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咀嚼機能を司る、脳内の異なる二つの運動抑制機構の解明に道筋。

歯の喪失が認知症の危険因子になるということはこれまでも提唱されており、口でものを噛むことが脳機能に深く関与していると考えられている。ただ、そのメカニズムはいまだ不明な点が多く残されているのが現状である。口でものを噛む動作が異なる二つの運動抑制機構に働くことが解明された。咀嚼時に脳内で働く運動抑制機構に着目し、食物を力強くすりつぶす奥歯(臼歯)と、繊細な力でものを咥えたり噛み切ったりする前歯を介した二つの咀嚼様式について解析を行った。
 その結果、奥歯で噛む時は、噛む力が大きいほど脳内の力強く噛む機能がより強く働くことが示され、逆に前歯で噛む時は噛む力が小さいほど脳内の繊細に力をコントロールする機能がより強く働くことが明らかとなった。これにより、ものを噛む運動を行う際、脳内において単に噛むという単一の指令系統だけでなく、異なる二つの運動抑制機構が関与することが初めて立証されたことになる。

口腔ケアと感染性心内膜炎

心臓の病気には、もう一つ歯科と関連が深いものがあります。心臓の弁や心内膜に細菌が付着して起こる感染性心内膜炎になる大きな原因は弁膜症。心臓には上部と下部、かつ左右に分かれた4つの部屋があり、一方通行で流出した血液が逆流しないように各部屋の出口には弁がついているのですが、その弁がいうまく閉じない(あるいは開かない)病気を弁膜症といいます。
 弁膜症では、例えば弁がうまく閉じなくなると、一部逆流してきた血液がジェットの血流で同じ場所にあたるようになります。すると、その部分の内皮が傷ついて抵抗力が弱くなり、普段ならシャットアウトできる菌が内膜に付着して増殖し、菌の塊(疣贅<ゆうぜい>といいます)をつくるのです。こうして生じた心内膜炎は発熱や倦怠感、息切れなどの心不全症状を伴い、その塊が剥がれた場合には脳卒中などを起こす原因にもなります。
 そして心内膜炎を発症するきっかけとして多いのが、実は歯科治療。大量の菌が血液が入りやすいため、弁膜症の人にう蝕治療を
する場合にはあらかじめ、抗生物質を飲んでから行うと予防効果が高くなります。弁膜症は生活習慣が直結するものではなく、生まれつきの人や、加齢とともに弁が硬くなって起こる人もいます。健康診断で弁膜症の疑いや心雑音などを指摘された人は特に注意しましょう。 
 

味わう方法

お食事をするときは、条件によって味の感じ方にも差がでてきます。
好きなものを食べるときはもちろん、
空腹時や楽しい雰囲だと、さらに美味しく感じますよね。

お口の状態をより良くすることでも、しっかり味わうことができます。
舌や上あごなどには味を感じる細胞(味雷:みらい)がたくさんあります。
舌に白い汚れ(舌苔:ぜったい)が付いていると、
味雷に浸透しにくくなるため、味を感じにくくなります。

お口の中が乾く原因に、唾液の出る量が少なくなっていることがあります。
唾液は食べ物を噛むとたくさん出てきて、食べ物の味を味雷に浸透しやすくします。
つまり、唾液が少ないと食べ物の味を感じにくくなるということです。

唾液は噛むことでさらによく出るようになるので、しっかりと噛める歯と
健康なお口が必要ということになります。

産まれたばかりの赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸うのは本能ですが、
母乳やミルクから、大人と同じ食事を食べられるようになるために、
離乳食という段階を踏み、経験によって食べるということを習得します。
そして、歯の芽(歯胚:しはい)はお母さんのお腹の中にいるときに作られます。
などとお話しすると、味わうためには赤ちゃんのときから気を付けないといけないの?
ってことになりますが・・・。

今できる、さらに美味しくお食事をする方法として、
ゆっくり時間をかけた歯磨きと、舌のお掃除を心がけてみてください。
ゆっくり歯磨きをすることで、サラサラの唾液がたくさん出ます。
そして、ゆっくりたくさん噛んでお食事を味わってください。


▼参考:歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020
 かむ、食べる、味わう
 https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/i028pes0kvskmh3cjbOdB

12/16から開始 心肺蘇生望まない場合の救急搬送新ルール

高齢者や末期がんなど終末期の人を対象に
本人が希望しなければ救急隊員が心肺蘇生を行わないとする
新しいルールの運用が12月16日から東京都内で開始されました。
・日ごろから、ACP(人生会議)等にて本人の意思を確認しておくこと。
・救急車を呼ぶ前に本人の意思を再確認し、救急車の要請が本当に必要か再検討すること。
・(特に看取り期)ご利用者のかかりつけ医との情報共有を密にしておくこと。
などが大切になるとされています。
施設などでは、ご家族との意思確認を改めてしておくことも大切ですね。

▼心肺蘇生を望まない傷病者への対応について:東京消防庁
 (医療機関・ホーム運営事業者等向け説明資料)
 https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/i0n08st0mvtu9mgnjz0C4
 (クリックするとPDFが開きます)

▼心肺蘇生を望まない傷病者への対応について:東京消防庁
 (入居者・一般向け説明資料)
 https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/i0n09st0mvtu9mgnjzPfs
 (クリックするとPDFが開きます)

