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内田愛媛大教授らモンゴルで医療支援 治療受けにくい地方都市で手術

愛媛大医学系研究科口腔顎(こうくうがく)顔面外科学講座の内田大亮教授(54)らが今夏、モンゴルの地方都市で医療支援に取り組み、生まれつき唇が割れているなどの口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)の子どもらの診察や手術をした。内田教授はモンゴルでは首都以外で十分な治療を受けるのは難しいとし「地方の患者や、技術を学ぶ医師のためにも支援を継続したい」と話している。

 モンゴルでの医療支援は、日本口唇口蓋裂協会(名古屋市)が2007年から実施しており、愛媛大として今年初めて参加。内田教授ら3人が7月上旬の3日間、独協医科大(栃木県)のチームと共に首都ウランバートルの東約600キロにあるドルノド県チョイバルサン市で活動した。

 現地の県立病院で、33人を診察し、22人を手術した。同病院には必要な医療スタッフがそろっていないため、通常は口唇口蓋裂の治療は行っておらず、患者の家族や現地スタッフからは何度もお辞儀をされ、感謝されたという。

 術後管理への不安から短期訪問ではできない手術もあり、内田教授は現地医師の技術向上をはじめとした医療提供体制の構築が課題と指摘。「モンゴルの患者が成人になって笑顔になれるよう取り組んでいきたい」と述べた。

健康保険証、予定通り廃止 厚労相、総裁選で見直し論

武見敬三厚生労働相は10日の記者会見で、自民党総裁選の一部候補が見直しを提起した現行の健康保険証の廃止期限に関し、予定通り12月2日に廃止する考えを示した。「政府方針に変わりはない」と述べた。

 健康保険証の廃止期限を巡り、自民党総裁選に立候補を表明している林芳正官房長官が見直しを検討すると言及。廃止を主導してきた河野太郎デジタル相は「真意を確認しなければならない」とけん制し、争点の一つとなっている。

 河野氏も10日の会見で「政府として従来の方針に何ら変わりはない」と強調した。

 武見氏は、林氏の見直し論について「総裁選に向けた個人の考えだ」と指摘し、直接の評価は避けた。閣内不一致ではないかとの質問には「閣僚同士の閣内における方針は全く揺るぎない」と語った。

 総裁選では、石破茂元幹事長が廃止期限の見直し論に賛同。小林鷹之前経済安全保障担当相は期限延長を否定している。

 現行の保険証は12月2日以降、新規発行されなくなる。政府はマイナンバーカードに保険証機能を持たせた「マイナ保険証」に一本化する方針。マイナ保険証の7月の利用率は11・13%と低迷している。医療現場の一部からは「高齢者にとって使い慣れた保険証を残してほしい」との声が出ている。

石破氏、保険証廃止の先送り「選択肢として当然」 総裁選の争点に

 マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」への移行をめぐり、自民党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明している石破茂元幹事長(67)は8日、政府が今年12月とする健康保険証の廃止時期について、先送りも検討するべきだとの考えを示した。東京都内で記者団の取材に答えた。総裁選の争点の一つになりそうだ。

 石破氏は、政府方針に対する国民理解を広める重要性を指摘したうえで、「納得していない人、困っている人がいっぱいいる状況があったとすれば、(従来の保険証との)併用も考えるのは選択肢として当然だ」と語った。

 同じく総裁選に立候補を表明している林芳正官房長官(63)が7日に「不安の声に応え、必要な見直しをしっかり行いたい」と主張。石破氏は林氏に賛同する姿勢を示した。

 しかし、マイナンバー制度を所管する河野太郎デジタル相(61)は、3日の閣議後記者会見で「12月2日からマイナンバーカード保険証を基本とするシステムに移行する方針に変わりはない」と強調。総裁選の立候補予定者のなかでも考えが割れている。

 一方、拙速なマイナ保険証への切り替えに慎重姿勢を示してきた立憲民主党の泉健太代表は8日、福岡市内での街頭演説で「立憲の言っていたことはやはり正しかった。(自民は)立憲の周回遅れを走っている」と指摘した。

口唇口蓋裂、子どもにどう伝える?「親の会」が初の講演会、悩みを共有 7日に那覇・赤十字病院で

上唇や口の中に亀裂が生じた状態で生まれた子どもをもつ親の悩みに応える「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)講演会」が7日午前10時~11時半、那覇市与儀の沖縄赤十字病院で開かれる。病気について子どもにどう伝えるかなど、親子の支援プログラムを構築している川崎医療福祉大学の高尾佳代助教と、同病院の西原一秀歯科口腔外科部長が語る。

 口唇口蓋裂の原因は不明で、日本では新生児500人に1人が発症するという。授乳や食事、発音に支障をきたすが、適切な時期に治療を受ければ、通常の社会生活を送ることができるという。

