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歯磨き「3・3・3」? 上 回数より時間かけて

虫歯や歯周病を防ぐ歯磨きは、よく「3・3・3」で行うのが良いといわれる。1日3回、食後3分以内に、3分以上磨く意味だが、実際のところ、歯磨きはどんな目安を設けて行うべきなのだろうか。
 まずは歯磨きの回数について。歯周病予防の観点からは、回数よりも1日1回、時間をかけてしっかり磨くことに重きをおくべきだ。
 歯周病の原因「歯垢(プラーク)」は、口に残った食べ物のかすを餌に繁殖した細菌の塊。これを放置すると硬い「歯石」になり、歯ブラシで落とすのが難しくなる。プラークが歯石の前段階へ変化するのにかかる時間は24時間前後。毎日磨かなければならないわけはこれだ。
           北國新聞 2011.10.1

遺伝性血管性浮腫という病気をご存知ですか?

旭川医科大学歯科口腔外科学講座 教授 松田光悦
 遺伝性血管性浮腫(HAE:Hereditaryangioedema)というのは歯科や口腔外科の病気ではありませんが、歯科治療や口腔外科治療が引き金になり発見されることがあります。
 これは、死に至ることがある怖い疾患ですが、まだ一般的には知られていません。歯科や口腔外科での抜歯など外科的治療後、数時間から1日くらいで顔全体のむくんだような腫れ(浮腫)が出たり、舌やのども腫れて息苦しくなったりした経験をお持ちの方はいませんか?
 歯科治療だけでなく、強いストレスや足をぶつけるなどの外傷でも出現します。思春期のころから出現し、放置しても2~3日で消失します。遺伝性のため類似した症状を示す近親者が存在することが多い疾患ですが、単独に出現することもあります。放置しても3~4日で消失し、普段の状態に戻ってしまうため
 病院へも行かずそのままになっている場合、あるいは歯を抜いたせいとか麻酔のせいと勝手に考えていることが多いのではないかと思われます。しかし喉の腫れ(咽頭浮腫)が生じたにもかかわらず適切に治療がされない場合の致死率は30%と言われています。
 重症にならずに過ごしているうちは良いけれども、知らないでいると突然重症になり、死に至ることもある疾患です。決して歯科治療のせいではありません。それは、この疾患の特別な原因によるもので、浮腫が生じる発作が起きた時通常のショックに対する治療では効果がないからです。
           北海道経済 12月号 №516

喫煙と歯周病 発症率吸わぬ人の3倍

みなさんは喫煙と歯周病に密接な関係があることをご存じですか。喫煙が歯周病を悪化させる理由として①たばこのニコチンが歯肉の血管を収縮させ、歯を支える組織に必要な酵素や栄養の供給を減らしてしまう②たばこの有害成分により白血球の機能が低下し、歯周病菌に対する歯肉の防御率が落ちる③喫煙で生じた活性酵素を除去するためにビタミンCが消費されると、歯肉を修復する細胞の働きが抑えられるなどが挙げられています。今では、喫煙が肺がんをはじめとするさまざまながんや心・肺疾患、脳血管障害などの危険因子であることは常識ですが、歯周病にとってもやはり危険因子なのです。
         北海道新聞 2011.11.23

東日本大震災での対応で意見交換 

第10回警察歯科医会全国大会が11月4日(金)、「東日本大震災と警察歯科」のメインテーマの下、みちのくの地・盛岡市の盛岡グランドホテルで開催され、「東日本大震災に対する歯科保健・医療救護・身元確認への協力」として細谷仁憲・宮城県歯会長、金子振・福島県歯会長、箱崎守男・岩手県歯会長の3氏を、「全国警察歯科医会の連携構築・身元確認の統一化への貢献」として塚本享・葛飾区歯監事をそれぞれ特別表彰した。また、出羽厚二・岩手医科大学医学部法医学講座教授による特別講演では「歯科所見による照合作業においては、被災県同士の情報共有が必須であり、新しい体制の構築が求められている」などの見解が示された他、シンポジウムの質疑応答で身元確認作業についての理解を深めた。
         日歯広報 11.15

