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矯正歯科の意思決定支援AIツール

矯正歯科治療において抜歯は不可逆的な治療であり、最も重大で論争の的となる決定の1つである。一方、矯正歯科治療におけるこの種の判断は、「歯科医の経験に依存するところが大きい」という現実もある。米コネチカット大学の研究チームは、歯科医の意思決定を支援するAIモデルを開発している。

コネチカット大学の矯正歯科准教授であるMadhur Upadhyay氏らによって申請された特許によると、医学文献と専門家判断のネットワークを利用し、機械学習手法によって構築されたアルゴリズムは、矯正歯科医の評価に賛成か反対かを示し、もし否定的な結果であれば診断の不一致に至った原因を特定するため、歯科医に再考を促すというもの。

Upadhyay氏は「2人の矯正歯科医がいた場合、程度の差こそあれ、診断する患者の50%の部分は意見が一致しないだろう。皆が同じ文献を読んでいても、異なる解釈をしている。AIは文献の解釈を同化し、より正確な手法で解釈する作業を非常にうまくこなすことができる」と語った。

尿中ビスフェノールA(bisphenol A:BPA)と自閉症症状について

Prenatal exposure to bisphenol A and autistic- and ADHD-related symptoms in children aged 2 and 5 years from the Odense Child Cohort.

Environ Health. 2021; 20: 24.

 Hansenらは、デンマーク・オーデンセ市の児童コホートを用いて、胎児の母胎内でのBPA暴露と出生後の精神症状について調査しました。対象は、2010-12年に妊娠16週前に妊娠の診断を受けた女性のうち、研究への同意が得られた2874例で、妊娠26-34週の尿中BPA濃度を測定しました。

 出生児の精神症状は、2歳時と5歳時に子どもの行動チェックリスト(Child Behavior Checklist:CBCL)を用いて評価しました。CBCLにはDSMの自閉症の診断基準に関連する13の質問項目があり、各質問に「0:当てはまらない、1:やや当てはまる、2:当てはまる」で回答するため、自閉症得点として0-26点の点数が付けられます。

 その結果、658例から尿検体と2歳時のCBCL回答が得られ、427例から尿検体と5歳時のCBCL回答が得られました。尿検体の85.3%からBPAが検出され、中央値は1.2ng/mLでした。妊娠中の母親の尿中BPA濃度によって対象児を3群に分けると、尿中BPA濃度が最も高い上位1/3のグループは、最も低い下位1/3のグループに比べ、5歳時の自閉症得点が23%高くなりましたが、P=0.07で、傾向は見られたものの有意差は認められませんでした。また、BPA濃度上位1/3のグループは、下位1/3のグループと比べ、自閉症得点の上位1/4に入るリスクが1.80倍高くなりました(P=0.06)。

返戻に含まれたメッセージ

返戻は、「理由が明確になり、納得できるものであれば査定しませんよ」というメッセージを含んでいます。審査委員も臨床医ですので、必ずしも査定することを目標としているのではありませんし、適切な保険診療は査定したくないのが本音です。つまり、返戻とは審査委員が垂らした“蜘蛛の糸”のようなものなのです。

 私が審査することが多い外科の症例で、「なぜそのような手術術式を選択したのですか?」「なぜそのような診療材料を使用したのですか?」などと返戻をすることがあります。質問に対して適切な回答を返していただければ、査定しないで済みます。適切なご回答をいただけることもありますが、手術記録や退院サマリーをそのまま送り返してくるのみの医療機関もあります。まるで「返戻のコメントは面倒くさいので、審査委員も医者なら、これを読んで判断してよ」と丸投げされているような気になります。

 自分も審査に関わる以前は、返戻は面倒くさいと思っていたような気がしますが、審査委員からすれば、救うために垂らした蜘蛛の糸なのです。ぜひ、その糸を切ってしまわないような対応をお願いします。

歯の健康づくりの司令塔に 大分県が「口腔保健支援センター」新設へ

県は新年度、県庁内に「県口腔(こうくう)保健支援センター」を新設し、県民の歯の健康に力を入れていく。大分は12歳の虫歯の数が全国で2番目に多く、20歳以上の定期的な歯科健診受診率も低水準にとどまっている。全世代に応じた対策を強化し、他の病気の誘発を防いで健康づくりにつなげたい考えだ。

 センターは県庁別館4階の健康づくり支援課に設ける。現在歯科医師1人が在籍しており、歯科衛生士1人を増やすことで国が定めた設立要件を満たす。歯科保健の人材を育成し、保健所や市町村への指導・助言の役割を担う。

 妊婦に歯周病があると早産や低体重児出産のリスクが高まるため、県内全ての歯科医院で適切な治療や健診を受けられるように研修会で徹底を図る。医療関係者向けの対応マニュアルも作成する。

