が施行された。抗ヒスタミン薬(H1ブロッカー& H2ブロッカー)およびステロイドも次々に投与された。リンゲル液を急速投与するも血圧は上がってこない。アドレナリンの持続点滴が開始されたが、血圧が改善してこない…どうしよう!

特効薬はアドレナリン! タイミングが大事!
 アナフィラキシーの特効薬はアドレナリン。血管収縮し心収縮を上げる以外に、最も大事なのは肥満細胞から多数の化学物質(ヒスタミン、ロイコトリエン、サイトカインなど)の遊離を抑えてくれることだ。タイミングが命であり、化学物質が全部放出しきってからアドレナリンを打っても、効果は期待できない。
抗ヒスタミン薬、ステロイドはアナフィラキシーではイマイチ
 第一世代抗ヒスタミン薬はかゆみに効果があり、第二世代抗ヒスタミン薬は蕁麻疹に効果がある。「なぁんだ、皮膚にしか効かないじゃねぇか!」と思ったあなた、正解です、ただ心臓にもH2レセプターがあるため、心収縮力は改善する。基本的に皮膚のみならず全身の血管透過性が亢進しているアナフィラキシーでは、抗ヒスタミン薬では効果が期待できない。アドレナリンのほうがはるかに大事。もちろん抗ヒスタミン薬を使用するのはOK。だってアナフィラキシーへの進展を抑える利点はある。

 ステロイドは二峰性のアナフィラキシーを予防するというが、そのエビデンスは乏しく(比較的まれ;0.18~4.5%)、これも即効性は期待できない。二峰性アナフィラキシーはアドレナリンの投与タイミングが遅いとき(>1時間、OR 2.29)や、2回以上アドレナリンを要したときに多い(OR 2.7)という。

 飲み物や食べ物・内服薬によるアナフィラキシーの場合、腸管内にある限りアナフィラキシーが持続する可能性があり、活性炭の内服を考慮する。喘鳴があれば気管支拡張薬の吸入を行う。

アドレナリンの使い方に精通せよ
 アドレナリンはなるべく大きな筋肉に筋注(0.3~0.5mg)したほうが吸収が早い。大腿外側が原則。臀部も筋肉は大きいが皮下脂肪が多く、針が届かないことがある。三角筋は筋肉が小さく吸収が遅い。皮下注は吸収が遅く、論外。

 10倍希釈(1:10,000)したアドレナリンを1mL(0.1mg)ずつ静脈注射する方法もあるが、かなり血圧が低下して危険なときのみに限る。静注は少しずつしたとしても血圧が急上昇することがあるので、なるべく避ける。通常は筋注で十分いける。5~15分で効果がなければ2回目を投与する。小児のアナフィラキシーは大人よりも、2回目の筋注を要することが多い。

 アドレナリン筋注2~3回、十分な輸液をしても、ショックが遷延する場合はアドレナリンの持続点滴(5~15μg/分)を開始する。精密輸液ができない状況の場合、500mLのリンゲル液にアドレナリン1mg(1A)を入れ、1秒1滴で落とすと、7μg/分となる(1mL=17滴で計算)。症状が安定して、バイタルサインが30分間安定したら減量してやめていく。

 α遮断作用のある抗精神病薬でも、アナフィラキシーではアドレナリンが第一選択。2018年にアレルギー学会の後押しにより、アドレナリンはα遮断作用のある抗精神病薬の併用禁忌からはずされた。当たり前のことなんだけどね。血管が広がって血圧が下がったら十分な輸液を追加すればいいだけ。

旭川市が医療チーム4月発足 クラスター教訓踏まえ

】旭川市は新年度、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した市内の施設の支援に駆けつける医療チームを発足させる。4月に市議会に関連予算案を提出する。昨秋以降に市内の医療機関や福祉施設で大規模なクラスターが相次いだ教訓を踏まえた。当時、クラスター施設の応援に入った市内の基幹病院の医師や感染管理認定看護師ら10~15人で構成し、早期の感染封じ込めを目指す。

 チームは施設に入って感染者を治療するほか、感染者と非感染者の利用場所を分ける「ゾーニング」や防護服の着脱指導を行う。クラスターに発展しそうな施設にも赴き、感染対策を主導する。市はあらかじめ登録した人から派遣者を決め、日当を支給する。

卵アレルギーは、インフルエンザ予防接種のリスクを上げるか?

NO!卵アレルギーはリスクとならない
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リスクの強さ
× 強い:リスクとならない根拠があり、インフルエンザ予防接種を受ける児において卵アレルギーはあっても全く問題ない
重要度
★★★★(推奨またはリスクの強さと研修医の正答率を考慮)
要 旨
インフルエンザワクチンは有効である(生後6カ月以上でNNT 22、2歳以上でNNT 5)。いっぽうで、卵アレルギー児に対するインフルエンザワクチン投与後のアナフィラキシーの発生率は、1,000,000回あたり約1回であり、卵を含まない他のワクチン接種の副反応率と変わらない。インフルエンザワクチンによって得られるメリットは高く、有害事象の発生率は低い。したがって、卵アレルギー児もインフルエンザの予防接種をすべきである。

3)唇のお手入れ方法は?

