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医療的ケア必要な子を知って

1歳半の第2子は、小顎症(しょうがくしょう)を主としたハンディを抱えています。生後2時間で気管切開をして、生後6カ月で管から栄養を入れる胃ろうを施しました。いわゆる要医療的ケア児です。

 医療が発達し、新生児集中治療室(NICU)も増床・増設され、多くの命が助かるようになりました。我が子も約半年間、NICUでお世話になりました。しかし、退院した後の地域の受け皿が圧倒的に足りません。医療的ケアを行える人は法で定められているため、そういう人がいない多くの保育園は、第2子のような子どもは入れてくれません。

 こうした子どもの側にいると、心が傷つくことがあります。じろじろ見て逃げたり、逆に見ないようにしたりする人がいます。尋ねてもらえれば、説明して、理解してもらえるのにと思います。

 私自身も要医療的ケア児の生活は知りませんでした。でも当事者になって、夜も眠れず、ぎりぎりの状態で命と向き合っている母親がたくさんいると知りました。ケア制度の充実はもちろん大切ですが、まずは、医療的なケアが必要な子どもたちの存在をどうか知ってください。

小児慢性特定疾病:助成制度変更 患者6割、負担増 治療長期にわたる、小児がん家族懸念

今年1月の難病法施行に伴い「小児慢性特定疾病」の医療費助成制度が変わった。助成対象の疾病が増える一方、患者の自己負担額が引き上げられ、すでに助成を受けている患者の6割超に新たな負担が加わる。治療が長期にわたり、後遺症を発症するケースが多い小児がん患者の家族に、負担増への懸念が広がっている。

 東京都青梅市の小学1年、野口一樹君(7)は2歳の時、「腎明細胞肉腫(じんめいさいぼうにくしゅ)」が見つかった。小児がんの一種だ。再発のため入退院を繰り返し、現在の入院は5回目になる。

 父親(41)によると、従来の助成制度では、医療費と入院中の食費の自己負担額はゼロだった。新制度では月額で1万円以上になる見通しだ。母親(42)は一樹君の看病に追われ、病院に寝泊まりする。長女(2)を実家の両親に預けても、仕事に出る余裕はない。「家族が自宅、病院、実家でばらばらになり、生活費や交通費がかさんでいる。治療がいつまで続くか分からない中で、負担が増えるのはつらい」と父親は話す。

 小児慢性特定疾病は原則18歳未満の患者が助成対象。従来の対象は514疾病だが、昨年の難病法制定に伴い制度が見直され、同法が施行された今年1月から704疾病に増えた。これにより対象患者は現在の約11万人から約15万人になると見込まれている。

 一方、制度の見直しで、入院中の食費について1食につき130円がかかるようになったほか、世帯収入に応じた医療費の自己負担の上限額が上がった。

 がんの再発を含む「重症患者」の自己負担は従来ゼロだったが、見直し後は月最大1万円になった。

 すでに助成対象になっている患者には経過措置として3年間の負担軽減が実施される。また自己負担割合は3割から2割になるため、負担が減る患者もいる。しかし現在の助成対象のうち負担増となる患者は65%を占めると厚生労働省は試算している。

 「がんの子どもを守る会」(台東区)は昨年7月、「患者家族には精神的・経済的に大きな負担がかかり、20歳以降の(後遺症などに対する)取り組みもほとんどなされていない」として、重症患者らの負担軽減を求める請願書を1万8708人の署名とともに厚労省に提出した。

 ソーシャルワーカーの樋口明子さんは「助成対象となる疾病が拡大したことは歓迎したいが、特に入院期間が長い小児がん患者については、医療費以外にも多くの出費がかかる現状を考慮する必要がある」と話している。

インフルエンザ退治、歯磨きから!? 日大チーム疫学調査へ 歯垢でウイルス増殖、薬効きにくく

口の中が不潔だとタミフルなどのインフルエンザ治療薬が効きにくくなる可能性があることが分かり、落合邦康・日本大教授(口腔(こうくう)細菌学)らの研究チームが近く、高齢者を対象に検証のための疫学調査を始める。歯磨きの徹底など日常生活の注意で、インフルエンザを予防したり、重症化を防いだりできる可能性があるという。

 インフルエンザウイルスは、細胞内に入り込んで増殖し、他の細胞に感染を広げる際、ウイルス表面の酵素「ノイラミニダーゼ(NA)」を使って、自身を細胞表面から切り離す。タミフルやリレンザなどはNAの働きを妨げることでウイルスの感染拡大を防ぐ。

 チームのこれまでの研究で、歯垢(しこう)に含まれる2種類の細菌がNAを作り出し、ウイルスの増殖を助けることが分かった。インフルエンザウイルスに感染させた細胞に細菌の培養液を加えると、細胞からのウイルスの放出量が21~28倍に増え、リレンザやタミフルを投与してもウイルスの放出量は抑えられなかった。

 インフルエンザウイルスはのどや鼻の奥で感染、増殖する。落合教授は「感染部位が口と近いことを考えると、口の中の細菌が感染の進行に関与していることは十分に考えられる」と話す。チームは今季のインフルエンザ流行中に、協力病院や介護施設の高齢者から口の中の細菌を採取し、口腔ケアとインフルエンザ感染の関係を調査する。口内細菌は近年、糖尿病の悪化や誤嚥(ごえん)性肺炎の要因になっていることが指摘されるなど、他の病気との関係が注目されている。

