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「食事で窒息死」認めず 筋ジス患者、高松地裁

筋ジストロフィー患者の男性=当時(50)=が食べ物をのどに詰まらせて窒息死したのは、付き添いの看護師が注意を怠ったのが原因として、遺族が、高松市の社会福祉法人と看護師に約3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、高松地裁は10日、請求を棄却した。

 判決によると、死亡確認した医師は死亡診断書に、食べ物をのどに詰まらせたことを死因と記載したが、訴訟では「突然の心停止の可能性も残り、死因を特定する努力を怠った」と証言。福田修久(ふくだ・のぶひさ)裁判長は「死亡診断書に基づいて死因を判断できない」と結論付けた。

 判決によると、男性は筋力低下で歩行困難になったり、食べ物の飲み込みに障害が出たりする筋ジストロフィー患者で、社会福祉法人「朝日園」が運営する身体障害者療養施設に通所。2012年5月、施設の看護師に付き添われてホテルの食事会に出席し、途中でトイレに行って意識を失い、間もなく死亡した。

健康は歯から~歯科が支える健康長寿~

第35回全国歯科保健大会が11月8日(土)、「健康は歯から~歯科が支える健康長寿~」のテーマの下、大阪府の大阪国際交流センターで開催され、「大会宣言」では「歯科保健の向上と口腔機能の維持が、健康長寿を支えるためには不可欠であることが認識されつつある。超高齢社会において、診療所に通うことができなくなった方々の歯科保健の向上は重要な課題であり、今後、診療所はもとより在宅、施設においても歯科保健の向上を目指し、生涯にわたり質の高い生活を支え続けること」を宣言した。当日の参加者は1200名を超え、大盛況であった。
              日歯広報 2014.12.1 1633号

歯の喪失や歯並びの崩壊につながる無意識の咬みしめは日中にもストレスで。

ストレスや習慣によって起きる咬みしめは、過度になると歯や身体に悪影響を及ぼすことがある。これまで、睡眠中に歯ぎしりをしている人は歯のすり減りが早いと言われてきたが、睡眠中よりも日中の無意識の咬みしめの方が歯の喪失に深く関与していることがわかった。歯を失う原因はう蝕や歯周病がほとんど。そのため、歯科医院ではその治療に重点がおかれている。しかし、それらの治療を行っていても、歯を失い、入れ歯になっても痛みが続く場合がある。川上教授によると、このような歯の喪失に、日中の無意識の咬みしめが関与しているとのこと。日中の咬みしめと歯の喪失が関連づけられたことは、これからの予防歯科学に影響を与えるとともに、義歯の作り方、顎関節症の治療に役立つのではないだろうか。

出産回数が多い女性ほど残存歯数が少ない!?さらなる妊婦への歯科健診の啓蒙を。

出産回数が多い女性は将来、残存永久歯が少なくなりやすいことが、東京医科歯科大の植野正之准教授と国立がん研究センターの共同研究でわかった。植野准教授はこの原因について「妊娠や出産のプロセスに伴い、ホルモンや口の中の細菌のバランスが変化し、免疫力が低下することで、う蝕になりやすかったり、歯周組織の破壊が起こりやすくなったりする。妊娠ごとにそれが繰り返されることで歯の喪失に至るリスクが高まると考えられる」としている。

 「ゆっくり噛んで食べる」の根拠を立証。咀嚼を基盤にした減量手段の開発に期待。

調査したのは東京工業大学大学院社会理工学研究科の林直亨教授らの研究グループ。被験者10名に300キロカロリーのブロック状の食品を与え、急いで食べる試行と、ゆっくり食べる試行とを実施した。前者では平均103秒、咀嚼回数が137回、後者では497秒、702回の結果、また、安静時から摂食、摂食後90分までの酸素摂取量を計測し、食後誘発性体熱産生量を算出。腹腔動脈と上腸間膜動脈の血流量を計測した。その結果、食後90分のエネルギー消費量は、急いで食べた場合は体重1kg当たり平均7カロリーだったのに対し、ゆっくり食べた場合は180カロリーと有意に高い値を示した。この研究結果により、ゆっくり食べることが食後のエネルギー消費量の増加につながることが科学的に確かめられた。林教授曰く「咀嚼を基本とした減量手段の開発に役立つのではないか」としている。

