記事一覧

「子ども庁」の創設

子どもに関わる政策を一元的に扱う「子ども庁」の創設に向けた議論が始まりました。現在の行政では、幼稚園を文部科学省、保育園を厚生労働省、認定こども園
は内閣府がそれぞれ所管しております。待機児童解消が遅れる一因とも指摘されています。
日本の家族関係社会支出(子育てを支援するために支出される現金給付と現物給付)は国内総生産(GDP)比1.58%で、フラ(2.93%)、イギリス(3.46%)やスウェーデン(3.54%)などの欧州諸国と比べて低水準になっています。
一方、日本の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推計される子どもの人数)は2000年代半ばに底を打ち、回復傾向にありましたが2010年代後半に伸びが止まり、再び減り始めています。
子ども庁の創設により、少子化対策の一元的な支援が推進されることが期待されています。

医師の働き方改革、そもそも医師は労働者なのか

2.なぜ労働法が必要なのか

 雇用契約を結ぶと、労働者には役務を提供する義務が発生する。平たくいうと、契約に記載された仕事をする義務が発生するということであり、病院の指示に従って外来の診察や手術、病棟での勤務などをする義務が発生するということだ。反対に、使用者には報酬の支払い義務が発生する。病院で言えば、雇用契約に従って医師に給料を支払う義務が発生するということだ。

 雇用契約も民間人と民間人の契約で、その内容が決まるのが原則だ。法律の世界では「契約自由の原則」と言う。つまり、合意していない義務を課されることはないが、当事者同士が合意さえすればその内容に則して双方に権利と義務が発生するということだ。自動車を買えば、購入者は代金を支払う義務が発生するし、ディーラーは自動車を引き渡す義務が発生するのと同じことである。

 ただ、法律の世界には原則と例外があり、雇用契約の場合はかなりの例外がある。先に述べた「契約自由の原則」を基礎としながらも、その自由に決められる範囲を限定している。最低賃金法という法律で定める最低賃金を下回る低い賃金での契約は認められないし、労働基準法の労働時間の上限規制も同様に「契約自由の原則」の例外で当事者同士が合意していても認められない。

 なぜ、当事者の自由な契約に法律が介入してくるかというと、労働者保護のためだ。一般に、使用者の方が労働者より立場が強いので、両者を対等な立場として自由に合意して契約内容を定めてよいことにすると、生活のために仕事を必要とする労働者は、不当に安い給料で雇われるかもしれないし、健康を害するような厳しい条件でも断れないかもしれない。そもそも交渉力の違いも大きい。

 仕事をして生活費を稼ぐということは、人の生活の基盤となる大事な活動なので働くことを止める自由はよほどの資産家でもない限り難しい。だから、労働者を保護するために当事者同士の自由に任せてしまうとどうしても労働者に不利な条件になりがちだ。当事者の自由に任せると、結果的に労働者の権利が保護されないので、当事者が合意したとしても、あまりにひどい内容は無効ですよ、ひどいことをしたら使用者には罰則も適用されますよということが労働基準法などに書いてあるのだ。これは、日本だけではなく世界的に同じような労働法が整備されている。過去の過重労働・奴隷労働・搾取などの苦い経験から学んだ歴史の上に我々は立っている。

医師の働き方改革、そもそも医師は労働者なのか

1.医師は労働者なのか

 医師の働き方改革の制度の概略を前回お示しした。年間の勤務医の時間外労働の上限は原則960時間とされている。地域に必須の医療に影響が出るような医療機関や、研修医や高度技能を習得する必要がある医師が勤務する医療機関は、当面最大1860時間とされている。実は、医師の労働時間の上限は一般の労働者と異なる制度であり、施行を2024年4月とする猶予が設けられているが、労働時間の上限規制は全ての労働者が対象で既に労働基準法が改正されて2019年4月から適用されている。

 では、そもそも労働時間というのは何だろうか。ここでいう労働時間は労働基準法の労働時間規制の対象となる労働者の労働時間のことである。雇用されて働いている人は労働基準法上の労働者である。もしかしたら、医師が労働者と言われると違和感を持つ人もいるかもしれないが、医療機関と雇用契約を結んで働いている限り労働基準法上の労働者に該当するので、労働時間規制も適用される。

