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幹細胞培養液で歯周病治療 名大、イヌで実験

さまざまな組織や臓器の細胞になりうる幹細胞の培養液を使ってイヌの歯周病を再生治療することに、名古屋大大学院医学系研究科の上田実(うえだ・みのる)教授(頭頸部(とうけいぶ)・感覚器外科学)の研究チームが29日までに成功、人間への臨床研究を開始した。12月9日に米学術誌(電子版)に発表する。

 幹細胞の培養液には細胞の増殖や分化などに関わるタンパク質が何種類も含まれており、幹細胞と同じ程度の組織再生能力がある。幹細胞そのものを移植すると、がん細胞化する恐れがあるため、培養液を使うことでこれを回避し、治療に要する費用も抑えることができるという。上田教授は「タンパク質を使った特効薬で歯周病の根治につながる」と話している。

 研究チームは、これまでに培養液の中から歯周病の再生治療に有効な4種類のタンパク質を発見。今回、人の骨髄に由来する幹細胞を使い、培養液をコラーゲンでできたスポンジに染み込ませ、歯周組織に約5ミリの穴を開けて歯周病の状態にしたイヌに移植した。

 4週間後、何もしなかった場合、歯周組織にある骨の再生は約2ミリ弱にとどまったのに対し、移植した場合は3ミリ以上再生し、再生面積は何もしない場合の2倍以上になった。歯の表面のセメント質も培養液で再生した。

「効果の科学的根拠示す」 特定健診・保健指導/矢島健康局長

厚労省の矢島鉄也健康局長は9月26日(水)、専門紙記者クラブの共同取材で、医療保険者に実施が義務付けられている特定健診・保健指導の効果を科学的に証明する「戦略的研究」を局内で進めていることを明らかにした。特定健診の実施率は43.3%(22年度)、特定保健指導の実施率は18.0%(同、終了者の割合は13.7%)と低迷しており、実施率の底上げが課題となっている。矢島局長は「健診・保健指導を実施したグループと実施していないグループを比較すると、患者は健診・保健指導を受けていたグループの方が少なく、入院も少ない」と研究の一端を紹介。そのうえで「科学的根拠、つまり(特定健診などが)うまくいくということがみえてくれば、受診率は上がっていくと思う」と述べた。
                       「国保情報(国保中央会発行)№1070より転載」
 

歯周病 歯槽骨再生、新たな治療法 新潟大が取り組み

人工の歯根を埋め込む「インプラント」や入れ歯などに代わる新しい歯周病治療に、新潟大医歯学総合病院生命科学医療センター(新潟市、センター長・中田光同大教授)が取り組んでいる。歯周病で溶けた「歯槽骨」を再生する方法で、同センターは「自分の歯で再び食べられるようになる」と利点を話している。

 歯周病は、歯の表面に付いた細菌の塊が引き起こす病気で、歯茎が腫れたり、悪化すると歯を支える歯槽骨が溶けて歯が抜けてしまう。同センターは、歯槽骨を包む骨膜の一部を患者から切り取り、約6週間培養してシート状に加工。骨の原料になるアパタイトと患者から採取した血小板を混ぜて骨の欠損部分に詰め、このシートで覆った。この治療で、7~9ミリの歯槽骨の欠損が、治療から半年後には3ミリ程度まで戻り、歯のぐらつきがなくなるという。歯槽骨が完全に欠損してしまう前の治療法としてこれまでに40例実施し、最長で治療から7年間、歯が抜けることがなかったという。

 手術で金属をあごの骨に埋め込んで人工歯を取り付けるインプラント治療は、歯周病の進行で歯槽骨だけでなくあごの骨まで薄くなると、通常はあきらめざるを得ない。同センターは、こうした患者にも同じシートを使ってあごの骨を再建し、インプラントを固定することに成功したという。

 中田教授は「シートの作成には、浮遊菌のない環境が不可欠。今後はこの環境を他の再生医療にも利用していきたい」と話している。

自民党政権公約に歯科健診が含まれる

自民党は11月21日に政権公約をまとめ、「日本を取り戻す」と題し、復興・
防災、経済成長、社会保障などの分野で計328項目の公約を掲げた。歯科
に関わる項目については、<145.国民歯科医療の充実・発展>の中で、
「国民の生涯を通じた切れ目のない歯科口腔保健や歯科医療を推進し、
生活の基盤となる「食」を支え、特定健診(メタボリック・シンドローム
対策)に歯科健診を導入し、8020運動を促進する。労働者の一般健診に歯
科健診を導入し、産業歯科医の役割を明確化することを目指し、要支援・
要介護者を含めた高齢者に対する在宅歯科医療を充実させます」と明記した。
その他、「消費税は、全額、社会保障に使う」「予防医療総合プログラム
の策定や検診を定期的に受診した場合に、医療費の自己負担を軽減するな
どの誘導策の導入等により、健康の維持増進、疾病の予防及び早期発見等
を積極的に促進する」「環太平洋連携協定(TPP)は『聖域なき関税撤廃』
を前提とした交渉参加には反対」とし、交渉参加の判断基準に国民皆保険
制度の堅持を上げた。       

道民健口公開講座 食とスポーツで健康を育もう!

