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「酒は百薬の長」を否定する解析結果

これまでの研究では飲酒のさまざまな健康効果が示唆されてきたが、今回、適量(moderate)のアルコールが寿命を延ばすという見解に疑問を呈する研究結果が新たに示された。

 オーストラリア国立薬物研究所のTanya Chikritzhs氏らによると、87件の研究をレビューした結果、全く飲酒をしない人に比べて、適量の飲酒をする人に生存期間の面で利益は認められなかったという。一方、この結果に対して米ボストン大学医学部教授のR. Curtis Ellison氏は、「科学的データからは、少量から中等量の定期的な飲酒が中高年の健康的なライフスタイルと矛盾しないことが支持され続けている」とコメントしている。

 Chikritzhs氏らは、「飲酒を止めた人は、理由として病気になったことを挙げることが多いが、これまでのレビューではその点が見逃されてきた。その結果、こうした人は早期に死亡する比率が高く、飲酒の影響を見誤る原因となっている可能性がある」と主張している。

都立松沢病院紙おむつ異食死裁判、和解内容を詳報

 東京都立松沢病院で認知症の女性(死亡時76歳)が、紙おむつを口にして死亡したのは病院の責任だとして、長女が都に約2500万円の損害賠償を求めた東京地裁(矢尾和子裁判長)訴訟は、都が責任を認めて解決金を支払うなどの内容で和解が成立した。裁判記録を基に双方の主張と和解内容を詳報する。和解は2月17日付。

「かかりつけ歯科医」を制度化へ、歯周病重症化を予防

厚生労働省は4月から、「かかりつけ歯科医」制度を設ける。高齢者への対応や医師との連携などで一定の条件を満たした歯科医が、患者を継続的に診る場合の診療報酬を手厚くし、歯周病や虫歯の重症化予防を進めたい考えだ。

 厚労省によると、50歳以上では約半数の人が歯周病が原因で抜歯。歯周病は一時的に治療しても、定期的に通院しないことによってまた悪化し、抜歯につながるリスクが高まるという研究結果もある。厚労省は、高齢者の口の管理について研修を受け、在宅医療を担う医師らと連携するなどの条件を満たしたかかりつけ歯科医が原則月1回、歯周病の検査や治療を実施した場合の報酬を手厚くする。基本的な歯周病治療を終えた患者に対する継続的な検査や治療につなげてもらう。

 また近年の研究で、初期の虫歯はフッ素を歯の表面に塗る処置によって修復できることが分かってきた。2~18歳の患者を対象にした研究で、継続的な通院が虫歯の発症を抑えるという結果も出ている。かかりつけ歯科医が原則月1回、フッ素の塗布や歯の清掃などを行えば、高い報酬を払う仕組みを新設した。

当事者双方に賠償命じる 旭川医大の電子カルテ訴訟

旭川医大病院(北海道旭川市)への電子カルテシステム納入が遅れたことをめぐり、医大と、発注先のNTT東日本が互いを訴えた2件の訴訟の判決で、旭川地裁は29日、それぞれ相手方への賠償を命じた。賠償命令額は医大側が約3億8300万円、NTT東日本側が約3億6500万円。

 判決理由で武藤貴明(むとう・たかあき)裁判長は「プロジェクトが頓挫した最大の原因はNTT東日本側が医大側の追加開発要望に翻弄(ほんろう)されて適切に進捗(しんちょく)を管理できなかったためだ。協力が不十分だった医大側にも一因がある」と指摘。その上で過失割合をNTT東日本側が8割、医大側は2割とし、双方の損害と認めた額から相殺し、賠償命令額を算出した。

 医大側は納入遅れによる逸失利益や違約金など約19億3500万円の損害賠償を請求。NTT東日本側は不当な契約解除で利益を失ったとして損害額を約23億6900万円と算出。転用できた物品分を除いて最終的には約22億7900万円を請求していた。

 判決によると、医大とNTT東日本は2008年10月31日、電子カルテシステムを中核とする病院情報管理システム納入の契約を結んだ。10年1月にシステムを稼働させる予定だったが納品が間に合わず、医大は同4月に契約解除した。

