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ためになるお口の話 かまなくなった日本人

現代の日本人は和食から洋食へと食生活の転換が進み、繊維質の多い食品をあまり食べなくなりました。また、味が濃く軟らかい加工食品の消費が増えたこともあり、あまりかむ必要もなくなったのです。では、どれくらいかまなくなっているのでしょうか。食文化研究家の永山久夫氏と斉藤滋氏が昔の食事を復元して、実際にかむ実験を行っています。それによると玄米や魚の干物、クルミや長イモなど、よくかまないと栄養素として吸収されにくい食材を食べていた弥生時代の日本人は、平均して1食あたり4千回かみ、食事時間は50分でした。野菜の煮物やたくあん、半づき米などを食べていた戦前の食卓でも1400回で20分でしたが、現代は620回で10分と、戦前の半分、弥生時代の6分の1以下です。一応消化できているから問題ないじゃないかと思う人もいるでしょう。しかし、かむ回数が減ると唾液の量も減り、唾液のさまざまな恩恵が得られないだけでなく、肥満などの問題につながりかねません。次回はよくかむことと肥満予防についてお話します。
              北海道新聞 2011.7.27

受験生離れ、国試不振…歯学部統廃合論も- 歯学部サバイバル時代(上)

文部科学省によると、国公立、私立を合わせた全国29歯学部の今年度の入学定員は計2459人だが、入学したのは2158人(87.8%)。11の歯学部で定員割れとなった。
 特に、私立大の苦戦ぶりは深刻だ。全国に17ある歯学部のうち、今年度は10大学(58.8%)で入学者が定員を割り込んだ。定員に対する充足率は、最低の奥羽大歯学部で25%と2割台になった。また、競争率が2倍未満の歯学部は14校(82.4%)で、松本歯科大では受験者81人全員が合格した。

 歯学部全体の受験者数は、2008年度の1万359人から翌09年度は7122人に激減。10年度も6472人に減少したが、今年度は6805人と微増した。「下げ止まり」との楽観的な見方もあるが、これまでの減少幅を考慮すれば改善したとは言いにくい。

 受験生による歯学部離れの背景には、歯科医の過剰供給問題があるとされる。
 1960-70年代の学部増設などに伴い、歯科医の養成数は急激に増加。厚生労働省によると、歯科医院数も2009年には6万8097軒で、1984年からの25年間でほぼ6割増えた。一方で、医療費全体に占める歯科医療費の割合は、62年度は12.4%だったが、08年度には7.4%にまで下がった。

 大学関係者らは、このほかにも、▽歯科医の「ワーキングプア」などの報道▽経済状況の悪化▽医学部の定員増―などが、受験生の歯学部離れに拍車を掛けているとみている。
 「今や歯学部を受ければ合格する状況。学生の質低下が避けられない」―。そんな嘆きの声すら出始めている。

 学生不足に喘ぐ中、歯科医師国家試験(国試)の結果が振るわずに苦悩する大学もある。文科省によると、今年の新卒者の国試合格率は、全体で81.8%だった。これに対し最低の岩手医科大歯学部は64.8%で、最高の広島大(100%)との間には、35.2ポイントの格差がある。

 優秀な学生を集められずに国試の合格率が低迷し、それが受験生のさらなる歯学部離れを促しているとの見方もある。

国内初の舌圧測定器 摂食・嚥下機能など検査

ジェイ・エム・エス(JMS)は、国内初となるバルーン式舌圧測定器「JMS舌圧測定器」の販売で、歯科医療機器メーカーの大手のジーシー(GC、東京都文京区)と連携した。食物を咀嚼したり飲み込んだりする際に、舌の動きによって生じる筋力の最大舌圧を測定する医療機器で摂食・嚥下機能のスクリーニング検査に使用する。診療するのは口腔外科医が多く、歯科医への強力な販路を持つGCと、口腔外科への国内独占販売契約を結んだ・JMSでは、初年度に国内で300台の販売を計画している。
              化学工業日報 2011.6.13

忍び寄る 肺炎

東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城両県の沿岸部で、口の中で繁殖した雑菌が気管に入ることで起きる誤嚥性肺炎が多発する危険性が指摘されている。発生から3ヶ月が過ぎても水道が復旧せず、歯磨きが十分にできていない地域があるためだ。昨年より誤嚥性肺炎の死者が増えた病院もあり、医療関係者は雑菌の繁殖しやすい夏場に向け、警戒を呼び掛けている。
              毎日新聞 2011.6.18

歯科口腔保健推進法が成立

歯科疾患の予防などによる口腔の健康の保持(歯科口腔保健)の推進に関する施策を総合的に行うための「歯科口腔保健の推進に関する法律」は8月2日の衆院本会議で、全会一致で可決、成立した。

 法律では基本理念のほか、国・地方公共団体、国民らの責務などを定めている。
 施策としては、▽歯科口腔保健に関する知識の普及啓発▽歯科検診受診の勧奨▽障害者らの歯科検診受診の促進▽歯科疾患の予防措置▽口腔の健康に関する調査・研究の推進―を提示。国はこれらの実施に向け、方針や目標などの基本的事項を策定・公表する。都道府県は、国の方針などを踏まえた基本的事項の策定に努めなければならない。

永久歯の多寡どう治療?

