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歯周炎の原因 細胞突き止め

奥羽大薬学部生化学分野の大島光宏教授は5日までに、これまで原因が特定されず、細菌を除去する治療が主流だった歯周炎=歯槽膿漏(のうろう)=について、歯周炎患者の歯肉の線維芽細胞に原因があることを突き止めた。大島教授が中心となって行った、日大、筑波大、スウェーデンのウプサラ大、ドイツのフンボルト大との共同研究で、論文が8月、権威ある米歯学専門誌「ジャーナル オブ デンタル リサーチ」電子版に掲載された。「細菌の影響」というだけでは説明がつかなかった部分が解明され、歯周炎治療に新たな方向性が見つかった。
                福島民友 2010.9.6

矯正 見た目も改善、生活の質高める

歯並びが悪いと、かみにくく、歯周病や発音障害を生じやすい。「歯列や、あご骨のずれを治す歯科矯正は見た目も改善し、QOL(生活の質)を高める」と、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の山城隆教授(歯科矯正学)は語る。かみ合わせが悪い「不正咬合」には上顎前突(出っ歯)、反対咬合(受け口)、上下の前歯が開いた開咬、叢生(乱ぐい歯)などがあり、顔面のゆがみにもつながる。
 治療はレントゲン写真や歯の模型から不正咬合の原因を探り、歯の角度、バランスなどを考慮して行う。「歯科矯正は欧米では普通の治療法であり、表情にも好影響を与える」と話す。
                山陽新聞 2010.9.6

神経の痛み治す高度な技術

歯の神経や根(根管)にかかわる治療を歯内療法といい、歯科治療の中でも高度な技術が必要とされています。歯髄まで達した虫歯には、神経をとる「歯髄除去療法(抜髄)」を行います。抜髄した後は根管の細菌を取り除き、生体に安全な材料を詰めて、再びかめるように修復します。
 しかし、かぶせた物とのすき間から再び虫歯ができて細菌が入り込むなど、原因はさまざまですが、根管が再感染し、根の先に「根尖(こんせん)病変」ができることがあります。こうなったときには再度、根の中の治療を行う必要があり、これを「感染根管治療」といいます。
 歯の治療は治療前後の変化が目に見えない上、時間もかかりますが、建物でいえば土台に相当する非常に重要な役割を担っていることを、ぜひ認識しておいておただきたいと思います。
                福島民報 2010.8.30

歯間ブラシで歯周病予防を

歯周病は細菌によって歯を支える歯茎や骨がじわじわ壊される病気。高齢期にかけて歯を失う主な原因の一つであり、糖尿病などほかの病気との関連も指摘されている。予防には歯科医や歯科衛生士によるケアとともに、歯磨きでは落としきれない歯垢を普段から歯間ブラシなどで取り除くセルフケアが重要だ。
 財団法人ライオン歯科衛生研究所と浜松市口腔保健医療センターの石川昭所長らはセルフケアを身につけるための「歯周病予防プログラム」を共同開発し、同市西区に住む30~70代の56人を対象にした研究で、有効性を確認した。
 その結果、歯間ブラシ使用率はプログラム実施前の55.4%から3回目には100%となり、1年後も87.5%と高い水準を維持。歯茎の状態にも改善が認められた。プログラムが成功した理由としては、動機づけや適切な指導、効果を確かめながら進めたことなどが考えられるという。
                山陽新聞 2010.8.3