 1歳前後の子どもの保護者向けには出前講座を企画し、早期の虫歯予防を意識付ける。事業所経営者の研修会も実施し、成人の歯科健診受診率を高めていく。

 県内の12歳の虫歯率(2021年度)は42・7%で、1人当たりの虫歯は1・2本。ともに沖縄に次いで多い。県の調査(16年度)では20歳以上の定期歯科健診受診率は26・5%で、目標の70%を大きく下回る。

 広瀬勝貞知事は10日の県議会本会議で「センターが核となって、市町村や歯科医師会、歯科衛生士会と連携し、全世代の歯の健康づくりを推進していく」と述べた。今吉次郎氏(自民)の一般質問に対する答弁。

クラウドファンディング

北海道大学大学院 歯学研究院 口腔診断内科学教室では標記について、現時点で確保している研究資金が不足していることから、クラウドファンディングにてご寄付を募っております。


[詳しくはクラウドファンディング該当ホームページ]
  https://readyfor.jp/projects/mikaku
[寄付募集期間]
 2023年3月1日(水)9:00~同年4月29日(土)23:00


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クラウドファンディング
(北海道大学大学院 歯学研究院 口腔顎顔面外科学教室)
 ― 培ってきた確かな技術を、次世代に紡ぐ臨床研修プログラム実施・継続へ
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 北海道大学大学院 歯学研究院 口腔顎顔面外科学教室では標記について、今回、向こう5年間のプログラム実施にかかる費用を募るため、クラウドファンディングにてご寄付を募っております。

[詳しくはクラウドファンディング該当ホームページ]
  https://readyfor.jp/projects/HokudaiOMFS-ikusei
[寄付募集期間]
 2023年3月1日(水)9:00~同年4月28日(金)23:00

国民皆歯科健診で山田議員 PTの議論を報告

国民皆健診の法制化について、自民党のプロジェクトチーム(PT)事務局長を務める山田 宏 参議院議員は、21日に行われたPT役員会での議論について報告した。「『皆歯科健診』という言葉は入れないが、生涯を通じた定期的な歯科健診を行い、診療につなげていくこと、国民が検査結果を見て、診療の必要性がわかるように啓発をしていくこと、健康寿命の延伸につながるエビデンスを積み重ねていくことなどを書き込んでいくのが大事との認識である」と述べた。

 山田議員は、国民皆歯科健診に関する予算が確保できたことも踏まえて、「継続して進めていくための法的なバックアップを検討してきた」と現時点での役員会での考え方として、既存の歯科口腔保健推進法を改正する方向で準備を進めていると説明。

 28日のPT総会を経て、PT案をベースに野党との調整に入り、調整できれば自民党内の手続き後、議員立法で国会に提出したいとの考えを示した。
 
【歯科通信】

道内事業者等事業継続緊急支援金(エネルギー価格高騰分)について

新型コロナウイルス感染症の影響による売上の減少に加え、エネルギー価格高騰の影響を受けている道内の事業者を対象とした新たな支援金の給付が始まります。

 給付額は、中小・小規模事業者10万円、個人事業者5万円で受付期間は、2023年1月19日(木)~2023年4月30日(日)となります。
※当日消印有効

 詳しくは下記専用ホームページを参照願います。
 なお、希望される先生方は郵送用の申請書類を送付させていただきますので、本会事務局会計課(011-231-0945)までご連絡願います。

道内事業者等事業継続緊急支援金(エネルギー価格高騰分)ホームページ
https://kinkyushien-energy-hokkaido.jp/

不明な点などは下記コールセンターにお問い合わせ願います。

北海道事業継続緊急支援金事務局
TEL:011-350-6711(平日8:45~17:30)

日歯連盟 高橋会長 日歯と連盟の連携強化に意欲

日本歯科医師連盟の高橋会長は日本歯科医師会会長予備選挙での当選に言及し、日歯と日歯連盟の関係について、歯車がかみ合っていない部分の解消のため、会長は別にするものの、連携の取れる体制にしたいとの考えを示した。「歯科界が疲弊しているのは間違いのない事実。豊かでない組織、業界には若い人は見向きもしない。経済的なものだけでなく、マインドも含めて歯科医療関係者が豊かで経済的にも不安のない診療ができる体制を整えるために頑張っていく」と意気込みを語った。

 そして、日歯と日歯連盟との関係について、「両組織は一生懸命目標に向かって頑張っていたが、歯車のかみ合いが悪いところがあった」との認識を示し、「これから解消していこうと思っている。頭は二つだが、しっかりと連携の取れる頭二つ体制を取ろうと思っている」と協力を求めた。

 残りの任期については、物価高騰への対応や、国民皆歯科健診の実現に向けての取り組みなどに注力していく構えを見せた。


【歯科通信】

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