虫歯の治療で歯の神経をとった患者に、位相差顕微鏡を使って細菌の有無をチェックし、根の部分の再発を防ぐ治療法を歯科医の山下敦・岡山大名誉教授(歯科補綴学)が考案した。
虫歯治療で神経をとったあとには殺菌・消毒をして支台歯(かぶせなどの土台)を作るが、細菌が残って根の先が化膿して再治療が必要になることがある。採取した菌を培養し抗菌剤を調べる方法もあるが、設備や高度な技術、費用がかかるため大学病院などを除き、あまり行われていないという。
山陽新聞 2010.9.7
虫歯の治療で歯の神経をとった患者に、位相差顕微鏡を使って細菌の有無をチェックし、根の部分の再発を防ぐ治療法を歯科医の山下敦・岡山大名誉教授(歯科補綴学)が考案した。
虫歯治療で神経をとったあとには殺菌・消毒をして支台歯(かぶせなどの土台)を作るが、細菌が残って根の先が化膿して再治療が必要になることがある。採取した菌を培養し抗菌剤を調べる方法もあるが、設備や高度な技術、費用がかかるため大学病院などを除き、あまり行われていないという。
山陽新聞 2010.9.7
日本人は1日に摂取する食塩の半分以上を和風の高塩分加工食品としょうゆにより摂取しており、和食を好む人は洋食を好む人より食塩摂取量が多い傾向があることが明らかになった。10月15日から福岡市で開催された第33回日本高血圧学会で、公益財団法人結核予防会第一健康相談所生活習慣病予防・研究センター副センター長の奥田奈賀子氏が発表した。
日本人の食塩摂取量は欧米諸国と比較すると依然として高く、さらなる減塩の必要性が指摘されている。奥田氏は、血圧と食事因子に関する国際共同疫学研究INTERMAPのデータを用いて、日本人の食塩摂取に関連する食品摂取や食事のパターンを検討した。
国際共同疫学研究INTERMAPは、1996~99年に、米国8カ所、イギリス2カ所、日本4カ所、中国3カ所の計17カ所で行われた血圧と食事に因子に関する国際共同疫学研究。4回の24時間思い出し法による栄養調査と2回の24時間蓄尿により栄養・食品摂取のデータを集めた。今回の検討には、INTERMAP研究における日本人集団(一般集団より募集した40~59歳の男性574人、女性571人の計1145人)のデータを用いた。
食塩摂取の特徴を解析するために、栄養調査で聞き取られた食品を食材、加工状態、調理法に応じて75群に再分類し、対象者ごとに食品群別摂取量および食塩摂取量を計算した。対象者が1日の食塩をどのような食品群から摂取していたか調べるために、1日の食塩摂取量に対する食品群ごとの食塩摂取量の寄与割合を計算した。
その結果、食塩摂取量への寄与割合が大きい食品は、しょうゆ17.2%、塩8.6%などの調味料、漬物10.9%、塩干魚8.1%、みそ汁・スープ7.1%などの高塩分加工食品、高塩分調味料だった。
次に、体重1kg当たり24時間尿中Na排泄量(nmol/24hr/kg)により対象者を4分位に分類し、食品摂取量および食塩摂取割合との関連を検討すると、高塩分摂取者では日本食の高塩分加工食品の摂取が多いとともに、米飯の摂取量や野菜を煮物やおひたしで食べる量が多く、和食パターンの食事傾向にあった。一方、低塩分摂取者では、パン、乳・乳製品など洋風の食材の摂取が多かった。
これらの結果から奥田氏は、「高塩分の加工食品の摂取を控えるよう勧めるとともに、ご飯に合う洋風のおかずを勧めるのも、減塩指導として受け入れられやすく有効なのではないか」との考えを述べた。
奥羽大薬学部生化学分野の大島光宏教授は5日までに、これまで原因が特定されず、細菌を除去する治療が主流だった歯周炎=歯槽膿漏(のうろう)=について、歯周炎患者の歯肉の線維芽細胞に原因があることを突き止めた。大島教授が中心となって行った、日大、筑波大、スウェーデンのウプサラ大、ドイツのフンボルト大との共同研究で、論文が8月、権威ある米歯学専門誌「ジャーナル オブ デンタル リサーチ」電子版に掲載された。「細菌の影響」というだけでは説明がつかなかった部分が解明され、歯周炎治療に新たな方向性が見つかった。
