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食道がんのリスク因子となる歯周病菌を特定

歯周病原細菌の一つ「アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス菌」が食道がんのリスクファクターとなる。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科、臨床腫瘍学分野の三宅 智 教授と川崎万知子 大学院生、歯周病学分野の池田裕一 助教らの研究グループが江戸川病院、総合南東北病院オーラルペリオセンターとの共同研究で特定した。

 食道がんは、早期診断が困難で浸潤や転移の頻度が高く、生存率が低いと言われている。同研究成果は国際科学誌『Cancer』オンライン版(11月6日)で発表された。

(日本歯科新聞)

旭川医大、患者受け入れ見送り「学長が判断」 院長証言

 新型コロナウイルスの感染が拡大した北海道旭川市でクラスター(感染者集団)が発生した11月上旬、重症ではないコロナ患者の受け入れを巡り、主に重症患者の担当だった旭川医科大学病院が緊急に受け入れを検討したところ、医大の吉田晃敏学長が許可しなかったと古川博之院長が朝日新聞の取材に証言した。古川院長は「受け入れを検討したが学長の意向を受け結果として見送った」と話している。

 旭川市では11月6日、吉田病院でクラスターが発生。コロナ患者を転院させる必要が出た。そのため、旭川医大病院を含む市内5カ所の基幹病院が8日、受け入れ体制を協議した。

 5病院はもともと、コロナ患者の受け入れを症状に応じて分担しており、旭川医大は主に重症者の担当だった。ただ吉田病院の入院患者は寝たきりの高齢者らが多く、感染した患者にはコロナの症状としては重症ではなくても、転院を急がなければいけない人がいた。そのため、5病院の協議で、旭川医大でも1人を受け入れることにした。

 ところが、協議後に古川院長が吉田学長に受け入れを報告したところ、「許可しない。大学が受け入れるべき対象ではない」と言われたという。11月13日に面談した際は、「『受け入れてもいいが、その代わりお前がやめろ』と言われた」という。

 旭川医大病院は患者の受け入れ体制を整えようとしていたが、学長の方針を受け、「受け入れを見送った」という。古川院長は「納得できなかったが、現場で指揮をする私がやめるわけにはいかない。断念したくなかったが、他に選択肢がなかった」と話す。職員からは「受け入れは地域の病院としての義務なのに」といった声が出たという。

 市内の医療関係者は「医大病院が何らかの理由で吉田病院の患者を引き受けられなくなった、ということはあった」という。その後の吉田病院のクラスター拡大については「旭川医大が受け入れてくれれば状況が変わったかどうかはわからない」という。

■院長「臨機応変な対応すべきだった」 コロナ対応に課題

 旭川医大病院は11月20日以降、旭川市を含む道北地域からコロナの重症患者を受け入れ、現在は中等症以上の患者も受け入れている。また、基幹病院の旭川厚生病院でのクラスター発生を受け、同院で対応できなくなった一般患者も受け入れている。

 古川院長は、今回のコロナ対応では課題が残されたとも話した。旭川市では今年初めの感染拡大を受け、基幹5病院では冬場に向けた対応を検討し、症状に合わせて各院でコロナ病床を増やすなどの対策を取っていた。ただ、徐々に患者が増えるケースを想定しており、今回のような大規模クラスター発生は「予想していなかった」という。古川院長は「臨機応変な対応をすべきだった」という。

 コロナ患者受け入れに関する発言について朝日新聞が吉田学長に確認したところ、旭川医大は「個別の質問には回答しない」とコメントした。

 吉田学長を巡っては、11月17日の学内の会議で吉田病院について「コロナを完全になくすためには、あの病院(吉田病院)が完全になくなるしかない、ということ」などと発言したとされる。「文春オンライン」が今月16日、音声データとともに発言を報じ、吉田学長は17日、自らの発言だと認めたうえで、「発言は、吉田病院の閉鎖等を望むことを意味するものではありません」「不適切な発言であったと深く反省しています」などとするコメントを出していた。

コロナ感染を口腔映像で判別

順天堂大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学の池田勝久 教授の研究グループは12月2日、スカラと共同で、新型コロナウイルス感染症など上気道感染症で口腔・咽頭の映像による感染の早期診断を目的にした検査機器を開発したと発表した。
 
