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自閉症のサルを世界初確認 人間と同じ遺伝子に変異 発症メカニズム解明へ期待

自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)などの研究チームが自閉スペクトラム症の特徴を持つニホンザルを確認したことが19日、分かった。遺伝子操作をされていない動物での報告例はなく、世界で初めての確認とみられる。人間の発症者で見つかった遺伝子変異もあった。

 自閉スペクトラム症は自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害の総称で、対人関係が苦手、特定の行動を繰り返すという特徴がある。詳しい原因は分かっておらず、ヒトの近縁であるサルの症例を詳しく調べることで、発症メカニズムの解明につながると期待される。成果は米科学誌電子版に発表された。

 チームは、理化学研究所(埼玉県和光市)で飼育されていた研究用のニホンザルで、人間に懐かなかったり、自分の爪を頻繁にかんだりする個体に着目。他者の行動を読み取る能力を調べるため、他のサルと対面で座らせ、交互に2色のボタンのうち一つを触らせる実験をした。

 当たりの色のボタンを触ると、2匹ともジュースがもらえるとのルールを設定。当たりの色はしばらく変えず、相手がどちらを選ぶか観察すれば、正解する確率が高まるようにした。しかし、このサルは相手の動きを見ずに選んでいた。

 脳の働きを詳しく調べると、他者の行動情報を処理する神経細胞が他のサルに比べ、非常に少なかった。また遺伝子解析では、自閉スペクトラム症と関連するとされる二つの遺伝子に変異があった。

 チームの地域医療機能推進機構湯河原病院(神奈川県湯河原町)の吉田今日子(よしだ・きょうこ)医師(脳神経外科)は「人間と同じ霊長類のサルで自閉スペクトラム症の特徴を持つ個体がいると分かり、病態研究に有用なモデル生物と示された」としている。

 中国の研究チームは1月、遺伝子操作による自閉症のサルの作製に成功したと発表している。

 ※自閉スペクトラム症

 自閉症やアスペルガー症候群など発達障害の総称。対人コミュニケーションが難しいといった特徴を持つ人々を広く捉えようと新しく定義された分類。100人に1人程度いるとされる。遺伝的要因や環境要因の組み合わせによって発症すると考えられているが、詳しいメカニズムは分かっていない。

マイコプラズマ肺炎が大流行 「五輪肺炎」またも 耐性菌増加が背景か

 子どもに多く、せきが長引きやすいマイコプラズマ肺炎が大流行している。国立感染症研究所によると、10月17~23日の1週間に全国約500の医療機関から報告された平均患者数は統計開始以来、過去最多を記録。専門家は、従来の抗菌薬が効かない耐性菌の影響を指摘、マスク着用やこまめな手洗いを呼びかけている。

 マイコプラズマ肺炎は乾いたせきと発熱が特徴で、解熱後も数週間にわたってせきが続く。マイコプラズマという細菌が原因で、くしゃみやせきのしぶきを介して感染する。

 8日に速報された10月24~30日の1週間の患者報告数は691人で、1医療機関あたり1.46人。過去最多だった前週の1.61人に続き、高い水準だった。今年に入ってからの報告総数は1万4953人に上り、昨年1年間の1万323人を大幅に上回った。

 世界的には3~8年程度の周期で流行を繰り返すと報告され、日本では1984、88年に大流行し、「オリンピック肺炎」と呼ばれた。90~2000年代は落ち着いていたが、11、12年に大流行し、リオ五輪があった今年は4年ぶりとなった。

 その原因の一つと指摘されるのが耐性菌だ。感染研によると、治療で主に使われているマクロライド系の抗菌薬に耐性を持つ菌が00年から増え始め、現在は50%以上と推定されている。別の抗菌薬も使えるが、特に子どもで副作用の心配があるという。感染研細菌第二部の見理剛(けんりつよし)室長は「90~00年代はマクロライド系の薬が効き、大流行が抑えられていた可能性がある。耐性菌の広がりによって、周期的流行が復活していくかみていく必要がある」と話している。

乳児の就寝中死亡160人 窒息事故、5年間で 1歳未満、うつぶせ注意

消費者庁は21日、2014年までの約5年間に、ベッドや布団などで就寝中に窒息死した1歳未満の子どもが160人に上るとの集計結果を明らかにした。うつぶせ寝や、大人用の寝具に寝かせて起きた事故が目立っており、同庁は「ベビー用のベッドを使い、あおむけで寝かせるよう心掛けてほしい」と注意を呼び掛けている。