永久歯は上下14本ずつ、計28本あるのが一般的だ。とはいえ、生まれつき多かったり少なかったりする例は珍しくなく、学会の初の調査では1割の人に欠如が見つかった。先天性欠如や過剰は、歯並びやかみ合わせに大きな影響を与えることもあると専門医は言う。親はどう対応すればよいだろう。日本小児歯科学会が07年~08年度に7歳以上の約1万5500人に行った初の全国調査によると、先天性欠如は10%、過剰は5%に見つかった。欠如が多いのは第2小臼歯(6歳臼歯の隣)、側切歯(前歯の隣)だが、どの歯にも起こりうる。過剰歯上の前歯にできることが多い。過剰歯の多くは他の歯より小さく、前歯が正しく生えるのを邪魔するので、抜歯するケースが大半だ。一方、欠如した場合に問題になるのは、かみ合わせだ。一般的に乳歯は、どの子にもすべて生えそろっている。乳歯があった所に永久歯が欠如し、隙間ができると、前後や上下に歯が動いたり伸びたりして歯並びが崩れる。あごにかかる力が非対称になり、あごが変形することも。上の前歯が足りない場合は、目立つだけでなく、上の歯列のアーチ(弧)が小さくなるため、受け口になることがある。欠如や過剰の予防法はない。ただ、X線写真で早めに見つかることは可能だ。前歯なら1、2歳から、12歳臼歯でも7歳になれば多寡が分かるという。
              毎日新聞 2011.6.19

口腔乾燥症の患者さんは“舌苔を取る”ことが必須

主任看護師のAさんは、ICUにいる男性患者さん(70代)の口臭が気にな
っていました。意識障害で開口状態のため、口腔内が乾燥し舌苔がついていたの
です。
 そこでAさんは、“舌苔を取る”ことに重点を置いて口腔ケアに取り組みまし
た。ところが後日、患者さんのお口の中を見てハッとします。

「また舌苔がこびりついている!? 入室されたとき、しっかりきれいにしたは
ずなのになんで……」

 すぐに、他の看護師が舌苔のケアを行なっていないことに気づいたAさん。ミ
ーティング時、看護師全員に「舌苔を必ず取るよう徹底してください」と呼びか
けました。

 4日後、患者さんの口臭は明らかに改善されていました。その変化には、お見
舞いに来た奥さまも気づきます。
「あれ? お父さんのお口のニオイしないね」
 不思議そうに、でも嬉しそうにご主人の顔をのぞき込む奥さま。その様子を見
て、Aさんは思ったそうです。

「口腔乾燥症の患者さんのケアでは、“舌苔を取る”ことが必須。今後も、その
ことを看護師全員で共有し、毎日継続して行なわなければ!」
 Aさんの表情は、患者さんへの思いと口腔ケアへの情熱に満ちていました。

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毎日注意 虫歯にサヨナラ 予防する 食後すぐの歯磨きグー

虫歯予防に3つのポイントを挙げます。ミュータンス菌、歯そのもの、食事の取り方。それぞれの対策を考えます。
 ミュータンス菌には、食後すぐの歯磨きが有効。食べかすや歯垢を取り除き、菌を退治できるからです。歯ブラシが届きにくい歯の間をきれいにするデンタルフロスの使い方も早いうちにおぼえましょう。生えたての永久歯の奥歯をミュータンス菌から守るため、細かい溝をふさぐシーラントという方法も広まってきました。歯自体を丈夫にするにはフッ素の力を借ります。歯医者でもフッ素を塗ってもらえますが、毎日の歯磨きでフッ素入りの歯磨き粉を使うことが重要。フッ素をすべて洗い流さないよう、口をすすぐのは少量の水で2、3回程度にしましょうと言います。念入りに口をすすいでいた昔とは、考え方が変わりました。最近の研究で分かってきたことも。口の中のつばは酸を中和し、溶け始めの歯を修復する働きがあるのです。しかし、食後20分くらいは酸の力が強く、歯が溶けやすい状態が続きます。だらだら食いのような間食は、歯にとって良くありません。
             東京新聞 2011.6.14

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