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iPS研究の工程表公表 毛包や歯がお目見え

 文部科学省は4日、さまざまな細胞や組織に成長させられる人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った再生医療研究の10年先までの目標を盛り込んだ工程表を公表した。

 工程表は2009年に初めて作成され13年に更新、今回は2回目の改定。新たに毛包や歯など5組織が加わり、再生を目指す細胞・組織は19になった。

 昨年9月に実施した世界初の網膜の再生医療に続くと期待される京都大のパーキンソン病治療については、これまでの想定より少し遅れ「1~2年後に臨床応用開始」とされた。毛包は4~5年後、歯は7年後以降の見込み。

 工程表は作業部会が11月11日付で改定。安全性を確認する臨床研究と国の承認を目指す治験とを分けて記載していたが、部会で委員から「分かりにくい」との意見が多く出たため、人を対象にする研究開発段階を意味する「臨床応用」に一本化した。

人工舌を装着して会話ができるように。「夢の会話プロジェクト外来」が開設。

岡山大学歯学部と同大学院医歯薬学総合研究科は、がんの治療などで舌をなくし、会話が困難になった患者が再び話せるように医療支援する「夢の会話プロジェクト」を設立。岡山大学病院に「夢の会話プロジェクト外来」を開設し、医歯工連携で会話の改善に取り組んでいる。舌がんによって舌を部分的に切除した場合、残っている舌の量が多ければ、これまでの舌接触補助床(PAP)という義歯のような装置を用いることで、ある程度の会話が可能となっていた。しかし、舌亜全摘手術(舌の大部分を切除)を受けた場合には、どうしても出せない音があり、会話によるコミュニケーションが困難になる場合があるという。そんな中、偶然にも口腔外科医の経験を持ち、歯科医師でもある岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の小崎教授が舌がんを発症し、舌の大部分を切除するすることとなった。小崎教授は同研究科で入れ歯を作る技術を応用した補助器具を製作していた皆木教授に相談。二人は小崎教授をモデルに何度も試作、改良を重ね、世界初となる人工舌装置の開発に成功した。小崎教授が歯科医師であるため、専門知識を利用した詳細かつ正確な機能観察が可能となったことが実現への手助けになったことはいうまでもないだろう。

ホルモンうどんの嚥下食が好評 津山の病院考案、全国コン優秀賞

 日本原病院(岡山県津山市日本原)が、ご当地グルメのホルモンうどんを、かんだり飲み込んだりするのが難しい高齢者でも食べやすい「嚥下(えんげ)食」にアレンジしたレシピを考案した。実際に作ったホルモンうどんを部材ごとにムース状にして固めており、風味をそのまま楽しめると入院患者からも好評。10月には嚥下食の全国コンテストで優秀賞を獲得した。

 老化などが原因で飲食物をうまく食べられない嚥下障害を持つ人が食べやすいよう、液体に増粘剤でとろみをつけたり、ムースにした食材をゲル化剤などで固めたりして料理の形に整えた嚥下食。見た目は通常の料理に近いため、流動食やペースト状の食事に比べ、食欲低下を防げるなど効果があるという。

 日本原病院では2008年春から嚥下障害を持った入院患者のために試作をスタート。最初はうまく固まらず、味もいまいちだったというが、半年後に週1回、メーン料理だけの提供を始め、10年秋からはすべてのメニューで嚥下食が作れるようになった。

 ホルモンうどんは、「第3回嚥下食メニューコンテスト」(一般社団法人日本医療福祉セントラルキッチン協会など主催)に応募するため今年8月から開発を始めた。センマイや小腸といったホルモンのしわをリアルに再現するためにアルミホイルで形作るなど、味だけでなく見かけにもこだわり、全国103作品の中から決勝審査進出の6作品に中四国地方で唯一選ばれた。

 10月に東京・有明の東京国際展示場(ビッグサイト)であった決勝審査では、開発に携わった同病院栄養課の管理栄養士佐藤洋子さん(43)が審査員の前で解説し、調理師中田富美さん(51)が調理。最優秀グランプリ1点、準グランプリ1点に次ぐ優秀賞(4点)を獲得した。

 佐藤さんは「まさか優秀賞を取れるとは思わなかった。これを機に、嚥下食をより多くの人に知ってもらい、介護の現場で役立てたい」と話している。

1~4月の歯磨き粉購入金額、1位は「シュミテクトハミガキ」。

フィールドマーケティング支援サービスを提供するソフトブレーン・フィールド株式会社の調査によると、2015年1~4月の歯磨き粉の購入金額ランキング(レシートに記載された購入金額から算出)の1位は、『グラクソ・スミスクライン』の「シュミテクトハミガキ」だった。上位10ブランドを購入個数と平均購入単価でみると、100円台の商品が最も個数が多い一方、購入金額シェアにおいては、平均購入単価が200~500円台の商品が上位にきていることがわかる。

いつまでも口から食べようシンポジウム 開催!

