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九州スポーツ医歯学研究所 一般社団法人に認定 アスリートの口腔管理推進

マウスガード(MG)の装着でかみ合わせを調整して、体幹やバランス感覚の改善の効果を調べる「九州スポーツ医歯学研究所」(近藤剛史代表理事)が設立3年目を迎え、一般社団法人に認定された。今後は、アスリートや指導者に口腔(こうくう)管理の重要性を広めて、スポーツ歯科についての認定制度などを活用した普及啓発が課題となる。

 研究所は2015年に九州で初めて開設した。各種スポーツ大会の会場で相談ブースを設置してアスリートへの情報提供、大学での講義や研究会での症例研究などでスポーツ歯学の普及や底上げをしている。

 この2年間でサポートする選手も増えており、リオデジャネイロオリンピックのテコンドー日本代表の浜田真由選手や同パラリンピック陸上日本代表の中西麻耶選手の他、野球やモータースポーツ、格闘技など幅広い種目となっている。

 近藤代表理事は「スポーツ歯科チームはアスリートが最大限の力を発揮できるように側面的に支援するのが目的」と強調する。今後の課題として、若い選手へのスポーツ歯科の普及を挙げ、「世界で活躍する選手を育てるには、若い時から口腔管理の意識を持つことが重要。ジュニア世代の指導者に理解を深めてもらう活動をしていきたい」と話した。

 MGは歯を覆うように装着する。競技中のけがの予防の他、かみ合わせを調整して下顎の位置を安定させることでパフォーマンスの向上にもつながるとされる。アスリート用MGは競技の特性やかみ合わせに応じて専門の歯科医院で作るのが望ましい。バランス感覚の改善は、日常生活の動作改善や転倒防止に役立ち、高齢者の介護予防への応用も期待されている。

唾液腺腫瘍患者の生存率に人種差なし

唾液腺腫瘍患者を対象に、併存疾患、人種、社会経済的因子の生存転帰への影響を後ろ向きコホート研究で検証。カプランマイヤー生存曲線およびCox比例ハザードモデルで解析したところ、学歴が高校卒業以下の居住者が多い地区での居住、男性、診断時の高年齢、チャールソン併存疾患指数高値が、5年および10年生存率の有意な低下因子だった(順にP<0.05、0.05、0.001、0.05)。人種は生存の影響因子として特定されなかった。

「健康県」は長野がトップ…15年の県別死亡率

 厚生労働省は14日、人口10万人当たりの年間死亡者数を示す2015年の「年齢調整死亡率」を発表した。

 国民の健康水準の指標として5年ごとに集計されており、男性は10年の前回調査より58ポイント減って486人、女性も同20ポイント減の255人で、いずれも過去最低を更新した。

 年齢調整死亡率は、年齢構成の異なる都道府県間で、住民の死亡状況を比較できるように調整した数値で、健康福祉行政に活用されている。女性の方が平均寿命が長いことなどから、男性の死亡率の方が高い。

 死因別では、がん、心疾患、脳血管疾患の3大死因の死亡率が、男女ともに前回を下回った。

 都道府県別で見ると、全国最低は長野県で男性は434・1人、女性は227・7人。全国最高は青森県で、男性は585・6人、女性は288・4人だった。長野の全国最低は、男性が6回連続、女性が2回連続。一方、青森は前回も男女の死亡率が全国最高で、同省は、「塩辛い食べ物が多い食習慣などが影響しているのではないか」としている。

肺がん死亡率 道内男女が全国1位 高い喫煙率影響か

厚生労働省は14日、2015年の「都道府県別年齢調整死亡率」を発表した。北海道は肺がんによる死亡率で男女とも都道府県別の1位となり、いずれも2位だった10年の前回調査より悪化した。喫煙率の高い道民の生活習慣が影響したとみられる。

 年齢調整死亡率は、地域間や年次間の死亡状況を正確に比較するため、都道府県によってばらつきのある年齢構成を補正した上で、人口10万人当たり何人が死亡したかを算出する。厚労省が国勢調査に合わせて1960年から5年ごとに実施している。

 道内の肺がんによる死亡は男性が前回比2・3人減の47・8人、女性が同0・3人増の14・4人だった。13年の厚労省の国民生活基礎調査によると、道内の喫煙率は27・6%で都道府県別で全国トップ。中でも女性の喫煙率は17・8%で、全国平均より7ポイント以上高い。厚労省は「喫煙が肺がんの死亡率の高さの一因となっている」(人口動態・保健社会統計室)と分析している。

手洗いの効果、水温で違いは?

手洗いをするとき、細菌を殺すために火傷しそうな熱い湯を使う必要はなく、手指の衛生には水温よりも十分な時間をかけることの方が重要だと分かった。この結果は、食品を扱う施設に対して手洗いに38℃の水を使うように推奨する米国食品医薬品局(FDA)のガイドラインとは相反するもの。

 研究を実施した米ラトガース大学(ニュージャージー)のDonald Schaffner氏らは、「快適に手を洗えるようにすることは必要だが、有効性に関する限りでは、水温は問題でないことが示された。冷水を使用すれば温水よりも光熱費を節約できる」と話している。

 今回の研究では、ボランティア20人を対象に6カ月で数回の試験を実施。対象者の手を高濃度の無害な細菌で汚染させた後、15℃、25℃、38℃の水で手を洗ってもらった。

