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気づきにくい口腔がん

中高年以降に発症が増える口腔がんは、早期に治療すればほぼ治る。しかし口内炎と勘違いするなど、早期には気づかないことが多い。がんの中では、がん組織を肉眼で見ることができる唯一の種類でもあり、兆候や点検方法を知っておけば早期発見につながる。
 口腔がんは、進行すると口の中が腫れたりし、食べ物をかむ、飲み込む、呼吸する、会話するといったことが困難になる。顔も腫れ、形も崩れていく。早期に発見されにくいのは、ゆっくり腫れたりするので違和感を感じにくいためだ。痛みもないため、自覚症状が少ない。発見は一般的にかなり進行してからが多い。その時点で全身のあちこちに転移していることもある。虫歯の治療で歯科が見つけたケースも少なくないという。
 厚生労働省によると、2012年度のがん全体の発生数36万人のうち口腔がん関連は約7200人で2%程度だが、ここ数年の発生数は伸びている。発症が60代以降に多く、高齢化が進んでいるためだ。男女比は2対1で男性が多い。口腔がんの原因としては、たばこやアルコールが特に危険因子。たばこやお酒の摂取量が多い状態が長年続くと、がんを誘発する確立が高くなる。また、入れ歯や詰め物など、歯やあごの形状と合わないものが入っていると、刺激となってがんの誘発要因となる。

口腔がんの疑いのある兆候

 □2週間以上治らない口内炎がある
 □なかなか治らない傷がある
 □しこりや腫れがある
 □指先でさわると痛みや硬い部分がある
 □歯のぐらつきが続いている
 □口の中から出血がみられる
 □ほおや舌が動かしづらい
 □赤くただれた部分や白くなっている部分がある

歯周病 唾液で判定 短時間で無料健診

県歯科医師会(和田明人会長)は7月から、唾液を採取するだけで歯周病のリスクが簡単に判定できる企業向け無料健診を始める。30歳以上の約8割がかかっているといわれる歯周病の早期発見と治療につなげてもらうのが狙い。従来の歯周病健診と比べて短時間でできるため、歯科医師会は「仕事の合間に気軽に受けてほしい」と呼び掛けている。

 歯周病は細菌の感染によって引き起こされる炎症で、歯ぐきが腫れたり、症状が進行すると歯を支える骨が溶けて歯が抜けたりする原因にもなる。県によると、子どもの虫歯や成人の歯周病の割合はいずれも全国平均を上回っているという。

 健診では、無糖ガムを噛(か)んでもらって唾液を採取し、唾液中の血液や組織破壊産物の量を測定する。血液や組織破壊産物は歯周病と相関関係があり、測定された数値で歯周病の進行具合が分かるという。

 また、口の中の状態や生活習慣などに関する問診も行い、歯の健康度合いについても判定する。健診は約10分で終わり、測定結果が約1週間後に郵送される仕組みだ。

患者の医療情報、ネットで共有 道北地域、旭川の大規模5病院を核に

旭川赤十字病院など旭川市内の大規模5病院を核に、100を超える道北地域の中小規模医療機関をインターネットを介してつなぐ医療情報ネットワーク「たいせつ安心i(あい)医療ネットワーク」が、今年4月からスタートした。5病院が診療記録やコンピューター断層撮影装置(CT)をはじめとする画像情報などを提供することで、当該患者が他の医療機関にかかっても、診療経過を容易に知ることができるシステムだ。将来的には、道北全域のネットワーク化を目指している。

 同ネットは、旭川赤十字病院と地域医療機関が連携した「旭川クロスネット」を大幅に拡張したシステムで、ネットの中核となるのは旭川赤十字、旭川医大、市立旭川、旭川厚生の各病院と国立病院機構旭川医療センター。5病院は患者の同意を得た上で、診療記録と画像情報を提供する。さらに、富良野協会、留萌市立、深川市立の3病院は画像情報のみを登録する。

