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ALS 新薬、治験へ 動物で生存期間1.6倍 東北大病院

全身の筋肉が徐々に動かなくなる「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の進行を遅らせる新薬の臨床試験(治験)が、東北大病院(仙台市)で今月中にも始まる見通しとなった。動物実験で発症後の生存期間が1・6倍に延びることが確認されており、治験で安全性や有効性を確認できれば、ALS治療の選択肢が広がると期待される。

 ALSは運動ニューロン(神経細胞)が次々と死滅し、脳からの指令を筋肉に伝えられなくなる。呼吸のための筋肉も動かせなくなるが、知覚は正常に保たれるため、「最も過酷な神経難病」と言われる。推定患者数は国内に約8500人、世界で35万人。発症すると3~5年で80%以上が死亡する。

 東北大の青木正志教授(神経内科学)らのチームは、親から子に遺伝する型のALSで、発症に関わる遺伝子を発見。この遺伝子を操作し、ALSを発症させたラットを作った。ラットに、細胞を増殖させる働きのあるHGF(肝細胞増殖因子)というたんぱく質を投与すると、発症から死亡までの期間が平均で17日から27・5日に延びた。HGFが運動ニューロンの死滅を防ぎ、進行を遅らせたとみられる。
2011年7月11日 提供:毎日新聞社