福島民友 2010.9.6
歯並びが悪いと、かみにくく、歯周病や発音障害を生じやすい。「歯列や、あご骨のずれを治す歯科矯正は見た目も改善し、QOL(生活の質)を高める」と、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の山城隆教授(歯科矯正学)は語る。かみ合わせが悪い「不正咬合」には上顎前突(出っ歯)、反対咬合(受け口)、上下の前歯が開いた開咬、叢生(乱ぐい歯)などがあり、顔面のゆがみにもつながる。
治療はレントゲン写真や歯の模型から不正咬合の原因を探り、歯の角度、バランスなどを考慮して行う。「歯科矯正は欧米では普通の治療法であり、表情にも好影響を与える」と話す。
山陽新聞 2010.9.6
内容 講話「飲み込みをよくする体操とマッサージ」、歯や口につ
いての個別健康相談
日時 10月25日(月)午前10時から
場所 問診指導室(第二庁舎3階)
申込 健康推進課 ℡25-6315
経鼻内視鏡が普及する中で、経鼻にこだわる必要がないとの意見がある。
鼻痛を訴えるケースが無視できず、積極的に細径内視鏡を口から入れるという。
鼻から入れてこそ検査を容易にするとも指摘されるが、賛否はどうか。
(鼻から入れる)
「鼻用の細径内視鏡は鼻から入れてこそ、患者の負担軽減を実現できる」と説明する静岡赤十字病院の川田和昭氏
「細径内視鏡は、鼻から入れてこそ意味がある」と、静岡赤十字病院経鼻内視鏡センター長の川田和昭氏は強調する。
静岡赤十字病院は、経鼻内視鏡による検査を増やしており、2009年度は年間4316件の経鼻内視鏡を利用した検査を実施している。
「経鼻内視鏡に慣れない人が、口から入れてくれないかと申し出る場合がある。そうした場合、口から入れるよりも楽な方法があると、経鼻を勧めるのが医師の役割だと考えている。通常径のスコープより細く、鼻から入れられる。吐き気を催さずに、苦痛が少ない。鼻から挿入することで、経鼻内視鏡のメリットを最大限に生かしていくべきだ」と川田氏は説明する。実際、検査を受けてもらうと、楽であることを分かってもらい、経鼻で行う意義は明白という。
経鼻内視鏡は、検査の際に、患者も話せることが重要という。医師の側から話しかけ、それに応じて、患者も応える。そのことで、検査を受けることの緊張感が和らぎ、痛みが軽減するという考え方で、経口では不可能な側面という。川田氏は「Vocal Anesthesia(声による麻酔)」と呼んでいる。
舌根部を触れず咽頭反射がない
経鼻では、口から入れないので、舌根部に触れることもない点も重要。「自ら、通常径の内視鏡を口から入れ、さらに細径内視鏡を口から、鼻からと体験した。細径内視鏡を鼻から挿入する検査を自ら経験した医師であれば、細径を鼻から入れた場合が、苦痛は最小になると判断するのではないか。検査を受けた方を対象に、アンケートを取っても、経鼻は安心感があるという意見が圧倒的だ」と川田氏は言う。
経鼻内視鏡は挿入率が7割程度にとどまると指摘されることがあるが、川田氏は、「前処置を確実に行えば、鼻からの挿入成功率は9割を超える」と考えている。なお、川田氏自身の挿入成功率は99.8%に達する。8%のリドカインをスティックに付けて鼻粘膜の鎮痛を入念に行い、ナファゾリンで血管収縮の処理をする。最低10分は待機することが大切という。
川田氏は、「鼻から入れるのは難しいのではなく、コツがある。先行して経鼻内視鏡の検査に取り組んでいる医師から技術を学び取っていけば、細径内視鏡は可能な限り鼻から入れるべきと考えていただける。口から入れるということにはならないだろう」と話す。
【補足】 2010年10月15日に、以下の点を補足しました。
・本文中下から2段落目で、挿入成功率の向上について川田氏が言及していますが、川田氏自身の挿入成功率は99.8%です。
(口から入れる)
「細径の内視鏡は、鼻から入れることにこだわることはない」と総合南東北病院の西野徳之氏は説明する