20代でも8割が歯周病 ポケット内の歯垢残さない

健康な歯の歯周ポケットは1~2ミリ程度と浅い。そこに入り込んだ歯垢を残したままにすると歯周病が進み、ポケットは深く、さらに歯垢がたまりやすくなる。最近の調査では20代の8割が歯周病を患い、小学生でも4~5割は軽度の歯肉炎を中心とした歯周病という。歯の表面の歯垢は野菜をかじることなどでも取れるが、ポケット内部の歯垢や歯石は歯科でないとなかなか取れない。
         日本経済新聞 2011.10.1

正しい歯磨き本気で覚える40代 「軽く長く」で10日後効果

指導を受けた後の週末の朝。鏡の前に陣取り、歯磨き剤を付けず上の前歯2本から磨き始める。ところが教わった通りに1~2本ずつ磨くと、思った以上に時間がかかる。10分が過ぎると口を開けっぱなしでいるのが苦痛になってきた。そのうち歯ぐきから出血した。ただ「歯ぐきで炎症を起こしている部分から歯磨き時に出血するのは気にしなくていい」そうだ。ブラッシングで歯垢がとれ、歯ぐきの状態が改善すれば出血も止まるからだ。結局、歯の表裏、奥歯の最奥まで磨き終えた時は21分が過ぎていた。しかし、もっと効率よく磨かないと毎日は続かない。その証拠に日曜の朝はいつものクセで磨き忘れ、夜は夜でアルコールが入り、ついおざなりな磨き方になる。心を入れ替えて集中して磨くうち、今度は歯ぐきに毛先が当って痛くなってきた。知覚過敏だ。そこでそこでライオン歯科衛生研究所(東京都墨田区)の主任歯科衛生士、黒川亜紀子さんを訪ねた。使い始めて数日にして毛先が開いた記者の歯ブラシを見せると、黒川さんは「力を入れ過ぎです」。力加減は「新品の歯ブラシを当てて痛くない程度」が適正という。
         日本経済新聞 2011.10.1

歯科医内科医タッグ 糖尿病と歯周病連携して治療

金沢市の医師会と歯科医師会が、糖尿病と歯周病の患者を連携して治療する事業に乗り出した。地域医療を担う内科医と歯科医が患者のデータを共有するのは全国初の試み。糖尿病の「第6の合併症」とされる歯周病を治療することで血糖値が改善することが確認されており、両会は患者のメリットが大きいとして、全県への拡大を目指している。
         北國新聞 2011.9.25

口の健康に関心高まる

民間市場調査会社の富士経済(東京)によると、2010年の電動歯ブラシ市場は前年比33%増の勢いで、今後も拡大が続く見通しだ。長年、メーカーの依頼で電動歯ブラシの製品評価をしている福岡歯科大の埴岡(はにおか)隆教授(口腔保健学)に、最近の市場動向を聞いた。口腔ケア関連市場が除々に拡大している理由の一つに、電動歯ブラシの性能向上がある。最近は「音波式」と呼ばれ、以前の機種よりもブラシの震動が速く、かつ振幅が微細で、歯垢を取り除く能力が高くなった。かつて私は、普通の歯ブラシを使った歯磨きを薦めていたが、今は電動歯ブラシを薦めている。手で磨く場合、専門家の指導を受けないと、磨き残しなどが出てくるからだ。また、口と体全体の健康の関係が解明されてきたことで、口の健康への関心も高まっている。歯周病菌は、炎症がひどい部位から血液中に入り、全身を回る。この歯周病菌が、心臓疾患や出産異常などに関与するとの研究報告が出ている。口腔ケアの関心が高まれば、全身疾患対策にもなるので、歓迎すべきことだといえる。
         西日本新聞 2011.9.15

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