唇はデリケートで、特に乾燥しやすい季節や環境によっては荒れやすいですが、
きちんとケアさえしてあげれば、皮膚よりも早く健康な状態にすることができます。
唇の荒れが気になるときには、こまめにうるおいを与えて、
乾燥から守ってあげましょう。

よくやりがちな次の事には注意!

〇くちびるを舐める (さらなる乾燥をまねきます)
〇リップクリームをゴシゴシ塗り付ける(唇が傷つくことがあります)
〇唇の皮を歯で剥く(無意識が多いかもしれません)


唇のケア方法は次のとおり。
唇を保護して、からだの内側からもケアしましょう

☆リップクリームやバームなどで水分蒸散を防ぐ
☆お口の中の乾燥を防ぐ:唾液が出るように舌の位置を上げるようにする
☆リップクリームの塗り方に注意!
 真ん中から右端左端と4分割して塗る(ゴシゴシ塗らない)
☆胃腸やおなか、腰などを温めると健康的な色になる(冷えに注意)
☆ビタミンB2を摂ってふっくらツヤツヤの唇に
 (ビタミンB2を多く含む食品:レバーやほうれん草、卵、納豆など)

2)マスク生活で唇が荒れる?

マスク生活と唇の荒れにはどんな関係があるのかを調べると・・・

〇マスクをつけて呼吸することで、マスクの内側に水分が溜まる。
〇マスクにこもった水分が吸収されずに残り、
 唇や肌に付着して蒸発するときに、角質層から水分を奪う
〇マスクの中で雑菌が繁殖する
 (長時間同じマスクのつけっぱなしは避けましょう)
〇マスクそのものが皮膚や唇に触れて擦れるという物理的な刺激が原因となる

以上のようなことが重なり、皮膚や唇のトラブルを引き起こされるようです。

お口の健康あれこれ 1)唇と皮膚の違いや特徴

唇は口腔粘膜と皮膚の境界に位置する中間部分のため、
粘膜と皮膚の両方の性質を持っています。
顔のなかでも他の部分の皮膚と比べてデリケートであり、
基本的に荒れやすい器官といえます。
一般的な皮膚と違い毛もない状態で、以下のような特徴があります。

○皮脂線がない
○角質層が極めて薄く、ターンオーバーが早い
 (唇は3~4日。皮膚は28日~56))
○天然保湿因子(NMF)が少ない
○経表皮水分蒸散量が多く乾燥しやすい
○メラノサイトがほとんどなく、紫外線防御機能が弱い

唇は生まれ変わりが早いことから、デリケートで荒れやすい一方、
もし傷めても修復が早いということでもあります。


▼参考:唇が乾燥する原因とケア(チャントアチャーム)
 https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/k06ryip0syzo8968cfXIU
 

過換気症候群【私の治療】

心理的ストレスや発熱、激しい運動などの身体的ストレスによって発作性の頻呼吸が誘発され、PaCO2低下と呼吸性アルカローシスに基づく諸症状を呈する一過性の病態である。

診断のポイント
【考え方】

 鑑別すべき疾患を示唆する所見がないことを確認する。もし症状が発作性でない場合、また努力性でない場合には、過換気症候群は否定的である。過換気発作を生じうる病態には、ほかに循環器疾患(急性冠症候群、不整脈、心不全)、呼吸器疾患(肺血栓塞栓症、気胸、喘息発作、COPD増悪)、代謝性疾患(糖尿病ケトアシドーシス)、甲状腺機能亢進症、てんかん発作などがあり、これらを鑑別除外しながら診断を進める。

【症状】

 頻呼吸と呼吸困難、胸痛、口渇・発汗、手足・口唇のしびれ、テタニー、頭痛、めまい、失神など多彩である。問診上のポイントは、発作の頻度と持続時間、誘因(心理的ストレスになりうる背景)、回復時の状況などである。

【検査所見】

 診察の基本に沿って、バイタルサイン〔意識レベル、血圧、脈拍、体温、経皮的酸素飽和度(SpO2)〕と呼吸音・心音などをチェックする。心電図と胸部単純X線所見に異常がないことを確認する。SpO2の低下を認める場合には、動脈血ガス検査を行い、pH、PaO2、PaCO2、HCO3-の数値から、器質的疾患を鑑別する。特にPaCO2低下と非代償性呼吸性アシドーシスを呈するにもかかわらず、胸部単純X線所見に異常のない場合は、肺血栓塞栓症を疑い、CTアンギオを行う。

