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口の細菌、腸難病の原因か 予防や治療に期待

普段、口の中にいる細菌が腸の中で増えると、腸に慢性の炎症が起きる潰瘍性大腸炎やクローン病といった難病の原因となる可能性があると、慶応大などのチームが20日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 チームの本田賢也(ほんだ・けんや)・慶応大教授は「口の中を清潔にすれば、腸の難病の治療や予防につながるかもしれない」と話している。

 腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍が起き、腹痛や下痢の症状が出る潰瘍性大腸炎やクローン病は、原因不明で完全に治療する薬は今のところない。

 チームは、クローン病患者の唾液を、無菌状態で育てたマウスの口に入れると、腸内で炎症を引き起こす免疫の細胞が増える例があることを発見した。マウスのふんの細菌を詳しく調べると、普通は口の中にいて腸にはいない「肺炎桿菌(かんきん)」という細菌が腸で増えたのが原因だと分かった。

 通常のマウスでも、抗生物質で腸の細菌を弱らせた後に肺炎桿菌を入れると増えやすいことが判明した。

 肺炎桿菌は健康な人の口にもおり、高齢者や免疫の働きが落ちている人では肺炎の原因となる。炎症を起こしやすい体質の人では、腸で増えると難病の発症につながる恐れがあるという。