 小型で携帯可能な撮影機器を用い、外光がない口腔内の血管の映像を得ることができる。ウイルス感染による血管変化を確認し、PCR法などよりも早く感染を検出できる可能性がある。今後、国内外の医療機関や自治体と協力して、同機器で撮影した映像を収集していく構え。                   

(病院新聞.com他)

「根面う蝕」の啓発動画

 日本歯科医師会は、根面う蝕の危険性と予防法を伝える新作動画『放っておくとたいへん!歯の根のむし歯』を、ホームページ内の「日歯8020テレビ」で公開した。「日歯8020テレビ」は、歯と口の健康の重要性を啓発する動画番組を掲載するもの。今回は放っておくと複数の歯の喪失原因となるだけでなく、全身疾患に関連する歯周病も引き起こし、要介護に至る危険性もある「根面う蝕」に焦点を当てた。

 愛知学院大学歯学部 保存修復学講座 特殊診療科の冨士谷盛興 教授が監修した動画では、「食後5分以内のうがい」や「二段階磨き」により、効果的な根面う蝕の予防につながると紹介している。

                   (歯科通信)


病院職員、診療拒否相次ぐ クラスター発生の旭川市

北海道旭川市で、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した病院や障害者施設の職員や家族が、医療機関で診療を拒否される事例が複数あったことが24日、市保健所への取材で分かった。市保健所は地元医師会に計2回、改善を要請した。

 市保健所によると、大規模クラスターが発生した「慶友会吉田病院」や障害者施設「北海道療育園」などの職員や家族が、診療に訪れた医療機関で「クラスター関係の方は受診できない」などと断られるケースがあったという。職員らはいずれも感染者の濃厚接触者ではなかった。

 事態を懸念した市保健所は7日と21日、市医師会に通常の患者と同様に対応するよう改善を申し入れた。

 市保健所の浅利豪(あさり・ごう)新型コロナ対策担当部長は「クラスターが発生した病院などで勤務し、肉体的にも精神的にも疲弊している人が体調を崩しても受診できないのはおかしい。同じ医療機関として、誠心誠意対応してほしい」と話した。

旭川派遣の自衛隊、21日撤収へ 道と市が方針決定

新型コロナウイルスの感染が拡大した北海道旭川市で、患者の治療支援にあたっている陸上自衛隊が、近く撤収することになった。同市では複数の医療機関などで大規模なクラスター(感染者集団)が発生し、一般の医療にも影響が出ているため、北海道の鈴木直道知事が8日、自衛隊の災害派遣を要請。陸自の看護師ら計10人が9日から、市内の医療機関など2施設に2週間程度の日程で派遣されている。

 20日午前、旭川市の西川将人市長と鈴木直道知事が電話会談し、週明け21日までとなっている当面の派遣の期限延長を求めない方向で合意した。陸自の看護師らは21日に撤収することになる。

 旭川市では、大規模なクラスターが発生した吉田病院と、重症障害児者施設の北海道療育園にそれぞれ5人、計10人の陸自の看護師らが9日から支援に入っている。

「コロナまき散らす」発言で釈明文書 旭川医大学長

新型コロナウイルスの感染拡大が続く北海道旭川市で、旭川医科大学の吉田晃敏学長がコロナ対応の医療体制を巡り不適切な発言をしたと「文春オンライン」が16日報じた。大学側は17日、発言があったことは認め、「関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけした」としたうえで「(音声の)切り取られ方が本学、特に吉田学長の意図とかけ離れたものと言わざるを得ない」などとするコメントを出した。

 文春オンラインによると、吉田学長はクラスター(感染者集団)が発生した市内の吉田病院について、11月17日にあった学内の会議で「コロナを完全になくすためには、あの病院(吉田病院)が完全になくなるしかない、ということ」「この旭川市に吉田病院があるということ自体が、ぐじゅぐじゅ、ぐじゅぐじゅとコロナをまき散らして」などと発言したとされる。文春オンラインは吉田学長のものとされる音声データも公開した。

