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入れ歯紛失 命の危険

避難生活が長期化する中、突然の地震と津波で入れ歯をなくしたまま過ごす高齢者らの健康面が心配されている。食料や衣類の不足などに比べ軽視されがちだが、阪神大震災では口腔内の衛生悪化が肺炎を引き起こし、地震関連死につながったケースも。被災地では歯科医らが懸命に診療にあたっている。
 医療関係者が懸念するのは口腔ケアの不足により、避難生活で免疫力が低下した高齢者に肺炎が広がること。実際に阪神大震災では、入れ歯を紛失したり、水不足で洗わなかったりして、口の中の細菌が増えた高齢者に「誤嚥性肺炎」が多くみられた。神戸市によると、避難生活で持病が悪化したことなどが原因で亡くなった震災関連死約920人のうち、約4分の1を占めた肺炎の中には、誤嚥性も目立った。
                  東京新聞 2011.4.1