 一方、地域の医療機関は、患者の同意を得たうえでインターネット経由で情報を閲覧できる。5月28日現在、参加している地域医療機関は、旭川をはじめ稚内市、留萌市、留萌管内羽幌町、上川管内美瑛町など道北の病院28、診療所71、歯科医院12、処方箋薬局11、計122医療機関となっている。利用する際、第三者への情報漏えいを防ぐため外部からアクセスできない仕組み「仮想プライベートネットワーク(VPN)」を使っている。

 このシステムを使うと、患者は、例えばがんなど重い病気でかかりつけの診療所から大規模病院へ転院して治療を受け、再び診療所に通院することになっても、診療所の医師がそれまでの診療経過を踏まえた対応をとることができ、重複した検査を避けられるなどのメリットもある。

胃ろう外せる患者、増える? 再び口から食事、リハビリ促す 診療報酬、4月見直し

おなかに穴を開けて管から栄養や水を入れる胃ろうは、回復すれば外すことができる。口から食べられるようにするリハビリを促し、つけたままの患者を減らそうと、厚生労働省は4月に診療報酬を改めた。外す患者の少ない病院は収入が減るため、必要な人につけなくならないかという懸念もある。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会副理事長の植田耕一郎・日本大学歯学部教授によると、リハビリは自身の唾液(だえき)をのみ込むことからスタートし、一滴の水分、ゼリー、ペースト状の食べ物へと進む。ベッドの上部を約30度起こし、あごを引いた姿勢でする。あごが固定された状態でのみ込むと、食べ物が食道ではなく気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)が減る。息を止めてのみ込むとよいという。

 植田さんは「声かけなど様々な刺激を受け、患者の感覚がよみがえり、食べたいという意欲が高まる。胃ろうにして終わりではありません」と語る。

 口から再び食べる患者を増やそうと厚労省は、胃ろう手術の診療報酬を4割下げた。一方、胃ろうが本当に必要かを調べるのみ込み機能の検査や術後のリハビリへの加算を手厚くした。

 ■患者敬遠の動き懸念

 診療報酬改定の背景には、検査せずに胃ろうにしたり術後にリハビリをしなかったりする実態がある。

 2012年度の医療経済研究機構の調査によると、検査を受けずに胃ろうをつけた患者が23%いた。口から食べられる可能性がある患者のうち、24%がリハビリを受けていなかった。

 ただ、胃ろうの手術が年50件以上の医療機関は、術後1年内に回復して外せた患者が35%以上いるなど、一定の条件を満たさないと収入が大きく減ることになる。外す患者の割合を増やすため、必要な患者にも胃ろうを避ける動きがでないか不安の声が出ている。

 国際医療福祉大学病院(栃木県那須塩原市)の鈴木裕副院長は「脳卒中などは回復しやすいが、神経難病などの患者は胃ろうをやめることはできない。口からは好きな物を楽しむ程度に食べるが、水や薬は胃ろうからという患者も多い」と説明する。条件をクリアできる医療機関は少ないとみられ、外せる可能性の低い患者を敬遠するところが出てこないかと、鈴木さんは心配する。

 胃ろう以外の主な栄養補給法には、鼻から胃まで管を通す方法や、胸の中心静脈への点滴がある。この二つに比べ、胃ろうは患者の不快感が少ない。長い期間使いやすく、食べるリハビリもしやすい面がある。

 榊原白鳳病院(津市)の笠間睦・診療情報部長は、患者や家族と一緒に、胃ろうをつけるか決めている。「外せるほどの回復は無理でも、状態が安定すると判断すれば胃ろうを勧める。栄養補給法の長所短所をよく知って、選んでほしい」と話す。