 講演1 「北海道日本ハムファイターズ 強さの秘訣 ~スポーツ選手の食支援~」
 選手にはもちろんですが、食育セミナーなどで一般の方々にも、強くなれる食事のルールとして「3つの3」を提唱しています。まず、食事は1日3回、朝食は必ず摂るようにすること。続いて、3つの色の食べ物(主食・主菜・副菜)をバランスよく食べること。最後に、ありがとう(サンキュー)の気持ちを大切にして食べることです。若い人が朝食を抜きがちなのは、野球選手も同様です。朝食を食べるにしても、パンとジュースだけで済ませるなど栄養バランスが十分ではない選手も目立ちます。それに比べて、チームの勝利に貢献している1軍の選手は、食事をきちんと摂るようにしています。

 講演2 「スポーツ選手と歯の関係」
 スポーツを行う場合、平衡機能が乱れたり変化したりするということは、運動の基本姿勢を崩すことになります、その影響は競技成績に大きく関わります。スポーツには、動的なもの(野球、サッカー、ラグビーなど)と静的なもの(アーチェリー、射撃、弓道など)がありますが、どちらのスポーツにおいても基本となるのは直立姿勢を維持することで、それは平衡感覚、すなわちバランスにより維持されます。

在宅医療のネットワークに入る方法

一つは、ケアマネへの情報提供書です。今年の介護保険の改定からケアマネへの情報提供を行わなければ居宅療養管理指導Ⅰを算定できなくなりました。それまでは情報提供が面倒だからといって100単位減算で算定していた医院は少なくありませんでした。以前から担当ケアマネへ情報提供書を送っていた医院は少なくありませんでした。以前から担当ケアマネへ情報提供書を送っていた医院は、ケアマネからの信頼も厚く、患者さんの紹介に困ることはないようです。
 二つ目は、サービス担当者会議への参加です。訪問診療に取り組んでいらっしゃる先生は、外来と往診とで極めて忙しい。そのため、サービス担当者会議に参加する先生は極めて少数派です。訪問診療の成功の秘訣は、地域の在宅医療ネットワークの中で確たるポジションを築きあげることです。そのためには、患者さんを取り囲む関係者の顔がお互いに見えることが必要になります。訪問歯科と言えばあの先生、と言われるようになれば、患者さんの紹介は途切れることはありません。単なる情報提供書を送るだけの付き合いと違って、実際に顔を合わせて話しをすることはケアマネや訪問看護などの関係者の信頼を確固したものにします。 最低でも月に1人のケアマネさんとは直接会って話をしているという先生は地域でも必ず支持されています。
 三つ目は、口腔ケアについての情報発信を継続的におこなっていることです。例えば、地元のケアマネ連絡会などで、口腔ケアについての話を年に何回かするといったことでもいいのです。要介護者のための口腔ケアの重要性についての話をほんの10分程度レクチャーするだけでも予想以上の効果があることに気付かれることでしょう。いかがでしょうか。この3つすべてを当たり前のように実践されていますか。知っていることと実践できていることは違います。ほんの少しだけやってみるだけで、結果に大きな違いが出てきます。是非ともお試しください。

鼻呼吸に意識を

改めて言うまでもなく、呼吸は鼻でも口でも行うことができます。口の周りには唇やあごの筋肉があって、完全に閉じることができます。しかし、鼻の穴は常に開いていて、手などを使わないで閉じることはできません。従って、人はもともと鼻を使って呼吸する動物であったと推定できます。

 この考えを支持する証拠は、鼻の中の構造と働きにあります。鼻の中の耳側の壁には大きな粘膜のヒダが三つ並んでいます。上鼻甲介(じょうびこうかい)、中鼻(ちゅうび)甲介、下鼻(かび)甲介といいます。そして、ヒダとヒダの間、ヒダと鼻の中央の仕切り(鼻中隔(びちゅうかく))との間の隙間(すきま)は思いの外狭くなっています。表面の粘膜からは、絶えず分泌液が出ていて、鼻の粘膜全体は粘液に覆われています。鼻で呼吸するとき、この比較的狭い隙間を空気が通過することになります。この際、空気中に含まれるゴミやほこりは、粘液に絡め取られることになります。

 これは、病原体がのどや肺に侵入することを防ぐ意味合いもあります。さらに、粘液の水分が通過する空気を潤すので、息が湿って、のどや気管支の乾燥を防ぐ働きもあるわけです。つまり鼻には、ゴミ取りフィルターと加湿器の役割があるというわけです。優秀な空気清浄機ですね。というわけで人は鼻で呼吸することが基本といえます。

 一方、口で呼吸するときの利点は、呼吸量が多くなることです。口を大きく開ければ、空気の通過を妨げず効果的です。だから、運動しているときは、自然と口が開くものです。でも、お気づきのように、口呼吸はのどや気管支を乾燥させ、ゴミやほこりをのどに直通させてしまうというリスクも伴っているのです。

 もう一つ、どうしても口呼吸が必要な場面があります。それはしゃべったり、歌ったりするときです。この時の口やのどの乾燥は相当なものなので、しゃべり続けると、どうしても水が欲しくなります。こうしてみると、口呼吸は、必要な時以外は、しないにこしたことはなさそうです。

 ところが、最近、口呼吸を常にしている人が増えているそうです。もちろん、アレルギーなどの理由で、鼻に炎症があって通りが悪くなっている人も多いのですが、単純に癖になっている人も少なくないようです。乾燥しやすい季節を迎えました。鼻呼吸を意識しましょう。(とうせ・のりつぐ=札幌医科大教授)=次回は12月3日掲載

炎症性関節炎に対する歯周病の影響は歯がなくなってもまだ続く

慢性的な炎症性疾患である歯周病は、関節リウマチ(RA)患者の関節炎症を悪化させるとの報告がある。そこで、初期の炎症性関節炎の患者を対象に、歯周病のサロゲートマーカーとされる残存歯数と疾患活動性の関連を調べたところ、残存歯数が少ないほど疾患活動性が高く、歯が全くなくなった後も歯周病の影響は続くことなどが示唆された。11月10日から14日までワシントンDCで開催された第76回米国リウマチ学会(ACR2012)で、英国Birmingham大学のPaola de Pablo氏らが発表した。

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