私の治療方針・処方の組み立て方
 背景に心理的ストレスに起因する強い不安が存在するので、まずは患者をリラックスさせ、頻呼吸が自然に鎮まる方向へ誘導する。それでも改善が得られない場合や、発作を度々反復する患者には薬物療法を行う。特に症状が著しく強い場合は、他疾患を十分に鑑別した上で、注射薬による鎮静を考慮する。

治療の実際
一手目 :呼吸法の指導

 従来、ペーパーバッグ法が推奨されてきたが、口を覆うことでむしろ不安が増強するので使用せず、適切な呼吸法を指導する。まず、SpO2の値を患者に示しながら“酸欠”ではないことを理解させた上で、呼気時間を5秒以上かけるよう、医療者側も一緒に行ってみせる。過呼吸を抑制するだけで手足のしびれが改善することを落ち着いた口調で説明する。

二手目 :〈一手目に追加〉ワイパックス0.5mg錠(ロラゼパム)1回1~2錠(頓用)、またはソラナックス0.4mg錠(アルプラゾラム)1回1~2錠(頓用)

 呼吸法を開始して30分経過しても症状の緩和が得られない場合は、内服薬を処方する。発作を反復し、しばしば来院する患者への対応は、あくまで対症療法として使用するにすぎないことを説明し、薬剤への依存性が生じないよう注意する。

三手目 :〈一手目または二手目に追加〉ホリゾン注(ジアゼパム)1回5~10mg(筋注)または2分以上かけてゆっくり静注

 投与の際はパルスオキシメーターを装着し、しばらくの間は低換気状態に陥っていないか監視する。

ケアおよび在宅でのポイント
 家族などのキーパーソンへも丁寧な説明を行い、背景因子を一緒に考えてもらう。発作を頻回に繰り返す場合には、精神科や心療内科の受診を勧める。社会福祉上の問題を抱える患者にはソーシャルワーカーや保健所窓口など、相談先を紹介する。

院長解任、広揺 コロがる動ナ禍「連携水差す」 「旭川医科大」

新型コロナウイルス感染拡大で昨年12月に医療崩壊寸前にまで追い込まれた北海道旭川市で、地域医療の中心的役割を担う旭川医科大病院の院長がコロナ患者の受け入れを巡り学長と対立し、解任される事態に発展した。「連携に水を差す」。コロナ禍の中で表面化した"お家騒動"に、患者の受け入れに追われてきた市内の病院関係者の間で動揺が広がっている。

 ▽受け入れ却下

 「学長に軽症のコロナ患者を受け入れるよう求めたが断られた」。昨年11月、市庁舎で開かれた医療対策連絡会。旭川医科大病院の院長だった古川博之(ふるかわ・ひろゆき)氏は、力ない様子で市内の基幹病院の院長らにこう打ち明けた。

 事前の取り決めで旭川医科大病院は重症者を受け入れる役割だったが、市内の慶友会吉田病院でクラスター(感染者集団)が発生しコロナ専用病床が逼迫(ひっぱく)。古川氏の直談判に吉田晃敏(よしだ・あきとし)学長が軽症者の受け入れを却下したことで2人の関係にひびが入った。

 対立が決定的になったのは昨年12月。学長が学内会議で吉田病院について「ぐちゅぐちゅとコロナをまき散らしている」「なくなるしかない」などと述べた音声が外部に流出し、学長は釈明に追われた。大学側は音声が外部に漏れたことを問題視。古川氏は漏えいを否定したが、大学側は音声を流出させたとして今年1月25日付で病院長職を電撃的に解任した。

 ▽混乱拡大

 大学側は古川氏の解任に吉田学長は関与していないと強調するが、処分を決めた役員会のメンバーは学長と長年連れ添った側近で固められている。大学幹部は「解任は学長の意向が反映されていたのではないか」と処分の正当性を疑問視する。

 旭川医科大は2009年に学長任期の上限を撤廃、吉田学長は約14年に及ぶ長期政権を維持してきた。大学経営の黒字化など手腕に定評があるが、学内では教授人事を握り反対派を排除する「恐怖政治」との声も上がる。大学関係者は「一連の問題は長期政権の弊害。ガバナンスが崩壊しており、立て直すにはトップが代わるしかない」と批判する。今月9日には教授ら有志が、吉田学長の辞職を求める署名活動を始めた。

 旭川医科大で拡大する混乱に、市内の医療関係者は危機感を募らせる。保健所幹部は「リーダーシップを発揮してきた古川氏が抜けた。市のコロナ対策に響く」と懸念。旭川医療センターの西村英夫(にしむら・ひでお)院長は「次の感染拡大にも備えなければならない中、内部でごたごたしている場合か」といら立ちをあらわにした。

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