医科・歯科 連携を強化…診療報酬で配慮

厚生労働省が、これまで進んでこなかった医科と歯科の医療機関同士の連携強化に乗り出した。

 歯の治療や清掃によって手術患者の感染リスクを抑えられる、などの研究成果が出てきたためだ。厚労省は今年度の診療報酬改定で、入院中や在宅の患者を歯科に紹介するよう医科に促す仕組みを導入、患者が歯の診療を受けやすくなるようにした。

 医科の病院で手術を受ける患者が歯の治療や清掃をしてもらうと、感染のリスクが下がり、入院日数も減るという研究データが出ている。また、かみ合わせの悪い患者に入れ歯の治療を行うと、栄養状態が改善したという研究成果もある。

 そこで診療報酬改定では、医科の病院ががんや心臓病で手術を受ける患者を歯科診療所に紹介すると、医科病院に点数が加算されるようにした。患者には歯科診療所で虫歯や歯周病の治療を受けてもらう。

 また、入れ歯の調子が悪く食べ物をうまくかめない在宅患者に対し、訪問歯科医を紹介した訪問医にも、加算の措置が行われるようにした。訪問歯科医が入れ歯の治療を通じて患者の栄養状態を改善させるほか、歯の清掃で菌を含んだ唾液による肺炎の予防にもつなげられると期待される。

高額療養費制度 外来負担の上限廃止 政府検討、70歳以上の高額医療

政府は14日、医療費の自己負担に上限を設けている高額療養費制度のうち、70歳以上を対象とした「入院せず外来のみを受診した患者向けの特例上限額」(外来上限)について、低所得者向けを除き、廃止する検討に入った。現役世代に偏った社会保障関連の費用負担を「年齢別」から「能力別」に改め、高齢でも所得の高い人には負担を求めるとした、税と社会保障の一体改革の理念に基づく。厚生労働省は2015年度中に具体案をまとめる意向だ。

 高額療養費は、患者が医療機関で支払った窓口負担(医療費の1~3割)の1カ月の合計額に上限を設け、超えた分は公的医療保険でカバーする制度。年齢や所得に応じた自己負担上限額が設定されている。

 70歳未満の上限額は、外来も入院も、また両方かかった場合でもすべて同額(一般的な所得の人で月約8万円)。これに対し、70歳以上には入院せず外来だけを受診した場合の外来上限が別に設けられている。

 外来上限の月額は所得に応じ3区分ある。月収28万円以上の「現役並み所得者」4万4400円(入院費を含む通常の上限月額は約8万円)▽一般の所得者1万2000円(同4万4400円)▽住民税非課税の低所得者8000円(同2万4600円か1万5000円)――で、どの所得層も、外来上限は通常の上限額より大幅に抑えられている。

 70歳以上の外来上限は、今の後期高齢者医療制度の前身、旧老人保健制度から引き継がれた。「外来のみでも、高い薬を複数処方された場合などは自己負担が膨らむ」との理由からだ。しかし、70歳未満にはない特例で、厚労省は年齢を基準に負担を決める旧来の手法を見直す観点から廃止する意向。ただし低所得者については、外来上限を廃止し通常の上限額に一本化すれば負担が2~3倍になることから、上限の存廃を検討する

義歯に、通常の歯ブラシや歯磨剤を使ってはいけないのですか?

通常の歯ブラシは、毛が軟らかすぎるため、義歯の清掃には適していません。義歯の物理的清掃には、義歯を清掃しやすいように工夫された義歯用ブラシが便利かつ効果的です。時折、通常の歯磨剤を義歯使用している患者さんがいますが、歯磨剤に含まれる研磨材によって義歯の表面に傷や磨耗が生じることがあるため、避けましょう。義歯の清掃用には、研磨材が添加されていない義歯専用の歯磨剤が開発されていますので、こちらを使用するように勧めてください。また、界面活性剤と潤滑剤などが含有されたブラッシング用の義歯洗浄剤も市販されており、義歯用ブラシと併用すれば、義歯床用レジンを傷つけることなく効率よく汚れを除去することができます。

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