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よくかんで食べ過ぎ解消

アメリカに生きていた大富豪フレッチャーは、40歳で身長171cm、体重は100kg、腹囲は152cmもありました。毎日の暴飲暴食で健康が悪化して途方に暮れていたとき、グラッドストンの話を耳にして一念発起し、「本当に空腹のときだけ食べる」「新鮮な食材をシンプルに調理して食べる」「ゆっくり味わいながらよくかんで食べる」などを自分の体で実験したのです。その結果、少量の食事で満腹感を覚えるようになり、実験開始後5ヶ月で体重は71kg、腹囲は90cmまで減少。健康な体に戻ることに成功しました。彼は自分の実践を「本当の食べ方12条」にまとめ、「かむ健康法・フレッチャーイズム」として日本をはじめ世界中で説いて回りました。それは現代に至るため高い評価を得ています。フレッチャーイズムは要約すると「一口あたりの量を少なくして、よくかむことだけ注意すれば、早期に満腹感が得られ、自然に食べ過ぎも解消する」というもので、誰にもが食事の時に少し努力をすることで簡単に実践できます。
               北海道新聞 2011.8.10

高齢者の健康 口腔ケアから

歯周病や口の中の汚れが、時には糖尿病や肺炎などの疾患に影響を及ぼすことがある。7月19日に71歳で亡くなった俳優の原田芳雄さんも、口の中の細菌が肺に入り込んで起きる誤嚥性肺炎を併発していた。特にかんだり飲み込む機能が低下する高齢者にとって口腔ケアが大切という。公開シンポジウム「口は幸せのもと」が9月3日午前10時から札幌市立北九条小体育館(北区北9西1)で開かれる。同小奨学会主催。道医療大の千葉逸朗教授が「健康長寿は【口】から、北大歯学部の兼平孝准教授が「子どもの笑顔は【食】から」と題して講演する。無料。直接会場へ。問い合わせは同小内の奨学会事務局   ℡011-736-2564へ。
               北海道新聞 2011.8.10

歯周病予防と治療

歯周病予防の基本は歯垢がつかないようにすること。そのためには、毎日のていねいな歯みがきが大切です。歯ブラシを使った方法が基本となりますが、電動歯ブラシや練り歯みがき、オーラルリンス、デンタルフロス、歯間ブラシなどを使うとより効果的です。歯科医師によると、実は正しい歯みがきができている人は意外と少ないのだとか。歯科医院などできちんと指導してもらうことをおすすめします。もし歯周病になってしまった場合は、歯科医師や歯科衛生士が専門的に歯の清掃をしたり、歯石を除去したり、かみ合わせの調整を行ったりします。歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどありませんので、定期的に歯科健診を受けてチェックしてもらいましょう。大人が毎日しっかり歯を磨き、きちんと歯の定期検診を受ける習慣をつけることはお子さんの歯の健康管理にも役立つことでしょう。しばらく歯科に行っていないという人は、この機会に受診してみてはいかがでしょうか。
               赤ちゃんとママ 11.6月

大人の80%が歯周病ってホント?

通常より深くなってしまった歯と歯ぐきの間のすきま(歯周ポケット)にプラーク(歯垢)がたまり、プラークに住みついた細菌が歯肉に炎症を引き起こし、さらには歯を支える骨を溶かしてグラグラにさせてしまう病気を歯周病といいます。プラークのなかの細菌は、唾液の成分と結合して、歯石となって歯の表面に付着します。細菌は歯石を足がかりにして、さらに歯周ポケットの奥深くへと繁殖していきます。「大人の80%が歯周病にかかっている」といわれることがありますが、厚生労働省の統計を見ると、たしかに約80%の人が「健全」ではないことがわかります。歯周病とまではいかなくても、多くの人が歯や歯ぐきになんらかのトラブルを抱えているといえるでしょう。

歯科口腔保健法が成立 基本理念や国等の責務定める

「歯科口腔保健の推進に関する法律」が8月2日(火)、第177回国会の衆議院本会議で可決・成立した。同法は理念法であり、予算を伴うものではないが「歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持に関する施策」(以下」、歯科口腔保健)の推進に係る基本理念を定めるとともに、国及び地方公共団体、歯科医師、国民等の責務を明らかにしている。また、国民保健の向上に寄与するべく、歯科口腔保健に関する施策の基本となる事項を定め、施策の総合的な推進を図っている。
                日歯広報 2011.8.5

顎の痛み=山根源之 口福学入門/5

食べるとき、話すときには口をいろいろな方向に動かしますが、どうやって動いているのかご存じでしょうか。

 口を使うと、唇や頬が動くため、顎(あご)も上下が動くように思えますが、本当に動いているのは下顎だけです。上の歯が並んでいる歯槽骨は頭の骨に固定されています。下顎骨(かがくこつ)の左右の端は頭の骨にある関節窩(かんせつか)というへこみに入っており、そこを支点としてハンモックのようにぶら下がっています。ハンモックの体をのせる場所に歯が並び、下顎骨の表面から周囲の組織へ張り巡らされている筋肉や腱(けん)がこのハンモックをコントロールしています。運動神経に支配された複数の筋肉の緊張と緩みの絶妙なバランスで顎の静止や運動をするのです。

