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幼児前期の歯科保健支援のポイント

・仕上げ磨きは寝かせ磨き、粘膜排除を忘れないように
 ・仕上げ磨きは、無理をせず母と子の楽しい雰囲気で
 ・終了の目安(10カウント)を伝えながら
 ・受け入れ可能な部位から始め、除々に磨ける部位を増やし歯磨き時間の延長を図る
 ・歯磨き順番をパターン化し磨き残し部位をつくらない
 ・歯ブラシの選択は毛先が短く弾力性のあるもの
 ・フッ素配合の歯磨剤の工夫した使い方
 ・歯磨きを嫌がるときの強引さは、激しい拒否や歯磨き嫌いの原因となるので注意
 ・偏食、多動をコントロールするための手段としての甘味性食品の摂取や食行動への早期からの支援
 ・歯磨き習慣の定着と歯磨き技術の習得の困難性を伝える
 ・低年齢児から父親の協力が得られるように援助

シェーグレン症候群① 免疫が涙腺、唾液腺を攻撃

シェーグレン症候群は、この涙腺や唾液腺が「免疫の反乱(自己免疫)」によって攻撃される病気です。涙腺や唾液腺が破壊されてしまいますので、涙や唾液の量が減ってしまいドライアイ、ドライマウスとなるというわけです。シェーグレン症候群も男女比が1対15と圧倒的に女性に多い病気で、50代に発症のピークがあります。日本には10万~30万人ほどの患者がいると予想されています。次回、詳しい症状について説明します。
                  北海道新聞 2013.1.16

発音悪い小3長男 成長の遅れが心配

Q 小学3年生の長男は発音が悪くちゃんとしゃべれないのが気がかりです。「さしすせそ」とか「らりるれろ」がうまく言えず、幼児語のように聞こえます。先日授業参観日で同級生たちがしっかりした発音で伝えたいことをちゃんと話しているので驚きました。もしかしたら息子は成長に遅れが出ているのではないかと心配です。

 A 言葉の発達は小学校低学年くらいではまだ、かなり個人差があるのではないかと思います。ですから周りの子たちと比較してしゃべり方だけは劣るというだけでは、ただちにそのことが成長の遅れと関係しているとはいえません。そうした心配の前にまず息子さんの歯の状態や聴覚に問題がないかどうかもチェックする必要があります。抜けている歯があったり歯並びが悪いことなども発音が悪い原因になっているかもしれません。「よく聞こえない」という障害があれば、うまく話せないということも起こり得るでしょう。舌の長さでも発音は違ってきます。歯科や口腔外科、耳鼻咽喉科で、そういったチェックをしてもらうことをお勧めします。
                    北海道新聞 2013.1.14

乾燥しがちな冬・・・口臭に注意

乾燥しがちな冬は口臭が強くなりやすい季節。口臭の一因となるのが、舌の表面に汚れが付着した舌苔だ。最近は舌苔を取り除く舌ブラシ付きの電動歯ブラシも登場しているが、みがきすぎには気を付けたい。また食事の際はよくかみ、唾液の分泌を促すことが口臭予防につながるという。舌の表面は、糸状乳頭というじゅうたんのような構造になっている。口内の乾燥などにより糸状乳頭が伸び、その間に粘膜のあかや食べかす、最近が付着し、白いコケのように舌を覆うのが舌苔だ。舌苔からは硫化水素などが発生するため口臭の原因となる。北大歯科診療センターで予防歯科・口臭外来を担当する兼平孝講師は「唾液には口内の汚れを洗い流す効果がある。口内が乾燥すると舌苔が付着しやすくなる」と説明する。舌苔除去のために歯ブラシを使用する人もいるが、舌を傷つける恐れもあるため、歯ブラシで強くこするのはなるべく避けた方がよいという。
 簡単にできる口臭対策はよくかむことだ。かむと唾液の分泌が促される。かつて日本人の食事は繊維質の多い食材をよく使っていたため、よくかまなければならなかった。しかし食の欧米化とともに軟らかい食材が増えて、かむ回数は減ってきている。兼平講師は「野菜や果物など繊維質の食材を積極的にとり、よくかむように心がけて。ガムも効果的」としている。このほか、口呼吸になりがちな人も口内の乾燥を招いて口臭が発生しやすくなるので、マスクを着用するといいそうだ。
                              北海道新聞 2013.1.9