 消費者庁が、厚生労働省の人口動態統計の死亡調査票を5年分集めるなどして初めて分析した。大半は家庭内の事故で、このうち33人は布団やマットレスなどに顔が埋もれたのが原因だった。

 他の原因別の主な内訳は(1)掛け布団などが顔に掛かったり、首に巻き付いたりした(17人)(2)ベッドと壁の間に挟まれて身動きできなくなった(13人)(3)ベッドなどから転落した(7人)(4)家族の体の一部に圧迫された(5人)―など。約80人については詳しい原因が分からなかった。

 消費者庁は近く分析結果を公表し、柔らかく埋もれやすい寝具の使用は避け、子どもが払いのけやすい軽い掛け布団を使うことや、就寝中は周りに物を置かないよう呼び掛ける。

 政府は6月、相次ぐ子どもの死亡事故を防ごうと、各省庁や警察、消防がばらばらに収集してきた事故情報を共有する「連絡会議」を立ち上げ、消費者庁が事務局を担っている。

 人口動態統計によると、14歳以下の子どもは14年までの約5年間、交通事故を除く不慮の事故で毎年300人前後が死亡。おもちゃや食品を喉に詰まらせた窒息死や、ベランダなどからの転落死、浴槽での溺死が目立っており、連絡会議で分析を進める。

小児の異物誤嚥、1位に宝飾品

米国消費者製品安全委員会の全国電子傷害監視システムデータを基に、小児における消費者製品の誤嚥・誤飲動向を調査。2000-14年の調査期間中に誤飲による救急受診は41.4%増加したが、誤嚥の発生割合は変わらなかった。誤嚥の原因1位は調査初期には硬貨だったが、途中で宝飾品が取って代わった(29.3%)。誤飲の原因1位は調査期間を通じて硬貨だったが、近年は減少傾向があった。誤嚥・誤飲に占める5歳未満の割合はそれぞれ89.4%、77.8%だった。

高齢者の人口26.7%と過去最高!

65歳以上の高齢者人口は3,384万人(平成27年9月15日現在推計)、総人口に占める割合は26.7%であり、前年と比べると、89万人、0.8ポイント増と大きく増加しており、人口、割合ともに過去最高となる。

 また、人口性比(女性100人に対する男性の数)は65歳以上では76.1と女性が多くなっており、80歳以上人口は1,002万人で初めて1,000万人を超えた。

1位北大、2位旭川医大、2016マッチング中間

2017年度からの初期臨床研修先を決める、2016年度医師臨床研修マッチングの「中間公表」の結果で、北海道は募集定員468人に対し、1位希望人数は326人で定員充足率は70%だった。1位希望人数は北海道大学病院、旭川医科大学病院、札幌医科大学附属病院が上位だった。

医療費が月1,000万円以上、361件で過去最高に

健保連は9日、2015年度の高額医療交付金交付事業に申請された医療費のうち、1か月の医療費が1,000万円以上だったケースは過去最高の361件(前年度比61件増)だったと発表した。最も高額だったのは、血友病A患者の4,253万円。

 361件のうち、循環器系疾患は136件(25件増)、先天性疾患は101件(13件増)、血友病は55件(8件増)、悪性腫瘍は21件(4件増)、その他は48件(11件増)だった。

 また、2,000万円以上は47件(12件増)、500万円以上は5,696件(426件増)で、いずれも過去最高となった。

 高額医療交付金交付事業では、高額な医療費が発生した健康保険組合に対し、財政的影響を緩和するため、各組合から集めた拠出金を財源として交付金を出している。(メディファクスより転載)

入院中食事詰まらせ死亡 遺族が病院機構提訴

国立病院機構盛岡病院(盛岡市)に入院していた女性=当時(69)=が死亡したのは、病院側が食事を喉に詰まらせないようにする注意義務を怠ったためとして、盛岡、滝沢両市の遺族が23日までに、病院を運営する独立行政法人国立病院機構(東京)に2200万円の損害賠償を求める訴えを盛岡地裁に起こした。

 訴えによると、女性は2014年1月22日、肺炎のため入院。同26日に病院が用意した昼食を喉に詰まらせて心肺停止状態に陥り、同2月2日、低酸素脳症で死亡したとされる。

 遺族は「アルツハイマー型認知症で早食いする癖があったにもかかわらず、病院は食事の介助や付き添いを怠った上、食材を細かく刻むなど誤嚥(ごえん)を防止する配慮をしなかった」と主張している。

 機構側は「係争中のためコメントは差し控えたい」としている。

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