 講演会は「沖縄口唇口蓋裂親の会オパールズ」が初めて主催する。同会は、孤立しがちな親同士が支え合おうと、2022年に発足。約50家族が会員となり、交流会を年2回開いている。より多くの当事者との出会いの機会を設けようと、講演会を開くことにした。

 子どもに病気の説明を、いつ、どうするか親は悩むという。子どもにとっては小学校入学や、5~6歳で行う鼻の修正手術などが知りたいタイミングといい、講演会で具体的な例を紹介する。

 同会代表のイーブリングゆう子さんは「私も含め、ほとんどの親が出産を前に初めて口唇口蓋裂を知り『なぜ自分だけ』と思ってしまう。親同士で話せば、一人で抱えていた悩みが軽くなる」と参加を呼びかける。

虫歯治療女児死亡で和解 局所麻酔受け、福岡地裁

2017年に虫歯治療で局所麻酔を受け、低酸素脳症で死亡した山〇◆愛)ちゃん=当時(2)=の両親が、歯科医院(閉鎖)を運営していた医療法人側に損害賠償を求めた訴訟は4日までに、地裁で和解が成立した。両親の代理人弁護士への取材で分かった。3日付。和解条項は明らかにしていない。

 主治医だった元院長は救命措置を怠ったとして業務上過失致死罪に問われ、一、二審で禁錮1年6月、執行猶予3年の有罪判決を受けた。現在上告中。

 両親は19年、局所麻酔による中毒の兆候を早期発見しなかった過失があるとして提訴していた。刑事事件の今年2月の高裁判決は、治療直後に容体が急変したのを両親がしきりに訴え、元院長が中毒を疑う契機が十分あったと注意義務違反を認めた。

医療ケア児 災害に備え サークルが避難訓練 甲府市

 人工呼吸やたんの吸引など医療的ケアが必要な子どもや重症心身障害児とその家族を対象とした「インクルーシブ防災避難訓練」が1日、甲府市下飯田2丁目の甲府支援学校で開かれた。医師や看護師、理学療法士らとともに、体験やクイズを通じて災害時の行動や備えを考えた。

 県内の療育に特化した親子遊びサークル「なーさんのひきだし」が、医療従事者の立ち会いの下で避難所体験を行い、個別の避難計画を考えてもらおうと初めて企画した。家族約10組が参加した。参加者は非常用持ち出し袋や携帯用の医療機器を持参し、足踏みポンプを使った吸引や非常食の試食を体験。小児科医や防災の専門家が講演と○×クイズを行い、避難先の決め方や予備電源を使う際の注意点などを確認した。

 災害時は医療機器に必要な電源が確保できる保証がなく、防災頭巾をかぶったり靴を履いたりするのが難しい子もいる。参加した甲府市の女性(38)は「食事のときに使っているミキサーも電源なしには動かせない。備蓄する非常食を本人が食べられるかどうか、事前に確認しておきたい」と話した。

 サークル代表を務める看護師の永井由香さん(47)=甲府市=は「慣れない環境で子どもが安心して過ごすためには何が必要か、事前のシミュレーションが大切。体験を通じて、自宅待機ができるか、どんな備蓄をすべきか、考えるきっかけにしてほしい」と話している。

厚生労働省イベントで日歯 子どもに歯科の魅力発信

日本歯科医師会は夏休みに子どもたちに歯医者の仕事や魅力などを知ってもらうコーナーを厚生労働省内に設けた。各省庁を紹介する「こども霞が関見学デー」のなかで行われ、多くの子どもたちが日歯ブースに集まった。

 参加者からは「思ったより楽しかった」「歯医者さんのお仕事に触れられてよかった」「実際に参加してみて、普段やれないことばかりで子供も大人も楽しめた」と和気あいあいとした雰囲気で行われた。
【歯科通信】

日歯 次年度制度・予算で要望 厚生労働省や内閣府など訪問

日本歯科医師会(高橋英登 会長)は、7月31日と8月1日、令和7年度制度・予算要望のため、厚労省、文科省、経産相、こども家庭庁、内閣府それぞれを訪れ、要望書を手渡した。

 厚生労働省関係では、国民皆歯科健診の実行化に向けた環境整備や、歯科医療提供体制の確保・整備、受給問題への対応などを求めている。

 文部科学省関係では、学校教育下での歯科保健教育の充実、学校歯科健診情報のPHRの推進、スポーツマウスガードの普及、経済産業省関係では、健康経営の視点での歯科口腔保健活動の推進などを要望。こども家庭庁関係では、妊娠期から子育て期における歯科の体制整備、内閣府関係では、大規模災害等に備えた巡回診療車やポータブル医療機器等の整備支援、物価高騰への対応を求めている。
【歯科通信】


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