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入院中食事詰まらせ死亡 遺族が病院機構提訴

国立病院機構盛岡病院(盛岡市)に入院していた女性=当時(69)=が死亡したのは、病院側が食事を喉に詰まらせないようにする注意義務を怠ったためとして、盛岡、滝沢両市の遺族が23日までに、病院を運営する独立行政法人国立病院機構(東京)に2200万円の損害賠償を求める訴えを盛岡地裁に起こした。

 訴えによると、女性は2014年1月22日、肺炎のため入院。同26日に病院が用意した昼食を喉に詰まらせて心肺停止状態に陥り、同2月2日、低酸素脳症で死亡したとされる。

 遺族は「アルツハイマー型認知症で早食いする癖があったにもかかわらず、病院は食事の介助や付き添いを怠った上、食材を細かく刻むなど誤嚥(ごえん)を防止する配慮をしなかった」と主張している。

 機構側は「係争中のためコメントは差し控えたい」としている。

万引は認知症が原因 前頭側頭型、他の症状少なく

認知症の一つ「前頭側頭型(ぜんとうそくとうがた)認知症」が影響したとみられる万引事件が、兵庫をはじめ全国で相次いでいる。物忘れや徘徊(はいかい)が少ないため気付かれにくく、逮捕後に初めて判明するケースが目立つ。裁判では再犯でも実刑を回避する判決が出ているが、詳しい症状は法曹や捜査関係者にもあまり知られておらず、手探りの対応が続いている。(竹本拓也)

 「母は残念ながら規範意識を失っている。24時間見守られるならいいが、不可能だ」

 神戸市内に住む息子は打ち明ける。昨夏、80代の母親が同市のスーパーで食品を万引したとして、兵庫県警に窃盗容疑で現行犯逮捕された。

 同認知症では、赤信号の無視など交通ルールを守らないほか、他人の花壇の花を抜く▽冠婚葬祭で暴れる―といった自分の思うままの行動をとることがある。母親は勾留中に女性警察官の指摘で、初めて専門医を受診。同認知症と診断され、不起訴となった。

 実は、逮捕はこの時が初めてではない。5年ほど前から数回、万引で摘発され、懲役刑も受けた。反省を促しても、母親は悪びれた様子はなかった。穏やかだった母親からは考えられない言葉に違和感はあったが、「まさか認知症とは思わなかった」という。

 母親は今も1人暮らしを続ける。息子は「実刑にならなかったから『良かった』ではない。理解を深める取り組みや支援体制を考えてほしい」と願う。

 公判の途中で同認知症と分かったケースもある。スーパーでリンゴなどを盗んだとして起訴された神戸市の女性(62)は、弁護人が家族に受診を勧めたことがきっかけだった。執行猶予中だったため実刑判決も見込まれたが、神戸地裁は4月、「医療や介護を受けながら更正を期待できる」として、懲役1年、保護観察付きの執行猶予判決を出した。

 「女性自身も、なぜ万引をしてしまったのか理解できない状態だった」と担当した西谷裕子弁護士(大阪弁護士会)。「法廷で証言してもらう医師の確保や脳画像の提出など立証の負担は大きく、専門医療機関との連携が求められる」とする。

 兵庫県によると、認知症患者は今年1月時点で21万7千~21万8千人と推定され、このうち数%が前頭側頭型に該当するとの指摘もある。認知症患者の刑事弁護に詳しい兵庫県弁護士会の三木信善弁護士は「逮捕段階から捜査側と弁護側、専門医が情報共有し、認知症の可能性に早く気付ける仕組みづくりが急務だ」としている。

【前頭側頭型認知症】 脳の一部が萎縮し、深い判断や思慮ができなくなる病気。こだわりが強く、社会規範から逸脱して思うままに行動する場合がある。アルツハイマー型に多く見られる物忘れや徘徊(はいかい)は少ない。若年層でも発症する。

「子どもの誤飲防止」推進

日本薬剤師会と日本製薬団体連合会等は、子どもによる医薬品の誤飲防止に向けた取組みを加速させる。先ほどとりまとめが公表された「子どもの医薬品誤飲防止のための包装容器評価に関する研究」(平成27年度厚生労働科学特別研究・以下厚労科研)を受けてのもので、両団体でポスターの作成・掲示を進めるほか、薬局では薬剤師による声掛けなどを実施することを呼び掛けている。

 厚労科研の特別報告によると、子どもが誤飲して重い中毒症状を呈した主な医薬品群として、催眠鎮静剤・抗不安剤・精神神経用剤などの「向精神薬」、「血糖降下剤(糖尿病治療薬)」、「気管支拡張剤」「血圧降下剤」などが提示されており、これらの医薬品群を調剤・服薬指導などを行った際に、誤飲を防ぐための取組みが要望されていた。

 具体的な取組みとして日薬は、ポスター・チラシを作成して注意喚起を行うほか、各地域の実情に則した日本中毒情報センターなどの相談機関の情報などを患者・保護者・薬局利用者に提供する。また包装容器による事故防止策については、日本製薬団体連合会等の関係機関と協議すると予定としている。

 日本製薬団体連合会は、子ども・乳幼児の医薬品の誤飲は「大人の責任」と題する3パターンのポスターを作成。いずれも「子どもの医薬品誤飲を防ぐ3つのルール」として「見えないところに片付ける」「手の届かないところに片付ける」「服用後すぐに片付ける」ことを呼び掛けている。

 子どもの医薬品の誤飲については日本中毒情報センターなどに寄せられる報告件数が増加傾向にあり、同センターなどが注意情報を発信していた。

 能力に応じた負担主流に 介護保険料見直し

介護保険を巡っては、高齢化で年々増大する給付費に対応するため、厚生労働省が年末にかけて負担の在り方の見直しや給付抑制を検討しており、大企業の従業員や公務員の負担が増える「総報酬割」の導入もその一環に当たる。

