医療費の自己負担を無料化している16の国保組合が23年度以降、無料化を廃止する方針であることが5月31日、厚労省の調べで分かった。給付費に対し平均4割の国庫負担が投入されている国保組合が自己負担を無料化するのは「国民の疑念や不公平感を招きかねない」と厚労省が判断、是正を促していた。結核・精神障害の医療費の自己負担を無料化している国保組合も無料化を廃止する方針。
医療費の自己負担を無料化している16の国保組合が23年度以降、無料化を廃止する方針であることが5月31日、厚労省の調べで分かった。給付費に対し平均4割の国庫負担が投入されている国保組合が自己負担を無料化するのは「国民の疑念や不公平感を招きかねない」と厚労省が判断、是正を促していた。結核・精神障害の医療費の自己負担を無料化している国保組合も無料化を廃止する方針。
厚労省は加入者の所得が高い国保組合に対する国庫補助を23年度予算から見直す方向で検討に入った。5年ぶりに実施した国保組合の所得調査結果を踏まえ、具体的な見直しとなる対象組合や見直し額を決める。
厚労省が昨年実施した所得調査の速報値によると、医師国保の所得(市町村民税課税標準)が676万円と突出して高かった。所得が高い国保組合は財政調整補助金を全く交付されていないケースもあることから、32%の定率補助の見直しに着手する可能性もある。
この場合、国保法の改正が必要となる。同省は併せて財政調整補助金や国保特別対策費補助金の配分方法・補助内容も見直す構えで、国保組合の補助体形の抜本改革を図りたい考えだ。
「訪問看護を知らない」とする人が3割強に達するなど、訪問看護サービスの周知が低いことが、7月15日までに日本赤十字看護大の福井小紀子准教授ら研究班の調査で分かった。
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研究班による「在宅終末期医療の望ましいあり方に関する調査」は、2000人を対象にアンケート形式で実施。約1000人から回答を得た。
訪問看護サービスの存在について、「全く知らない」は6%、「あまり知らない」は26%だった。「どちらともいえない」を含めた訪問看護サービスの存在を正しく認識していない人は4割に達した。また、終末期に保険を使って訪問看護が利用できることについては、「全く知らない」「あまり知らない」と回答したのは62%だった。
福井准教授は、「訪問看護は国民への周知が不十分。終末期の訪問看護利用が可能なことを周知することで、在宅終末期医療や在宅看取りが進む可能性が示された」としている。
訪問看護の自己負担額については、「入院中にかかる医療費と比べて自宅療養の自己負担額はどの程度が適当か」との質問に対し、「入院中よりはるかに安い」が28%、「入院中の半額程度」が26%だった。これについて福井准教授は、「5割以上の国民が入院中に比べて半額以下が妥当と考えていたことが分かった」としている。
( 2010年07月15日 17:11 キャリアブレイン )
内閣府は7月12日に開催した第16回の「障がい者制度改革推進会議」で、「障害」の表記に関する作業チームを設置することを決めた。
この表記についての議論をしやすくするために、検討事項の整理を行うことが目的。作業チームのメンバーは5人で構成し、有識者からのヒアリングを通じて、幾つかの表記案についてのプラスとマイナスの両面を整理する。
有識者は放送や新聞の団体などのメディア関係、作家らが加盟する団体などを想定。また、こうした表記について積極的に発言しているその他の団体や関係者からのヒアリングも検討する。
ヒアリングは、9月中旬から10月中旬にかけて行い、11月中旬には障がい者制度改革推進会議にその結果を報告し、同会議は報告書となる「第二次意見」に「障害」の表記に関する見解を盛り込む方針。
( 2010年07月12日 19:42 キャリアブレイン )
政府の「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」(IT戦略本部)は7月以降、医療・介護分野におけるIT基盤の整備に向けた本格的な議論に入る。介護分野において、本部員の東京電機大の安田浩教授は、IT活用で高齢者に生きがいを与えることで、認知症予防を促進する社会づくりが必要だと訴える。
―今後、介護のIT活用で何が重要か。
認知症の発症予防にITを活用することだ。認知症は、外部との接点がなくなり、生活に張りや緊張感がなくなることが最大の発症リスクであると考えられている。ITを活用すれば、退職後に活躍の場を見つけられない高齢者が、コミュニティーサイトを通じて地域活動を始めるきっかけになったり、テレビ電話で遠方の家族や友人たちと話し合ったりと、外部との接点が大幅に広がる。特に、男性は仕事がなくなったら一気に緊張感がなくなる。今後、団塊の世代が一気に65歳以上になっていくが、何らかの理由で生活が受け身になってしまうと、一気に認知症の発症リスクが高まる。生活が受け身になってしまう前に、自分から社会に働き掛けることができるようなシステムが必要だ。認知症の発症予防に国費を投じることも必要だろう。今後、認知症の人とそれを介護する人が増え続ければ、日本経済はその分だけの損失を負うことになる。団塊の世代が今以上の発症リスクにさらされれば、介護する人も含めて国内産業は数百万人規模の人材損失という大打撃を受けることになる。早急にITを活用するなどして認知症を予防し、できるだけ介護しない方向性を目指すべきだ。
―ITのインフラと高齢者が使いやすいデバイスがあっても、そこで提供されるサービスをどうするのかという問題がある。