テニスは水泳やジョギングよりも長生きに効果的というデータが発表される

昨今の新型コロナウイルスの感染拡大により、新たに挑戦するスポーツを選ぶ際、ソーシャルディスタンスを取れるかどうかがカギになっている。特にテニスは人との距離を保ちながらプレーすることができるため、そういう意味では最適な競技の一つだ。だがテニスがもたらす効果はそれだけではない。デンマークのコペンハーゲン市にある研究チームが長きにわたって蓄積したデータによると、長生きをしたい人にもテニスがおすすめだということが明らかになった。米テニスメディアBaselineが報じた。

【関連記事】テニスは筋骨格系の健康に最高のスポーツ
米医学雑誌Mayo Clinic Proceedingsに掲載されたCopenhagen City Heart Study(CCHS)のデータは、ある種のスポーツがより強く、より長く生きるのに役立つことを示唆。8500人以上の人々を対象とした25年以上に及ぶ追跡調査により、7つのスポーツが健康寿命を伸ばすことに貢献しているという結果が得られ、中でもテニスは突出して長寿効果が大きいことがわかったのだ。


以下が調査の結果である。カッコ内の数字は、このスポーツをしている人と、していない人とを比べた寿命の長さの違いだ。


1.テニス(9.7年)
2.バドミントン(6.2年)
3.サッカー(4.7年)
4.サイクリング(3.7年)
5.水泳(3.4年)
6.ジョギング(3.2年)
7.柔軟体操(3.1年)


また、Eating Wellの記事によると、BMC Public Health誌に掲載された2019年の研究では、特に社会的交流を図ることのできるスポーツが長生きに大きな役割を果たしているという証拠が次々と示されているようだ。実際に今回のプロジェクトに関わった研究者たちも「今後も検討していく必要はあるが、興味深いことに、社会との関わりが深い余暇スポーツが最も長寿に貢献することがわかる」と研究要旨で述べている。


さらに日本の科学者たちも、家族や友人と一緒に汗を流したと報告した人が、同じスポーツを一人で行った人よりも健康寿命が長いことを発見したという。先述のように検討の余地はまだあるが、そこから考えれば、調査結果にも表れたように対人で行われるテニスやバドミントン、サッカーが大きな長寿効果をもたらすとされていることもうなずける。


誰と一緒に運動するかで、寿命の長さに違いが出るというのは不思議に思えるかもしれないが、社会的なつながりの重要性に関する知見に基づけば納得のいく話だ。孤立することがうつ病などを引き起こし、結果的に死亡率の上昇につながるのは、すでに数多くの研究で証明されている。そのため、適度な運動と社会的交流を図ることという2つの習慣の組み合わせは、寿命を伸ばすために非常に有益なのだ。


錦織圭(日本/日清食品)や大坂なおみ(日本/日清食品)などの活躍により、日本でもテニスの人気が非常に高まっている。どのスポーツにチャレンジするかはもちろん自由だが、長生きしたい方はこの機会にぜひテニスに挑戦してみてはいかがだろうか。

口元が透明なマスク発売へ 聴覚障害者や接客に配慮 ユニ・チャーム

国内マスク最大手のユニ・チャームが、口元が外から見えるよう透明な素材を使ったマスクを発売することが27日、分かった。口の動きを見て会話の内容を読み取る聴覚障害者に配慮した。マスクで顔が隠れ笑顔や表情を客に見せにくい接客の現場など、マスクがコミュニケーションの障害となっているさまざまな場面で活躍しそうだ。

 透明フィルムと、耳に掛ける生地の部分を組み合わせた。27日中に同社のオンラインショップで注文の受け付けを始め、価格は1枚当たり1480円程度。洗って繰り返し使うことができる。

 商品名は「顔がみえマスク」。フィルムは曇りにくいよう加工したほか、耳に負担が掛かりにくいように工夫した。生地の部分が鼻やあごに密着するため、しぶきが外に漏れにくいという。