 政府の社会保障制度改革では「高齢者も現役世代も、収入があって可能な人には負担してもらう」という考え方が主流になりつつある。

 これを受け、今後の検討課題には65~74歳が介護サービスを利用したときの自己負担割合(原則1割)を2割とする対象者の拡大も挙がっている。利用料が高額になった場合に自己負担額に上限を設ける「高額介護サービス費」でも、一定以上の所得がある人の負担増を議論する。

 一方、給付抑制策では、訪問介護のうち掃除や調理などの「生活援助」サービスで、要介護度が低い人への給付縮小が検討されている。ただ、いずれも国民生活への影響が大きく、負担と給付のあるべき姿について丁寧な議論が不可欠だ。

自分の心の闇、目凝らし 「安楽死」考え一変 日本ALS協会理事 川口有美子 「相模原殺傷事件」

19人もの障害者が未明に襲われ命を奪われた。しかも、そこを退職した職員によって。陰惨だ。もう二度と起きてほしくない。

 容疑者は衆院議長に宛てた手紙の文面で「障害者が安楽死できる世界」を求めていたという。ドキッとした。というのも、私も筋萎縮性側索硬化症(ALS)の母の安楽死を真剣に望んでいた時期があったから。24時間の介護労働に加えて、意思疎通が難しくなり、閉塞(へいそく)感がピークに達していた時だった。

 この事件が起きた直後に、NPO活動で同僚のALS当事者に聞いてみた。発症から30年、呼吸器を付けて生きてきた橋本操は、わずかに動く口の形をヘルパーに読み取らせて「(死刑にならないように)嘆願書を」と。また5月の衆院厚生労働委員会に参考人として招かれながら「コミュニケーションに時間がかかる」という理由で、意見陳述の機会を奪われた岡部宏生は「社会の構造の問題」と言った。

 言葉を自由に操れない障害者は例外なく、あらゆる場面で非人道的な扱われ方をされている。だから、この日本社会は、この事件の容疑者と大して違わない思いを抱いている人だらけで、この男だけを責めても何も解決しないということだ。

 事件発生から1週間がたったが、事件の全容が見えない。襲われた津久井やまゆり園の関係者や遺族の気持ちを思うといたたまれずつらくなるが、障害者たちが施設の中でどのように共同生活していたかが知りたい。いくつかの障害を併せ持つ「重複障害」の人を殺りくしたというが、重複にもいろいろある。一人一人の障害がどうであったのか、どんなコミュニケーション手段を取っていたか、私は知りたい。

 だが、被害者の情報提供がタブーになっている。個人名も明かされないという事情。収容施設の対応である。社会や家族から隔離された重度障害者の状況が、社会からドロップアウトして、ここに逃げ込んできたこの男の心の闇を増幅したのではないか。

 私も一時期、冒頭で述べたように、意思疎通ができない人の生存が無意味に思えて仕方なかった。だが、重度障害があっても地域で介護を受けて自由に伸び伸び暮らしている人たちと知り合い、疲れて傷んだ心が癒やされ考え方が一変した。一緒に街に出かけたり、宴会をしたりという、普通の暮らしを共にする中で、彼らの個別固有の障害に対して、的確な介護で応えたい気持ちがむくむくと湧いてきた。そして、意思疎通が難しい人の気持ちを必死で読み取るようになっていた。他者との共生の楽しさに目覚めた。

 この事件はまれに見る凶悪犯罪で許しがたいが、重度障害者や認知症高齢者になるくらいなら、死んだほうがましというのは、よく聞く話だ。でも、重度障害者から見れば、その本質は容疑者の思想とそう変わらない、共生を否定した差別である。自分の心の闇にも目を凝らしてみたい。

旭川地区在宅ケアを育む会 学術講演会

ファイル 4395-1.pdf

8月17日(水)午後6時30分より
トーヨーホテル3Fにて
上記講演会が開催されます。詳細については、ファイルをご覧ください。

手術時、口内守る新器具 浜松医大病院と地元企業開発

浜松医科大付属病院(浜松市東区)と精密加工機メーカー「ショーダテクトロン」(同市西区)が手術時の口内のけがを防ぐ医療器具「バイトガード」を共同開発し、今月中旬から販売を始めた。産学連携促進を目的に同大に設置した「はままつ医工連携拠点」の取り組みで、6例目の製品化となった。

 バイトガードは全身麻酔手術の人工呼吸時に、口から肺に挿入するビニール管を患者がかみつぶして窒息するのを防ぐ器具で、口に入れて使用する。

 従来品はプラスチック製で、厚さ約2センチのブロック型が主流。患者がうつぶせになる手術や麻酔が切れかけた際に器具と歯の間に舌や唇を挟んでけがをする危険性があった。新製品は柔らかなシリコン樹脂製で歯の負担を軽減し、幅を広めて安定性を増した。かむ部分の内側に付けた羽根状のカバーが特徴で、歯の列より前に舌が出ないように工夫した。

 麻酔医で同病院医療安全管理室の鈴木明特任講師が数年前から感じていた問題点の改善を模索する中、シリコン製品の共同開発実績があった同社に相談。同社社員約40人の歯型を基に製作した大人用試作品を同病院で試用し、口の中に滑り落ちるなどの不具合に対する現場の意見を反映しながら改良を重ねた。

平成28年度 成年後見制度普及啓発講演会

ファイル 4393-1.pdf
ファイル 4393-2.jpg

上記講演会が添付ファイルにて開催されます。
是非ご参加ください。

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