東京医科学研究所は31日、歯を失った後、衰えて小さくなった顎の歯槽骨を再生してインプラント治療を容易にする臨床研究を、近く実施すると発表した。従来は自分の腰や顎などの骨を移植していたが、実用化すれば患者の負担が軽くなる。
中日新聞 2011.4.1
東京医科学研究所は31日、歯を失った後、衰えて小さくなった顎の歯槽骨を再生してインプラント治療を容易にする臨床研究を、近く実施すると発表した。従来は自分の腰や顎などの骨を移植していたが、実用化すれば患者の負担が軽くなる。
中日新聞 2011.4.1
口から食事をとれなくなった時、胃につながる管をつけ栄養補給する「胃ろう」。鼻から管を通す方法に比べ患者の負担が小さいといわれる一方、「一度つけたら外すのは難しい」との指摘もある。老親を介護する時、医師から胃ろうの取りつけを求められ、戸惑う家族は少なくない。胃ろうをつける時に知っておきたい背景や知識をまとめた。【有田浩子】
広島市の学校講師の女性(51)の義父(80)は昨夏、脳の手術で入院し、鼻から管を入れて栄養をとり続けてきた。女性と義母(75)は、口から食べる訓練をしてほしいと医師に何度か頼んだが、「飲み込むときに誤って気管支に入ると肺炎になるおそれがある」として、断られた。
その後、医師や看護師は「鼻から管を入れ続けているのは本人にとってつらい」などと、胃ろうを取りつけるように繰り返し勧めるようになった。ものを飲み込む「えん下」の機能を調べたところ、液体も固体も飲み込むことができた。しかし、病院側は「99回成功したとしても1回でも誤えんがあってはダメだ」と説明して、口から食べる訓練をしようとしなかった。
義父は義母と2人暮らし。義母も体が弱く、退院しても自宅で義父の世話をするのは難しい。女性も当時は実父が入院して、義父の介護は不可能だった。病院からは早期の退院を求められ、「胃ろうにすれば退院後の施設の選択肢が広がる」との説明も受けた。結局、2月末に胃ろうを取りつけて、3月末に退院した。現在は、老人保健施設に入所している。
胃ろうにしてからは、経鼻栄養の管がはずれないように固定されていた両手を動かすことができ、会話もできるようになった。女性は「選択は間違っていなかったと思う」と自分に言い聞かせているが「義父が口から食べたいと言い始めたら、どうしたらいいのか」と戸惑いも口にした。
歯周病菌が動脈硬化を悪化させることの因果関係について、新潟大歯学部の山崎和久教授(歯周病学)の研究グループが、遺伝子レベルでの証明に成功した。19日(日本時間20日)の米科学誌プロスワン電子版に発表する。
山崎教授らは実験用マウスに週2回、歯周病菌を投与。一定期間経過後に肝臓や血管の組織を調べたところ、動脈硬化のリスクを減らす善玉コレステロールを生み出す遺伝子の発現量が低下していたことが判明した。
また、動脈硬化を起こしているマウスへ同様に菌の投与を約5カ月間行い、動脈の内側を調べたところ、菌を与えていないマウスでは病変の面積が6%だったのに対し、投与したものでは45%に拡大したという。
山崎教授は「歯周病が動脈硬化を悪化させることはこれまでも統計調査などで明らかになっているが、遺伝子レベルで証明したのは世界初。歯周病の予防や治療で動脈硬化の発症が抑えられ、医療費の抑制にも結びつく」と話した。
2011年5月20日 提供:毎日新聞社
避難生活が長期化する中、突然の地震と津波で入れ歯をなくしたまま過ごす高齢者らの健康面が心配されている。食料や衣類の不足などに比べ軽視されがちだが、阪神大震災では口腔内の衛生悪化が肺炎を引き起こし、地震関連死につながったケースも。被災地では歯科医らが懸命に診療にあたっている。