 私たちは上下の歯のかみ合わせで顎が最も安定する位置を探しますが、個人の歯並びや歯の欠損状態に左右されます。リラックスしている時には唇は閉じていますが、上下の前歯は接触せず約2ミリの隙間(すきま)があります。一方、ヒトのかみしめる力は意外と強く、その力に耐える歯が健全な場合は、自分の体重に近い40~60キロの力を発揮します。24時間顎の動きに休みはありません。加えてストレスでの食いしばりや、クセで絶えず口を動かすこと、頬づえなどは関係する筋肉のバランスを崩して顎関節症になりやすくなります。

 手足の関節と違い、顎関節は左右同時に動きます。ハンモックを斜め方向に振った場合を想像してください。左右の関節には異なったねじれが出るので痛みの原因になります。過度な開口では顎がはずれ、口を閉じられなくなります。

 下顎の運動には首の筋肉も関係しており、不調をきたすと肩こりの原因にもなります。人間の頭の重さは体重の約8%、4~6キロあるので、ヒトは常に重い頭を首で支えていることになります。その上、複雑な運動をする下顎をぶら下げているので、どこかのバランスが狂うとすぐに周囲に波及して深刻な痛みなどの症状がでます。

 最近は、愛犬の顎関節症がインターネットで話題になっているようです。犬たちにも人間並みのストレスがあるので、口腔(こうくう)状態も変化したのでしょうか。(やまね・げんゆき=東京歯科大名誉教授)
2011年8月22日 提供:毎日新聞社

早食いは太る? 血糖値急上昇脂肪に転換

 早食いが太りやすいことは今や常識となりつつあります。よくかまずに早く食べることで、脳が満腹感を感じる前につい食べ過ぎてしまい、カロリーオーバーとなって肥満を招きやすくなる、早食いにより食欲を抑制するホルモンの量が減るなどが理由だと考えられています。しかし、食べる量が同じでも、早食いは太りやすいのです。名古屋大医学部のグループが、愛知県内の約5千人を対象に、食べる速度を「かなり遅い」から「かなり速い」まで5段階に分類。食べる量の違いや運動習慣が体重に与える効果を統計的補正した上で、純粋に食べる速さと肥満との関係を調査しました。その結果、食べるのが「かなり速い」人は「かなり遅い」人に対して、男性で6.9キロ、女性で5.9キロも平均体重が重いことが明らかとなったのです。早食いが肥満を招くのは、一気に食べることで急上昇した血糖値を抑えるためにインスリンが大量に分泌され、血液中の糖が脂肪に転換されるためと考えられています。「早食い」という行為そのものが肥満の原因になるわけです。また、毎回のようにインスリンが大量動員される食生活は膵臓の消耗を招くため、早食いは糖尿病予防の点からも好ましくありません。現代の若い人に多い、高カロリーのファストフードを糖分たっぷりのドリンクでほとんどかまずに流し込む食べ方は、肥満のみならず糖尿病への危険性が高いといえます。早食いの癖は若い時に身につきやすいようです。子供のころから、繊維質の多い歯応えのある食材を、ゆっくりよくかんで食べる習慣を身につけることが肥満や糖尿病の予防につながるのです。
                北海道新聞 2011.8.3

よくかみ歯並びきれいに すき間ない乳歯は永久歯に影響

一般的に、歯並びやかみ合わせに問題がある場合を「不正咬合」と呼ぶ。「乱ぐい歯」や「八重歯」など歯が一列に並ばずデコボコしているものや、前歯や上あごが前に突き出ていたり、下あごが前に突き出ていたりするものもある。歯並びが悪いと、歯磨きがしにくいため虫歯や歯周病にもなりやすい。歯並びは遺伝と考える親は多いが、食事や生活習慣、癖による影響が大きい。子どものうちは、きれいな歯並びの土台となるあごの骨が育ちやすい。歯が生えそろってきたら、1日3食しっかりかんで食べることが大切。姿勢も癖も、歯並びに影響を与える。食事の際には、足がブラブラした不安定な姿勢だと、かむ力や回数が減ってしまう。体に合ったイスを用意したり、踏み台を置いたりする。足元が安定すれば、しっかりかめて、あごの骨も発達しやすい。食事の際、いつも横にあるテレビを見ていて、奥歯のかみ合わせがずれた例もある。よい姿勢を保つことが重要だ。4歳を過ぎての指しゃぶりも注意が必要。上下の前歯が閉じない不正咬合になることもある。
                読売新聞 2011.7.8

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