手術用手袋の使用は、医療従事者と患者との間における病原微生物の伝播経路遮断が主たる目的であり、医療従事者の血液・体液曝露、患者の手術部位感染のリスク制御のために使用される。病原微生物の伝播経路を遮断するため、手袋にわずかな損傷もあってはならないが、実際には手袋製造時のAcceptance Quality Limit:合格品質限界(以下AQL)として、本邦の手術用手袋はJIS 規格でAQL 1.5と定められており、使用開始時にすでに4%以下程度の穿孔が存在することが知られている。
さらに、手術中に針刺しや手袋自体の劣化により穿孔が発生することは多く、穿孔率は数%~30%と文献により大きく異なっている。これら穿孔率の差は、骨などの硬い組織に触れる整形外科手術や開胸手術と、硬い組織に触れない腹腔内手術など、手術部位による違いや手術手技、手袋装着時間などの差が関係していると考えられる。整形外科や脳神経外科、心臓血管外科など、骨を直接触るような手術では22%~25%、泌尿器科では16%、消化器外科においては7%と報告されている。