口臭の原因の6割は「舌苔」にあり 朝の舌磨きが口臭予防に効果的

最近、ニオイ、中でも口臭で悩む人が増えている。口臭は、自分では気がつかないうちに相手に不快感を与えていることもあるだけに厄介だ。口臭の原因は様々だが、その大部分は口の中そのものにあり、約6割が舌に付着する汚れ「舌苔(ぜったい)」に起因するとか。舌苔は食べかすや口内のはがれ落ちた粘膜が舌にたまったもの。唾液分泌が少なくなる睡眠時に最もたまりやすいため、年齢や性別に関係なく、口臭は起床時に最も強くなる。そのため朝の舌磨き=舌苔除去は口臭予防に効果が高いと考えられている。
 江崎グリコでは舌苔が口臭の原因であることの認知度と朝の舌磨きの実施状況を検証するため、全国の20~50代の男女800人を対象にインターネット調査を実施した。それによると、自分の口臭を気にしている人は91%で、特に若い世代ほど気にしている人が多く、20代では23%が「とても気にしている」と回答している。口臭が気になるタイミングは、やはり「起床時」で、74%もの人が朝起きた時の口臭を気にしている。
 朝食をしっかり噛んで食べると、食べ物が舌に当たって舌磨きの効果がある。しかし、夏は暑さのため、朝食を抜きがちな時。それだけに夏こそ十分な対策が必要なのだ。汗のニオイばかりに敏感になる夏。お口のニオイにも十分な配慮をお忘れなく!
                  日刊ゲンダイ 2010.8.30

がん治療前に歯科検査

国立がん研究センターと日本歯科医師会は31日、がん患者への歯科治療で連携し、口腔(こうくう)内の合併症軽減を目指すことで合意した。9月からがん患者への歯科治療に関する歯科医向けの講習会を各地で開催。同センターは治療前の患者に講習会を受講した歯科医への受診を勧める。知識や情報不足から、がん治療後に患者が歯科診療を拒否されるケースを防ぐのも狙いだ。
 同センターと日本歯科医師会は来年度をメドに全国のがん治療の中核施設に拡大、2013年度には全国のがん拠点病院(現在約370施設)にも地域の歯科医と連携する事業を開始することを目指している。
                  日本経済新聞 2010.9.1

子どものいびき 睡眠時の呼吸で手術判断

ゴー、ゴーと大人顔負けのいびきをかく子どもを見ると、かわいく思えてつい笑ってしまう。ところが、子どものいびきには成長に支障が出る危険が潜んでいるのだという。子どもの睡眠障害に詳しい滋賀医科大学の宮崎総一郎教授は「いびきがすべて悪いわけではない。ただ、呼吸が苦しくていびきをかいている場合、眠りが浅くなって頭と体が休まらず、昼の活動や成長ホルモンの分泌に影響が出る」と言う。子どもの睡眠障害で最も心配なのは、寝ている時に無呼吸になったり、呼吸障害を起こしたりしている場合だ。
 宮崎さんによると、呼吸障害を招くいびきは、早い子どもで1歳くらいから起こるが、小学校へ入る前後の子どもが最も多くなる。口の奥にある口蓋扁桃や鼻の奥の咽頭扁桃が肥大し、空気の通り道が狭くなってしまうのが原因だ。本来、扁桃には菌の侵入を防ぐ働きがあり、この時期に大きくなるのは、免疫をつけるための自然な発育だ。大半の子どもが大きくなるが、成長につれて小さくなる。
 手術をするかどうかの判断には、睡眠時の呼吸の障害の程度を調べる。自宅で検査する場合、寝ている時に鼻の下やおなかなどにセンサーを着け、呼吸の異常や血中の酸素濃度を測る。
                  朝日新聞 2010.8.30

薬剤性顎骨壊死 骨粗しょう症の薬で副作用も

最近、顎骨壊死が骨粗しょう症の治療に用いられるビスホスホネート製剤といわれる薬剤の副作用で起こり、容易に骨髄炎に移行しやすいことが分かってきました。この薬剤は骨粗しょう症の特効薬的な存在で、明らかにほかの薬剤より効果があるとされ、骨粗しょう症に伴うさまざまな継発症を予防することが知られています。
 これらの継発症を抑えることは、寝たきりになる率を減らし、寿命の延長にも寄与しているといわれています。したがって、副作用があるからといって飲むのをやめるのではなく、予防に気を付けることが重要となります。現段階での最も確実な予防法は、口の中の衛生管理をすることで、虫歯や歯槽膿漏がある場合は治療をし、その後も定期的に専門的な口腔(こうくう)清掃を行うことで、明らかな予防効果が出るとされています。これらの薬剤を飲んでいる方は、まずはお近くの歯科医院で相談してみてください。
                  福島民報 2010.8.16

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