11月6日(金)午後1時より「札幌共済ホール」にて開催された。
最初に「高齢者の歯のコンクール」表彰式を挙行し、道内から354名の
応募のあったなかから選ばれた6名に賞状と記念品が授与された。

 表彰式終了後、榊原典幸氏(日鋼記念病院歯科口腔外科主任科長)
が『口から食べて「命」輝く』と題し講演され、口腔環境をケアする
ことで生活習慣病を予防するだけでなく、医療費の負担軽減、加齢に
伴う活動性や活力の低下を抑えられるため、日頃からの口腔環境のケ
アが重要であると述べられた。
 
 つづいて、高遠智子氏(オーガニック薬膳料理研究家)が、『唾液
分泌と代謝を上げる秋から春への食べ方・暮らし方』と題し、末期の
卵巣がんで余命3か月を宣告された自身の経験から、西洋と東洋の知
識を融合した“オーガニック薬膳”と「食」の大切さや食材の組み合
わせについて講演された。お口の健康に関心を持つ道民およそ600名が
熱心にお二人の講演に耳を傾けていた。

診療報酬改定めぐり火花 日医と健保連が意見対立

診療報酬の2016年度改定をめぐり、引き上げを求める医療側の日本医師会(日医)と、引き下げを訴える保険財政の運営側である健康保険組合連合会(健保連)が2日、中央社会保険医療協議会(中医協)で火花を散らした。

 11月に公表された医療機関の経営状況に関する調査結果に対し、日医の委員は「総じて経営が悪化した」と主張、健保連の委員は「経営は中期的にはおおむね堅調だ」と見解を表明し、認識は平行線をたどった。

 日医は「報酬は経営の原資でマイナス改定は医療崩壊を招く。(医師の技術料に当たる)本体はプラス改定とすべきだ」と強調。安倍政権が掲げる賃金上昇を通じて消費を喚起させる方針と合致させるため、増額が必要だとした。

 これに対し健保連は、医療保険財政の深刻さに触れ、報酬を引き上げれば患者の窓口負担や保険料の増加につながり「国民の理解と納得が得られない」と指摘。今回の改定は「マイナス改定とすべきだ」とした。

子供の虫歯、激減 予防策浸透、20年余で4分の1 歯科医は増加、閑古鳥

「よく磨けているね」。今年4月、横浜市旭区の市立中尾小であった歯科検診。学校歯科医の江口康久万(やすくま)さん(56)が児童に声をかけた。同小は、全校児童の95%に虫歯が一本もない学校として、昨年表彰を受けた。給食後の全校一斉の「歯磨きタイム」などで虫歯予防に取り組む。教壇にも立つ江口さんは保護者の意識の高まりを感じるといい「歯の健康を保つことは正しい生活習慣にもつながる」と話す。

 子供の虫歯は大幅に減っている。文部科学省の調査によると、12歳児の1人平均の虫歯本数は、1989年の4・30本から、2013年には1・05本に減少した。虫歯のある子供の割合も90%超から半分以下の40%台になった。歯磨き粉の市場規模も拡大傾向で、大手メーカー「ライオン」の広報担当者は「比較的価格の高い商品が売れ筋。虫歯対策だけでなく、歯の美白や口臭予防など消費者のニーズは広がっている」と指摘する。

 一方、歯科医は増加の一途だ。歯科医不足が叫ばれ、国の方針で大学の歯学部を増やした結果、60年代に3万人台だった歯科医は現在10万人余に。歯科診療所も13年には約6万8000カ所に達し、コンビニエンスストアの店舗数を超える。過当競争で年間約1400の診療所が廃業するなど環境は厳しい。

 「この歯医者がヤバい」の著書で知られる歯科医の斎藤正人さん(61)は「保険診療ではやっていけず、高額な自由診療の対象になるインプラントや矯正歯科に流れる傾向は強い」と指摘。「歯科医の質は下がり、閑古鳥が鳴く診療所が珍しくない」という。

 国は、業界を取り巻くこうした現状を問題視。現在は診療所の受診患者の3人に1人を65歳以上が占めることから、高齢者に対する訪問医療の診療報酬アップや補助金などによる支援強化、歯学部の入学定員や歯科医養成のあり方の見直しなどについて検討を始めている。厚生労働省歯科保健課は「従来の歯科医療では先細りが目に見えている。新たな歯科医のニーズを探し、多様な医療モデルを示したい」と話す。

一人歯磨きが思わぬ大参時に。乳幼児の歯ブラシ事故に注意。

乳歯が生えると始める歯磨き。小さいうちから子どもに歯磨きを身につけさせようと頑張っている母親も多い。しかし、そこには思わぬ危険が潜んでいる。東京消防庁管内では、平成22年から26年までの5年間に、5歳以下の乳幼児が歯磨き中の事故で207人が救急搬送されているという。また、消費者庁と国民生活センターの共同事業である医療機関ネットワークにも、乳幼児が歯磨き中に歯ブラシをくわえたまま転倒するなどして外傷を負ったという報告も多数寄せられている。中には、歯ブラシが頬に刺さって手術となったケースや、咽頭に刺さった歯ブラシの先端が折れて頸静脈のすぐそばまで入ってしまったケースなど、重症となる事例も珍しくないという。また消費者庁が行った意識調査によると、4人に1人の乳幼児が歯ブラシにより怪我をした、または怪我をしそうになった経験があるとのこと。しかし、歯ブラシは箸やフォークと違い先端に丸みを帯びているため、大きな事故に至るという認識が保護者にはあまりないという。乳幼児に歯磨きを教えることは、オーラルケアの観点からも子どもの成長教育の観点からも重要なことである。しかし、その際には、大きな事故が起こり得ることを保護者が認識することが大切だ。特に1~2歳児は歯ブラシを口にくわえたり手に持ったまま歩き回ることが多く、保護者に対するより一層の注意喚起を促す必要がある。

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