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医師の働き方改革、そもそも医師は労働者なのか

3.医師は労働者なのか

 医師は、いちいち法律が介入して保護することが必要な立場かと言われると、もしかしたら違和感を持つ読者もいるかもしれない。取得するのが難しい資格を持った限られた人しかできない仕事だし、比較的給料も高い、患者をはじめ多くの人から尊敬される職業という面もある。確かに、一般に医師という職業は、一歩病院の外に出て、他の職業に比べると強い立場なのかもしれない。

 しかし、病院の中ではどうだろうか。個々の勤務医の立場に立った時に、なかなか管理的立場のいわゆる上司に相当する人の命令に反することは難しいのではないだろうか。体力的にかなり厳しい状況だとしても、他に医師がいないと言われれば過酷な勤務を断れないということはないだろうか。本来、医師を確保したり、マンパワーに応じて業務を減らしたりするのが経営側の役割だとしてもだ。

 また、医学教育の段階から医師は「患者のために」「社会のために」と、高い倫理観を教え込まれているので、少々きつくても頑張ってしまいがちな面もあるかもしれない。患者の命や健康を守るという仕事だから、そのような高い倫理観は必要だと思うし、プロフェッショナルとしての誇りも素晴らしいことだと思うが、医師も人間だから過酷な働き方では医師本人が健康を害することもあるだろうし、健康を害するまでいかなくても寝不足で手術をしてヒヤリ・ハットの経験をしたケースも決して少なくないというデータもある。患者のためにも、医師が元気でいることはとても大事なことだ。

 だから、医師は一般の労働者に比べると強い立場かもしれないが、病院の中をイメージすると、やはり働き方には何らかの歯止めが必要なのだと思う。どうしても、上の立場の人が強いし、医師自身も頑張ってしまうからだ。日本の法律が、医師も労働者として保護の対象としているのは、そういうことだと思う。

「子ども庁」の創設

子どもに関わる政策を一元的に扱う「子ども庁」の創設に向けた議論が始まりました。現在の行政では、幼稚園を文部科学省、保育園を厚生労働省、認定こども園
は内閣府がそれぞれ所管しております。待機児童解消が遅れる一因とも指摘されています。
日本の家族関係社会支出(子育てを支援するために支出される現金給付と現物給付)は国内総生産(GDP)比1.58%で、フラ(2.93%)、イギリス(3.46%)やスウェーデン(3.54%)などの欧州諸国と比べて低水準になっています。
一方、日本の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推計される子どもの人数)は2000年代半ばに底を打ち、回復傾向にありましたが2010年代後半に伸びが止まり、再び減り始めています。
子ども庁の創設により、少子化対策の一元的な支援が推進されることが期待されています。

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