 自身もろう者の、東京都聴覚障害者連盟の越智大輔(おち・だいすけ)事務局長によると、口元を読み取ることが多いのは、コンビニのレジで店員から箸やレジ袋が必要かどうかを尋ねられるなど、ある程度やりとりが予想できる場面という。「マスクを着けていると相手が怒っているのか、笑っているのかも分からずコミュニケーションが難しい」と悩みを吐露した。

口腔機能低下や歯の喪失があった高齢者は、主観的認知機能低下リスク高

 東北大学は4月16日、日本の65歳以上の高齢者1万3,594人を対象に、口腔状態の悪化が認知機能低下のリスクを増加させるのかについて検討する6年間の追跡調査を行い、口腔機能低下や歯の喪失がみられた高齢者で主観的認知機能低下のリスクが約3~9%高いことがわかったと発表した。この研究は、同大大学院歯学研究科歯学イノベーションリエゾンセンター地域展開部門 兼 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科健康推進歯学分野の相田潤教授、東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野の木内桜氏らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Epidemiology」に掲載されている。

 近年、口腔の健康状態の低下と認知機能低下や認知症発症との関連が多くの研究から報告されている。しかし、口腔の健康状態の低下や認知機能の低下も長期の経過をたどることから、因果関係を明らかにする手法として代表的なランダム化比較試験は困難である。そこで、研究グループは、観察研究において未測定の時間不変の共変量(性格など)によるバイアスを取り除く方法である固定効果分析を使用し、口腔の健康状態の悪化が主観的な認知機能低下の発生確率を増加させるのかについて検討した。

歯科医師もワクチン注射 厚労相が容認の方針

新型コロナウイルスワクチン接種を巡り、田村憲久厚生労働相は20日の閣議後記者会見で、医師や看護師に限られていたワクチンの注射を歯科医師にも認める方向で検討していると明らかにした。

 田村氏は「一般の方にワクチン接種が進む中で人員が不足する地域もある。早急に結論を得たい」と述べた。厚労省は近く有識者検討会を開き、歯科医師による接種を特例として認める案を議論する方針。

 同省は、これまで医師法でワクチンの注射が認められていなかった歯科医師についても研修を受けた上で、集団予防接種の会場で打てるよう体制整備することを検討する。

 コロナワクチンの高齢者接種は12日から始まっており、5月のゴールデンウイーク明けから本格化する見込み。また、ファイザー社と追加供給に実質合意したことを受け、菅義偉首相は19日、16歳以上の国民全員分に関し「9月までに供給されるめどが立った」と表明した。こうした動きの一方で、接種の担い手不足が課題となっていた。

薬剤性の口唇ジスキネジア、アセトアミノフェン併用で抑制の可能性

京都大学は4月16日、統合失調症治療薬の長期使用で起こる口唇ジスキネジアという副作用が、解熱鎮痛薬であるアセトアミノフェンの併用によって抑えられることをヒト副作用データベースと診療報酬請求記録(レセプト)の臨床ビッグデータ解析を用いて発見したと発表した。この研究は、同大薬学研究科の金子周司教授、長岡巧樹博士課程学生らの研究グループによるもの。研究成果は、「JCI Insight」に掲載されている。

 新薬は、古くは天然物や合成品の生理活性スクリーニングによって、最近では遺伝子の機能解析などによる病態形成メカニズムの研究に基づいて次々に生み出されているが、その結果として次第に新薬を創ることが難しくなってきている。その現状を打開する手法の1つとして、研究グループは独自に「臨床エビデンスに基づく創薬」を提唱している。

 これは次のような発想に基づいている。ある治療薬Aはその主作用Pをヒトの体内にある標的である生体分子Xに結合することで発揮する。これと同時に薬Aは別の臓器にある生体分子Yを介して有害な副作用(有害事象)Qを起こすと模式化できる。この生体分子Yが何かは分かっていないことが多いが、Qに類似した症状を呈する病気に対する治療標的になるとも考えられる。そこで、患者においてQの発生率を減らす併用薬Bを探してその結果を動物で再現するとともに、生体分子Yを特定することで有害事象Qに類似した症状をもつ病気の薬物治療が可能になるかも可能性がある。

過去ログ