抜いた親知らずや切除した軟骨、再生医療製品に

経済産業省は、治療で不要になった歯や軟骨などの細胞を使う、再生医療製品作りを後押しする。

 国内で実用化された再生医療製品はいずれも患者自身の細胞から作るが、欧米や韓国では他人の細胞を使った再生医療製品が普及しつつある。同省は他人の細胞を材料にする製品作りの仕組みを提示し、迅速で安価な再生医療の拡大を目指す。

 再生医療では主に細胞を培養後に移植し、失われた組織や臓器の機能を回復させる。他人の細胞を使って製品化すれば、すぐに治療を開始でき、1人の細胞から多人数用の製品ができるのでコストが安くなる。

 国内でも他人の細胞を使った臨床研究は行われているが、製品化については、「人体の商品化と社会に受け止められるのではないか」との懸念から事業が進みにくかった。

 経産省は、医療機関で抜いた親知らずや手術で切除した軟骨の細胞などを、仲介役の企業や団体を介し、メーカーが受ける仕組みを想定。16日、有識者検討会を開き、スムーズに細胞を採取するための方策や、仲介役の役割を議論する。細胞の採取や検査にかかる費用も検討する。

高齢者肺炎、死亡リスク半減に10日

文献:Dharmarajan K,et al.Trajectories of risk after hospitalization for heart failure, acute myocardial infarction, or pneumonia: retrospective cohort study.BMJ. 2015 Feb 5;350:h411.

 心不全、急性心筋梗塞、肺炎で入院した65歳以上のメディケア受給者300万人超を対象に、退院後の再入院・死亡リスクを後ろ向きコホート研究で検討。初回再入院・死亡リスクが最大値から50%低下するのは心不全で38日目・11日目、心筋梗塞で13日目・6日目、肺炎で25日目・10日目。退院後も長期間、健康の悪化に注意が必要と示唆された。

上下の歯の間に隙間があるのが正常な状態です

リラックスして、特に何も意識しない状態で口を閉じているとき、上下の歯と歯の間に2~3mm隙間が空いているのが、正常な状態。この隙間を「安静時空隙(くうげき)」といいます。上下の歯と歯が触れ合うと、それだけでかむときに使う筋肉が緊張してしまうため、顎(がく)関節の痛み、疲労や頭痛、肩凝りなどを招くほか、歯がすり減ったり、歯周病、知覚過敏といったトラブルが起こる危険が。こうした癖は「TCH(Tooth Contacting Habit:歯列接触癖〈へき〉)」と呼ばれ、現代人の不調の隠れた要因となっています。

あなたの口元老化度は? 今すぐチェックしよう

顔にシワやたるみが出たり、足腰が弱くなったり……。年齢を重ねるとさまざまな変化が表れてくるものですが、こうした変化より早く始まるのが“口元の老化”です。怖いのは、老化とはまだ無縁と思っている若い世代でも、すでに起こり始めているかもしれないこと。まずは、歯科医師の宝田恭子(たからだ・きょうこ)さんのご指導のもと、自分の口元をチェックしてみましょう。


■Q:自然に口を閉じた状態で、リラックスして座ってください。そのとき、上の歯と下の歯は、どのような状態になっていますか?


A:上下の歯の間に隙間がある

B:上下の歯が触れ合っている


■口元老化度 結果発表!


Aだった方は……大丈夫! 10年後もキープしましょう

あなたの口は、上下の歯の間に隙間がある、正常な状態です。必要以上に上下の歯をかみ合わせることがないので、歯や口元、あごの筋肉の健康を保つことができます。この状態をキープできれば、口元は若々しくいられるでしょう。

Bだった方は……要注意! すでに老化がスタート!?

実年齢に関係なく、あなたの口はすでに老化が始まっている可能性が。歯と歯が触れ合っている時間が長いと筋肉が常に緊張して、筋肉の疲労、歯の違和感、あごの疲労感など、さまざまな不定愁訴につながる可能性があります。このままだと、見た目も老け込んでしまうかも。

検診で口腔がん早期発見を 大宮歯科医師会が講演

さいたま市の大宮歯科医師会(栗原孝幸会長)で、40歳以上を対象にした口腔がんの講演と検診が行われ、高齢者を中心に約80人が集まった。

 講演は明海大学歯学部の坂下英明教授が講師を務め、「口腔がんは自覚症状がなく早期発見が難しい。視診や触診などによる口腔内検診を受け、早期発見に努めてほしい」と訴えた。

 講演後、会場内の実習室で明海大学歯学部の歯科医による口腔がん検診が行われた。診察した歯科医は「口の中で気になることはないですか」と一人一人に優しく尋ね、参加者からの相談を丁寧に受けていた。

 さいたま市大宮区の滝原美恵子さん(68)は「口内炎や口の中のただれが気になっていた。(歯科医師から)詳しい説明を頂き、有意義な検診でした」と笑顔を見せていた。

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