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3Dプリンターで入れ歯作成 コスト、従来品の半分以下

3Dプリンターを使って金属製の入れ歯のフレームを作る手法を、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)などが開発した。専用のスキャナーで口の中の形状を測って精度の高い入れ歯を作ることができ、従来品の半分以下のコストで短期間ですむという。2年以内に公的医療保険の適用を受け、普及を目指す。

 産総研生体材料研究グループの岡崎義光・上級主任研究員らと歯科用合金メーカー「アイディエス」(東京)が3Dプリンターを使って、コバルトクロム合金の粉末をレーザー光で焼き重ねながら入れ歯のフレームを造る技術を開発した。これにセラミックス製の歯や樹脂製の歯茎を取り付ける。合金の粉末は4月、国の薬事承認を得た。

「8020」が達成されて

 「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」という願いを込めて、1989年より当時の厚生省と日本歯科医師会が「8020(ハチマルニイマル)運動」を推進してきました。
 ご存じの方も多いと思いますが、「8020」とは80歳まで20本の歯が残った状態を意味しています。

 本来、永久歯の総本数は28本(親知らずまで含めると32本)なのですが、20本以上の歯が残っていれば食生活にほぼ満足することができる、という説を根拠として設定されたそうです。
 「8020運動」の開始当初は80歳の平均残存歯数が4~5本で20本の歯が残っている方は7%程度でした。
 そのため、計画の目標値であった「8020」達成者の割合を全体の20%まで押し上げるのはかなり困難だと予想されていました。

 しかし、2007年には「8020」達成率は25%まで改善し、厚生労働省の中間目標を上回る成果を得ました。
 さらに、2017年に厚労省が実施した歯科疾患実態調査の結果によると75歳~84歳のうち51.2%の方は20本以上の歯が残っていたそうです。
 

平成28年度の健康寿命最新値を公表。平均寿命との差を縮めることが重要。

健康日本21(第二次)推進専門委員会によると、平成28年度の健康寿命は男性が72.14歳、女性は74.49歳だった。これは3年ごとに実施される国民生活基礎調査をもとに、厚生労働化学研究チームが算出したもの。前回調査に比べ、男性が0.95年、女性が0.58年延伸した。一方で、平均寿命と健康寿命の推移を見てみると、どちらも延伸しているが、その差をみると、22年時には男性が9・13年、女性が12・68年、28年時には男性が8・84年、女性が12・35年とわずかしか縮まっていないのが現状だ。日常生活に制限のある「不健康な期間」の拡大は、個人や家族の生活の質の低下を招くとともに、医療費や介護給付費などの社会保障費の増大にもつながる。
 国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口によれば、今後も平均寿命は延びていくが予測されており、その延び以上に健康寿命を延ばすことが重要だ。歯科では8020運動のさらなる推進はもちろん、う蝕や歯周病予防の啓発活動に力を入れていかなければならないだろう。高齢化社会においての歯科の役割は大きい。

口臭の原因となる硫化水素を産生する酵素の立体構造と反応機構を解明。

口腔内の硫化水素濃度と歯周病の進行度には高い相関があり、患者の口腔内の硫化水素濃度を測定すれば、口臭や歯周病の程度を判定する指標にもなる。口腔内で検出される硫化水素は歯周病菌が作る硫化水素産生酵素により、主にシステインというアミノ酸から作られる。これらの酵素の反応機構の解明が硫化水素産生の根本的な理解につながると考えられていた。岩手医科大学薬学部の毛塚雄一郎助教、および野中孝昌教授らの研究グループは、健常者を含め多くの成人で検出される歯周病菌Fusobacteriumnucleatum(フゾバクテリウムヌクレアタム)特有の硫化水素産生酵素Fn1055に着目。この酵素の立体構造と反応機構を解明したと発表した。
 酵素反応をミリ秒(1000分の1秒)オーダーで追跡し、この酵素がシステインから硫化水素とセリンを生成する反応機構が明らかになった。反応には酵素構造変化を伴うことが強く示唆されたという。この研究結果は歯周病菌における硫化水素産生機構の理解につながるとともに、新たな洗口液成分の開発への期待がかかる。

ちょっと気になる!≪デンタルフロス≫

歯と歯の間のお掃除をするときにあると便利なものといえば
歯間ブラシやデンタルフロス(ホルダータイプやロールタイプ)
といったものではないかと思います。

歯間ブラシはいろいろなサイズがあり、
自分の歯と歯のすきまに合ったものを使うことが大切です。

デンタルフロスのホルダータイプとは、
「糸ようじ」というと馴染みがあるかもしれません。
F字型やY字型などのプラスティックの柄に糸が付いていて、
細い隙間でもしっかりとお掃除することができますが、
引っかかってしまうと取りづらく厄介なこともあります。

デンタルフロスのロールタイプは
糸状のフロスを好きな長さに切って使うものです。
細い隙間のお掃除にも向き、引っかかっても取りやすいですが、
慣れないと扱いづらいデメリットもあります。

歯ブラシだけでは十分に取りきれない歯と歯の間の汚れを
デンタルフロスなどで取り除くと、むし歯や歯周病の予防、
口臭予防などの効果が期待できます。

最近は電動歯ブラシならぬ、電動フロスもあります。
といっても、糸(フロス)が動くわけではなく、
水圧によって歯と歯の間や歯周ポケットのプラークを落とすものです。

ロールタイプのデンタルフロスは慣れると簡単で経済的なのでお勧めです。
使用する時は力を入れて歯と歯の間に入れると
歯ぐきを傷つけてしまうことがあるので、
ゆっくりと前後に動かしながら歯と歯の間に入れるよう気を付けましょう。