医療関係者が懸念するのは口腔ケアの不足により、避難生活で免疫力が低下した高齢者に肺炎が広がること。実際に阪神大震災では、入れ歯を紛失したり、水不足で洗わなかったりして、口の中の細菌が増えた高齢者に「誤嚥性肺炎」が多くみられた。神戸市によると、避難生活で持病が悪化したことなどが原因で亡くなった震災関連死約920人のうち、約4分の1を占めた肺炎の中には、誤嚥性も目立った。
東京新聞 2011.4.1
避難所暮らしで気をつけなければならないのは、水や歯磨き粉不足から十分な歯磨きができず、口の中で細菌が繁殖してインフルエンザや肺炎、胃腸炎といった感染症を引き起こすことだ。
高齢者にとって怖いのが「誤嚥性肺炎」だ。細菌の多い唾液や食べ物などが誤って気管に入って起こる。町立山田南小学校の避難所では震災から7日目、歯磨きを十分せず、誤嚥性肺炎をおこして病院に運び込まれた高齢者の男性がいた。
入れ歯の手入れにも注意が必要だ。就寝前には入れ歯を必ず外し、歯ブラシを細かく動かして磨く。入れ歯に熱湯を注ぐ人もいるが、変形して装着できなくなる恐れがあるのでやめる。誤嚥防止のために、口の周りの筋肉を鍛える方法もある。「あ」「い」「う」と大きく口を開けて1日10回以上声を出したり、舌を前や左右に最低10秒突き出したりする。
読売新聞 2011.3.30
訪問歯科診療にかかわっている方であればよく感じると思いますが、患者さんやご家族、主治医の先生方からの要望は、実のところ”歯を治してほしい”というものではなく”食べられるようにしてほしい”というものが多いのです。
「噛めない、飲み込めない」という状態は、もちろん歯だけの問題ではありません。歯科治療と並行して摂食・嚥下機能を専門的にみていくことが、今後の訪問歯科治療のあるべき姿であると考えます。
VE(嚥下内視鏡検査)による精査を行ったうえで、安全に食べられる食形態・量・姿勢を評価しています。ご家族へ指導を行う際には、このようにできるだけ具体的で明確に伝えられる指導が大切なのです。摂食・嚥下障害のある患者さんに適切かつ具体的な指導を、自信をもって行うためには、患者さんに精査を受けてもらえる環境を確保することが大切です。
看護師のYさんは、脳梗塞の後遺症で認知に障害がある70代女性の患者さん
を担当しています。その方は車椅子に座って自分でご飯を食べ、歯磨きもできま
す。ただ、いつも食事や歯磨きの最後になるとゴホゴホとむせてしまうことが気
になっていました。
そこでいつも患者さんの口元や手の動きばかり見ていたのを、少し引いて患者
さんの全体を見るようにしたのです。すると、あることに気づきました。
「あっ! 姿勢がだんだん左の方に傾いている……」
左半身に麻痺のある患者さんは、動きが鈍くなる左側へと姿勢が少しずつ崩れ
ていたのです。患者さんの姿勢をきちんと直してあげたところ、むせることがほ
とんどなくなりました。
これまでは寝たきりの患者さんのほうが手も目もかけなければならないため、
気をつけて見ていたというYさん。今回の出来事をきっかけに、自分の意志で体
を動かせる患者さんにも同じように注意を払わなければいけないことを、再確認
できたといいます。
Yさんのように、半介助が必要な患者さんの“姿勢”を一度見直してみるとよ
いかもしれません。
自民党の厚生労働部会(田村憲久部会長)は、4月27日、東日本大震
災の復旧を支援する2011年度 第1回補正予算案について、厚生
労働省からヒアリングを行った。その中で石井みどり参院議員は、
原発事故で避難を強いられている(福島県双葉町と同樽葉町の)歯
科診療所から寄せられた声を紹介した。"労働者向けの支援は(補
正予算案に)あるが、雇用主には何の支援もない。これでは医院の
経営はできない。いつ戻れるか分からず、見通しもない。こうい
う人に対して国はどういう支援をしてくれるのか、という声が寄
せられている。」と述べた。田村部会長も「問題意識を持たねば
ならない。全ての事業主に共通する問題で、経済産業省ともよく
相談してほしい。」と求めた。