 これを受け、旭川医大は17日に吉田学長名でコメントを公表。「音声は大学運営会議でのものと認められます」と認めたうえで、「『なくなるしかない』といった私の発言は、吉田病院の閉鎖等を望むことを意味するものではありません」「なくなるしかないのは、吉田病院ではなく、吉田病院の新型コロナウイルス感染症です」などとし、「不適切な発言であったと深く反省しています」とした。

 「まき散らす」という発言については、吉田病院からコロナ患者を受け入れた他の病院で「院長自らが『医療崩壊』という激しい言葉で現状を語る事態に陥っていることを説明した際に使われた表現」などと説明している。

 文部科学省国立大学法人支援課は朝日新聞の取材に対し、「大学に対し、学長の発言の事実確認を進めており、結果を踏まえて対応を検討する」としている。

 吉田病院では11月初めにクラスターが発生し、入院患者や職員の間で感染が拡大。今月17日時点で計207人が感染する大規模クラスターとなっている。鈴木直道知事の災害派遣支援の要請を受け、今月9日には自衛隊の看護官ら5人が治療の支援に入った。

新型コロナ 基幹病院でクラスター 旭川、妊婦30人2度「転院」 崩壊、人ごとじゃない

北海道旭川市の二つの病院で発生した新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が、同市周辺の地域医療に深刻な影を落としている。東京や札幌など大都市圏と異なり、地方都市は医療体制が貧弱で、クラスターの発生が医療崩壊に一気に結びつく危険がある。

 クラスターの発生で、北海道旭川市の医療体制は逼迫(ひっぱく)状態が続く。看護体制の強化などを目的に、自衛隊が派遣されるなど深刻な事態となっている。

 同市の基幹病院である旭川赤十字病院では7日、入院患者1人の陽性が確認された。感染したのはその2日前に院内で出産したばかりの30代女性だった。

 感染が広がっている懸念もあり、病院側は院内での分娩(ぶんべん)を当面の間中止することを決定。分娩を控えていた40人はほかの病院で対応してもらうことになった。

 しかし、40人のうち30人は、すでにクラスターが発生した旭川厚生病院から移ってきたばかりの妊婦たちだった。2度にわたる病院変更は、出産を控えた女性たちに精神的にも体力的にも大きな負担を強いた。

 さらに、濃厚接触者などになった麻酔医3人が自宅待機となり、全身麻酔を伴う手術のローテーションが回らなくなった。緊急度が低い手術を取りやめ、手術を予定していた複数の患者を一時退院させたという。

 旭川赤十字病院の牧野憲一院長は「すでに通常の医療が行えなくなっている。スタッフはぎりぎりの状態で、非常に逼迫している」と疲労感をにじませる。「ほかの主要病院で新たにクラスターが発生したら、市内の医療体制はもうもたない」

 人口約33万人の旭川市は道北の中核都市。市内の1週間(12月2~8日)の人口10万人当たりの感染者数は59・7人で、大阪市(36・2人)や札幌市(38・5人)を上回る。

 旭川市では複数の病院で感染が広がったケースが多いため、「受診控え」と言える状況も起きている。

 同市の大西病院によると、道内で感染者が急増し始めた10月ごろから受診数が減り、手術の先延ばし希望も相次いだ。11月以降はさらに減っているという。

 「『感染が怖くて受診できない』との相談が寄せられている」と話すのは北海道難病連(本部・札幌市)の増田靖子代表理事だ。難病患者はわずかな体調の変化が命に関わる恐れもあり、受診控えが増えることを増田代表理事は憂慮する。「コロナ患者が増えると、結果として他の患者への対応が手薄になる点を忘れないでほしい」と強調する。

 旭川市の医療体制が逼迫したのは、中核医療機関「旭川厚生病院」と民間総合病院「吉田病院」で発生した大規模クラスターがきっかけだった。

 旭川厚生病院では12月10日時点で患者ら258人が感染して25人が死亡。吉田病院では201人が感染し31人が亡くなった。

 北海道医師会の長瀬清会長は「すでに医療体制の崩壊に近い。旭川市の病院はその周辺地域の患者も診ている。これは旭川だけの問題ではない」と危機感を募らせる。

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