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「経済財政運営と改革の基本方針 2025」への 日本歯科医師会の見解

日本歯科医師会は、口腔の健康を推進し、全身の健康や健康寿命の延伸につなげることで、
国民一人ひとりの健康に寄与するため、口腔健康管理をはじめとする歯科口腔保健
の推進や生涯を通じた歯科健診法制化を含むさまざまな政策提言等を行ってきた。
本会が提言・実行してきた内容は、今回の「骨太の方針 2025」と密接に関わるもの
が多く、それらを中心に今後とも具体的な提言をしていきたい。
「骨太の方針 2025」では、歯科に関連が深いものとして、
■ 防災・減災・国土強靱化の推進
災害時における事業継続性確保を始めとした官民連携強化のため、サプライチェ
ーンの強靱化、土地利用と一体となった減災対策、船舶活用医療、医療コンテナ活
用、歯科巡回診療や被災地の災害医療システム活用等の推進による医療の継続性確
保、制度的対応も含めた災害廃棄物処理体制の充実等に取り組む。
■全世代型社会保障の構築
糖尿病と歯周病との関係など全身の健康と口腔の健康に関するエビデンスの活用、
生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた具体的な取組、オーラ
ルフレイル対策・疾病の重症化予防につながる歯科専門職による口腔健康管理の充
実、歯科医療機関・医歯薬連携などの多職種連携、歯科衛生士・歯科技工士の離職
対策を含む人材確保、歯科技工所の質の担保、歯科領域のICT活用、歯科医師の
不足する地域の分析等を含めた適切な配置の検討を含む歯科保健医療提供体制構築
の推進・強化に取り組むとともに、有効性・安全性が認められたデジタル化等の新
技術・新材料の保険導入を推進する。
■公教育の再生・研究活動の推進
幼児期及び幼保小接続期の教育・保育の質的向上や、豊かな感性や創造性 を育む
ための体験活動・読書活動を推進するとともに、体力向上や視力低下予防、歯科保
健教育や学校給食での地場産物等の活用を含む食育を推進する。
としてまとめられ、前年の「骨太の方針 2024」を踏襲しつつ、さらに内容が具体
化され、本会が提言してきた内容が反映された。
歯科を含む医療や介護に係る処遇や物価高騰の記載として、
■個別業種における賃上げに向けた取組
日本歯科医師会
Japan Dental Association
Press Release
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医療・介護・障害福祉の処遇改善について、過去の報酬改定等における取組の効
果を把握・検証し、2025 年末までに結論が得られるよう検討する。
■「経済・財政新生計画」に基づく今後の取組方針
とりわけ社会保障関係費については、医療・介護等の現場の厳しい現状や税収等
を含めた財政の状況を踏まえ、これまでの改革を通じた保険料負担の抑制努力も継
続しつつ、2025 年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇によ
る影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につ
ながるよう、的確な対応を行う。具体的には高齢化による増加分に相当する伸びに
こうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する。
■物価上昇に合わせた公的制度の点検・見直し
物価上昇が継続していることを踏まえ、予算、税制における長年据え置かれたま
まの様々な公的制度に係る基準額や閾値について、国民生活へ深刻な影響が及ばな
いよう、省庁横断的・網羅的に点検し、見直しを進める。その際、各項目の点検と
併せ、政策効果を担保するため、制度の特性に応じた定期的な改定ルールを設け、
足元の物価上昇に的確に対応できるような仕組みづくりを行う。
同時に、本基本方針第2章及び第3章に記載している、
・公定価格(医療・介護・保育・福祉等)の引上げ
・働き手の賃上げ原資を確保できる官公需における価格転嫁の徹底
を省庁横断的に推進する。
としてまとめられ、処遇の改善や物価高騰への対応が拡充された。