歯科医による「しわ取り」が急増。歯科の領域について賛否両論。

一般的に美容外科医らの医師が手がける、ヒアルロン酸注射による顔のしわ取り。近年、歯科診療の一環として、しわ取りを診療メニューに加える歯科医院が増えている。歯科医向けの美容治療セミナーが毎月開催され、希望者も増えているという。まず問題なのは、歯科医が美容領域であるしわ取りを行うことが違法ではないかということ。厚生労働省が1996年に専門家会議で出した通達では、歯科の診療対象に口唇が含まれている。口唇とは口の周り全体を指すため、ほうれい線のしわ取りも診療の対象になるというのが、ヒアルロン酸注射を行っている歯科医院の解釈だ。医科と歯科との境界線の問題や歯科医師の技術的問題、さらには既得権益の争いもあり、歯科医のしわ取りには賛否両論、様々な意見が出てきている。

高齢者への肺炎球菌ワクチン

日本人の死亡原因の第3位は肺炎です。しかも肺炎による死亡は高齢化が進むにつれて増加傾向にあります。高齢になると、むせやすく、咳(せき)をする力が弱まるので、気管にばい菌が入り易くなります。その結果、肺炎が増えるのです。

 肺炎はさまざまな病原体で生じますが、中でも肺炎球菌が全体の約3割を占め、原因菌としては最多です。この肺炎球菌による肺炎を予防しようと、今年10月から全国で高齢者の方を対象に肺炎球菌ワクチンの定期接種が開始されました。過去に国内で行われた調査では、このワクチンは肺炎の発生を明らかに減少させることが確認されています。今回の定期接種によって、多くの人が接種すれば、肺炎による死亡者の減少が期待できます。

 ただ、良いことばかりではありません。第一に、ワクチンにつきものの副反応が軽微なものを含めると全体の数%に生じます。ただ、その頻度は、皆さんが毎年打たれているインフルエンザワクチンと同じ程度と考えられます。第二に、肺炎球菌以外の病原体には効果がありません。ワクチンを打ったから肺炎にならないというわけではありません。

 肺炎球菌ワクチンは、一回の接種で免疫が5年程度持続します。季節性インフルエンザワクチンのように毎年接種するわけではないので気をつけてください。

 肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象はその年度に65歳の誕生日を迎える方となります。ただし、今後5年間は経過措置期間と定められており、65歳以上の高齢者を65・70・75歳……と5歳刻みで接種対象とし、今年度から2018年度にかけて、すべての高齢者を定期接種の対象とする制度となっております。対象となる年度においてのみ助成の対象になります。なお、60歳以上65歳未満の心臓、腎臓、呼吸器に高度障害がある方なども対象となります。逆に、過去に肺炎球菌ワクチンを接種されている方は対象外です。

 詳細をお知りになりたい方やご不明の点がある方は、皆さんの住んでおられる市町村役場にお問い合わせください。

「食べたい」をかなえる 炎症性腸疾患に愛情レシピ 「医療新世紀」

クローン病と潰瘍性大腸炎は、いずれも腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が生じる原因不明の難病で、ひとくくりに「炎症性腸疾患」と呼ばれることもある。10~20代の若年者の発症が多く、患者は繰り返し現れる下痢や腹痛、血便、発熱などの症状に悩まされる。

 体調のコントロールに欠かせないのが食事の管理。脂肪や食物繊維、香辛料などの刺激物を避けながら、高いカロリーの摂取が求められるが、食材選びは面倒で、できた料理も味気ないものになりがちだった。

 そんな患者の「おいしく食べたい」という願いをかなえるレシピ本が出版された。「クローン病・潰瘍性大腸炎の安心ごはん」(女子栄養大学出版部、1620円)だ。

 著者は料理研究家で栄養士の田中可奈子(たなか・かなこ)さん。田中さんの息子は大学に在学中の2009年、突然クローン病と診断された。当初は「私の作った食事が悪かったのか」と自分を責めたり「何を食べさせたらよいのか」と悩んだりする日々が続いたという。

 しかし「家族みんなで楽しく食卓を囲みたい」という一心で、田中さんは工夫を重ねた。調理に油は使わず電子レンジを活用する。繊維を断ち切る包丁の入れ方をする。牛乳の代わりに豆乳を使う―。本書には、こうして生まれた約90種の料理について、材料や作り方が紹介されている。カレーやパスタ、丼物からデザートまで、患者だけでなく、家族全員がおいしく食べられるレシピだ。

 医師による病気の解説や患者の体験談、管理栄養士によるアドバイスなども掲載。写真やイラストも豊富で、理解しやすい内容となっている。

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