固唾をのむ

 緊張すると、唾液の分泌が盛んになるのでしょうか?いや、人は極度の緊張状態になると、むしろ唾液の分泌が低下します。緊張して口の中がカラカラになる経験をした人も多いはずです。それではなぜ、唾液がたまるのかといえば、物事に集中した時、人は唾液を飲むのを忘れてしまうからです。唾液は、食べ物を食べているときはもちろんですが、それ以外の時にも、常時、一定量が分泌されています。これは、口の中を湿らせて粘膜を守ることと、唾液に含まれている殺菌成分の作用で、ばい菌を増やさないためです。唾液の分泌量は、1日で1~1・5㍑にもなります。分泌された唾液は、大抵は無意識のうちに飲み込まれているので、口から唾液があふれるようなことはありません。赤ちゃんがよだれを流すのは、飲み込む力が弱いからです。緊張を感じる場面を凝視すると、人は唾液を飲むことを一時的にやめてしまいます。そして唾液がたまってくると、それに気がついて「ゴクリ」と固唾をのむのです。今年も固唾をのむ機会があると思いますが、事件、事故ではなく、スポーツ観戦など、楽しい場面でと願っています。
                   北海道新聞 2013.1.9

おいしく食べるためには 口のリハビリ 食前体操

病気や障害、またその後遺症で寝込んでしまった時に、使わなくなった筋肉や神経は衰え機能が低下します。かむ機会が減ると、唾液の分泌も少なくなり、食べたり飲んだりする時の「誤嚥(ごえん)」の問題が起こったり、味覚やお口の衛生状態にも悪影響が出てきます。飲み込む力が弱っている人にとっても、準備体操はとても大切です。無理をせずに、個人個人のペースで行ってみてください。
 1.ゆったり腰を掛け深呼吸をしましょう(鼻から息を吸い口からゆっくり吐きます)。
 2.深呼吸をしながら首をゆっくりまわします。
 3.肩の上げ下ろしと、肩をゆっくりまわします。
 4.両手を上げて筋肉を伸ばしましょう(まひのある人は健康な側だけでも構いません)。
 5.口を閉じたまま頬を膨らませたり、唇を突き出したりしましょう。
 6.口を大きく開いて舌を出したり引っ込めたりしましょう。
 7.口を開いたまま舌を左右に出し口角を触りましょう。
 8.「パパパパ」「タタタタ」「カカカカ」「ララララ」とゆっくり発音しましょう。
 9.ゆっくり深呼吸をしてゴクンと飲み込むまね(実際に少し唾液を飲み込んでも構いません)を2~3回やってみましょう。

肥満・生活習慣病を回避 噛むチカラの効果

食前に10分間ガムを噛むとどうなるか、管理栄養学科と一緒に研究してみると9週間で50数名のうち70%以上の人の体重と脂肪が減少しました。特に肥満度(BMI)が高く内臓脂肪の多い人ほど顕著に効果がみられ、しかもリバウンドが少ない結果が出ました。太ることは簡単です。反対にやせることは大変ですが、ガムを噛むだけであれば、難しくないと思います。噛むことで血糖値が下がり、動脈硬化を予防する「アディポネクチン」の分泌が増え、中性脂肪も下がりました。早食い、噛まない、一口の量が多い、これがいけません。高齢になると基礎代謝が落ちますので運動ができないのであれば、なるべく多く噛むこと。それだけで視床下部を刺激して代謝を促進することができます。噛んで肥満や生活習慣病を回避しましょう。

今、失われつつある噛むチカラ噛むことは命の原点

遺伝子は六代経つと内容が全く変わるのですが、私たちの生活環境が変わり口をあまり使わなくなるということが、遺伝子変化の前に起きてしまいました。多くの場合、産まれてから黄泉の国に行く間は口を使っています。口を使わないと命を維持するチカラがなくなってしまいます。命を維持する原点は食事であり噛むチカラです。私たちの脳は、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚、この五感から情報を得ているのですが、噛むという行動ですべてを一挙に取り入れることができるのです。脳には口の機能を司る部分が大変多く、噛むことで脳が刺激され海馬と扁桃体の連携が活発になり、運動感覚野や小脳が活性化します。立つ、走る、細かな作業をする、自分の名前を書く、これらが瞬時にできるのは小脳のおかげです。小脳が衰えると少しのことで転んだりする。それで骨折して入院となると五感の刺激が減り、認知症等の引き金要因になる可能性もありますが、噛むことで認知症発症を抑えることができます。噛まなくなると運動能力、学習能力、忍耐力、健康に大きな影響が出るのです。

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