「経鼻内視鏡が楽だと言われるが、実際には細径内視鏡を口から入れても変わりない」と、福島県の総合南東北病院消化器センター長の西野徳之氏は説明する。
西野氏らのグループは年間1万件を超える上部消化管の内視鏡検査を実施している。西野氏は積極的に細径内視鏡を利用しているが、ほぼ全例で口から挿入しているという。「細径の内視鏡は経鼻だから楽なのではなく、細いから苦痛が小さい」と西野氏は見ている。
検査のコツは幾つかある。姿勢は、ややうつぶせ気味になってもらい、よだれは飲み込まず、垂れ流してもらう。肩の力を抜き、視線は1m先の宙を眺めてもらうようにする。呼吸は腹式の5秒程度の深呼吸をしてもらう。「内視鏡検査を行う前、検査を受ける方は周囲から、胃カメラはつらいといった情報を聞かされて緊張している場合も多い。検査前に1回笑わせたりして、緊張をほぐし、十分な説明を行うことが大切。説明通りに検査すれば苦痛は生じない」(西野氏)。
工夫で咽頭反射は招かない
経口の場合、吐き気を催すことが問題となるが、工夫次第で咽頭反射を回避できるという考え方だ。「5cm、5cmと大きく内視鏡を動かすのではなく、毎秒1cmほどのペースでゆっくりと動かす。のどをまっすぐにして入れる。舌根部に触れても刺激は少ない」(西野氏)。
2006年11月から2007年2月にかけて、西野氏は健常者のボランティアを30人募り、経鼻と経口のどちらが楽か調べたことがある。患者の希望に従って、最初に経鼻で検査して次に経口で検査する経鼻開始群13人と、経口で始めて経鼻を行う経口開始群17人に分けた。経鼻開始群の中で鼻痛のために経鼻中止者が1人、経口開始群で同様に鼻痛で経鼻中止者が5人出たが、経口の中止者はいなかった。胃潰瘍があって除外した2人を除くと、どちらが楽かという回答は、経鼻は12人、経口は13人、同等は3人で、経鼻も経口も苦痛の差はなかった。
西野氏は、「経鼻の場合に、圧迫感があってつらくていやという人がいる。特に若い女性を中心に、顔の大きさが小さめで、鼻が高くても鼻腔が狭い人が多く、経鼻は向かない。自分自身は、鼻中隔が湾曲して経鼻内視鏡は合わなかった。口から細径内視鏡を入れてみたところ、苦痛なく挿入できた。経鼻にこだわることはない」と語る。
2010年10月14日 星良孝(m3.com編集部)
歯の神経や根(根管)にかかわる治療を歯内療法といい、歯科治療の中でも高度な技術が必要とされています。歯髄まで達した虫歯には、神経をとる「歯髄除去療法(抜髄)」を行います。抜髄した後は根管の細菌を取り除き、生体に安全な材料を詰めて、再びかめるように修復します。
しかし、かぶせた物とのすき間から再び虫歯ができて細菌が入り込むなど、原因はさまざまですが、根管が再感染し、根の先に「根尖(こんせん)病変」ができることがあります。こうなったときには再度、根の中の治療を行う必要があり、これを「感染根管治療」といいます。
歯の治療は治療前後の変化が目に見えない上、時間もかかりますが、建物でいえば土台に相当する非常に重要な役割を担っていることを、ぜひ認識しておいておただきたいと思います。
福島民報 2010.8.30
歯周病は細菌によって歯を支える歯茎や骨がじわじわ壊される病気。高齢期にかけて歯を失う主な原因の一つであり、糖尿病などほかの病気との関連も指摘されている。予防には歯科医や歯科衛生士によるケアとともに、歯磨きでは落としきれない歯垢を普段から歯間ブラシなどで取り除くセルフケアが重要だ。
財団法人ライオン歯科衛生研究所と浜松市口腔保健医療センターの石川昭所長らはセルフケアを身につけるための「歯周病予防プログラム」を共同開発し、同市西区に住む30~70代の56人を対象にした研究で、有効性を確認した。
その結果、歯間ブラシ使用率はプログラム実施前の55.4%から3回目には100%となり、1年後も87.5%と高い水準を維持。歯茎の状態にも改善が認められた。プログラムが成功した理由としては、動機づけや適切な指導、効果を確かめながら進めたことなどが考えられるという。
山陽新聞 2010.8.3