歯周病の原因菌がアルツハイマー病に関連

これまでアルツハイマー型認知症のアミロイドベータは、
脳内で産生・蓄積すると考えられてきました。
口腔内の細菌とアルツハイマー病とのつながりを示す
研究結果が発表されました。
歯周病によるアルツハイマー型認知症の発症と進行を
制御できるのではないかと期待されています。

▼世界初ヒト歯周病の歯茎で脳内老人斑成分が産生されていることが判明:九州大学
 https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/i0n0ast0mvtu9mgnjzyda

口腔ケアと虚血性心疾患

歯周病の人は虚血性心疾患の発症リスクが高くなり、逆に虚血性心疾患や冠動脈の異常がある人は歯周病になりやすいことがわかっています。これは、歯周病原因菌や毒素っが炎症を引き起こし、粥状硬化を進める働きがあるため。実際に、血流に乗って冠動脈に入ったPg菌が血管内皮のプラークから検出されています。
 問題になる歯周病原因菌は歯肉組織の傷から侵入して、全身に運ばれていきます。歯肉に傷ができる最大の理由は歯磨きです。歯磨きの後20~30分くらいは誰でも菌が入り、一時的に菌血症(血液に菌がいる状態)になるのですが、健康な人はそれらを難なく退治して数十分の間には菌がいなくなるということを繰り返しています。
 出血するほどの強いブラッシングは、菌の侵入をできるだけ防ぐ意味でもしないほうがよいのです。

1日1杯の飲酒を日常的に10年間継続すると、がん罹患リスクが高まる

東京大学は12月9日、全国の労災病院の入院患者の病職歴データベースを解析した結果、低~中等度の飲酒とがん罹患リスクに関連があるという研究結果を発表した。これは、同大大学院医学系研究科公衆衛生学教室の財津將嘉助教(Harvard T.H. Chan School of Public Health研究員兼任)、同教室の小林廉毅教授、関東労災病院泌尿器科の武内巧部長、Harvard T.H. Chan School of Public HealthのIchiro Kawachi教授の研究グループによるもの。研究成果は「Cancer」にオンライン先行掲載されている。

 現在、日本の死因の第1位はがん。1日平均2合を超える飲酒は、がん罹患リスクを高めると数多く報告されている。近年は、遺伝的にアルコール代謝の能力が強い人が多い欧米諸国においても、低~中等度の飲酒によるがん罹患リスクの上昇が注目されている。一方、日本では、西洋諸国と異なり、国民の多くが遺伝的にアルコール代謝の能力が弱い。しかし、低~中等度の飲酒とがん罹患のリスクの関連に着目した研究は少なく、容量反応関係なども詳細には明らかではない。

 そこで研究グループは、労働者健康安全機構が保有している全国33か所にある労災病院から登録された入院患者の病職歴データベースを用いて、新規がん6万3,232症例、および性・年齢・診断年・病院が等しい良性疾患対照6万3,232症例を同定し、低~中等度の飲酒とがん罹患のリスクの関連を求めることとした。

 研究では、生涯飲酒量を、日本酒1合(180mL)、ビール中瓶1本(500mL)、ワイン1杯(180mL)、またはウイスキー1杯(60mL)を標準化された飲酒1単位(推定アルコール含有量23g)とし、1日の平均飲酒量(単位)に飲酒期間(年)を掛けたものを飲酒指数(drink-year)として定義。また、飲酒をしなかった人に対する飲酒をした人のがん罹患のオッズ比をがん罹患リスクの指標とした。

 その結果、がん全体(国際疾病分類により、悪性新生物C00-C97として分類されるもの)では、飲酒をしなかった人が最もがん罹患のリスクが低く、また、飲酒した人のがん全体の罹患リスクは、低~中等度の飲酒で容量依存的に上昇し、飲酒指数が10drink-year(例:1日1杯の飲酒を日常的に10年間継続)の時点でオッズ比が1.05倍に上昇。喫煙習慣、生活習慣病、職業階層で調整しても、同様の傾向が観察された。

 また、がん種による影響は、大腸がん(オッズ比1.08)、胃がん(同1.06)、乳がん(同1.08)、前立腺がん(同1.07)、食道がん(同1.45)などの比較的頻度の高いがんで、この研究で観察された低~中等度の飲酒によるがん罹患リスクの上昇に関わっていることが示唆された。研究グループは「がんを予防するため、飲酒によるがん罹患リスクの啓発活動をさらに強化する必要があると考えられる」と、述べている。

道認知症ケア研究会は札幌市内で口腔ケアセミナーを開いた

原善行共立歯科クリニック副院長が「認知症の方の誤嚥性肺炎を防ぐための口腔ケア」と題して、症例についての動画を交え歯の働き、ケアポイント等を解説した。
原副院長は「口腔ケアによって誤嚥性肺炎を防止し、インフルエンザウイルスを粘膜に侵入させやすくする細菌増殖を抑えたことで感染防止にも効果があった」と報告した。原副院長は「口腔ケアは食事・入浴・排泄介助と同列で特別なことではない。継続していくことが結果につながる。みなさんもぜひ実践してみてほしい」と強調した。
          介護新聞

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