日々のケアにデンタルフロスも加えてみてはいかがでしょう。
歯科医院で使い方の指導を受けるといいかもしれませんね。

▼参考:虫歯予防にはデンタルフロスが必須!正しいフロスの使い方
https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/h0b47ms0vtslc2zfb3BrJ

味覚地図

味には甘味、苦味、塩味、酸味、旨味の5つ種類があります。
舌の先の部分は甘味、奥の方は苦味、横は塩味や酸味という風に
感じる部分が分かれているということを
聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
その図が味覚地図です。
しかし、実は味覚地図は存在しないといわれています。

舌や頬の内側などには細胞の集合体である
味蕾(みらい)がたくさん存在します。
この味蕾の中に味を感じる細胞が集まっています。

食べ物を噛むことによりその食品の細胞を破壊します。
それが唾液と混ざると分子やイオンなどの化学物質を出します。
この化学物質が味細胞に感知されることにより、
味を感じるという仕組みになっています。

味細胞の中には受容体があり、味覚情報を脳に伝達する役割を担っています。
舌の部分によって味を感じるのではなく、
舌全体でそれぞれの味を感じているということになります。

ちなみに辛味は痛、熱いなどと感じることにより得られるため、
味覚ではなく痛覚や温覚になります。
冷たいと甘味は感じにくくなったり…。
味覚ってとても奥が深いと思いませんか?

▼参考:わかりはじめた味覚の分子メカニズム
https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/h0b46ms0vtslc2zfb3d0t

断水中の歯磨きどうする? うがいやハンカチで拭き取り

西日本を中心に被害をもたらした豪雨の被災地では、広範囲で断水が続く。断水中の歯磨きはどうしたらいいのか。

 日本歯科医師会によると、口が不衛生な状態だと細菌が増え、肺炎や、全身の病気の悪化につながる。

 同学会によると、少ない水で歯磨きするために用意するのは、約30ミリリットルの水。歯ブラシを水でぬらして歯を磨く。合間に歯ブラシの汚れを、ティッシュで拭き取る。コップの水を少しずつ口に含み、2~3回にわけてすすぐ。

 歯ブラシがない時は、食後に少量の水やお茶でうがいをする。ハンカチやティッシュで汚れを取るのも効果があるという。

 唾液(だえき)には口の中をきれいに保つ働きがあり、唾液を出す工夫も必要という。耳の下やあごの下を手でもんだり、あたためたりすると、唾液が出やすくなる。

かむ力、強いと俊敏に 金沢の歯科医院長研究 バドジュニア選手で実証

 かむ力「咬合力(こうごうりょく)」が強い人は俊敏であることを、ばんどう歯科医院(金沢市)の坂東陽月(ようげつ)院長らの研究グループが11日までに、バドミントンのジュニア選手への調査で明らかにした。かむ力が強い選手ほど敏しょう性と瞬発力が優れ、かむ力と運動能力の関連を科学的に示した。坂東院長はスポーツに励む子どもや保護者、コーチに対し、競技力向上には口腔(こうくう)ケアにも気を配る必要があると呼び掛けている。

 研究グループは、バドミントンの日本代表候補であるU16(16歳以下)の男子22人と女子24人、U19(19歳以下)の男子26人と女子26人を調査対象に選定。各選手の咬合力と、腹筋運動や反復横跳び、縄跳び、50メートル走、立ち5段跳びの成績との関連を分析した。

 その結果、U19で咬合力の強い選手ほど、敏しょう性を示す反復横跳び、瞬発力を示す立ち5段跳びの成績が特に良く、強い関連性が示された。かむ力が脳を刺激し、反復横跳びや立ち5段跳びに必要な筋力を生み出すのにつながったとみられる。

 年代別の咬合力の比較では、男子U19が平均750ニュートン(ニュートンは力の単位)と、同U16の同510ニュートンの1・5倍強く、反復横跳び(20秒間)はU19が平均100回とU16の73回の1・4倍で、咬合力と敏しょう性の関連がうかがえた。

 咬合力は、成人男性で500~600ニュートン、成人女性で300~400ニュートンとされる。虫歯や歯周病があったり、歯並びが悪かったりすると低くなる。坂東院長は歯磨きなど日常の手入れに加え、かかりつけの歯科医院を定期的に受診し、口の環境を正常に保つことが必要だと指摘している。

 研究は整形外科・形成外科医院「北山クリニック」(金沢市)の北山吉明院長、日本歯科大新潟生命歯学部の高橋睦准教授と進めた。北山院長が日本小学生バドミントン連盟の副会長・医科学研究部長、坂東院長と高橋准教授が研究部員であり、バドミントン選手を研究対象にした。

 研究成果は日本スポーツ歯科医学会の雑誌「スポーツ歯学」に発表し、論文奨励賞に選ばれた。学会で表彰されるのは大学の研究者や大学病院の歯科医師が中心で、坂東院長のような開業医が論文の筆頭著者となって表彰されたのは初めてのケースという。

 日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ・医科学スタッフでもある坂東院長は「東京五輪に向けてジュニア選手の強化・育成を進める際には口腔環境を整えるのが重要になってくる」と強調した。

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