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味の好き嫌いで血流変化  九州大の研究チーム

甘味や苦味など味の好き嫌いを感じることで、顔面の皮膚の血流が
変化することを、九州大の林直亨(はやし・なおゆき)准教授(応
用生理学)らの研究チームが突き止め、12月1日付の米科学誌「プ
ロスワン」電子版に発表した。意思疎通が困難な筋萎縮性側索硬化
症(ALS)患者への食事提供や、食品開発の官能検査への応用が
今後期待できるという。実験は20~30代の男女16人が対象。甘味、
塩味、酸味、苦味、うま味の五つの「基本味」の溶液を口に含んだ
際に、まぶたや鼻など顔の6カ所の部位で起きる血流変化を、レー
ザー光を用いた特殊なカメラで測定した。
この結果、うま味と甘味を「おいしい」と感じた場合、まぶたの血
流が平均11~13%増加し、苦味を「まずい」と感じた場合は鼻の血
流が平均6%低下するなど、味の好き嫌いと血流変化に相関関係が
あることが裏付けられた。酸味と塩味と血流変化の相関関係はみら
れなかった。林准教授は「顔の血流変化観察が、これまで困難とさ
れてきた味覚の客観的評価の有効な手段になるのではないか」と説
明し、今後より複雑な味についても解明を進める。

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