 医大病院には最終的に別の業者がシステムを納入した。医大側は「導入が遅れた結果、余計な経費が必要になり、削減できたはずの経費も削減できなくなった」と主張。

 NTT東日本側は「納期に間に合わなかったのは、システム開発段階で医大から当初の契約にはなかった仕様の追加や変更を求められたからだ」などと反論していた。

診療報酬 医療「在宅」を強化 地域で暮らし続ける社会目指す 介護制度改革と連動

4月から医療の値段である診療報酬=NewsWord=が変わる。今回は身近なかかりつけ医や、かかりつけ薬剤師の充実に力点を置いている。政府は、最期まで地域で暮らし続けられる仕組み「地域包括ケアシステム」の構築を目指している。かかりつけ重視は、在宅シフトを一層強めることで地域包括ケアの柱である「医療」を強化する狙いがある。【鈴木直】

 今回改定では認知症の人と小児(原則3歳未満)のかかりつけ医に対する報酬や、薬局のかかりつけ機能の評価を初めて設ける。前回2014年度改定で導入したかかりつけ医一般に対する報酬の要件についても、常勤医3人を2人に緩和。かかりつけ機能を持つ医療機関の増加を目指している。

 今回、かかりつけ機能を大きく前進させたのは次回(18年度)が介護報酬との同時改定になることをにらんだ対応だ。

 政府が目指す地域包括ケアシステムは、住まい・医療・介護・介護予防・生活支援のそれぞれの面から高齢者を支え、重度の要介護状態となっても住み慣れた地域で暮らせる仕組みだ。政府は団塊の世代(1947~49年生まれ)が75歳以上となる25年をめどに構築したいとしている。

 在宅の高齢者が暮らし続けるためには、かかりつけ医による継続的な健康管理だけでなく、いざという時に在宅で医療を受けられる体制も重要になる。

 そこで、現在は深夜の往診にしか認められていない特別報酬を休日の往診でも請求できるようにする。さらに、在宅専門の医療機関も開設できるようになる。

 医療機関は原則、患者が来たら診察に応じなければならないが、地域で外来患者の受け入れが確保されていることや、緊急時に連絡が取れることなどを条件に「在宅専門」を認める。

4月定例会のご案内

旭川地区在宅ケアを育む会
4月定例会
◎日 時:平成28年4月20日(水) 午後7時~8時45分

◎場 所:旭川市市民活動交流センター 
CoCoDe(ココデ)旭川 1F 大ホール
    (旭川市宮前通り東/ 電話/0166-76-5511)
   
◎内 容:「在宅ケアの日頃の疑問、困りごと
~ ロールプレイをとおして考える ~」

◎参加費:100円(お一人様)ご持参の上、ご参加ください。
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MLホームページ: http://www.freeml.com/mikkyno1956

歯科医師数に占める女性の割合 39年間で11.3ポイント増

歯科医師数に占める男性の割合は年々減少し、女性は増加している。厚労省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」を基に、日本歯科医師会が第182回臨時代議員会の事前質問に対する答弁資料としてまとめた。男性は昭和50年の88.8%が平成26年には77.5%となり女性は11.2%が22.5%と、39年で11.3ポイント伸びる結果となった。

歯科医師数では、昭和50年は男性3万8,700人、女性は4,886人、平成26年には男性8万544人、女性2万3,428人で、人数に差があるものの伸び率では男性が2倍弱なのに対し、女性は5倍近くとなっている。男女合計の歯科医師数は50年の4万3,586人が、26年には10万3,972人と6万386人増え約2.4倍伸びている。

乳歯から肝臓細胞作成…マウスの病状改善

子どもの乳歯から、様々な細胞に変化できる幹細胞を取り出して肝臓の細胞に変化させ、肝臓病のマウスに移植して症状を改善させることに成功したと、九州大の田口智章教授(小児外科)らが、大阪市で開かれている日本再生医療学会総会で発表した。

 廃棄される歯を有効活用した再生医療として注目される。

 田口教授らは、九州大病院の歯科を受診した健康な子どもから、抜けた乳歯を譲り受け、内部の歯髄という部分にある幹細胞を採取。変化を促すたんぱく質を加えて培養すると、肝臓の細胞とよく似た細胞が大量にできた。肝硬変のマウスの肝臓に移植すると、症状が改善したという。

 幹細胞は体内の脂肪や骨髄などからも採取できるが、乳歯の幹細胞は、廃棄される歯が原料なので入手しやすい。田口教授は「将来は、生まれつき肝機能が悪い難病の治療に役立つ可能性がある」と話す。

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