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呼吸助けるマウスピース

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に繰り返し呼吸が止まって熟睡できず、日中に眠くなったり、高血圧や不整脈などの循環器系の障害も引き起こしたりする病気。いびきが大きい人に多く、無呼吸が1晩7時間の睡眠中に30回以上、あるいは1時間に5回以上あれば、SASと診断される。肥満や喉の筋力低下により、鼻から吸い込んだ空気の通り道(気道)が、舌の根元や喉の筋肉でふさがってしまうのが原因。治療の主流は、睡眠時に機器を用いて鼻から圧力をかけた空気を送り込み、気道を広げる経鼻持続陽圧呼吸療法(CPAP)だ。
 これに対し、マウスピースは、装着することで下顎を少し前に出した状態に保ち、舌の根元が顎側に引き寄せられることで気道がふさがれるのを防ぐ。個人の歯型に合わせて歯科で作るが、取り組む歯科医師が少なく、まだあまり普及していない。
                     中国新聞 2011.2.2

白い歯取り戻そう

毎日きちんと歯磨きをしても、歯の表面には紅茶やコーヒー、たばこなどによる、どうしても落としきれない汚れが付く。様々な歯磨き粉も市販されているが。せいぜい表面の汚れを少し落とせるかどうか。歯に染み込んだしみをとるのは難しい。また年とともに歯の表面の透明なエナメル質は削れて少しずつ薄くなり、中の黄色っぽい象牙質の色が出る。時間とともに起きる歯の変色は、完全には避けられない。
 白い歯を取り戻すにはまず、虫歯や歯肉炎などの治療から始める。次に普段の歯磨きで落としきれてなかった茶渋や歯石といった表面の汚れを歯科医院にある専用器具を使って取る。この段階でも歯はかなり白くなり、満足する人も。表面に残った汚れは虫歯や歯周病の原因にもなるので、徹底的な汚れ落としは歯を長持ちさせる効果もある。
                 日本経済新聞 2011.1.23

歯周病 歯がぐらつく

歯周病は感染症だが、生活習慣病でもある。40代で発症したのなら、10年前の30代に手入れを怠った結果といえる。まず、きちんとした歯磨きの習慣がないことは一番の問題で、歯周病菌を大量に含んだプラーク(歯垢)が蓄積する。喫煙もニコチンが血管を収縮させて血流を悪くし、歯周病菌を増やす。食生活では虫歯と同様、砂糖を含んだ食物が温床になる。老化によっても歯周組織が衰え歯がグラつくが、歯周病があればそのスピードは10倍も違う。
                 週刊エコノミスト 10.10.12

虫歯や真菌が原因の場合も 蓄のう症

蓄のう症の多くは、鼻風邪やアレルギー性鼻炎から起こる。しかし、東京都府中市の地方公務員、大下敏隆さん(48)の場合は違った。大下さんは昨年1月下旬、左の上の親知らずを抜歯。その際、左の上顎洞(じょうがくどう)(ほおの裏側の空洞)と口の中をつなぐ穴ができた。穴は10日間ほどでふさがったが、数日後、黄緑色の鼻汁が出た。さらに数週間後、抜歯部分に激しい痛みがあり、次いで鼻内に「どぶのような臭気」を感じて総合病院の口腔(こうくう)外科を受診すると、「歯性上顎洞炎」と診断された。虫歯や歯根の炎症が空洞の粘膜に広がって起こる蓄のう症だ。

 歯性上顎洞炎のように、顔の片側だけで起こる蓄のう症には、カビの一種である真菌の感染が原因になっていたり、悪性腫瘍(上顎洞がん)が見つかるケースもある。真菌が空洞(副鼻腔(びくう))内で異常増殖した場合には手術が必要だが、鼻の中から内視鏡を使って除去することが可能だ。また、神奈川歯科大の八尾和雄教授(耳鼻咽喉(いんこう)科学)は上顎洞がんについて、「患部を切除する手術と少量の放射線照射、抗がん剤投与を組み合わせた北里方式という治療法で、患者さんの7~8割は治る」と指摘する。

 特殊な蓄のう症としては他に、飛行機に搭乗中、機内の圧力の変化に空洞の内圧の変化が対応できずに起こる「航空性副鼻腔炎」などがある。蓄のう症による炎症が、目に波及する場合もある。特に、両目の間にある空洞(篩骨洞(しこつどう))と、眼球の入ったくぼみ(眼窩(がんか))を隔てる壁は紙のように薄く、炎症が広がりやすい。物が二重に見えたり、目が腫れたりしたら、一刻も早い受診が必要だ。

 一般的に、感覚器官の神経は繊細で再生しにくいとされる。食べ物の風味やにおいの異常も、放置すると嗅覚の喪失につながりかねない。聖路加国際病院(東京都中央区)の柳清・耳鼻咽喉科部長は、これまでの経験から「においがしなくなっても、早期の治療で8~9割の人は元に戻るが、5年以上過ぎてしまうと難しい」と話す.
2011年3月11日 提供:毎日新聞社

介護職の専門性、「たん吸引は取っかかり」

厚生労働省の宮島俊彦老健局長は3月6日、東京都内で開かれた日本介護経営学会のシンポジウムで講演し、国が実現を目指す介護従事者によるたん吸引などの医行為について、「今回は一つの取っかかり。(厚労省の検討会で論点に挙がっている)専門介護福祉士の議論を早くやってもらう必要がある」と述べた。
 宮島局長は、介護保険の長期的な課題に「介護の質の確保」を挙げ、▽医療ケア▽リハビリテーション▽認知症ケア―を柱とした専門性が介護現場では求められていると指摘。特に医療ケアに関しては、介護福祉士らがたん吸引と経管栄養を行える体制の整備を足掛かりに、「医療・介護の垣根を低くしていく中で、どちらかというと介護福祉士サイドが医療を吸収していくことになるだろう」との見通しを示した。

