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のみ込む力低下、菌侵入

有料老人ホームで3月中旬、車いすの男性(86)が、施設の看護師らに介助されながら、内視鏡を男性の鼻から喉へ通し、食道と気管の入り口の様子をモニターに映し出して、うまくのみ込めるかどうかを確認した。男性は認知症を患っており、介護認定は中程度にあたる要介護3。家族は、かむ習慣を通じて認知症の改善につながることを期待し、普通の食事を希望したが、男性は10日前に食べ物を気管に詰まらせて窒息しかけたばかり。それ以前にも肺炎を何度か繰り返していた。高齢者に多い「誤嚥性肺炎」とみられた。誤嚥性肺炎は、食べ物などを食道に送り込む「嚥下反射」や、異物が気管に侵入するのをせき込んで防ぐ「せき反射」の機能が低下することで起きる。
 口の中には、様々な常在菌が潜んでいる。食べ物と一緒に菌が気管内に入ると、体の抵抗力が落ちている高齢者は感染しやすい。何度も繰り返すのも誤嚥性肺炎の特徴だ。脳卒中の後遺症などで、運動機能に障害がある場合は特に注意が必要だ。治療は、原因として多い肺炎球菌や黄色ブドウ球菌などに効果のある抗菌薬を用いる。脱水症状の緩和や栄養補給のため点滴を行うことが多い。男性は日ごろから、唾液が喉につかえ、声がガラガラしていた。この日の検査でも、ペースト状の粥がなかなか食道に下りていかず、喉にとどまった。普通の食事では、誤嚥の危険性が高いと考えて食べ物をミキサーにかけた食事を続けてほしいと施設職員に説明した。
                   読売新聞 2012.3.29

がん医療④ 医科歯科連携

医科にとって、「病病・病診連携」は、病院と病院、病院と診療所との連携を意味する重要なキーワードである。命に関わる疾患の診療には、これらの連携が必要不可欠で、診療報酬上も様々評価されてきた。一方、歯科領域では、診療所単位でほぼ治療が完結するため、歯科同士の連携はあまり行われておらず、ましてや、一つの疾患を対象とした医科歯科連携が機能している地域はごく少数にとどまっていた。
 ここ10年間の静岡県歯と静岡がんセンターとの取り組みは、我が国の医科歯科連携に大きな一石を投じることになった。2002年に開院した静岡がんセンター病院には、当時、静岡県歯会長であった大久保満男・日歯会長の肝いりで、歯科口腔外科が設置され、その後、飯嶋理・静岡県歯会長と静岡がんセンター病院の大田洋二郎・歯科口腔外科部長らが中心となり、がん患者を対象とした全国初の医科歯科連携が開始された。
                   日歯広報 5月15日

妊娠期の歯周病 女性ホルモンの影響で歯周病が悪化しやすい

女性は思春期から妊娠・出産期にかけて、歯の疾患が増える傾向にあります。歯肉炎や歯周病につながる「歯石沈着」の人は20~39歳すべての女性で増加傾向にあるのがわかります。なかでも妊婦さんは、歯にダメージを受けやすい環境にあります。その理由としては、妊娠するとエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが増加。これにより歯周病細菌の増殖が誘発されやすくなるのです。また、「つわり」の影響や「ちょこちょこ食べ」で、歯のケアが十分でなくなります。これも歯周病が発生しやすい要因になります。
                    妊すぐ 12.3.13

歯周病ケア普及歯科健診

内容  歯周病検査、歯周病の予防・改善指導
 場所  同健診の実施医療機関
     ※各支所・公民館等で配布しているチラシや、HP健康推進課の「歯の健康情報」に掲載。受診する場合は、事前に医療機関に申込みが必要。
 対象  今年度中に満30・40・50・60・70歳になる方、または今年度中に満30・40・50・60・70歳だった方で、職場等で歯科健診を受ける機会がない方、妊産婦(治療中の方は対象外)
 料金  500円(70歳の方は無料。その他の方も免除制度あり)
 持ち物 住所・氏名・生年月日が確認できる物
     ※妊産婦は受診券と母子健康手帳。
 他   健診後、精密検査や治療が必要な場合は、保険診療の対象
 詳   健康推進課 ℡25-6315

「歯のクリーニング」ってよく聞くけど何ですか?

プロにしかできない技術で虫歯や歯周病のリスクも軽減
  クリーニングでは、超音波を使ったスケーリング(歯垢取り)のほか、日常のブラッシングでは落としきれないバイオフィルム(細菌)を機械で除去。歯石(プラーク)の付着を防ぎ、歯を強くする再石灰化なども行います。2、3ヶ月に一度、定期的に行うことで歯周病の進行を食い止め、口の中を清潔な状態に保てます。
  検診を兼ねたクリーニングで歯の状態をチェックしてもらうことがトラブルの予防にもつながります。例えば小さな虫歯などは定期的にきちんとケアし、医師が経過を観察していればそれ以上進行せず、削らなくてすむのも多い。そういう意味でも定期的にクリーニングをしてほしいですね。

頭痛、肩こりが歯を治せば改善するって本当?

断言はできないがそういった声も。噛み合わせを治すとほかの利点も
  噛み合わせを治したら頭痛や肩こりが消えた、という話は確かに聞きますが、頭痛や肩こりの原因が噛み合わせにあるとは必ずしもいえない場合も。噛み合わせの治療は、歯と、歯の周囲の筋肉やあごの骨などを含めた全体をバランスよく使って、正しく噛めるようにするもの。きちんと噛み合わせが機能すれば、虫歯や歯周病のない健康な歯を長く維持できます。実際、噛み合わせが正しい人は、虫歯や歯周病の人が少なく、逆に噛み合わせに不具合がある人は、虫歯の治療跡やかぶせものをしている場合が多く見られます。

口臭はどうすれば治る?

ニオイのもとはさまざまなのでその原因を歯科で知るのが先決
  胃酸過多などの内臓疾患、酸化した食べ物によるもの、加齢による唾液の減少や質の変化、歯周病など、口臭の原因は1人1人違います。歯科でその原因を知ることが解決の近道です。唾液の量が少なくなると、舌苔が舌についたり、食べ物を洗い流す自浄作用が失われて口臭がすることがありますが、その程度でしたら歯磨きで消えることも多いのです。でも、歯周病による口臭は、根本的に歯周病を治療しない限り改善しません。

日本顎咬合学会 公開フォーラム、歯科医師ら1100人参加

NPO法人の日本顎咬合(がくこうごう)学会主催の公開フォーラムが10日、千代田区の東京国際フォーラムで開かれた。「命の入り口 心の出口~健口長寿~ライフステージに応じた口腔(こうくう)機能の回復で幸せな人生を」をテーマに一般を含め、歯科医師ら約1100人が参加した。

 公開フォーラムは、乳幼児からお年寄りまで、元気で明るい生活を送る上で口腔ケアの大切さを強調。日本歯科大学の小林義典教授らがディスカッションなどを通じ、口全体を使ったかみ合わせの「咬合」と、食べ物をかみ砕き味わう「咀嚼(そしゃく)」が脳の機能と深くかかわるなど「お口の健康」を分かりやすく説明した。同学会は歯科医師だけでなく、歯科技工士、歯科衛生士の技能向上などを目指し、独自の認定制度をスタート。公開フォーラムは研修会を兼ねており、熱心にメモをとる姿が見られた。
毎日新聞社 6月12日(火)

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