忘れてはいけないのは、人間は相手が人間でないと満足しないということだ。人は、他人に必要であると求められ、他人からその価値を認められるところに、真の喜びを感じる。「褒められるとうれしい」という感情が、生きがいとなるのだ。それは、若い人も高齢者も変わらないだろう。例えば、ITを使えば動画共有サイト「YouTube」で何か作品を発表して、それが認められるということができる人は、それでいいだろう。ただ、そうした動画を作れる才能を持っていたり、芸術作品を作れたりするのは一握りの人たちで、大半の人はそこまでのことはできない。であれば、例えば高齢者がこれまでの人生で得た経験や知識が誰かの役に立つ仕組みを新たにつくるというのはどうか。まだ議論を深める余地があるが、国費を投じることも念頭に、結果的に数年後の介護保険の財源抑制につなげていく戦略が必要だ。
―ただ、前例がないので国の腰は重そうだ。
認知症対策が欠かせないことは明らかで、その発症予防にITが強力なツールになり得るのであれば、それは前例がなくてもやるべきだろう。本質的な問題は、平均寿命が延びる中で、高齢者が生きがいを持ちづらい社会に変容しているところにあり、それをIT活用で解決できる可能性があるのであれば、それは十二分に議論していく必要があると考える。今後のIT戦略本部に関係する議論の場では、そのことを強く進言していくつもりだ。
( 2010年07月07日 16:27 キャリアブレイン )
県は08年度の特定健診から得られた結果を分析し、生活習慣にかかわる健康度が市町別に一目で分かる地図を作成した。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)や、高血圧症、習慣的喫煙者の割合がいずれも県東部で高く、西部で低いことが分かり、県は「今後、市町別の健康対策に活用したい」としている。
県内の40-74歳までの国民健康保険加入者約20万人の健診データを分析。各市町の傾向を、年齢構造を考慮して補正し、県平均に対し「低い」から「高い」まで4段階に分類した。
メタボリックシンドロームは、県全体では男性39・5%、女性15・5%が該当する。県平均よりも「高い」地域は、男女ともに下田市、南伊豆町、御殿場市、富士市など東部に集中した。「低い」市町は藤枝市、掛川市、森町などだった。
習慣的喫煙者は、県内で男性25・6%、女性5・2%で、下田市、熱海市、伊東市などで高く、浜松市などで低かった。県はこうした結果の背景を今後、分析する。県健康増進課は「産業構造が生活習慣に影響しているかもしれない。そうした背景も吟味しながら、各市町と一緒に対策に取り組みたい」と話している。
2010年7月4日 提供:毎日新聞社
経済同友会はこのほど、介護保険制度や介護サービス提供体制に対する提言書「持続可能な介護保険制度に向けた抜本的改革を~公的介護保障の見直しと介護を自立した産業にするための環境整備~」をまとめた。提言書では、介護保険財政の持続性を向上するため、要支援1・2と要介護1へのサービスを保険対象外とすることや、利用者負担の2割(現在1割)への引き上げ、社会福祉法人への公的助成や優遇税制の撤廃なども盛り込んでいる。同会では、今月中にも提言書を厚生労働省に提出する方針。
提言書は、同会の社会保障改革委員会がまとめたもので、「介護保険財政の持続性の向上」「介護サービスの提供のあり方」「介護事業発展のための施策」などがテーマ。
このうち、「介護保険財政の持続性の向上」では、現行制度を維持すると、2030年には介護費用が約21.6兆円、自己負担を除く給付費が約20兆円に達するが、要支援1・2と要介護1へのサービスを保険対象外にし、自己負担を2割に引き上げれば、介護費用は約17.7兆円、給付費は約15兆円程度に抑えられるとしている。低所得者の施設利用に対する介護保険からの補足給付を生活保護制度による支援に切り替えるべきだとの案も盛り込んだ。
「介護サービスの提供のあり方」では、介護保険施設でのサービス供給量の増加と質向上を実現するため、企業など多様な経営主体が運営に参入する必要があると指摘。具体的には、社会福祉法人に対する公的助成や優遇税制をなくし、他の運営主体と競争条件を均一にすべきとしている。さらに、事業者に対する第三者評価を促進することで、要介護度の維持・改善に向けた取り組みを進めることも提案している。
「介護事業発展のための施策」としては、ケアマネジャーの独立性・専門性の向上や介護ロボットなどの実用化促進、保険外サービス市場の拡大などを提案した。
( 2010年06月29日 16:10 キャリアブレイン )
国土交通省は6月30日、「住生活に関する国民アンケート」の調査結果を発表した。それによると、介護が必要となった場合、自宅より特別養護老人ホームなど介護保険施設での介護を望む人が6割超に上った=グラフ=。
調査は今年1-2月、国土交通行政インターネットモニター1199人を対象に実施。994人(82.9%)から回答を得た。回答者の年齢は60歳代以上が全体の17%、50歳代以下が83%だった。
調査結果によると、老後の理想の住まい方について「介護が必要になったら、自宅よりも専門の介護が受けられる特別養護老人ホームなどの介護保険施設で生活したい」との項目に対し、「非常にそう思う」「ある程度そう思う」「ややそう思う」と肯定的に答えた割合は61.3%に上った。一方で、「あまりそう思わない」「そう思わない」を合わせた否定的な回答は31.7%にとどまった。
また、「医療・福祉サービス付きの住宅に住みたい」との項目でも肯定的な回答が55.4%に上り、医療や介護といったサービスの付いた住まいへの居住意向が多いことが分かった。
さらに、「一人暮らしをする場合、24時間生活を見守るシステムがあるとよい」が76.8%を占めた。また、73.9%の人が「自然に恵まれた田舎よりも、娯楽施設や公共施設、医療・福祉施設などへのアクセスの良い市街地に住みたい」と回答した。
2010年07月01日 16:23 キャリアブレイン