 また、介護職の在り方について、利用者と多く接するホームヘルパーと介護福祉士が専門性を高める努力を継続する必要があると主張。その促進策として、「専門性の多寡を介護報酬に反映することが、(将来の)介護(分野)の1つの姿だろう」と語った。さらに、ケアマネジャーもこの専門性に対応できるように養成し、評価するしくみが求められるとした。
( 2011年03月07日 12:00 キャリアブレイン )

ひな祭りが教えてくれた“口で食べる幸せ”

Kさんは、ご主人と二人の娘さんに恵まれ、幸せな生活を送っていました。在
宅でご主人の介護をするなど、とても献身的な方だったそうです。ご主人を看取
った今では、自身も病院に入院。口から食事を摂ることができない状態でした。

 そんなKさんの夢は、「ひな祭りにちらし寿司とはまぐりのお吸い物を、もう
一度自分の口から食べること」です。そのために、口腔ケアと嚥下訓練に一生懸
命に取り組む姿をFさんはいつも目にしていました。

 ある日、主治医からKさんにとって最後のひな祭りになるかもしれないという
話を聞きます。
「なんとかして願いを叶えてあげたい!」
 その一心で調理師や主治医と相談し、やり方を考え抜いたFさん。ようやく
「これならイケる!」という方法を見つけて、口から食べさせることに成功した
のです。

 Kさんは食事を摂りながら微笑み、次のように話してくれました。
「いつもキレイにしてもらっている口から食べるご飯はとても美味しいわね。本
当に幸せ。この病院に入院してよかった。ありがとう」

 Fさんは、毎日の口腔ケアが、患者さんの願いを叶える礎を築いたのだと実感
したそうです。「“自分の口でご飯を食べる幸せ”を感じてもらいたい。そのた
めに、これからも口腔ケアを念入りに行なっていきます」と決意新たに話してく
れました。

ビスホスホネート長期使用で非定型骨折リスクが上昇

経口ビスホスホネート製剤を5年以上投与すると大腿骨の非定型骨折リスクが上昇すること、ただしその絶対リスクは小さいことが、カナダSt. Michael’s HospitalのLaura Y. Park-Wyllie氏らが行った過去最大規模の研究で明らかになった。論文は、JAMA誌2011年2月23日号に掲載された。

 経口ビスホスホネートは、骨粗鬆症性骨折予防に広く用いられているが、近年、その長期使用が大腿骨の非定型骨折を増やす可能性が懸念されるようになった。著者らは、大腿骨転子下骨折または大腿骨骨幹部骨折のリスクと長期的なビスホスホネート使用の関係を調べるために、68歳以上の女性を対象に集団ベースのネステッドケースコントロール研究を実施した。
ビスホスホネートの投与期間は、患者1人1人のリスクと利益のバランスを考えて決定する必要がある。骨折リスクが高く、長期継続が必要な患者には、休薬期間を設けるなどの方法が有効である可能性があり、今後、リスクをより小さく、利益をより大きくする方法を明らかにする必要がある、と著者らは述べている。

私大歯学部人気回復なるか

増える口腔ケア需要…若い歯科医、飛躍の機会

 大学受験シーズンも終盤に入ったが、2010年度に17校のうち11校で定員割れした私立歯科大・歯学部は、学費引き下げや受験機会を増やすなどして定員確保に努めている。

 11年度の歯学部入学定員は国公立と私立を合わせて2482人。そのうち、私立は1825人と約7割を占める。

 私立の入学志願者数は07年度までほぼ1万人を超えていた。だが、10年度には半分の4914人まで落ち込んだ。志願者減の背景については「『コンビニよりも多い』などと歯科医師過剰のイメージが広まったうえ、不況で、学費が高い私立が敬遠された」(安井利一・日本私立歯科大学協会副会長)との見方がある。

 確かに歯科医師数は過去30年間で約5万人から約10万人に倍増した。歯科の診療報酬は長く据え置かれてきた上に、歯磨きの徹底や少子化で虫歯の患者も減っている。歯科医院の経営環境が以前よりも厳しくなっているのは間違いない。

 とはいえ、開業歯科医の平均年収は、まだ1400万円前後と高い水準にある。私立は学費が高いものの、歯科医師に定年はない。日本私立歯科大学協会によると、歯学部新卒者の就職率はほぼ100%で、求人倍率が7倍以上の歯学部もあるという。

 実態以上に歯学部人気が急低下したことには、歯科医師数の抑制を求め続けてきた日本歯科医師会も戸惑い気味だ。志願者数の落ち込みは将来、歯科医師の質の低下につながる恐れがあるからだ。同会の柳川忠広常務理事は「数が過剰なのは確かだが、今日明日に食べられないことはない。一部に赤字の歯科医院もあるが、どんな業界も同じ」と話す。

 一方、「過剰」と言うことに疑問を持つ開業歯科医もいる。東京・杉並区歯科医師会の高橋英登会長は「需要開拓の努力もせず、『減らせ』と言うのは甘え」と同業者にも手厳しい。

 高橋会長の医院は、週4日は午後11時まで、年末年始も元日以外は診療する。夜間の患者は日中忙しくて受診できない会社員が多く、年末年始は近県からも来院する。高齢患者には訪問歯科診療も行っている。

 高橋会長は、同歯科医師会の取り組みとして「歯科診療を充実させることで、医療費を減らせることを実証したい」と言う。近年、咀嚼(そしゃく)したり、のみこんだりする口腔(こうくう)機能と全身の健康との深い関連が分かってきたからだ。

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