 その結果、有害な細菌などを取り除く効果は冷水でも温水と同程度だった。水温よりも、十分な時間をかけて石鹸で手洗いすることの方が重要であり、10秒以上手を洗えば著明に細菌を除去できることが分かった。石鹸の使用量は結果に影響しなかった。ただし、同氏らは「細菌を除去するのに最適な石鹸の量や種類を正確に決定するためには追加研究が必要」としている。

 Schaffner氏は、「この知見は食品サービス業界に対するFDAのガイドラインに変更を迫るものだ。温度要件を定めるのではなく、快適な水温にすべきだとするだけでよい。不必要に水を熱するのはエネルギーの無駄となる」と述べている。

 研究結果は、「Journal of Food Protection」6月号に掲載された。

やぶ医者大賞:臼井恒仁氏と澤田弘一氏の2人に

養父市は10日、過疎地での医療に励む若手医師を表彰する第4回「やぶ医者大賞」の審査を市役所で行い、滋賀県米原市の「地域包括ケアセンターいぶき」の臼井恒仁医師(46)と、岡山県鏡野町の「鏡野町国民健康保険上齋原歯科診療所」の澤田弘一所長(50)が選ばれた、と発表した。受賞者の表彰式と講演会が8月5日、養父市広谷のビバホールで開かれる。

 「やぶ医者」は医術のつたない医師を意味するが、語源については「養父にいた名医」だとする説があり、市では2014年に創設したこの賞を通じて医師を大切にする自治体としてPRし、医師確保も目指すという。

 今年4月までに応募した4人の中から、書類選考で2人を選んだ。選考には、養父市医師会の井上正司会長ら計7人の審査員があたった。

 市の授賞理由などによると、臼井医師は岐阜大医学部卒業。「いぶき」開設当初からのスタッフで、その後沖縄県の座間味診療所に派遣された。「いぶき」に戻った後は、座間味で覚えた三線(さんしん)を演奏して患者を癒やすなどして地域医療に貢献した。

 澤田所長は岡山大歯学部卒業。歯科医としての「やぶ医者大賞」への応募は澤田さんが初めて。子どもたちの健診や夜間の保護者への教育、自らケアマネ資格を取得するなどして口腔(こうくう)と全身の総括的健康管理に努め、健康なまちづくりに尽力した。

【長崎】歯の健康高齢者 6連覇の木村さん 毎日4回磨き健康維持

80歳以上の人を対象に、佐世保市と市歯科医師会が毎年開いている「歯の健康優良高齢者コンテスト」で、木村秋時さん(85)=小佐世保町=が前人未到の6年連続金賞の記録を打ち立てた。健康な歯を維持する秘訣(ひけつ)は「毎日4回の歯磨き」。「歯は体の健康に関係している。これからも続けたい」と話している。

 コンテストは歯と口の健康週間(4~10日)に合わせて開き、毎年30人ほどが参加。20本以上自分の歯があることが条件で健康な歯の本数や歯並び、歯周病の有無を審査。年齢を加味して順位を決める。24回目になるが、金賞を6回獲得した人は初めて。

 歯磨きは朝昼晩に加え、夜中に目が覚めた時もしている。時間は歯間ブラシも使って丁寧に5分間。コンテストに出始めてから、ほとんど行ったことがなかった歯科医院にも定期的に通い検診を受けている。

 木村さんは元小学校教員。児童には「歯は健康の窓」と指導し、自らも人一倍虫歯に気を付けていた。年を重ねるにつれ、あらためてそれを実感している。「この年になっても大きな病気をしていないのは歯を大切にしたから。これからも食べたらしっかり磨くことを心掛けたい」と自慢の歯を見せた。

生活保護、減額の可能性 指標に65歳以上の単身世帯水準追加案

来年度に迎える5年に1度の生活保護費の支給水準見直しに向けた議論が6日、本格化した。厚生労働省は高齢者の単身世帯の生活水準を指標に加える案を提示。長期的に保護費が下がる可能性が出てきた。保護費は抑制傾向が続いており、憲法がうたう「健康で文化的な最低限度の生活」の定義も問われる。

 6日にあった社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の生活保護基準部会。生活保護費の基本となる食費や光熱水費に充てる生活扶助について、厚労省は今回、夫婦と子ども1人のモデル世帯に加え、単身の65歳以上世帯による消費動向も調べ、支給水準を定める際の参考にする考えを示した。その結果を保護世帯全体の水準に反映させるという。

 2007年の見直し議論ではこうしたモデルを参考にし、この時の単身世帯は60歳以上とした。これを5歳引き上げる案だ。厚労省は「生活保護受給世帯の中で65歳以上の単身世帯がもっとも多い」と理由を説明した。高齢者が占める割合は増加傾向にあり、今年2月には46・7%に達した。

 これに対し、基準部会では学者らが「年金給付水準の低下に合わせて生活保護基準も低下する恐れがある」と反発した。年金には、伸び幅を物価の伸びより低く抑える「マクロ経済スライド」との仕組みがある。昨年末の法改正で適用されやすくなった。高齢者の収入が相対的に減れば消費も抑え気味になり、生活扶助も下がるとの懸念だ。

 そもそも生活保護費は近年、抑制が続いている。03年度に初めて0・9%引き下げられ、04年度も0・2%の減。13年度からは3年で独自の物価指数を基に計6・5%減らされた。大幅引き下げをめぐっては29都道府県の約900人が違憲だとして提訴。東京都内で1日にあった集会で、原告の女性(66)は「生活はますます苦しくなるばかり」などと訴えた。

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